ドラムンベース

代表だいひょう的てきなドラムンベースプロデューサーのLTJブケム

ドラムンベースのビート

ドラムンベース（英えい: Drum and bass）は、イギリスサウスロンドンで1990年代ねんだいに誕生たんじょうした電子でんし音楽おんがくのジャンルの1つ。非常ひじょうに速はやいテンポの変則へんそく的てきなドラムビートに、うねる様ようなベースが重かさなるドラムとベースが主体しゅたいとなるダンスミュージック。

BPMは165〜185が多おおく、高速こうそくで複雑ふくざつなシンコペーションを用もちいたブレイクビーツサウンドとキック、スネアやベースを強調きょうちょうした重じゅう低音ていおんが特徴とくちょう。通常つうじょうはサンプリングやシンセサイザーを用もちいて制作せいさくされる。

略称りゃくしょうとしてDnB、D&B、D'n'Bなどがあり、別べつ表記ひょうきはDrum'n'Bass、Drum & Bassなど。

前半ぜんはん：テクノなどの４よっつ打うち　後半こうはん：ドラムンベースのビートの例れい

概要がいよう

1990年代ねんだい初頭しょとうにイングランドで生うまれたジャングルから発展はってんし1990年代ねんだい半なかばに生うまれた。ドラムンベースはジャングルのレゲエ要素ようそを抑おさえ、さらに他たの様々さまざまなジャンルとの親和しんわ性せいを高たかめられていったものであり、ブレイクビーツ本来ほんらいのファンキーなドラムから、無機質むきしつで未来みらい的てきなドラムへと変化へんかしていった。

ジャングル・ドラムンベース誕生たんじょう初期しょきにおいて、ラガやレゲエ、ヒップホップ、R&B、ソウル、ジャズ、アシッドジャズなどの音楽おんがくと融合ゆうごうしたトラックが多おおく発表はっぴょうされた。

トラックはジャングルと同様どうようにリズム、ベース、上うえ音おん、ボーカルなどで構成こうせいされるが、レコードからサンプリングされたドラムブレイクのみをリズムとして使用しようする事ことが大半たいはんだったジャングルと異ことなり、リズムマシンやサンプリングCD、ソフトウェアのクリアな音質おんしつのバスドラム（キック）やスネアも併用へいようしリズムを構築こうちくしているのが大おおきな特徴とくちょうで、ジャングルよりシンプルなリズムが多おおい。また、ベースの音色ねいろに多様たよう性せいがあるのも大おおきな特徴とくちょうであり、今日きょうでは唸うなるようなベース、うねりを加くわえて増幅ぞうふくしたようなワブルベースなどの超ちょう重じゅう低音ていおんが用もちいられ、ますますダイナミックなサウンドに変化へんかしている。このリズムとベースの大おおきな変化へんか、および高音こうおん質しつ化かによって、ドラムンベースは音楽おんがくとしての可能かのう性せいを押おし広ひろげる事ことに成功せいこうした。

初期しょきのプロデューサーは、LTJブケム、The Invisible Man、DJ Hype、Goldie、Fabio、Grooveriderなどが有名ゆうめいである。

ドラムンベースは主おもに160以上いじょうのBPMを用もちいているが、一拍いっぱく（四よん分ふん音符おんぷ）を単位たんいとしてそのBPM通どおりに感かんじることでより上昇じょうしょう感かん・疾走しっそう感かんを強つよめる方法ほうほうと、二に拍はくを単位たんいとしそのBPMの半分はんぶんとしてとらえることでゆったりとした感覚かんかくや空間くうかん的てき広ひろがりを強つよめる方法ほうほうがある。

また1990年代ねんだい半なかばから後半こうはんにかけてドラムンベースのリズムを更さらに複雑ふくざつ化かさせたドリルンベースというジャンルも誕生たんじょうしている。ドリルンベースはSquarepusherが始はじめたとされ、Aphex Twinを始はじめとするコーンウォール一派いっぱが有名ゆうめいである。

2000年ねん以降いこうの動向どうこう

2000年ねん以降いこうになるとドラムンベースは新あたらしい動向どうこうを見みせるようになり、その要因よういんとして以下いかの3つに大別たいべつされる。

一ひとつ目めはドラムンベース・アーティストの国際こくさい化か。ブラジルからは DJ Marky & XRS が2002年ねんに LK を大だいヒットさせ、オーストラリアからは2003年ねん以降いこう Pendulum が登場とうじょう。その他たにもニュージーランドからは MC Tali や Concord Dawn、オーストリアからは D.Kay、ドイツからはKabuki、オランダからはNoisia、そして日本にっぽんからは Makoto がイギリスのドラムンベースシーンに台頭たいとうしている。

