(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ルイス・ロックウッド - Wikipedia コンテンツにスキップ

ルイス・ロックウッド

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ルイス・H・ロックウッド(Lewis H. Lockwood 1930ねん12月16にち[1] - )は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく音楽おんがく学者がくしゃルネサンスイタリア音楽おんがくおよびルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン生涯しょうがい作品さくひん専門せんもんとしている[1]ジョゼフ・カーマンはロックウッドを「戦後せんご世代せだい牽引けんいんする音楽おんがく学者がくしゃであり、ベートーヴェンにかんする一流いちりゅうのアメリカじん権威けんいである」とひょうしている[2]

幼少ようしょう教育きょういく[編集へんしゅう]

1930ねん12月にニューヨークまれた。音楽おんがく美術びじゅつ高校こうこうかよう。そのクイーンズカレッジ学部がくぶせいとしての成果せいかのこしたさいには、著名ちょめいなルネサンス学者がくしゃエドワード・ロウィンスキーしゅとして助言じょげんおこなった。つづけて1950年代ねんだい初頭しょとうプリンストン大学ぷりんすとんだいがく大学院だいがくいんオリヴァー・ストランクアーサー・メンデルニーノ・ピロッタした研鑽けんさんんだ。1955ねんから1956ねんにかけてをフルブライト奨学しょうがくきんによりイタリアでごし、プリンストン大学ぷりんすとんだいがく博士はかせごうた。学位がくい論文ろんぶん主題しゅだいとした16世紀せいき作曲さっきょくヴィンセンツォ・ルッフォ教会きょうかい音楽おんがくは、対抗たいこう宗教しゅうきょう改革かいかく美学びがくてき影響えいきょう直接ちょくせつけている。ロックウッドはチェリストとしても特訓とっくんんでおり、はじめはアルビン・アントシュに、いでパガニーニよん重奏じゅうそうだんのルチアン・ラポルテに師事しじした。室内楽しつないがく奏者そうしゃとしても活動かつどうつづけている。

業績ぎょうせき[編集へんしゅう]

1956ねんから1958ねんにかけて所属しょぞくしたアメリカ陸軍りくぐんではだい7陸軍りくぐん交響こうきょう楽団がくだんでチェリストとして演奏えんそうした。1958ねんから1980ねんにかけてはプリンストン大学ぷりんすとんだいがくで、1980ねんからはハーバード大学だいがく教鞭きょうべんった[1]。2002ねんにハーバード大学だいがくしょく退しりぞいたのちボストン大学だいがく名誉めいよしょくて、どう大学だいがくのベートーヴェン研究けんきゅうセンターで共同きょうどう所長しょちょうつとめている[3]。1964ねんから1967ねんには『アメリカ音楽おんがく学会がっかい』の編集へんしゅう委員いいんつとめ、1987ねんから1988ねんにはアメリカ音楽おんがく学会がっかい会長かいちょうとなった[1]

ロックウッドのイタリア音楽おんがくかんする業績ぎょうせきはまず様式ようしきとジャンルの問題もんだい着目ちゃくもくするもので、なかにはよくられた用語ようごである「パロディ・ミサ」のさい定義ていぎやそれに関係かんけいする主題しゅだいがある。そのはルネサンス唯一ゆいいつ音楽おんがく中心ちゅうしんであった15世紀せいきフェラーラ研究けんきゅううつり、広範こうはん古文書こもんじょ研究けんきゅう実施じっしして主要しゅよう著書ちょしょである『Music in Renaissance Ferrara, 1400-1505』(1984ねん)にまとめげた。これはエステみずからの宮廷きゅうてい重要じゅうよう拠点きょてんとしたことによる音楽おんがく音楽家おんがくか、パトロン活動かつどう網羅もうらてき研究けんきゅうである。後年こうねんのベートーヴェンにかんする業績ぎょうせきでは、草稿そうこう、とりわけベートーヴェンのスケッチブックと自筆じひつ、そして幅広はばひろ研究けんきゅう枠組わくぐみによってられる[4]。ベートーヴェン研究けんきゅう初期しょき段階だんかいではチェロソナタだい3ばんだい1楽章がくしょう作曲さっきょく過程かていげ、制作せいさく終盤しゅうばんにおけるめずらしくも特筆とくひつすべきベートーヴェンによる急激きゅうげき楽章がくしょう変容へんようれいあつかった。さらに楽譜がくふ焦点しょうてんてた同様どうよう研究けんきゅうつづく。伝記でんき『ベートーヴェン: 音楽おんがく生涯しょうがい』(Norton 2003ねん)はピューリッツァーしょう伝記でんき部門ぶもん最終さいしゅう選考せんこうまでのこった。こののちジュリアード弦楽げんがくよん重奏じゅうそうだん団員だんいんたちと共著きょうちょにて『Inside Beethoven's Quartets』(2008ねん)とだいした、弦楽げんがくよん重奏じゅうそうきょくかんする書籍しょせき上梓じょうしした。2013ねんにはアラン・ゴスマンと協力きょうりょくし、ベートーヴェンのすうおおくの現存げんそんするスケッチブックについて最大さいだいきゅう規模きぼ有数ゆうすう意義いぎふかさを最初さいしょのクリティカル・エディションという、7ねんしの仕事しごと完成かんせいさせた。この『Beethoven's "Eroica" Sketchbook』は同年どうねんのうちにイリノイ大学だいがく出版しゅっぱんきょく英語えいごばんから刊行かんこうされた。つづいて発表はっぴょうされたのは『Beethoven's Symphonies: An Artistic Vision』(Norton 2015ねん)である。近著きんちょには広範こうはん分野ぶんやで1830年代ねんだいから現在げんざいいたるまでのベートーヴェンの伝記でんき批評ひひょうてき調査ちょうさした『Beethoven's Lives'』(2020ねん)がある。

