3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン (英 えい : 3,4-methylenedioxymethamphetamine )、あるいはMDMA は、アンフェタミン と類似 るいじ した化学 かがく 構造 こうぞう を持 も つ化合 かごう 物 ぶつ である。愛 あい の薬 くすり などと呼 よ ばれ共感 きょうかん 作用 さよう がある。幻覚 げんかく 剤 ざい に分類 ぶんるい される[4] [5] [6] 。
心 しん 的 てき 外傷 がいしょう 後 ご ストレス障害 しょうがい (PTSD)に対 たい し、MDMAを併用 へいよう した心理 しんり 療法 りょうほう の臨床 りんしょう 試験 しけん がアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく で進行 しんこう している。2017年 ねん にはアメリカで画期的 かっきてき 治療 ちりょう 法 ほう に指定 してい され[8] 、アメリカ食品 しょくひん 医薬品 いやくひん 局 きょく は承認 しょうにん 審査 しんさ を迅速 じんそく 化 か する[9] 。しかし、殆 ほとん どの国家 こっか では違法 いほう であり[10] [11] 、2018年 ねん 現在 げんざい 、医療 いりょう 用 よう としては認可 にんか されておらず[12] [13] 、研究 けんきゅう 用 よう に例外 れいがい として認 みと められているにとどまる[14] 。
俗 ぞく にエクスタシー あるいはモリー と呼 よ ばれている。エクスタシーなどとして街角 まちかど で売 う られる薬物 やくぶつ は、様々 さまざま な純度 じゅんど であり、時 とき にはMDMAは全 まった く含 ふく まれない。何 なに がどれ位 い 含 ふく まれているか不明 ふめい であり、その為 ため どのような毒性 どくせい が出 で るのかは密造 みつぞう している側 がわ も把握 はあく していない可能 かのう 性 せい が非常 ひじょう に高 たか いためとても危険 きけん な麻薬 まやく であり、過剰 かじょう 摂取 せっしゅ の危険 きけん 性 せい が高 たか い[15] 。一部 いちぶ では休 やす みなく踊 おど ることが原因 げんいん で、高熱 こうねつ や脱水 だっすい 症 しょう から死亡 しぼう し、逆 ぎゃく に、それに対処 たいしょ しようと水 みず を摂 と り過 す ぎて、低 てい ナトリウム血 ち 症 しょう で死亡 しぼう している[15] 。
心理 しんり 学者 がくしゃ のラルフ・メツナー が、MDMAに対 たい してエンパーソゲン (英語 えいご 版 ばん ) (共感 きょうかん をもたらす)という言葉 ことば を作 つく った[16] 。同種 どうしゅ の作用 さよう のある薬物 やくぶつ として、MDA (3,4-メチレンジオキシアンフェタミン)、MDEA (3,4-メチレンジオキシ-N-エチルアンフェタミン)なども知 し られ、エンタクトゲン (英語 えいご 版 ばん ) (内面 ないめん に触 ふ れる)と呼 よ ばれる。
MDMAを臨床 りんしょう 現場 げんば にて初 はじ めて使 つか ったレオ・ゼフ (英語 えいご 版 ばん ) は、患者 かんじゃ に投与 とうよ する際 さい にMDMAをアダム と呼 よ んだ。
MDMAは、俗語 ぞくご でエクスタシー (Ecstacy )と呼 よ ばれ、英語 えいご 圏 けん では21世紀 せいき 初頭 しょとう には本来 ほんらい の高揚 こうよう 感 かん の意味 いみ と同 おな じように定着 ていちゃく している。初期 しょき の娯楽 ごらく 的 てき な使用 しよう のための提供 ていきょう 者 しゃ は、作用 さよう を適切 てきせつ に説明 せつめい するエンパシー(Empathy 、共感 きょうかん の意味 いみ )と呼 よ んだが、後 のち に潜在 せんざい 的 てき な顧客 こきゃく により訴 うった えかけるために「エクスタシー」に決 き めた。他 た にE とか、X 、あるいはXTC と呼 よ ばれる。
モリー (Molly )とも呼 よ ばれている。これは2010年 ねん 以降 いこう の呼称 こしょう であり、混 ま ざり物 ぶつ のない粉末 ふんまつ のMDMAを指 さ しているが、しばしば別 べつ の薬物 やくぶつ であるという報道 ほうどう がなされている。