二ふたつ目めは 「リキッド・ファンク」 と呼よばれるソフトなドラムンベースが新あらたなジャンルとして確立かくりつしたこと。これには、2004年ねんに大だいブレイクした Artificial Intelligence、ロジスティクス、High Contrastといった新あらたな才能さいのうがリキッド・ファンクのスタイルを得意とくいとしていることが大おおきい。それまでは LTJ Bukem と FabioしかこのスタイルのドラムンベースをDJとして選曲せんきょくしなかったが、今いまではあらゆるDJがかけるようになっている。これを受うけて、V Recordings が姉妹しまいレーベルとして Liquid V を、さらにはハードな選曲せんきょくで知しられる DJ Hype が Liq-weed Ganja をリキッド・ファンク専せん門もんのレコードレーベルとして立たち上あげている。

三みっつ目めは、新あたらしいアーティストによるスタイルの多様たよう化かである。Sub Focus、Chase and Status、Baron、Twisted Individualなどの登場とうじょうにより、上記じょうきのリキッド・ファンクだけでなく、レゲエ的てき要素ようそ、ラテン系けい音楽おんがく、ジャズのようなベースラインを取とり入いれたものなどが導入どうにゅうされるようになった。

2007年ねん以降いこうは、もともとのドラムンベースの特徴とくちょうである重じゅう低音ていおんベースラインをより強調きょうちょうした音楽おんがくも見みられるようになる。きっかけは、一般いっぱんの家庭かてい用ようスピーカーでは聞きこえないほどの重じゅう低音ていおんベースラインを得意とくいとする Artificial Intelligence のブレイク。それ以降いこう、ドラムンベースにおける低てい音域おんいきの下限かげんがさらに下さがり、クラブのスピーカーで聞きかないと曲きょくの良よし悪あしを味あじわえない度合どあいがさらに強つよまった。

2008年ねんになるとペンデュラムがドラムンベースとロックの融合ゆうごうを打うち出だし注目ちゅうもくされている。

2009年ねん、ドラムンベースの進化しんかは遂ついにダーティ (dirty)、或あるいは、アシッド (acid) と形容けいようされるものに達たっしている。アシッドの形容詞けいようしが示しめすものは幻覚げんかく作用さようのある音色ねいろであるが、ハウスやジャズのアシッドと同様どうように変調へんちょうさせるものもあれば、より重じゅう低音ていおんを目指めざすもの、前述ぜんじゅつのドリルンベース様さまであったりするものもある。

同年どうねん、ルーク・フードが2つの Youtube チャンネル、UKF Drum & Bass と UKF Dubstep を開設かいせつした。当初とうしょは自身じしんの友人ゆうじんたちとドラムンベース、ベースライン、ブロステップの曲きょくを共有きょうゆうするためのものだったが、その後ご音楽おんがくブランドUKF Musicに発展はってんし、ベース・ミュージックシーン拡大かくだいの中心ちゅうしん地ちの1つとなった。

2021年ねん2月がつ、ドラムンベースの楽曲がっきょくの主おもなテンポである「1分間ふんかんに174拍はく」にちなみ、4月がつ17日にちを「ドラムンベースの日ひ」として公式こうしきに承認しょうにんすることをイギリスのデジタル・文化ぶんか・メディア・スポーツ省しょうに求もとめる署名しょめい活動かつどうが、ブリストルを拠点きょてんとするプロモーター The Blast によって開始かいしされた。

サブジャンル

ドラムンベースは様々さまざまな音楽おんがくと融合ゆうごうした多様たような音楽おんがくジャンルを形成けいせいしており、多数たすうのサブジャンルにより細分さいぶん化かされている。

アンビエント・ドラムンベース (Ambient drum & bass)

オーケストラル・ドラムンベース (Orchestral drum and bass)

サンベース (Sambass)、ブラジリアンドラムンベース (Brazilian drum and bass)

ドラムンベース特有とくゆうのビートとベースに、ブラジル音楽おんがく（サンバやボサノバなど）を組くみ合あわせたジャンル。明あかるくハッピーな曲調きょくちょうのものが中心ちゅうしん。

ジャズステップ (Jazzstep, Jazzy jungle)

ジャズの影響えいきょうを受うけたジャンルで、ジャズのメロディー・構成こうせい・楽器がっきなどを用もちいる。

ジャングル (Jungle)

ドラムンベースの起源きげんとなった音楽おんがくジャンルではあるが、今こん現在げんざいもトラックが作成さくせいされており人気にんきを博はくしているため、サブジャンルとして機能きのうしている。ドラムンベースよりもビートが複雑ふくざつ且かつ高音こうおん、ベースの印象いんしょうが薄うすいなどの特徴とくちょうがある。

ジャンプアップ (Jump Up)

非常ひじょうにエネルギッシュなサブジャンルで、他たのスタイルのドラムンベースよりもシンプルである。単純たんじゅん化かされ、複雑ふくざつではないメロディーと、ストレートで、且かつスイングのないビートパターンが活用かつようされる。Jump-Up は、Techstepなどの他ほかのサブジャンルよりも気きさくで温あたたかみがあり、ヒップホップのサンプルをより活用かつようしていることでも知しられている。

ダークステップ (Darkstep)

ハードでアップテンポで、ヘビーなブレイクビーツ、ポストインダストリアルの影響えいきょうを受うけたサウンド デザイン。ホラー映画えいがのサンプルを使用しようして、不吉ふきつな雰囲気ふんいきを作つくり出だしている。