受賞じゅしょうれき[編集へんしゅう]

1984ねんアメリカ芸術げいじゅつ科学かがくアカデミー、2013ねんアメリカ哲学てつがく協会きょうかいのメンバーシップに選出せんしゅつされている[5]。1996ねんにロックウッドの名誉めいよとなえたフェストシュリフト英語えいごばん出版しゅっぱんされた[6]。アメリカ音楽おんがく学会がっかいではロックウッドの栄誉えいよとなえ、博士はかせごう取得しゅとく10ねん以内いない音楽おんがく学者がくしゃ執筆しっぴつした非凡ひぼん書籍しょせき1さつたいし、ルイス・ロックウッドしょうおくられている[7]。2018ねんにはボンベートーヴェン・ハウス教会きょうかい名誉めいよ会員かいいんえらばれた。同年どうねんには音楽おんがくがく分野ぶんやへの貢献こうけんにより、マーガレット・ベントともにグイド・アドラーしょう共同きょうどう受賞じゅしょうしている。

主要しゅよう著作ちょさく[編集へんしゅう]

  • Beethoven's Lives: The Biographical Tradition (Woodbridge:The Boydell Press, 2020)
  • Beethoven's Symphonies: An Artistic Vision (New York: W.W. Norton, 2015)
  • Beethoven's "Eroica" Sketchbook: A Critical Edition: Transcription, Facsimile, Commentary; co-authored with Alan Gosman, 2 vols. (University of Illinois Press, 2013)
  • Inside Beethoven's Quartets: History, Performance, Interpretation, co-authored with the Juilliard String Quartet (Cambridge, MA: Harvard University Press, 2008)
  • Beethoven: The Music and the Life (New York: W.W. Norton, 2003; paperback 2005); finalist for a Pulitzer Prize in biography; translated into eight languages
  • Beethoven: Studies in the Creative Process (Harvard University Press, 1992)
  • Music in Renaissance Ferrara, 1400-1505 (Oxford University Press, 1984; revised reprint Oxford University Press, 2008)
  • The Counter-Reformation and the Masses of Vincenzo Ruffo (Venice: Fondazione Giorgio Cini, 1970)

その、ロックウッドはルネサンスやベートーヴェンの研究けんきゅうかんして多数たすう論文ろんぶん出版しゅっぱんぶつあらわしている。また、年報ねんぽう『Beethoven Forum』の創刊そうかんしゃでもある。論文ろんぶん著作ちょさく一覧いちらんは『The New Beethoven』(Boydell & Brewer, ed. by Jeremy Yudkin, 2020ねん, xv-xix)にまとめられている。

私生活しせいかつ[編集へんしゅう]

1953ねんにドリス・ホフマンと結婚けっこん、ドリスが1992ねん他界たかいするまでに2人ふたりども、ダニエル・ロックウッドとアリソン・ロックウッド・クロンソンをもうけた。1997ねんにエイヴァ・ブライ・ペンマンと再婚さいこんしている。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d Paula Morgan, "Lewis Lockwood[リンク]". The New Grove Dictionary of Music and Musicians, online.
  2. ^ Kerman, Joseph (2003). “Beethoven the Unruly”. The New York Review of Books 50 (3). http://www.nybooks.com/articles/2003/02/27/beethoven-the-unruly/ 2016ねん1がつ14にち閲覧えつらん. 
  3. ^ Press Release, "Lewis Lockwood to join the BU Faculty, October 10, 2011"
  4. ^ Stauffer, George B. (2015). “Beethoven's Symphonies: The Revolutions”. The New York Review of Books 62 (19): 40–42. http://www.nybooks.com/articles/2015/12/03/beethovens-symphonies-revolutions/ 2016ねん1がつ14にち閲覧えつらん. 
  5. ^ Archived copy”. 2014ねん4がつ3にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2014ねん3がつ18にち閲覧えつらん
  6. ^ Cummings, Anthony M.; Owens, Jessie Ann, eds. (1996), Music in Renaissance Cities and Courts: Studies in Honor of Lewis Lockwood, Detroit Monographs in Musicology, Harmonie Park Press, ISBN 978-0-89990-102-2 .
  7. ^ Lewis Lockwood Award, American Musicological Society, retrieved 2010-04-28.