このような呼称 こしょう で、街角 まちかど で手 て に入 はい る錠剤 じょうざい は、時 とき にはMDMAを全 まった く含 ふく んでいない。
日本語 にほんご では、丸 まる い錠剤 じょうざい が多 おお いことから玉 たま ( たま ) 、またエックスから転 てん じてバツ 、ペケ の俗称 ぞくしょう をも持 も つ。
世界 せかい 保健 ほけん 機関 きかん の1994年 ねん の薬物 やくぶつ に関 かん する用語 ようご 集 しゅう [4] 、世界 せかい 保健 ほけん 機関 きかん の『疾病 しっぺい 及 およ び関連 かんれん 保健 ほけん 問題 もんだい の国際 こくさい 統計 とうけい 分類 ぶんるい 』第 だい 10版 はん (ICD-10)[5] 、アメリカ精神 せいしん 医 い 学会 がっかい の『精神 せいしん 障害 しょうがい の診断 しんだん と統計 とうけい マニュアル 』第 だい 4版 はん (DSM-IV)において
[6] 、幻覚 げんかく 剤 ざい に分類 ぶんるい されている。
なお化学 かがく 構造 こうぞう からは、精神 せいしん 刺激 しげき 薬 やく のアンフェタミン類 るい に分類 ぶんるい される。
MDMA、MDA、MDE、MBDBはフェネチルアミン の一群 いちぐん に属 ぞく し、それらは同様 どうよう の作用 さよう を持 も つことからエンタクトゲン(entactogens[18] 、内面 ないめん に触 ふ れる)と呼 よ ばれる。
常温 じょうおん では白色 はくしょく の結晶 けっしょう または粉末 ふんまつ 。分子 ぶんし 構造 こうぞう はメタンフェタミン に類似 るいじ し、メタンフェタミンのフェニル基 もと の一部 いちぶ を置換 ちかん したものと同一 どういつ である。このためMDMAもメタンフェタミンと同 おな じく光学 こうがく 異性 いせい 体 たい を持 も つ。
MDMAは脳 のう 内 ない のセロトニン 等 ひとし を過剰 かじょう に放出 ほうしゅつ させることにより、人間 にんげん の精神 せいしん に多幸 たこう 感 かん 、他者 たしゃ との共感 きょうかん などの変化 へんか をもたらすとされる。MDMAを経口 けいこう 的 てき に摂取 せっしゅ すると30分 ふん から1時 じ 間 あいだ ほどで前述 ぜんじゅつ のような精神 せいしん 変容 へんよう が起 お こり、それが4~6時 じ 間 あいだ 程度 ていど 持続 じぞく するとされる。
典型 てんけい 的 てき な幻覚 げんかく 剤 ざい とは異 こと なる心理 しんり 的 てき 作用 さよう を有 ゆう する。
MDMAは認知 にんち と社会 しゃかい 的 てき 相互 そうご 作用 さよう に影響 えいきょう を与 あた え、開放 かいほう 性 せい や感情 かんじょう への反応 はんのう 性 せい を増加 ぞうか させ、他者 たしゃ への親近 しんきん 感 かん を生 しょう じさせる。使用 しよう 者 しゃ はおしゃべりで友好 ゆうこう 的 てき な感 かん じになったことを報告 ほうこく するが、一方 いっぽう 、制御 せいぎょ できないという不安 ふあん を経験 けいけん することもある。
MDMAはオキシトシン の放出 ほうしゅつ を増加 ぞうか させる。並行 へいこう して、神経 しんけい 生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 領域 りょういき における研究 けんきゅう 、神経 しんけい ペプチドのオキシトシン とバソプレッシン による人間 にんげん のつながりと触 ふ れ合 あ いの影響 えいきょう についてのものが進行 しんこう している。オキシトシンは哺乳類 ほにゅうるい における、つがいの形成 けいせい や社会 しゃかい 的 てき 所属 しょぞく と関連 かんれん している。
ヒトでの作用 さよう 量 りょう を挙 あ げる。
臨床 りんしょう 試験 しけん の、治療 ちりょう 抵抗 ていこう 性 せい の心 しん 的 てき 外傷 がいしょう 後 ご ストレス障害 しょうがい (PTSD)における使用 しよう 量 りょう は、体重 たいじゅう 1キログラムあたり、約 やく 2ミリグラム以下 いか である。同 どう 1ミリグラムから、知覚 ちかく や認知 にんち や気分 きぶん に変化 へんか を生 しょう じさせる。
