サンプリング

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曖昧さ回避 この項目こうもくでは、ポピュラー音楽おんがくの表現ひょうげん技法ぎほうについて説明せつめいしています。その他たの用法ようほうについては「サンプリング (曖昧あいまいさ回避かいひ)」をご覧らんください。
American producer "DJ Premier" Looking through his vinyl record collection for potential samples
サンプリングするためのレコードを探さがすDJプレミア

音楽おんがくにおけるサンプリング（英えい: sampling）は、過去かこの曲きょくや音源おんげんの一部いちぶを流用りゅうようし、再さい構築こうちくして新あらたな楽曲がっきょくを製作せいさくする音楽おんがく製作せいさく法ほう･表現ひょうげん技法ぎほうのこと。または楽器がっき音おんや自然しぜんの音おとをサンプラーで録音ろくおんし、楽曲がっきょくの中なかに組くみ入いれることである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

サンプリングは元々もともと、ミュジーク・コンクレートと電子でんし音響おんきょう音楽おんがくで作業さぎょうしている実験じっけん音楽おんがくのミュージシャンによって開発かいはつされたもので、テープ・ループ（英語えいご版ばん）やレコードを物理ぶつり的てきに操作そうさして蓄音機ちくおんきで演奏えんそうされていた。1960年代ねんだい後半こうはんまでに、テープ・ループ・サンプリングの使用しようは、ミニマル・ミュージックの発展はってんと、ビートルズやビーチ・ボーイズの一部いちぶのアルバムに見みられたサイケデリック・ロックの制作せいさくに影響えいきょうを与あたえた。

ヒップホップ・ミュージックは、2つのターンテーブルとミキシング・コンソールでレコードを操作そうさすることを実験じっけんした1970年代ねんだいのDJらから生うまれた、サンプリング技術ぎじゅつに基もとづいた最初さいしょのポピュラー音楽おんがくジャンルである[1]。ヒップホップ・ミュージックは、ブレイクをループした。1960年代ねんだい後半こうはんのソウルとファンクはラップのサンプリングに頻繁ひんぱんに使用しようされた。ジェームス・ブラウンの「ファンキー・ドラマー（英語えいご版ばん）」はヒップホップで何なん度ども使用しようされているサンプルの代表だいひょうである[2]。他たにジミー・キャスター・バンチ、インクレディブル・ボンゴ・バンド、Pファンク、ザップなども、たびたびサンプリングに使用しようされた。1970年代ねんだいから1980年代ねんだい初頭しょとうの電子でんし音楽おんがくとディスコの登場とうじょう、1990年代ねんだいのハウス・ミュージックの普及ふきゅう、1980年代ねんだい以降いこうのコンテンポラリー・R&Bにもヒップホップの影響えいきょうが見みられた。歴史れきし的てきには、サンプリングはハードウェアの特殊とくしゅな部分ぶぶんであるサンプラーで行おこなわれていたが、今日きょうではソフトウェアが一般いっぱん的てきに使用しようされている。しかし、ビニール・エミュレーション・ソフトウェア（英語えいご版ばん）も使用しようでき、ターンテーブリズム（英語えいご版ばん）の人々ひとびとは伝統でんとう的てきな方法ほうほうでサンプリングを続つづけている。近代きんだい的てきなデジタル制作せいさく方法ほうほうにサンプリングルーツを組くみ込こむことで、R&B、ファンク、など、サンプリングの発明はつめいに先立さきだつジャンルだけでなく、ポピュラー音楽おんがくにまでサンプリングが導入どうにゅうされるようになった。

詳細しょうさい[編集へんしゅう]

ヒップホップ[編集へんしゅう]

「ブレイクビーツ」も参照さんしょう

ヒップホップやR&B、ポップスにおけるサンプリングとは、既存きそん（過去かこ）の音源おんげんから音おと（ベース音おと等ひとし）や歌詞かしの一部分いちぶぶんを抜粋ばっすいし、同おなじパートをループさせたり継つぎ接はぎするなど曲きょくの構成こうせいを再さい構築こうちくすることで名目めいもく上うえ別べつの曲きょくを作つくり出だす手法しゅほうのこと。あくまで曲きょくの一部分いちぶぶんを引用いんようするだけなので、基本きほん的てきな歌詞かしやメロディーラインをそのままなぞるカバーやアレンジとは別物べつものである。

