音楽おんがく学者がくしゃ

音楽おんがく学者がくしゃ（おんがくがくしゃ、伊い：musicologia、仏ふつ：musicologue、英えい: musicologist、独どく: Musikwissenschaftler）は、音楽おんがく学がくの研究けんきゅう者しゃである。

概要がいよう

音楽おんがく学がくとは、音楽おんがくに関かんする学問がくもん的てき探求たんきゅうの総称そうしょうであり、音楽おんがく学者がくしゃにも、伝統でんとう的てきな西洋せいよう音楽おんがく史しの世界せかいで楽譜がくふ校訂こうていの現場げんばで活躍かつやくする研究けんきゅう者しゃもいれば、民族みんぞく音楽おんがく学がくを専攻せんこう、フィールドワークを行おこない記述きじゅつする研究けんきゅう者しゃもいる。音楽おんがく美学びがく、楽曲がっきょく分析ぶんせきや作曲さっきょく家か作品さくひん論ろんの専門せんもん家かが演奏えんそう会かいに付随ふずいする楽曲がっきょく解説かいせつなどを行おこなうこともある。これら伝統でんとう的てき音楽おんがく学者がくしゃが存在そんざいする一方いっぽう、物理ぶつり学がく、心理しんり学がく、哲学てつがく、社会しゃかい学がく、人類じんるい学がく、宗教しゅうきょう学がくなどのあらゆる観点かんてんから複ふく合あい的てきに音楽おんがくを論ろんじる研究けんきゅう者しゃも昨今さっこんの時代じだいを反映はんえいして出現しゅつげんしている。

一部いちぶの音楽おんがく学者がくしゃが副業ふくぎょうとして音楽おんがく評論ひょうろん家かを兼かねることがあるが、音楽おんがく評論ひょうろん家かは音楽おんがく大学だいがく以外いがいの出身しゅっしん者しゃが多おおく、音楽おんがく評論ひょうろん家かが必かならずしも音楽おんがく学者がくしゃというわけではない。また日本にっぽんには、戦前せんぜんは音楽おんがく学がくが独立どくりつした専攻せんこう課程かていとして存在そんざいする大学だいがくはほとんどなく、1949年ねん東京芸術大学とうきょうげいじゅつだいがく音楽学部おんがくがくぶ楽らく理科りかの設立せつりつ（出身しゅっしん者しゃ角すみ倉くら一朗いちろう、東川ひがしがわ清一せいいち、船山ふなやま隆たかし）までは、普通ふつう大学だいがくの美学びがく科かが本格ほんかく的てきな音楽おんがく学者がくしゃを輩出はいしゅつするのが一般いっぱん的てきであった（出身しゅっしん者しゃ野村のむら良雄よしお、海老沢えびさわ敏さとし、小泉こいずみ文夫ふみお、服部はっとり幸三こうぞう、皆川みなかわ達夫たつお、はいずれも東大とうだい美学びがく美術びじゅつ史し・美学びがく藝術げいじゅつ学がくの出身しゅっしん、礒いそ山やま雅みやび、長木ながき誠司せいじ、渡辺わたなべ裕ひろしらも学部がくぶは東大とうだい）。普通ふつう大学だいがくにおいて音楽おんがく学がくが独立どくりつした専攻せんこうとして扱あつかわれている大学だいがくは、大阪大学おおさかだいがく（出身しゅっしん者しゃ伊東いとう信宏のぶひろ、奥中おくなか康人やすひと、谷たに正人まさと）のみである。

さまざまな分野ぶんやの研究けんきゅう者しゃが存在そんざいするが、それぞれの研究けんきゅう実現じつげんのためには特殊とくしゅ技能ぎのう・教養きょうようが求もとめられることも少すくなからずある。小泉こいずみ文夫ふみおなどに代表だいひょうされる研究けんきゅう熱心ねっしんなフィールドワーカーは、現地げんちに出向でむき、言葉ことばのみならず音楽おんがく、理論りろん体系たいけいを取得しゅとくし、学界がっかいに発信はっしんしてきた。