PiHKAL には、80から150mgと書 か かれている[19] 。
街角 まちかど のエクスタシー錠剤 じょうざい では、1錠 じょう ごとにも含有 がんゆう 量 りょう が異 こと なり、最 もっと も少 すく ないものと多 おお いものでは7倍 ばい の差 さ がある。経験 けいけん 豊富 ほうふ な使用 しよう 者 しゃ では増 ふ やす場合 ばあい があるが、動物 どうぶつ 実験 じっけん にて耐 たい 性 せい が生 しょう じるため、耐 たい 性 せい が原因 げんいん であると考 かんが えられる。MDMAの過剰 かじょう 摂取 せっしゅ は重 じゅう 篤 あつし な状態 じょうたい や死亡 しぼう につながることがある。またエクスタシー錠剤 じょうざい が、混 ま じりもののないMDMAを含 ふく んでいることは少 すく ない。未知 みち の薬物 やくぶつ では、致命 ちめい 的 てき な過剰 かじょう 摂取 せっしゅ につながることがある[20] 。
作用 さよう 開始 かいし は投与 とうよ から30~45分 ふん 後 ご であり、ピークは90~120分 ふん 、3~6時 じ 間 あいだ 後 ご に投与 とうよ 前 まえ に戻 もど る。
MDMAの半減 はんげん 期 き は約 やく 7時 じ 間 あいだ であるが、代謝 たいしゃ 産物 さんぶつ のMDAは16~38時 じ 間 あいだ である。
抗 こう レトロウイルス薬 やく やモノアミン酸化 さんか 酵素 こうそ 阻害 そがい 薬 やく (MAOI)との併用 へいよう は、命 いのち に関 かか わるような高血圧 こうけつあつ を引 ひ き起 お こすことがある。
MDMAは、CYP2D6 で代謝 たいしゃ される。
過去 かこ には、様々 さまざま に用 もち いられたこともあったが、それらは二 に 重 じゅう 盲 めくら 検 けん など、現在 げんざい の科学 かがく 的 てき 研究 けんきゅう における最良 さいりょう の慣行 かんこう が行 おこな われていない。
その初期 しょき から治療 ちりょう の可能 かのう 性 せい のある薬 くすり として認識 にんしき されていたが、MDMAは「医療 いりょう 用途 ようと がない」というスケジュールIに分類 ぶんるい されており、しかし証拠 しょうこ はスケジュールIIに移動 いどう させるのに十分 じゅうぶん であり、そうすることで治療 ちりょう 抵抗 ていこう 性 せい PTSDを有 ゆう する人 ひと など深刻 しんこく な精神 せいしん 障害 しょうがい のある人々 ひとびと への医薬品 いやくひん を解放 かいほう することになる[21] 。
アメリカでは、心 しん 的 てき 外傷 がいしょう 後 ご ストレス障害 しょうがい (PTSD)に対 たい するMDMAを併用 へいよう した心理 しんり 療法 りょうほう の臨床 りんしょう 試験 しけん が進行 しんこう しており、第 だい II相 しょう の4つの試験 しけん では慢性 まんせい 的 てき (長期 ちょうき の)PTSDを患 わずら う退役 たいえき 軍人 ぐんじん や警察官 けいさつかん や消防 しょうぼう 士 し を含 ふく んでいた。2016年 ねん 11月には、第 だい III相 しょう の臨床 りんしょう 試験 しけん が承認 しょうにん されている[22] 。2017年 ねん [8] 。2017年 ねん の夏季 かき にアメリカ食品 しょくひん 医薬品 いやくひん 局 きょく (FDA) はこの治療 ちりょう 法 ほう を画期的 かっきてき 治療 ちりょう 法 ほう に指定 してい した[8] 。重 じゅう 篤 あつし か命 いのち にかかわる病気 びょうき で、予備 よび 研究 けんきゅう の証拠 しょうこ が既存 きそん の治療 ちりょう 法 ほう よりも大 おお きく改善 かいぜん することを示 しめ している場合 ばあい に指定 してい され、指定 してい されるとFDAは審査 しんさ を早 はや く行 おこな う[9] 。
