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レイブ (音楽おんがく)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
レイヴ

レイヴ英語えいご: rave)は、ダンス音楽おんがくいちばんちゅうながだい規模きぼ音楽おんがくイベントやパーティーのことである。毎週まいしゅうまった場所ばしょおこなわれるクラブイベントなどとはことなり、屋外おくがい特別とくべつ会場かいじょうおこなわれる、1かいかぎり(もしくはとし1かいなど)のイベントであり、また規模きぼ通常つうじょうのクラブよりおおきいことがほとんどである。「レイヴ」という単語たんごは「revolution live」からの造語ぞうご[1]ロンドンジャマイカけい移民いみん俗語ぞくごで「自分じぶんうそをついて無理矢理むりやりがる会合かいごう[よう出典しゅってん]」を意味いみしている。

歴史れきし

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現在げんざいられるようなレイヴがまれたのは、1980年代ねんだい後半こうはん英国えいこくである。それまで若年じゃくねんそう夜間やかん娯楽ごらく屋内おくない舞台ぶたいとすることがおおかったが、アシッド・ハウステクノという当時とうじ最新さいしん音楽おんがく流入りゅうにゅうと、エクスタシーなどの多幸たこうけいドラッグ流行りゅうこうにより、おおきくその志向しこう変化へんかした。レイヴの原型げんけいは、当時とうじ若者わかものたちがそれまでのナイトクラブやディスコになかったまったくあたらしいパーティー経験けいけん音楽おんがくもとめ、ウェアハウス(倉庫そうこ)や郊外こうがい廃屋はいおく農場のうじょうなどを利用りようしてフリー(無料むりょう)・パーティーをみずからのひらいたものである。

こうした「レイヴ」の開催かいさい集客しゅうきゃく既存きそんメディアや音楽おんがく業界ぎょうかいたよらずくちコミだけでおこなわれたが、やがて毎週まいしゅうまつには辺鄙へんぴ場所ばしょにあるレイヴ会場かいじょうレイヴァー(レイバー)ばれる参加さんかしゃたちがあつまるようになってくる。レイヴは、それまでにかった音楽おんがくせいやそのフリー・パーティーの享楽きょうらくせい連帯れんたいかんなどによりおおくの若者わかものきつけ、巨大きょだいなムーブメントへと爆発ばくはつてき成長せいちょうした。このうごきはしばらくおくれて世界せかい各国かっこく波及はきゅうする。

クリミナル・ジャスティスほう

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しかし、そのおおきな要素ようそひとつであったドラッグの広範囲こうはんい使用しよう社会しゃかい不安ふあん原因げんいんとなるといった観点かんてんから、政府せいふ警察けいさつはレイヴを危険きけんし、強力きょうりょくまることとなる。また、レイヴが巨大きょだいして参加さんかしゃえるにつれ、商業しょうぎょう目的もくてきとして多額たがく参加さんかりょう徴収ちょうしゅうするレイヴが出現しゅつげんし、巨額きょがく利益りえきげるようになっていく。やがて、ブームの沈静ちんせいとレイヴをまる法案ほうあん提出ていしゅつされた。それが「クリミナル・ジャスティス・ビル」であり、当初とうしょ法案ほうあん(Bill)として提出ていしゅつされ、のちに法制ほうせい(Act)されたイギリスのen:Criminal Justice and Public Order Act 1994である。これはジョン・メージャー内閣ないかく内相ないしょうマイケル・ハワードによって立案りつあんされ、だい5において「反復はんぷくするビート(repetitive beats)」にたいする規制きせいさだめた。この法案ほうあんたいしては、やく10まんにんだい規模きぼ反対はんたいデモも実施じっしされた。やがて、レイヴカルチャーの象徴しょうちょうである巨大きょだい野外やがいでの違法いほうレイヴはそのかずらし、それにわって警察けいさつ認可にんかにて巨大きょだい会場かいじょう有名ゆうめいDJやダンスけいのバンドをあつめておこなわれる、合法ごうほうてきなレイヴが主体しゅたいとなっていった。また、商業しょうぎょう音楽おんがく志向しこうのレイヴのDJやクラバーは、その活動かつどう場所ばしょをクラブへうつしていくこととなる。

