リダイレクト (CLI)

入力にゅうりょく、出力しゅつりょく、エラー出力しゅつりょくのための標準ひょうじゅんストリーム

コンピューティングにおいて、リダイレクト（英語えいご: Redirect）とはリダイレクションを行おこなうこと。リダイレクションとは、様々さまざまなシェルを含ふくむほとんどのコマンドラインインタプリタに共通きょうつうの機能きのうであり、標準ひょうじゅんストリームをユーザで指定していした位置いちに変更へんこうする機能きのうのこと。

プログラムはdup2（2）システムコールまたはより柔軟じゅうなんでレベルの高たかい類似るいじ物ぶつであるfreopen（3）およびpopen（3）によってリダイレクトする。

標準ひょうじゅん入力にゅうりょくと標準ひょうじゅん出力しゅつりょくのリダイレクト

リダイレクションは通常つうじょう、コマンドの間あいだである文字もじを置おくことによって行おこなわれる。一般いっぱんに、これらの文字もじのシンタックスは以下いかのとおりである:

command1 > file1

command1を実行じっこうし、結果けっかをfile1に出力しゅつりょくする。file1は上書うわがきされるため、元もとの内容ないようはすべて消去しょうきょされることに注意ちゅういすべきである。ただし、文字もじ >> を使用しようして、既存きそんファイルの末尾まつびに出力しゅつりょくを追加ついか（アペンド）すれば、元もとの内容ないようを温存おんぞんすることができる。

command1 < file1

キーボードの代かわりに、入力にゅうりょくのソースとしてfile1を使用しようし、command1を実行じっこうする。

command1 < infile > outfile

二ふたつの機能きのうを結合けつごうする。 command1はinfileを読よみ、outfileに書かく。

パイプ処理しょり

ひとつのプログラムが明示めいじ的てきな中間ちゅうかんのファイルを必要ひつようとせずに別べつのプログラムの出力しゅつりょくを読よむように、プログラム動作どうささせることができる。

command1 | command2

command1を実行じっこうし、出力しゅつりょくをcommand2の入力にゅうりょくとして使用しようする。文字もじ"|"が「パイプ」と呼称こしょうされるので、これはパイプ処理しょりと呼よばれる。

これは、二ふたつのリダイレクトとテンポラリファイルを使用しようすることと同等どうとうである（command1とcommand2が並行へいこうして処理しょりされるか、rmが不可分ふかぶん操作そうさであるか、といった違ちがいはある）。

command1 > tempfile
command2 < tempfile
rm tempfile

パイプ処理しょりのためのよい例れいは、インタラクティブでないシェルの中なかで何なにかインタラクティブなことを行おこなうためにechoを別べつなコマンドと結合けつごうすることである。たとえば

echo -e "user\npass" | ftp localhost

これはユーザ名めい、リターンキー、パスワードをあらかじめ入力にゅうりょくしてFile Transfer Protocolクライアントを走はしらせる。

標準ひょうじゅんのファイルハンドルへの／からのリダイレクト

オリジナルのBourne Shellからの系統けいとうであるシェルにおいて、文字もじの直前ちょくぜんにある数かず（ファイル記述きじゅつ子こ）を置おくことによって最初さいしょの二に回かいの行動こうどうはさらに修正しゅうせいされる。これは、どのストリームがリダイレクションのために使用しようされるかに影響えいきょうする。Unixの標準ひょうじゅんI/Oストリームは以下いかのとおりである:

ハンドル	名前なまえ	説明せつめい
0	stdin	標準ひょうじゅん入力にゅうりょく
1	stdout	標準ひょうじゅん出力しゅつりょく
2	stderr	標準ひょうじゅんエラー出力しゅつりょく

例たとえば：

command1 2> file1

stderr出力しゅつりょくをfile1にリダイレクトし、command1を実行じっこうする。

C Shellの系列けいれつにあるシェルの場合ばあい、シンタックスは代かわりに文字もじ&をリダイレクト文字もじに付加ふかし、同様どうようの結果けっかを達成たっせいする。