予備 よび 研究 けんきゅう ではCAPSというPTSDの症状 しょうじょう の評価 ひょうか 尺度 しゃくど にて、79点 てん 台 だい の症状 しょうじょう は、MDMA支援 しえん 心理 しんり 療法 りょうほう 53.7点 てん の低下 ていか 、心理 しんり 療法 りょうほう のみでは20.5点 てん の低下 ていか であった。さらに症状 しょうじょう の改善 かいぜん は3.8年 ねん 継続 けいぞく されている。比較 ひかく として、セルトラリン (ゾロフト)のPTSDのためのFDAの臨床 りんしょう 試験 しけん では、10.2点 てん の低下 ていか である。これらのPTSDは平均 へいきん 19.5年 ねん の治療 ちりょう 抵抗 ていこう の期間 きかん を持 も ち、MDMA支援 しえん 心理 しんり 療法 りょうほう の治療 ちりょう から4年 ねん 後 ご に2人 ふたり が再発 さいはつ したが、症状 しょうじょう の改善 かいぜん は維持 いじ されていた[23] 。2018年 ねん のメタアナリシス では、MDMAを使用 しよう した心理 しんり 療法 りょうほう は持続 じぞく エクスポージャー療法 りょうほう よりも効果 こうか 量 りょう が大 おお きく、また脱落 だつらく 率 りつ がはるかに低 ひく いことが明 あき らかとなった[24] 。
こうしたPTSDに対 たい する医療 いりょう 用途 ようと に対 たい する報道 ほうどう はアメリカでは広範 こうはん になされており、2010年 ねん に少 すく なくとも138以上 いじょう のメディアで取 と り上 あ げられている[25] 。
イスラエル、スイス、カナダでも臨床 りんしょう 試験 しけん が行 おこな われている。イギリスでも標準 ひょうじゅん 的 てき な国民 こくみん 保健 ほけん サービス の診療 しんりょう 所 しょ にてこのような治療 ちりょう を提供 ていきょう できるようにと研究 けんきゅう が進 すす んでいる[26] 。試験 しけん はテレビで放映 ほうえい もされた[27] 。薬物 やくぶつ に関 かん する独立 どくりつ 科学 かがく 評議 ひょうぎ 会 かい #ドラッグス・ライブ参照 さんしょう 。
アメリカで、成人 せいじん の自閉症 じへいしょう の患者 かんじゃ の社交 しゃこう 不安 ふあん 、および、がん患者 かんじゃ の抑 そもそも うつに用 もち いる臨床 りんしょう 試験 しけん も行 おこな われている[28] 。MDMAを併用 へいよう した心理 しんり 療法 りょうほう は偽薬 ぎやく 対照 たいしょう の二 に 重 じゅう 盲 めくら 検 けん で行 おこな われ、2018年 ねん の結果 けっか は12名 めい と小規模 しょうきぼ だが、自閉症 じへいしょう の社交 しゃこう 時 じ の不安 ふあん の持続 じぞく 的 てき な改善 かいぜん を示 しめ している[29] 。
自閉症 じへいしょう の中核 ちゅうかく 症状 しょうじょう である社会 しゃかい 性 せい の問題 もんだい は、集中 しゅうちゅう 的 てき な行動 こうどう 介入 かいにゅう によく反応 はんのう し鍛 きた えることが可能 かのう であることが実証 じっしょう されているが、薬 くすり としては見 み つかっておらず、社会 しゃかい 的 てき 動機 どうき と社会 しゃかい 的 てき 認知 にんち を高 たか めるような向 こう 社会 しゃかい 的 てき 化合 かごう 物 ぶつ (Prosocial Compounds)として、オキシトシン とバソプレッシン と共 とも にMDMAは注目 ちゅうもく される[30] 。
また、アルコール依存 いぞん 症 しょう を治療 ちりょう する試 こころ みも予定 よてい されている[8] 。
2023年 ねん 2月 がつ 3日 にち にオーストラリアの保健 ほけん 省 しょう 薬品 やくひん ・医薬品 いやくひん 行政 ぎょうせい 局 きょく (TGA)が、認可 にんか を受 う けた精神 せいしん 科 か 医 い は心的 しんてき 外傷 がいしょう 後 ご ストレス障害 しょうがい (PTSD)の治療 ちりょう にMDMAを、治療 ちりょう 抵抗 ていこう 性 せい うつ病 びょう にマジックマッシュルーム に含 ふく まれるシロシビン を、それぞれ7月 がつ 1日 にち 以降 いこう から処方 しょほう できるようになると発表 はっぴょう した。これにより、世界 せかい で初 はじ めてオーストラリアで医薬品 いやくひん として正式 せいしき に承認 しょうにん されることが決定 けってい した。[31]
MDMAは、娯楽 ごらく 的 てき な薬物 やくぶつ としての側面 そくめん も持 も ち、薬物 やくぶつ 乱用 らんよう が社会 しゃかい 問題 もんだい 化 か したこともあって、各国 かっこく では法 ほう 規制 きせい されている。
アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく での2011年 ねん の全国 ぜんこく 調査 ちょうさ から、12歳 さい 以上 いじょう の約 やく 1450万 まん 人 にん が、生涯 しょうがい においてMDMAを一 いち 度 ど は使用 しよう していると推定 すいてい される。
アカゲザルにおける動物 どうぶつ 実験 じっけん では、MDMAの自己 じこ 投与 とうよ は継続 けいぞく 的 てき に維持 いじ されなかった[32] 。他 た の研究 けんきゅう では、齧 かじ 歯 は 類 るい にてコカインにて報告 ほうこく されている強 つよ い強化 きょうか 因子 いんし とは異 こと なり弱 よわ いとしている[33] 。霊長 れいちょう 類 るい および、齧 かじ 歯 は 類 るい におけるMDMA自己 じこ 投与 とうよ の研究 けんきゅう を探索 たんさく し、大半 たいはん の研究 けんきゅう にて他 た の薬物 やくぶつ よりも強化 きょうか 因子 いんし として弱 よわ いことが見 み いだされた[34] 。
頻繁 ひんぱん に使用 しよう する人 ひと でも、他 た の薬物 やくぶつ に見 み られるように集中 しゅうちゅう 的 てき に使用 しよう するということは見 み られない。MDMAは、アルコールやタバコ、ヘロインなどと比較 ひかく したとき依存 いぞん 性 せい が低 ひく い[15] 。
エクスタシー錠剤 じょうざい 。こうした街角 まちかど で入手 にゅうしゅ されるエクスタシー錠剤 じょうざい はMDMAがまったく含 ふく まれない場合 ばあい がある。エクスタシーの名 な での販売 はんばい は、錠剤 じょうざい か粉末 ふんまつ か、様々 さまざま な成分 せいぶん 、また色 いろ や形 かたち 、ブランド名 めい によって発展 はってん してきた。
結晶 けっしょう 状 じょう の MDMA。変質 へんしつ 前 まえ は典型 てんけい 的 てき には白色 はくしょく 。
1990年 ねん 前後 ぜんこう の初期 しょき の時代 じだい には、エクスタシーは白 しろ や色 いろ のついた小 ちい さな錠剤 じょうざい であったが、1990年代 ねんだい 後半 こうはん から世紀 せいき が変 か わる頃 ころ には、多種 たしゅ 多様 たよう な色 いろ や形 かたち を持 も ったブランディング現象 げんしょう が生 しょう じた。こうしたマーケティング現象 げんしょう は、エクスタシーがはじめてではなくLSDの長 なが い歴史 れきし を持 も っている。LSDでは虹 にじ やピースマークの記号 きごう といったヒッピー風 ふう であるのに対 たい し、エクスタシーではルイ・ヴィトン、モトローラや三菱 みつびし といったブランドであり中流 ちゅうりゅう 階級 かいきゅう 的 てき な社会 しゃかい が反映 はんえい され、特定 とくてい のブランドに人気 にんき を示 しめ す場合 ばあい がある。サンフランシスコのベイエリアでは、混 ま ざりもののないMDMAだと供給 きょうきゅう 者 しゃ が主張 しゅちょう する粉末 ふんまつ 状 じょう のエクスタシーには、錠剤 じょうざい 以上 いじょう の人気 にんき がある。
エクスタシーとして街角 まちかど で売 う られる錠剤 じょうざい は様々 さまざま な純度 じゅんど であり、時 とき にはMDMAはほとんど含 ふく まれないか、まったく含 ふく まれない。北米 ほくべい での2007年 ねん の調査 ちょうさ ではわずか3%だけが混 ま じりもののないMDMAを含 ふく んでいた。
EcstasyData.org[35] のデータから推定 すいてい 可能 かのう であり、2012年 ねん 12月から、2013年 ねん 4月 がつ の間 あいだ の65種類 しゅるい の錠剤 じょうざい およびカプセルからは、およそ半分 はんぶん は67%以上 いじょう のMDMAを含 ふく み、半分 はんぶん はそれ以下 いか で多 おお くの場合 ばあい はまったく含 ふく んでいない。