このようにして作つくられた曲きょくは多種たしゅ多様たようの細工ざいくやコラージュが施ほどこされ、中なかには原曲げんきょくの雰囲気ふんいきをまったくとどめていない曲きょくも多々たたある（サンプリング#1990年代ねんだい以降いこうを参照さんしょう）。一方いっぽうで、メロディーラインや歌詞かしを大おおきく変かえることなくほぼそのまま引用いんようしたりするだけのパターンも見受みうけられ、このような曲きょくは通称つうしょう「（その）まんま使づかい」と呼よばれる。また、元もと曲きょく（元もとネタ）があまりに有名ゆうめいな曲きょくだったりすると「大だいネタ使づかい」と呼よばれる。この製作せいさく技法ぎほうはヒップホップから誕生たんじょうし、現在げんざいでは他たジャンルの音楽おんがくでもよく使つかわれている。

また、サンプリングを知しらない者ものが盗作とうさく(パクリ)だとインターネットで指摘してきし、盗作とうさく疑惑ぎわくがある曲きょくと元もとネタであると思おもわれる曲きょくを比くらべて意見いけんを聞きくことにより、度々たびたび論争ろんそうになる。サンプリングを行おこなった作曲さっきょく者しゃも「この曲きょくは○○をサンプリングしています。」と公言こうげんすることがあまりないため、問題もんだいになる。

サンプラー[編集へんしゅう]

「サンプラー」も参照さんしょう

電子でんし楽器がっき・電子でんし音楽おんがくで、実際じっさいの自然しぜん音おんや楽器がっき音おん(例たとえば工場こうじょうの音おとやガムラン、人ひとの声こえなど)等とうをサンプラーでサンプリングして利用りようする場合ばあいがあり、この方法ほうほうで得えられた音源おんげんをサンプリング音源おんげんと称しょうする。広義こうぎの録音ろくおんであるが、より細分さいぶん化かして素材そざいとして扱あつかっている。PCM方式ほうしきを採用さいようするシンセサイザーなどの電子でんし楽器がっきは、音源おんげん部ぶに記録きろくされているサンプリング音源おんげんを加工かこうすることで音おとを出だしている。当初とうしょ、ヒップホップ以外いがいにおける「サンプリング」とはほとんどこの意味いみで用もちいられたが、時代じだいが下くだるとヒップホップ同様どうよう、既存きそんの楽曲がっきょくから一部いちぶ引用いんようして新あらたな楽曲がっきょくを制作せいさくする手法しゅほうのことも指さすようになった。

歴史れきし[編集へんしゅう]

サンプリング前史ぜんし[編集へんしゅう]

「ミュジーク・コンクレート」および「レゲエ#ヴァージョンの発明はつめい」も参照さんしょう

ドイツの映画えいが監督かんとくヴァルター・ルットマンが1930年ねん6月13日にちに発表はっぴょうしたラジオ番組ばんぐみ『Weekend』はサウンドトラックを切きり貼はりし、コラージュした実験じっけん的てきな作品さくひんであった[3]。

フランスの電気でんき技師ぎしピエール・シェフェールは1948年ねん頃ころから作曲さっきょく家かピエール・アンリと共ともに人ひとの声こえ、動物どうぶつの声こえ、鉄道てつどうの音おと、自然しぜん界かいの音おと、都市としの騒音そうおんなどを電気でんき的てき・機械きかい的てきに変質へんしつさせた種々しゅじゅの実験じっけん的てき作品さくひんを作つくった。これらはミュジーク・コンクレートと呼よばれた。また、ジョン・ケージやカールハインツ・シュトックハウゼン、リュク・フェラーリといった作曲さっきょく家か達たちもコラージュや電子でんし音おんを取とり入いれた作品さくひんを作つくっていた[4]。

ポピュラー音楽おんがくの製作せいさくにおいて「過去かこの楽曲がっきょくの再さい利用りよう」が初はじめて行おこなわれたのは1960年代ねんだい後半こうはんのジャマイカにおいてであった[5]。1967年ねん頃ころから同一どういつのリディムを複数ふくすうの歌手かしゅ、ディージェイが使つかいまわして録音ろくおんしたり、エンジニアがダブ処理しょりをするといった手法しゅほうが一般いっぱん化かしていた[6]。

ヒップホップ[編集へんしゅう]

