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モエリス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
モエリス地図ちず。 Birket Qarun(カールーン)とかれた場所ばしょ塩水えんすいみずうみとして現存げんそんしている。
19世紀せいきおこなわれたモエリス盆地ぼんち調査ちょうさ

モエリス古代こだいギリシア: Μみゅーοおみくろんἵρις)は、かつてアフリカ大陸たいりく北部ほくぶにあったとかんがえられている古代こだい淡水たんすいみずうみである。紀元前きげんぜん2300ねんころナイルがわとモエリスむす運河うんがつくられた。モエリスというのは「おおきな運河うんが」という意味いみである。

モエリス現在げんざいでいうファイユームオアシス英語えいごばん(Faiyum Oasis)の北西ほくせいがわカイロ南西なんせい80km付近ふきんにあったとかんがえられている古代こだい淡水たんすいみずうみであり、面積めんせきは1,270 km2から1,700 km2だったとされている。淡水魚たんすいぎょテラピアりょうおこなわれたとられている。またメリテリウムという絶滅ぜつめつした哺乳類ほにゅうるい古代こだいゾウ)の化石かせきもこの地域ちいき発見はっけんされた。この「メリテリウム」とは「モエリスしし」という意味いみである。

モエリス古代こだい淡水たんすいみずうみであり現存げんそんしない。しかしすべてが消滅しょうめつしたわけではなく202 km2塩水えんすいみずうみカールーン(Birket Qarun)として現存げんそんしている。カールーン湖面こめん海面かいめん43mに位置いちする。一帯いったいには88しゅ水鳥みずとりふく鳥類ちょうるいと12しゅ以上いじょう魚類ぎょるいのほか、リムガゼルドルカスガゼルシマハイエナアカギツネビーバークーズーヌーなどの哺乳類ほにゅうるい数種類すうしゅるい爬虫類はちゅうるい生息せいそくしている。2012ねんラムサール条約じょうやく登録とうろくとなった[1]

歴史れきし

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中新ちゅうしん後半こうはんヨーロッパ地中海ちちゅうかいメッシニアン塩分えんぶん危機きき末期まっきにあって干上ひあがっていたとき、ファイユームも同様どうようかわいたくぼとなっており、ナイルがわはそこを通過つうかして峡谷きょうこく最低さいてい(およそ2400m以上いじょうふかさで、現在げんざいのカイロのある場所ばしょ)へとながれていた。中新ちゅうしんわりに地中海ちちゅうかいふたたみずたされたとき、ナイル峡谷きょうこくうみ一部いちぶとなり、アスワンよりも内陸ないりくへとびる細長ほそながわんとなった。年月としつきるうちにわんには次第しだいどろ蓄積ちくせきし、今日きょうのナイルたにができた。

その結果けっかナイルだにでは、あつ沈殿ちんでんしたどろのためにナイルがわがファイユーム窪地くぼちにあふれみ、みずうみ形成けいせいした。みずうみについての最初さいしょ記録きろく紀元前きげんぜん3000ねんごろのもので、メネス治世ちせい期間きかんである。しかし、みずうみだい部分ぶぶん洪水こうずいであふれたみずまるだけのものにすぎなかった。みずうみえんにはしん石器せっき時代じだい集落しゅうらくができ、みずうみ南側みなみがわ尾根おねになったところにはシェデットのまちができた。

紀元前きげんぜん2300ねんに、ナイルがわからこの自然しぜんみずうみへとつうじる水路すいろ拡幅かくふくされ運河うんがとなった。これは現代げんだいでもバハル・ユセフ英語えいごばん(Bahr Yussef)としてられる。このプロジェクトはアメンエムハト3せいか、かれちちセンウセレト3せいによって施行しこうされた。この運河うんがみずうみみず供給きょうきゅうしたが、これには3つの利用りよう目的もくてきがあった。ナイルがわ洪水こうずい制御せいぎょすること、乾期かんきにナイルがわ水量すいりょうたもつこと、周辺しゅうへん地域ちいき灌漑かんがいきょうすることである。古代こだいエジプトのうち12の王朝おうちょうで、ファラオたちがファイユームにできた自然しぜんみずうみを、余剰よじょうみずをためておいて乾期かんき利用りようするための貯水池ちょすいちとして使用しようしていたという証拠しょうこつかっている。

古代こだいエジプトの12の王朝おうちょうにわたって施行しこうされた、みずうみ巨大きょだい貯水池ちょすいちつくえようというだい規模きぼ工事こうじ結果けっかみずうみはまるで人工じんこうてきられたものであるような印象いんしょうあたえることとなり、古代こだい地理ちり学者がくしゃ旅行りょこうしゃはそのようにつたえている[2]最寄もよりのナイルがわ支流しりゅう紀元前きげんぜん230ねんごろから縮小しゅくしょうしたため、みずうみ最終さいしゅうてき放棄ほうきされることとなった。

名称めいしょう由来ゆらい

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mer-wer (Moeris)
ヒエログリフ表示ひょうじ
N36
wr
n
n
n

モエリスというは、エジプトで「おおきな運河うんが」を意味いみする「mer-wer」がギリシャ借入かりいれされたものである。この事業じぎょうはじめたアメンエムハト3せいもモエリスというられていた。古代こだいエジプトでは、このみずうみは「みずうみ」「んだみずうみ」「オシリスのみずうみ」などさまざまなでもばれていた。エジプトちゅう王国おうこく時代じだいは、みずうみ周辺しゅうへん一帯いったいをもさして「mer-wer」とばれていた。同様どうように、後期こうきエジプトで「うみ」を意味いみする「Piom」は、もともとモエリスのみを単語たんごであったが、やがてクロコディロポリス(現在げんざいファイユーム)のまちをもさすようになり、のちには地域ちいき全体ぜんたいをも意味いみするようになった。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Lake Qarun Protected Area | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2012ねん6がつ4にち). 2023ねん4がつ14にち閲覧えつらん
  2. ^ Eugène Xavier Louis Henri Hyvernat (1913). "Egypt" . In Herbermann, Charles (ed.). Catholic Encyclopedia. New York: Robert Appleton Company.

参考さんこう文献ぶんけん

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座標ざひょう: 北緯ほくい2928ふん29びょう 東経とうけい3039ふん55びょう / 北緯ほくい29.47472 東経とうけい30.66528 / 29.47472; 30.66528