しかしながら規模きぼちいさくなったものの、アンダーグラウンドのフリー・パーティーやウェアハウス・パーティー(warehouse party。倉庫そうこおこなわれるパーティー)もいまだに世界せかい各国かっこく開催かいさいされつづけており、クラブ音楽おんがく重要じゅうよう側面そくめんとして存在そんざいしている。また、1990年代ねんだい終盤しゅうばんからのトランス音楽おんがく流行りゅうこうともない、ふたた一部いちぶ地域ちいきでレイヴがさかんになってきているほか、ドイツベルリンのように当局とうきょく観光かんこう振興しんこうのためにおおくのスポンサーから協力きょうりょくて、商業しょうぎょうてきながらも無料むりょう巨大きょだいなレイヴ「ラブパレード」を開催かいさいしているようなれいもある。こうした体制たいせいまれるうごきや商業しょうぎょう目的もくてきのレイヴには、かつての商業しょうぎょうてきでDIY精神せいしんあふれていたアナーキーなレイヴを人間にんげんからは批判ひはんおおい。

現在げんざいにおいて、レイヴ・パーティーの定義ていぎはそのくにひとによって多様たようである。いわゆる違法いほうのフリーパーティーやウェアハウス・パーティーのみをレイヴとものもいれば、WIREのようなだい規模きぼなコンサート形式けいしきのものをふくめてレイヴとものもいる。

レイヴの音楽おんがく

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初期しょきのレイヴの音楽おんがくは、アシッド・ハウスとばれる音楽おんがくや、シカゴ・ハウス、テクノなどがおもであった。当初とうしょはアメリカのそれまでられていなかったこうした音楽おんがく(「テクノ」はレイヴでヒットしていたデトロイトあたらしい音楽おんがく英国えいこくのメディアが命名めいめいした音楽おんがくジャンルである)を輸入ゆにゅうしてDJたちがプレイしていたが、やがて英国えいこく欧州おうしゅうからもその影響えいきょうしたにオリジナルな音楽おんがく作成さくせいするアーティストが多数たすうあらわれた。代表だいひょうてきなものとしてレイヴ・アンセムとなったシングル「チャーリー」などでられるプロディジー、「GO」のモービーなどがいる(そのレイブ・ブームがったのち、この両者りょうしゃともその音楽おんがくスタイルを完全かんぜんえて世界せかいてきだいスターとなる)。

近年きんねんではだい規模きぼなレイヴでは音楽おんがくのジャンルとしてはトランスハードハウスガバなどが主流しゅりゅうではあるが、欧州おうしゅう中心ちゅうしんハウスやテクノをメインとしたレイヴも存在そんざいしている。

レイヴのファッション

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イギリスでの当初とうしょのレイヴでは、それまでのドレスアップしていくナイトクラブやディスコとはちがって、ドレスダウンしたカジュアルな服装ふくそう中心ちゅうしんとなった。基本きほんてき屋外おくがいイヴェントであることがその理由りゆうである。60年代ねんだいヒッピーてきサイケデリック・ファッションもおおかった。このドレスダウンのながれは現在げんざいのテクノやハウスのクラブのファッションにもがれている。

レイヴの種類しゅるい

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フリー・パーティー

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もっとも原型げんけいのレイブにちかい。人里ひとざとはなれた場所ばしょなどでDJやサウンド・システム設置せっちしてゲリラてきおこなわれるもので、くちコミやチラシやインターネットなどによって集客しゅうきゃくおこなう。屋内おくないおこなわれる場合ばあいウェアハウス・パーティーなどともばれる。音楽おんがく種類しゅるいはそのくににより様々さまざまであるが、日本にっぽんにおいてはトランス音楽おんがくなどが主流しゅりゅうである。開催かいさい費用ひようについては無料むりょうか、もしくは必要ひつよう経費けいひ参加さんかしゃからカンパしてもらう形式けいしきとなっている。法律ほうりつ抵触ていしょくするかに関係かんけいなく、当局とうきょくによって中止ちゅうしめいじられることがしばしばあるため、開催かいさい当日とうじつまでは場所ばしょせておくなどの手法しゅほうもちいられることもある。また、都市とし公園こうえんなどで合法ごうほうてき小規模しょうきぼなものがひらかれることもあるが、こうした形式けいしきのものはレイヴとはばれないことがおおい。