クール・ハークらDJによってブレイクビーツが生うみ出だされた。

1979年ねん、シュガーヒル・ギャングはシックの「Good Times」をサンプリングした楽曲がっきょく「Rapper's Delight」を発表はっぴょうする。これはブレイクビーツを使用しようした世界せかい初はつのヒット曲きょくであり、ヒップホップという新あらたな音楽おんがくジャンルを発展はってんさせる原動力げんどうりょくとなった。なお、同どう楽曲がっきょくのリズム・トラックはサンプラーによってループされたり、レコードの2枚まい使つかいによるものではなく、シュガーヒル・ギャングのメンバーによって弾ひき直なおされたものであった。

1980年代ねんだい中期ちゅうきにE-mu EMAXやAKAI S612、ローランドS10、カシオFZ1、BOSS RSD10など安価あんかなサンプラーが発売はつばいされだすと、サンプリングはさらに一般いっぱん化かしていった[4]。1986年ねん、Run-D.M.C.が、ハードロックバンドのエアロスミスをサンプリングし、後のちにコラボレーションした曲きょく「ウォーク・ディス・ウェイ」は、MTVでヘビーローテーションとなり、Billboard Hot 100のトップ5に入はいった最初さいしょのヒップホップの楽曲がっきょくとなった。このことは、ヒップホップ界かいにブレイクビーツやスクラッチという手法しゅほう以上いじょうに、サンプリングの可能かのう性せいを見みせた。

ロック、電子でんし音楽おんがく[編集へんしゅう]

フェアライトCMI

プログレッシブ・ロックや電子でんし音楽おんがくの世界せかいでは、自然しぜん音おんや楽器がっき音おんを取とり込こむという点てんでは、メロトロンなどの電子でんし楽器がっきが1960年代ねんだいより存在そんざいし、音声おんせいテープによる音響おんきょう効果こうかとともに長ながらく使用しようされてきてはいたが、1980年代ねんだいに至いたりフェアライトCMIやシンクラヴィアなど高性能こうせいのうなサンプリング機能きのうを持もつ楽器がっきが登場とうじょうすると、アート・オブ・ノイズ、キャバレー・ボルテールなどの多おおくのロック、ポップスミュージシャンがサンプリングを手法しゅほうとして使用しようした。1983年ねん、プログレッシブ・ロックバンド、イエスはフェアライトCMIによるオーケストラル・ヒットを使用しようした楽曲がっきょく「ロンリー・ハート」を発表はっぴょう、全米ぜんべい1位いを獲得かくとくした[4]。ただし、これらはヒップホップにおける「他人たにんの楽曲がっきょくをそのまま利用りようする作業さぎょう」と異ことなり、一種いっしゅの音響おんきょう効果こうか、楽曲がっきょく内ないにおける音おと自体じたいの有用ゆうよう性せいを狙ねらったものであり、同おなじように「サンプリング」と呼称こしょうされていても両者りょうしゃの概念がいねんは異ことなる。

1990年代ねんだい以降いこう[編集へんしゅう]

AKAI MPC 2000

1980年代ねんだい以降いこう、ヒップホップが一般いっぱん的てきに認知にんちされ、R&Bやダンス、ポップスなど他たのジャンルでもサンプリングは当あたり前まえのように使つかわれるようになり、もはや世界中せかいじゅうのポピュラー音楽おんがくを語かたる上じょうで外はずすことの出来できない音楽おんがく制作せいさく技法ぎほうとなっている。Billboard Hot 100チャートでもサンプリングが使つかわれている曲きょくがしばしば上位じょういを占しめている。

さらに、サンプリングが特別とくべつな技法ぎほうとは言いえなくなり、また法的ほうてきリスクも高たかまるに連つれ、音楽家おんがくか達たちは「何なにをサンプリングするか」よりも「どのようにサンプリングするか」を工夫くふうし始はじめた。1992年ねん頃ごろ、DJプレミアはサンプリングした元もとネタをさらに細こまかく切きり刻きざみ再さい構築こうちくする「チョップ (chop)」という技法ぎほうを開発かいはつし、ギャング・スターやナズ、ジェルー・ダ・ダメイジャなどの作品さくひん群ぐんをプロデュースした。テイ・トウワやダフト・パンクは敢あえて古ふるい機材きざいを使つかったり、フィルターをかけたりして音質おんしつを劣化れっかさせた「ロー・ファイ」な音おと世界せかいを作つくり上あげた[4]。