別べつの有益ゆうえきな機能きのうは、1つの標準ひょうじゅんファイルハンドルを別べつのものにリダイレクトすることである。もっともポピュラーなバリエーションは、エラーメッセージを通常つうじょうの出力しゅつりょくと一緒いっしょに（または交互こうごに）処理しょりすることができるように、標準ひょうじゅん出力しゅつりょくの中なかに標準ひょうじゅんエラー出力しゅつりょくを併合へいごうすることである。

例れい:

find / -name .profile -print > results 2>&1

は.profileと名なづけられたすべてのファイルを見みつけようとする。リダイレクションなしで実行じっこうされた場合ばあい、標準ひょうじゅん出力しゅつりょくにヒットを出力しゅつりょくし、エラー（例れい:保護ほごされたディレクトリを横切よこぎる権限けんげんの不足ふそくなど）を標準ひょうじゅんエラー出力しゅつりょくに出力しゅつりょくする。標準ひょうじゅん出力しゅつりょくが結果けっかをファイルresultsにリダイレクトするとき、エラーメッセージは通常つうじょう通どおり画面がめんに出力しゅつりょくされる。ファイルresultsで、ヒットとエラーメッセージの両方りょうほうを見みるために、2>&1を使用しようして、標準ひょうじゅん出力しゅつりょく（ハンドル1）の中なかに標準ひょうじゅんエラー出力しゅつりょく（ハンドル2）を合併がっぺいする。

>の前まえに2>&1を置おくことは可能かのうだが、うまく働はたらかない。事実じじつ、インタプリタが2>&1を読よむ時ときに、標準ひょうじゅん出力しゅつりょくがどこでリダイレクトされるかを知しらない。

もし併合へいごうされた出力しゅつりょくが別べつのプログラムにパイプで輸送ゆそうされる必要ひつようがあるならば、ファイル併合へいごうシーケンス2>&1は以下いかのようにパイプ文字もじに先行せんこうしなければならない:

find / -name .profile -print 2>&1 | less

コマンドの簡素かんそ化かしたフォーム:

command > file 2>&1

は

command &>file

または

command >&file

と同おなじである。

ヒアドキュメントからのリダイレクト

固定こてい的てきな文字もじ列れつを標準ひょうじゅん入力にゅうりょくから読よみ込こませる方法ほうほうには、前述ぜんじゅつの、echoを用もちいて標準ひょうじゅん入力にゅうりょくから読よみ込こませる以外いがいに、ヒアドキュメントからのリダイレクトを用もちいる方法ほうほうがある。それには、以下いかのような方法ほうほうを用もちいる。

command1 <<!
document
!

ここで、<<に後続こうぞくする文字もじ列れつは必かならずしも"!"である必要ひつようはない。伝統でんとう的てきには"!"や"EOF"（複数ふくすう文字もじであってもよい）などがよく用もちいられ、その文字もじがドキュメントの終端しゅうたんを示しめす。標準ひょうじゅん入力にゅうりょくに読よみ込こませるドキュメントがまさにその場所ばしょにあることから、そのドキュメントをヒアドキュメントと呼よんでいる。

これを用もちいると、echoを用もちいた前述ぜんじゅつの例れい

echo -e "user\npass" | ftp localhost

は

ftp localhost <<!
user
pass
!

に置おき換かえ可能かのうである。標準ひょうじゅん入力にゅうりょくからの操作そうさを待まつ、インタラクティブなコマンドを用もちいて、非ひインタラクティブに処理しょりを行おこなう場合ばあいに多用たようされる。

つながれたパイプライン

リダイレクションとパイプトークンを、複雑ふくざつなコマンドを作成さくせいするためにつなぐことができる。たとえば:

ls | grep '\.sh' | sort > shlist

これはカレントディレクトリの内容ないようをリストし、.shを含ふくむ行くだりのみをフィルタリングし、辞書じしょ順じゅんに並ならべ、shlistに出力しゅつりょくする。このタイプの構造こうぞうはシェルスクリプトとバッチファイルの中なかで非常ひじょうによく使用しようされる。

多重たじゅう出力しゅつりょくへのリダイレクト

標準ひょうじゅんコマンドteeは出力しゅつりょくをコマンドからいくつかのあて先さきにリダイレクトすることができる。

ls -lrt | tee xyz

これはファイルリストの出力しゅつりょくをファイルxyzと標準ひょうじゅん出力しゅつりょくの両方りょうほうに書かき出だす。