世界 せかい の多 おお くの地域 ちいき で、2010年代 ねんだい にエクスタシーとして販売 はんばい された多 おお くの錠剤 じょうざい には、MDMA以外 いがい の物質 ぶっしつ が含 ふく まれている[36] 。それは既存 きそん の違法 いほう な薬物 やくぶつ や、新規 しんき 向 こう 精神 せいしん 薬 やく (NPS)、またカフェインやエフェドリンである。
MDMAでなくMDA、MDEやMBDBを含 ふく むことがある。また、まったく作用 さよう が異 こと なる薬物 やくぶつ を含 ふく むことがある。2014年 ねん の国連 こくれん の報告 ほうこく 書 しょ では、アジア、アメリカ、欧州 おうしゅう とで、メタンフェタミン やケタミン 、アメリカでは2C-B 、アジアではJWH-018 (英語 えいご 版 ばん ) などが検出 けんしゅつ されている[36] 。
ダンスセーフ (英語 えいご 版 ばん ) という団体 だんたい は、薬物 やくぶつ の使用 しよう が避 さ けられないという前提 ぜんてい の上 うえ で悪影響 あくえいきょう を最小 さいしょう 化 か するためのハーム・リダクション や、教育 きょういく を重視 じゅうし しており、サイト上 じょう で薬物 やくぶつ を検査 けんさ したり、ナイトスポットで活動 かつどう している[37] 。音楽 おんがく フェスティバルにおける、そうした取 と り組 く み関 かん するドキュメンタリーも作成 さくせい されており、売人 ばいにん から買 か った薬物 やくぶつ にはメフェドロン、カフェインなど何 なに が混 ま ぜられているかは不明 ふめい であり、モリーとして買 か った薬物 やくぶつ から合成 ごうせい カチノン 類 るい が検出 けんしゅつ された[38] 。
1994年 ねん のアメリカの第 だい I相 しょう の臨床 りんしょう 試験 しけん では、体温 たいおん 、心拍 しんぱく 数 すう や血圧 けつあつ の上昇 じょうしょう が報告 ほうこく されたが、一過 いっか 性 せい で許容 きょよう できる範囲 はんい である。2014年 ねん 11月の時点 じてん で、第 だい I相 しょう と第 だい II相 しょう にて合計 ごうけい 1,133人 にん の被験者 ひけんしゃ に投与 とうよ されており、重 おも 篤 あつ な有害 ゆうがい 事象 じしょう は、継続 けいぞく 的 てき な調査 ちょうさ の中 なか では報告 ほうこく されていない。
エクスタシーの使用 しよう 者 しゃ は、翌日 よくじつ の抑 そもそも うつ気分 きぶん を報告 ほうこく する。異常 いじょう 高熱 こうねつ は、水 みず の入手 にゅうしゅ 手段 しゅだん がない暑 あつ い空間 くうかん で活発 かっぱつ に踊 おど るなど、医学 いがく 的 てき 監督 かんとく 下 か にないエクスタシーの使用 しよう によって生 しょう じ、稀 まれ なものであるが最 もっと も頻繁 ひんぱん に報告 ほうこく されている。その一方 いっぽう これも稀 まれ であるが、必要 ひつよう な電解 でんかい 質 しつ を摂取 せっしゅ せずに水 みず を摂取 せっしゅ しすぎて水 みず 中毒 ちゅうどく となり、低 てい ナトリウム血 ち 症 しょう にて致命 ちめい 的 てき となりうる。また過剰 かじょう 摂取 せっしゅ は重 おも 篤 とく となりうる。
議論 ぎろん の中心 ちゅうしん はMDMAに脳 のう 損傷 そんしょう を引 ひ き起 お こす神経 しんけい 毒性 どくせい があるかどうかである。動物 どうぶつ 実験 じっけん ではヒトでの娯楽 ごらく 的 てき な薬物 やくぶつ としての使用 しよう よりもはるかに多 おお い使用 しよう 量 りょう で生 しょう じることが見 み いだされているし、感情 かんじょう や記憶 きおく の障害 しょうがい を含 ふく む器質 きしつ 的 てき な損傷 そんしょう や、精神 せいしん 医学 いがく 的 てき な損傷 そんしょう を報告 ほうこく しているが、頻繁 ひんぱん に欠陥 けっかん のある研究 けんきゅう 手法 しゅほう 、疑 うたが わしいデータの解析 かいせき 、偏 かたよ った結論 けつろん から引 ひ き出 だ されている。
定期 ていき 的 てき なエクスタシーの使用 しよう 者 しゃ に関 かん する報告 ほうこく が否定 ひてい 的 てき な影響 えいきょう を示唆 しさ しているが、エクスタシー錠剤 じょうざい にはMDMA以外 いがい の薬物 やくぶつ が含 ふく まれ、またそうした使用 しよう 者 しゃ はエクスタシー以外 いがい の多 た 剤 ざい を乱用 らんよう しているため、MDMAが特異 とくい 的 てき な原因 げんいん となっているのかは不 ふ 明確 めいかく である。