1996年ねんにDJシャドウが発表はっぴょうしたアルバム『Endtroducing.....』は、2001年ねんにギネス・ワールド・レコーズによって「初はつの完全かんぜんなるサンプリングアルバム」と認定にんていされた[7]。

E-mu systems SP-1200

日本にっぽんのサンプリング[編集へんしゅう]

P-MODELの平沢ひらさわ進すすむを中心ちゅうしんに1984年ねんに結成けっせいした実験じっけん音楽おんがくサンプリングユニット『旬しゅん』の頃ころでは、国内こくないのサンプリングマシンが当時とうじ2000万まん円えん以上いじょうしていた為ため、平沢ひらさわがラジオカセットレコーダー2台だいを改造かいぞうして自作じさくサンプリングマシン「ヘヴナイザー」完成かんせいさせ利用りようした[8]。いとうせいこうは早はやい段階だんかいでラップ、ヒップホップの楽曲がっきょくを制作せいさくした。また、歌謡かよう曲きょくなどの日本にっぽんの音楽おんがく（邦楽ほうがく）からサンプリングのネタ（「和かずモノ」）を発掘はっくつする動うごきも加速かそくし、和田わだアキ子あきこ、かまやつひろし、いずみたくらの再さい評価ひょうかにつながった[9]。

1994年ねん、スチャダラパーと小沢おざわ健二けんじが共きょう作さくした「今夜こんやはブギー・バック」はアン・ヴォーグの「Give It up, Turn It Loose」のコード進行しんこうを引用いんようし、EAST END×YURIが発表はっぴょうした「DA.YO.NE」はジョージ・ベンソンの「Turn Your Love Around」をサンプリングし、共ともにオリコンチャート最高さいこう15位い[10]、最高さいこう7位いのヒットを記録きろくした[11]。

R&Bシンガーソングライターの加藤かとうミリヤはデビュー当初とうしょよりサンプリングの手法しゅほうを取とり入いれており、2008年ねんには自身じしんのサンプリング楽曲がっきょくのみを集あつめたベストアルバム『BEST DESTINY』をリリースしている。

2023年ねんには米津よねつ玄げん師しの『KICK BACK』が日本語にほんご詞し楽曲がっきょくとして史上しじょう初はつとなる米国べいこくレコード協会きょうかい（RIAA）によるゴールド認定にんていを受うけたが[12]、本ほん作さくのサンプリング引用いんよう元もとであるモーニング娘むすめ。の『そうだ! We're ALIVE』（導入どうにゅう部ぶ「努力どりょく 未来みらい A BEAUTIFUL STAR」、サビ「幸しあわせになりたい、～たい」を引用いんよう）のオリジナル作者さくしゃであるつんく♂のもとにも、ヒット達成たっせい表彰ひょうしょうとして記念きねんディスクがRIAAより贈呈ぞうていされた。[13]

邦楽ほうがくからのサンプリング（和わモノ）や有名ゆうめい曲きょくからサンプリングの場合ばあい、途中とちゅうの歌詞かしや曲きょくの構成こうせいが原曲げんきょくと全まったく異ことなっていてもしばしば単たんなる「ラップ調ちょうカバー曲きょく」として紹介しょうかいされる[14]。 安室あむろ奈美恵なみえ「60s 70s 80s」のように欧米おうべいのポピュラー音楽おんがく（洋楽ようがく）からのサンプリング楽曲がっきょくでもカバー扱あつかいの報道ほうどうをされることもあり[15]、情報じょうほうを提供ていきょうする側がわもカバーとサンプリングの区別くべつがついていない状況じょうきょうも散見さんけんされる。

法律ほうりつ上じょうの定義ていぎ[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの法律ほうりつ事典じてん『Black's Law Dictionary』は「音楽おんがくにおけるサンプリング」を「サウンド・レコーディングのごく一部いちぶを取とって新あたらしいレコーディングの一部いちぶとしてその部分ぶぶんをデジタル処理しょりによって利用りようするプロセス」と定義ていぎしている[16]。

サンプリングが違法いほうとされた例れい[編集へんしゅう]

ビズ・マーキー

サンプリングによる音楽おんがく製作せいさくが一般いっぱん化かするにつれ、他方たほうではこれは著作ちょさく権けんの侵害しんがいにあたるのではないかという声こえがあがり始はじめた。