テックステップ (Techstep)

ドラムステップ (Drumstep)、ハーフタイム (Halftime)

ドリルンベース (Drill 'n' bass)

ドラムンベース以上いじょうに複雑ふくざつなプログラミング、アーメンブレイク[2]、初期しょきジャングルをサンプリングするなどが基本きほんの1990年代ねんだいに生うまれた破壊はかい的てきでリズミカルなビート。今こん現在げんざいはブレイクコアと呼よばれている。

ニューロファンク (Neuro Funk)

ハードステップ (Hardstep)

ラガジャングル、レゲエドラムンベース (Ragga Jungle, Reggae Drum & Bass)

レゲエの要素ようそを組くみ込こんだもの。ヴォーカルものなどが多おおく、全体ぜんたい的てきに陽気ようきなトラックが多おおい。

リキッドファンク (Liquid Funk)

従来じゅうらいのDancefloor Drum & Bassより情緒じょうちょ的てきで、メロディが印象いんしょう的てきな優やさしいサウンドが主流しゅりゅう。Ambient Drum & Bassに比くらべると、活気かっきに満みちたメロディックなシンセと忙せわしないドラム、といった伝統でんとう的てきなドラムンベースのサウンドデザインを継承けいしょうしている。多幸たこう感かんのある雰囲気ふんいきの要素ようそが見みられることが特徴とくちょう。老舗しにせレーベルがリキッドファンク専用せんようのサブレーベルを設立せつりつさせるなど、ドラムンベースの中なかでもとても人気にんきの高たかいサブジャンル。

日本にっぽんにおけるドラムンベース

1996年ねんより、Drum & Bass Sessionsが本場ほんばイギリスのドラムンベースDJを積極せっきょく的てきに日本にっぽんに招致しょうちしてきた。2001年ねんからは、渋谷しぶやのクラブを中心ちゅうしんにパーティーが開催かいさいされるようになる。

主おもなアーティスト

• 4 Hero
• LTJ Bukem Good Looking
• Danny Byrd Hospital
• Logistics Hospital
• London Elektricity Hospital
• Pendulum
• Roni Size Full Cycle
• Makoto
• Talvin Singh
• Brainshocker
• Metrik
• T.Kay（ティ.ケイ）
• Phace & Misanthrop
• Octane & DLR
• Ed Rush & Optical
• Fabio（ファビオ）Creative Source
• Lemon D（レモン ディー）Valve
• DJ DIE（ダイ）Clear Skyz
• MC Moose（ムース）
• DJ Friction（フリクション）Shogun Audio
• Bryan Gee（ブライアン・ジー）V Recordings
• Dillinja（ディリンジャ）Valve
• Shy FX（シャイ エフエックス）Digital Soundboy
• Mampi Swift（マンピ スイフト）Charge
• Grooverider（グルーヴライダー）Prototype
• Photek（フォーテック）Photek Productions
• Goldie（ゴールディー）Metalheadz
• Andy C（アンディー・シー）Ram Records
• Total Science（トータルサイエンス）C.I.A.
• pentagon（ペンタゴン）
• KABUKI（カブキ）
• DJ Hype（ハイプ）Trueplayaz
• DJ Zinc（ジンク）Bingo Beats
• Tayla（タイラ）
• TC a.k.a. Tommy Boy（ティー・シー）
• Furney（ファーニー）
• Redeyes（レッドアイズ）
• Lenzman（レンズマン）
• Utah Jazz（ユタジャズ）
• Electro soul system（エレクトロソウルシステム）
• Concept&shnek（コンセプト＆シュネック）
• Netsky
• Sigma
• Wilkinson
• Sub Focus
• Mutt
• Nookie（ヌーキー）
• Qumulus
• Qemists（ケミスツ）
• Pete rann（ピートラン）
• J laze（ジェイレイズ）
• Zero T（ゼロティー）
• Calibre（カリバ)
• Saburuko（サブルコ）
• Raw q
• zyon base（ザイオンベース）
• Alix perez
• Phat Playaz（ファット・プレイヤーズ）
• blade（ブレード）
• tidal（タイダル）
• pfm（プログレッシブ・フューチャー・ミュージック）
• aquasion（アクアジオン）
• chris inperspective（クリス・インパースペクティブ）
• atp（エーティーピー）
• dramatic&dbaudio（ドラマティック＆ディービーオーディオ）
• steez（スティーズ）
• place42（プレース42）
• edword oberon（エドワード・オベロン）
• paul t（ポール・ティー）
• mr. joseph（ミスター・ジョセフ）
• big bud（ビッグ・バド）
• soultec（ソウル・テック）
• dv8（ディーブイ8）
• arp-1
• pennygiles
• jrumhand
• balde
• deeper connection
• scott alen
• mjt
• DJ Fresh
• Feint
• Noisia
• Chase & Status
• The Prototypes
• Malux
• Crissy Criss
• Erb n Dub
• Urbandawn
• DJ AKi

関連かんれん項目こうもく

• ドラムンベースステップ（ドラムンベースに合あわせたダンススタイル）