ダンス・フェスティバル

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田舎いなか郊外こうがい野外やがいなどで合法ごうほうてきおこなわれる、商業しょうぎょうてきだい規模きぼなダンス音楽おんがく中心ちゅうしんとしたフェスティバル。くにひとによってはこれをレイヴの範疇はんちゅうれないところもある。有名ゆうめいなものは海外かいがいではバーニングマン、Dance Valley Festival、Creamfields、Homelandsが、日本にっぽんではMt.FUJI FESTIVAL、メタモルフォーゼなぎさ音楽おんがくさいなどがある。警察けいさつ開催かいさい当局とうきょく許可きょかした、プロのプロモーター会社かいしゃ開催かいさいするものがほとんどとなっている。入場にゅうじょうりょう高額こうがくであるが、有名ゆうめいなDJやバンドが多数たすうプレイすることがおおい。また、合法ごうほうてきおこなわれ、多数たすう警察官けいさつかんやセキュリティも会場かいじょうない滞在たいざいしている。数日すうじつあいだわたって開催かいさいされるものがおおく、参加さんかしゃキャンプをしてごすこととなる。従来じゅうらいから英国えいこくなどでさかんであったグラストンベリー・フェスティバルなどのロックを中心ちゅうしんとした、野外やがいフェスティバルながれと一体化いったいかしたものともえる。また、ロックを中心ちゅうしんとした野外やがいフェスティバルでも会場かいじょう一部いちぶをこうしたダンス音楽おんがく中心ちゅうしんのものとするケースがおおい。

商業しょうぎょうレイヴ

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都市としない大会たいかいじょう有名ゆうめいなスターDJをあつめていちばんかぎおこなわれるもの。そのために参加さんか容易よういであり、初心者しょしんしゃけである。英国えいこくやドイツなどの欧州おうしゅうさかんであり、日本にっぽんではWIREMETAMORPHOSESOLSTICE MUSIC FESTIVALS.O.S festival、The Gathering、エレクトラグライドRAINBOW2000、アルカディアなどが有名ゆうめいである。

日本にっぽんはじめて商業しょうぎょうレイヴがおこなわれたのは、1992ねんすえから1993ねん初頭しょとうにかけて、横浜よこはまベイサイドクラブにて9かいわたって開催かいさいされた「TK RAVE FACTORY」。仕掛しかじん小室こむろ哲哉てつやで、このイベントにわせてtrfTRF)が結成けっせいされた[1]

麻薬まやく問題もんだい

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イギリスやヨーロッパでは、レイヴのMDMA[2][3]大麻たいま[4]などがしばしば使つかわれた。日本にっぽんでもレイヴパーティーで薬物やくぶつ問題もんだいがとりざたされている。

2008ねん群馬ぐんまけんもよおされた複数ふくすうのレイヴパーティーで大麻たいま所持しょじおおくの逮捕たいほものした。また、同年どうねん6がつおこなわれたおなじレイヴパーティーの参加さんかしゃ1にんがその翌日よくじつ会場かいじょうちかくでたおれて3にち死亡しぼうし、体内たいないから薬物やくぶつ検出けんしゅつされた[5]

2009ねん2がつには山梨やまなしけん鳴沢なるさわむらおこなわれたレイヴパーティーの参加さんかしゃ6にん[6]が、同年どうねん8がつには滋賀しがけん高島たかしま朽木くちき地区ちくでも参加さんかしゃ6にん[7]麻薬まやく所持しょじ容疑ようぎでそれぞれ逮捕たいほされている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b Fine. 1993ねん3がつごう(trfの特集とくしゅうページ). 日之出出版ひのでしゅっぱん株式会社かぶしきがいしゃ. (1993ねん3がつ) 
  2. ^ Club Drugs”. 2021ねん5がつ9にち閲覧えつらん
  3. ^ Palamar, J. J.; Griffin-Tomas, M.; Ompad, D. C. (2015). “Illicit Drug Use among Rave Attendees in a Nationally Representative Sample of US High School Seniors”. Drug and Alcohol Dependence 152: 24–31. doi:10.1016/j.drugalcdep.2015.05.002. PMC 4458153. PMID 26005041. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4458153/. 
  4. ^ Marijuana in the Rave Culture of the 90's” (2018ねん2がつ6にち). 2021ねん5がつ9にち閲覧えつらん
  5. ^ 「レイブ」死亡しぼう女性じょせいから薬物やくぶつ検出けんしゅつ ― スポニチ Sponichi Annex 社会しゃかい
  6. ^ 「レイブ」で大麻たいま吸引きゅういん山梨やまなしけん臨時りんじ職員しょくいん懲戒ちょうかい免職めんしょく(インターネットアーカイブ2009ねん2がつ22にちぶんキャッシュ)
  7. ^ 「レイブ」にかう6にん大麻たいま所持しょじ容疑ようぎ逮捕たいほ(インターネットアーカイブ2009ねん8がつ31にちぶんキャッシュ)

関連かんれん項目こうもく

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