1991年ねん、ヒップホップ・アーティスト、ビズ・マーキーはアルバム『I Need a Haircut』収録しゅうろく曲きょく「Alone Again」でギルバート・オサリバンによる同名どうめいの楽曲がっきょくをサンプリング使用しようした。これを知しったオサリバンは著作ちょさく権けんの侵害しんがいとしてビズと発売はつばい元もとのワーナー・ブラザースを告訴こくそし、同年どうねん12月がつ16日にち全面ぜんめん勝訴しょうそが確定かくてい、『I Need a Haircut』は小売こうり店てんから回収かいしゅうされた。これを通称つうしょう「ビズ・マーキー事件じけん」という[17]。なお、ビズは1993年ねんに『All Samples Cleared』（訳わけ：『全すべてのサンプリングが許可きょかされました』）というアルバムを出だし同どう事件じけんを皮肉ひにくった。

また、1989年ねんにヒップ・ハウスグループ、ザ・クルーはボイド・ヤーヴィスの「The music's got me」を部分ぶぶん的てきにサンプリングした「Get Dumb! (Free your body)」をリリースしたが、1993年ねんにヤーヴィスはザ・クルーを訴うったえ、ヤーヴィスが勝訴しょうそした[17]。

これらの判例はんれいからアーティストはサンプリングの使用しように際さいして代価だいかを支払しはらうべきという判例はんれいが確定かくていし、メジャーレーベルから発表はっぴょうされるサンプリング作品さくひんのほとんどは正規せいきにライセンスされたものとなった。また、クラシック音楽おんがくなどのパブリックドメイン音源おんげんからのサンプリングも多おおくなり、サンプリング用ようの著作ちょさく権けんフリー音源おんげん集しゅうのCDなども発売はつばいされるようになった。

サンプリングが合法ごうほうとされた例れい[編集へんしゅう]

上記じょうきのような判例はんれいが出でて以降いこう、アメリカでは権利けんり者しゃに無断むだんなサンプリングは違法いほうとされたが、必かならずしも全すべてのサンプリングが違法いほうとされるわけではない。「法ほうは些事さじに関かんせず」(デ・ミニミス ) の観点かんてんから、質的しつてき、または量的りょうてきに些細ささいなサンプリングは著作ちょさく権けん侵害しんがい責任せきにんを問とわれないし[18]、「フェアユースの法理ほうり」（米国べいこく著作ちょさく権けん法ほう第だい107条じょう）の観点かんてんから、元もとネタとサンプリング楽曲がっきょくの創作そうさく的てき表現ひょうげんにおける実質じっしつ的てき類似るいじ性せいが立証りっしょうされなければ著作ちょさく権けん侵害しんがい責任せきにんは問とわれない[18][19][20]。

1993年ねん11月9日にち、ロイ・オービソン「オー・プリティ・ウーマン」をサンプリングし、パロディの替かえ歌うたにしたツー・ライヴ・クルー「プリティ・ウーマン」を巡めぐり、オービソンの権利けんりを持もつエイカフ＝ローズ・ミュージック社しゃがツー・ライブ・クルーを訴うったえたが、1994年ねん3月がつ7日にちに裁判所さいばんしょは「ツー・ライブ・クルーの曲きょくは原曲げんきょくのフェアユースを構成こうせいするパロディである」即すなわち、ツー・ライブ・クルーの曲きょくによってオービソンの曲きょくが売うれなくなることはありえないとの判決はんけつを下くだして、ツー・ライブ・クルー側がわが勝訴しょうそした[19][20]。これを通称つうしょう「プリティ・ウーマン事件じけん」または、「キャンベル事件じけん」と呼よぶ[19][20]。

日本にっぽんの著作ちょさく権けん法ほうではフェアユース規定きていは存在そんざいしないが、知的ちてき財産ざいさん戦略せんりゃく本部ほんぶは2008年ねんに日本にっぽん版ばんフェアユース規定きてい（一般いっぱん例外れいがい規定きてい）導入どうにゅうへ向むけた審議しんぎを開始かいしした。2009年ねんには文化庁ぶんかちょうでも審議しんぎが開始かいしされた[21]が、10年ねんを経過けいかした2019年ねん現在げんざいも進展しんてんはみられていない。

サンプリング・80sヒップホップ[編集へんしゅう]

  • デラソウル「ミー・マイセルフ&アイ」、ファンカデリック「ニー・ディープ」を使用しよう[22]

サンプリングを使用しようしたポップ曲きょく[編集へんしゅう]

1990年代ねんだい[編集へんしゅう]