海外 かいがい で行 おこな われたレイヴパーティー 等 ひとし では、ときどき死亡 しぼう 者 しゃ がでているが、全体 ぜんたい としては少数 しょうすう である。(しかし、こうした報道 ほうどう はエクスタシー錠剤 じょうざい がMDMAを含有 がんゆう していたかが不明 ふめい である)
日本 にっぽん では、2010年 ねん に東京 とうきょう 23区 く 内 ない で死亡 しぼう した死因 しいん 不明 ふめい の異状 いじょう 死 し が司法 しほう 解剖 かいぼう された、5年間 ねんかん で計 けい 13,499名 めい の調査 ちょうさ がある[39] 。2006年 ねん から2010年 ねん の5年間 ねんかん でMDMA6件 けん 、比較 ひかく のために挙 あ げると、多 おお いものは、処方箋 しょほうせん 医薬品 いやくひん が3,337件 けん で精神 せいしん 科 か の薬 くすり が多 おお く、酒 さけ は3,018件 けん である[39] 。
1912年 ねん 、ドイツ の化学 かがく メーカーメルク 社 しゃ によって、抗 こう 凝固 ぎょうこ 薬 やく を特定 とくてい するためのプロジェクトの際 さい に合成 ごうせい され、特許 とっきょ が取得 しゅとく された。後 のち に、合成 ごうせい した化学 かがく 者 しゃ による、特性 とくせい の試験 しけん が行 おこな われたが、会社 かいしゃ の関心 かんしん を引 ひ かず、それ以上 いじょう のことはなかった。(製品 せいひん 化 か はされなかった)。食欲 しょくよく 抑制 よくせい 剤 ざい としてという説 せつ もある。
動物 どうぶつ における毒性 どくせい 研究 けんきゅう は、1950年代 ねんだい に米 べい 軍 ぐん の支援 しえん によってミシガン大学 だいがく でが行 おこな われ、後 のち に機密 きみつ 解除 かいじょ が解 と け、1973年 ねん にハードマンが出版 しゅっぱん する。1967年 ねん にアメリカ軍 ぐん による機密 きみつ 扱 あつか いが解 と けた。
元 もと ダウ・ケミカル 社 しゃ の化学 かがく 者 しゃ であったアレクサンダー・シュルギン によって、MDMAが「再 さい 発見 はっけん 」されることになる。1978年 ねん には、アレクサンダー・シュルギンらによる『幻覚 げんかく 剤 ざい の精神 せいしん 薬理 やくり 学 がく 』(The Psychopharmacology of Hallucinogens )にて、ヒトにおける主観 しゅかん 的 てき な作用 さよう に関 かん する、初 はつ の報告 ほうこく が行 おこな われた。
シュルギンは先 さき に1967年 ねん にMDA が深層 しんそう にある感情 かんじょう への接近 せっきん を容易 ようい にするため、心理 しんり 療法 りょうほう に有益 ゆうえき である可能 かのう 性 せい を報告 ほうこく していたが、この点 てん でMDMAはMDAより優 すぐ れていたと評価 ひょうか した。心理 しんり 学者 がくしゃ のレオ・ゼフ (英語 えいご 版 ばん ) に紹介 しょうかい し、臨床 りんしょう 現場 げんば での使用 しよう が始 はじ まった。1970年代 ねんだい のなかばに研究 けんきゅう が開始 かいし され、初期 しょき の研究 けんきゅう 者 しゃ は、従来 じゅうらい の治療 ちりょう に反応 はんのう しないうつ病 びょう や心 しん 的 てき 外傷 がいしょう 後 ご ストレス障害 しょうがい (PTSD)といった治療 ちりょう に用 もち い、数 すう 千 せん の患者 かんじゃ に投与 とうよ されたが、系統 けいとう 的 てき な研究 けんきゅう はなかった。
1980年代 ねんだい 初期 しょき には、アメリカでの娯楽 ごらく 的 てき な薬物 やくぶつ (英語 えいご 版 ばん ) としての使用 しよう が広 ひろ まる。1985年 ねん (5月 がつ )に、アメリカ麻薬 まやく 取締 とりしまり 局 きょく (DEA) が、MDMAを(規制 きせい 物質 ぶっしつ 法 ほう の)スケジュールIに分類 ぶんるい し、1987年 ねん から1988年 ねん の短期間 たんきかん を除 のぞ き、アメリカではこの分類 ぶんるい が継続 けいぞく されている。