音楽おんがく学者がくしゃの一覧いちらん

アリストクセノス　 Aristoxenus (紀元前きげんぜん4世紀せいき)
ピタゴラス（ピュータゴラース）- 古代こだいギリシャの数学すうがく者しゃ。音楽おんがくについても言及げんきゅう。
アリストクセノス
アル＝ファーラービー (870 - 950) - 中東ちゅうとうの科学かがく者しゃ。アラブ世界せかいの楽器がっきを多おおく発明はつめい。
レオン・バッティスタ・アルベルティ (1404 - 1472) - ルネサンスの万能ばんのう人じん。
ジョゼッフォ・ツァルリーノ　(1517 ? 1590) - 調律ちょうりつと対位法たいいほうの理論りろん。
トマス・モーリー　(1558-1603) - 作曲さっきょく家か、音楽おんがく理論りろん家か。
ジャン＝フィリップ・ラモー　(1683 - 1764) - 音楽おんがく理論りろん家か。和音わおんの転回てんかいの概念がいねん
ヨハン・ヨーゼフ・フックス - 音楽おんがく理論りろん家か。対位法たいいほうの教程きょうていが有名ゆうめい。
アントニーン・レイハ (1770 - 1836) - 音楽おんがく理論りろん家か、作曲さっきょく家か。
フランソワ＝ジョゼフ・フェティス (1784 - 1871)
　Alexander J. Ellis (1814 - 1890)
フランシス・ジェームズ・チャイルド (1825 - 1896) - 文献ぶんけん学者がくしゃ。アメリカ民謡みんようの分類ぶんるい。
グイド・アドラー（1855 - 1941） - 実証じっしょう主義しゅぎ的てき研究けんきゅう。
カール・シュトゥンプ (1848 - 1936)
フーゴー・リーマン　(Hugo Riemann 1849-1919)
アレッサンドロ・パリゾッティ (1853 - 1913)
レオシュ・ヤナーチェク (1854 - 1928)
ハインリヒ・シェンカー (1868 - 1935)- 分析ぶんせき理論りろんが有名ゆうめい
　Joseph de Marliave(1873 - 1914)
　George Pullen Jackson (1874 - 1953)
アルフレート・アインシュタイン (1880 - 1952) - 音楽おんがく史し、モーツァルトの研究けんきゅう
バルトーク・ベーラ (1881 - 1945) - 作曲さっきょく家か。民族みんぞく音楽おんがく学がく。
コダーイ・ゾルターン (1882 - 1967) - 作曲さっきょく家か。民族みんぞく音楽おんがく学がく。
ローベルト・ハース（Robert Haas 1886-1960）-音楽おんがく評論ひょうろん家か（特とくにアントン・ブルックナーの研究けんきゅうで知しられる）
Jaime de Angulo (1887-1950)
マルク・パンシェルル Marc Pincherle(1888-1974) ‐ ヴィヴァルディに関かんする初はつの包括ほうかつ的てきな書籍しょせきを著あらわす。コレッリの研究けんきゅうでも大おおきな功績こうせき。
Vinko Zganec (1890 - 1976)
ブロニスワヴァ・ケウプルリャン＝ヴイチク (1890 - 1938)
Gustave Reese (1899 - 1977)
テオドール・アドルノ (1903- 1969)
レオポルト・ノヴァーク (1904-1991)-音楽おんがく評論ひょうろん家か（特とくにブルックナーの版はんの研究けんきゅうで知しられる）
　Willy Hess (1906 - 1997)
マンフレッド・ブコフツァー (1910 - 1955) - 音楽おんがく史し（バロック）
　Charles Faulkner Bryan (1911 - 1955)
　Robert Lissauer (1917 - 2004)
ジゼル・ブルレ(1919 - 1973)
　Thurston Dart (1921 - 1971)
　Colin Macmillan Turnbull (1924 - 1994)
　Charles Rosen (1927 - )
カール・ダールハウス Carl Dahlhaus (1928 - 1989) - 広範囲こうはんいにわたって大おおきな影響えいきょうを与あたえた
ヨアヒム・カイザー（Joachim Kaiser, 1928年ねん12月18日にち - ）ミュンヘンの音楽おんがく・演劇えんげき評論ひょうろん家かで特とくにヨーロッパクラシック音楽おんがく界かいの法王ほうおうといわれる
　Stanley Sadie (1930 - 2005)
ハインツ＝クラウス・メツガー Heinz Klaus Metzger (1932-)
　Francois-Bernard Mache (1935-)
　Edward Tarr (1936-)
マイケル・トールボット Michael Owen Talbot（1943‐）ヴィヴァルディの研究けんきゅうで著名ちょめい、多数たすうの録音ろくおん媒体ばいたいの解説かいせつ書しょに採用さいようされている。
　Michael Tenzer (1957-)
Edward T. Cone
　Richard Hoppin
　Joseph Kerman
　Harold Powers
　John Blacking
　Frances Densmore
　A. M. Jones
ヤープ・クンスト　 Jaap Kunst
ブルーノ・ネトル　 Bruno Nettl
　Colin Turnbull
ジャン＝ジャック・ナティエ　
アーブラハム・ツェーヴィ・イーデルゾーン
レオン・ボットスタイン