2000年代ねんだい[編集へんしゅう]

2010年代ねんだい[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ Lott, Ryan. “History of Sampling”. Joyful Noise Recordings. 2013年ねん9月がつ27日にち閲覧えつらん。
  2. ^ Kreps, Daniel (2017年ねん2月がつ18日にち). “Clyde Stubblefield, James Brown's 'Funky Drummer,' Dead at 73” (英語えいご). Rolling Stone. 2021年ねん9月がつ27日にち閲覧えつらん。
  3. ^ The transparent tape music festival
  4. ^ a b c d 「サンプリングの17年ねん」
  5. ^ Henry Self "Sampling: A Cultural Perspective"
  6. ^ ブラッドリー (2008, pp.333 - 335)
  7. ^ "Guinness World Records 2001"Bt Bound, 2001,ISBN 978-0613342445
  8. ^ ゲンロンカフェ (2019-08-27), 20190213_平沢ひらさわ進すすむ+斎藤さいとう環たまき をオンラインで鑑賞かんしょう | Vimeo オンデマンド, https://vimeo.com/ondemand/genron20190213 2021年ねん10月がつ12日にち閲覧えつらん。 
  9. ^ hmv.co.jp
  10. ^ ORICON STYLE
  11. ^ ORICON STYLE
  12. ^ “米津よねつ玄げん師し「KICK BACK」がアメリカレコード協会きょうかいでゴールド認定にんてい、日本語にほんご曲きょくでは初はつの快挙かいきょ（写真しゃしん6枚まい / 動画どうがあり）”. 音楽おんがくナタリー. 2023年ねん10月がつ26日にち閲覧えつらん。
  13. ^ https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/11/11/kiji/20231111s00041000545000c.html
  14. ^ KICK THE CAN CREW「クリスマス・イブRap」[1]、SEAMO「ルパン・ザ・ファイヤー」[2][3]、HALCALI「Re:やさしい気持きもち」[4] など。
  15. ^ [5]
  16. ^ Bryan A. Garner, editor, "Black's Law Dictionary 8th ed." (West Group, 2004) ISBN 0-314-15199-0.
  17. ^ a b 安藤あんどう 2005, p. 187-192.
  18. ^ a b 安藤あんどう和宏かずひろ「アメリカにおけるミュージック・サンプリング訴訟そしょうに関かんする一いち考察こうさつ(1) : Newton判決はんけつとBridgeport判決はんけつが与あたえる影響えいきょう」『知的ちてき財産ざいさん法ほう政策せいさく学がく研究けんきゅう』第だい22巻かん、北海道大学ほっかいどうだいがく大学院だいがくいん法学ほうがく研究けんきゅう科か21世紀せいきCOEプログラム「新しん世代せだい知的ちてき財産ざいさん法ほう政策せいさく学がくの国際こくさい拠点きょてん形成けいせい」事務じむ局きょく、2009年ねん3月がつ、201-231頁ぺーじ、hdl:2115/43582、ISSN 18802982。 
  19. ^ a b c “CAMPBELL, AKA SKYYWALKER, ET AL. vs ACUFF-ROSE MUSIC, Inc.”. www.softic.or.jp/. 2010年ねん10月がつ23日にち閲覧えつらん。
  20. ^ a b c 野口のぐち 2010, p. 211-214.
  21. ^ 野口のぐち 2010, p. 210-211.
  22. ^ BMR誌し、1990年ねん12月がつ号ごう。p.31
  23. ^ sxbd.net

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 「サンプリングの17年ねん」『ミュージックマガジン』、ミュージックマガジン社しゃ、1997年ねん12月。 
  • ロイド・ブラッドリー 著ちょ、高橋たかはし瑞穂みずほ 訳やく『ベース・カルチャー』シンコーミュージック、2007年ねん。ISBN 978-4401631452。 
  • 野口のぐち祐子ゆうこ『デジタル時代じだいの著作ちょさく権けん』ちくま新書しんしょ、2010年ねん10月がつ10日とおか。ISBN 978-4-480-06573-5。 
  • 安藤あんどう和宏かずひろ『よくわかる音楽おんがく著作ちょさく権けんビジネス-実践じっせん編へん』（3rd）リットーミュージック、2005年ねん9月がつ。ISBN 978-4845612338。 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

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作曲さっきょく
音楽おんがく理論りろん
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理論りろん化か
関連かんれん非ひ芸術げいじゅつ概念がいねん
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