ラブパレード :1990年代 ねんだい には100万 まん 人 にん 以上 いじょう を動員 どういん した大 だい 規模 きぼ なレイブは、ドイツのベルリンにて行 おこな われる[40] 。1989年 ねん にベルリンの壁 かべ は取 と り壊 こわ されたが、それまで壁 かべ は1945年 ねん から資本 しほん 主義 しゅぎ の西 にし ドイツと、共産 きょうさん 主義 しゅぎ の東 ひがし ドイツを分断 ぶんだん していた。
その後 ご に、スペインのイビザ島 とう での使用 しよう から世界 せかい 的 てき に広 ひろ がり、イギリスのクラブシーンやレイヴ では、若者 わかもの の第 だい 一 いち 選択 せんたく 薬 やく となった。(セカンド・サマー・オブ・ラブ も参照 さんしょう )アメリカでは10年 ねん 後 ご に国内 こくない のレイブシーンが登場 とうじょう するまで、主流 しゅりゅう の位置 いち は占 し めなかった。
欧州 おうしゅう では近年 きんねん では価格 かかく の低下 ていか により若年 じゃくねん 層 そう への普及 ふきゅう が懸念 けねん されている。
2010年代 ねんだい では、マイリー・サイラス やヒップホップのスヌープ・ドッグ など多 おお くの歌手 かしゅ が歌詞 かし にモリーを登場 とうじょう させている[41] 。エレクトロニック・ダンス・ミュージック (EDM)のウルトラ・ミュージック・フェスティバル ・マイアミでは、歌手 かしゅ のマドンナ は聴衆 ちょうしゅう に向 む かって「この中 なか でモリーを見 み たことがある人 ひと はどれくらいいる?」と語 かた りかけた[42] 。彼女 かのじょ は『MDNA 』というアルバムを出 だ していた[42] 。2013年 ねん には、アメリカで6回分 かいぶん 摂取 せっしゅ した女性 じょせい が死亡 しぼう し、音楽 おんがく フェスティバルが閉鎖 へいさ された[43] 。
2015年 ねん にはオランダの青年 せいねん 自由民主党 じゆうみんしゅとう は、音楽 おんがく フェスティバルでのエクスタシーによる死亡 しぼう を踏 ふ まえて、危険 きけん 性 せい をアピールするために、アムステルダムに1日 にち 限定 げんてい で「XTC shop」を開店 かいてん した[44] 。偽薬 ぎやく が販売 はんばい されたが、アピールには非 ひ 犯罪 はんざい 化 か の議論 ぎろん が含 ふく まれ、違法 いほう な売人 ばいにん から買 か うよりも、害 がい を最小 さいしょう 化 か できるというハーム・リダクション の考 かんが えを議論 ぎろん するための署名 しょめい を求 もと めた[44] 。
2016年 ねん 夏 なつ には、ダンスセーフの創始 そうし 者 しゃ エマニュエル・スフェリオスの作成 さくせい したドキュメンタリー映画 えいが 『MDMAザ・ムービー』(日本 にっぽん では未定 みてい )が公開 こうかい される。映画 えいが は、PTSDに対 たい するMDMAを併用 へいよう した治療 ちりょう の研究 けんきゅう や、MDMAの歴史 れきし を取 と り扱 あつか う。
MDMAの輸入 ゆにゅう 、輸出 ゆしゅつ 、製造 せいぞう は1年 ねん 以上 いじょう 10年 ねん 以下 いか の懲役 ちょうえき 。譲受 ゆずりう け、譲渡 じょうと し、所持 しょじ は7年 ねん 以下 いか の懲役 ちょうえき 。施 ほどこせ 用 よう (しよう、経口 けいこう 摂取 せっしゅ など、身体 しんたい に用 もち いること)は7年 ねん 以下 いか の懲役 ちょうえき となる。
研究 けんきゅう 目的 もくてき で同 どう 薬物 やくぶつ を精製 せいせい ないし使用 しよう する際 さい には、麻薬 まやく 及 およ び向 こう 精神 せいしん 薬 やく 取締 とりしまり 法 ほう 第 だい 2条 じょう 第 だい 8項 こう に規定 きてい される、麻薬 まやく 研究 けんきゅう 者 しゃ の免許 めんきょ が必要 ひつよう となる。
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映画 えいが
MDMA the Movie 、2016年 ねん 夏 なつ 公開 こうかい
成分 せいぶん データ