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注射ちゅうしゃ

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注射ちゅうしゃける児童じどう

注射ちゅうしゃ(ちゅうしゃ)とは、注射ちゅうしゃはりもちいて直接ちょくせつ体内たいない薬剤やくざい注入ちゅうにゅうする投与とうよほう注射ちゅうしゃ使つか器具きぐ注射ちゅうしゃという。

概要がいよう

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注射ちゅうしゃは、直接的ちょくせつてき生物せいぶつ(そのおおくでは人間にんげん)のからだ薬剤やくざい投入とうにゅうする方法ほうほうで、経口けいこう投与とうよくちから薬剤やくざい投入とうにゅうする)や皮膚ひふ粘膜ねんまくへの塗布とふ、ないし吸引きゅういんなどよりも直接的ちょくせつてき必要ひつよう個所かしょ患部かんぶ)に薬剤やくざい投入とうにゅうできるため、投与とうよ方法ほうほうより効果こうか出始ではじめるまでの時間じかんみじかく、また吸収きゅうしゅう経路けいろされてしまったり、物質ぶっしつ変質へんしつしてしまったり、または吸収きゅうしゅう過程かていにて解毒げどく作用さよう分解ぶんかいされてしまうような種類しゅるい薬剤やくざいでも投与とうよできるため、より確実かくじつ方法ほうほうである。

反面はんめん生体せいたい組織そしき中空なかぞらはり貫通つらぬきとおさせるため、このおかせかさね人為じんいてき傷付きずつけること)にたいする拒否きょひかん実質じっしつてき被害ひがいもあり、そういった問題もんだい解決かいけつするために、様々さまざま技術ぎじゅつ改良かいりょう器具きぐ使用しよう技能ぎのうてき向上こうじょう日夜にちやすすめられている。

アルコール消毒しょうどく

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厚生こうせい労働省ろうどうしょうさだめる「予防よぼう接種せっしゅ実施じっし要領ようりょう[1]によれば、アルコールによる接種せっしゅ部位ぶい消毒しょうどくをすべきことが明記めいきされている。

消毒しょうどくもちいられるアルコール綿めんはかつては、医療いりょう機関きかんでアルコールといぬい綿めんからつくられ、つくきされていたが、乾燥かんそうによるアルコール濃度のうど低下ていかによって消毒しょうどく効果こうか低下ていかすることや、つくきされたアルコール綿めんそのものが汚染おせんされる可能かのうせいもあった[2]近年きんねん個別こべつ包装ほうそうのアルコール綿めんもちいられるようになってきており、こちらのほうがコスト削減さくげん効果こうかがあるという報告ほうこくがある[2]

注射ちゅうしゃ苦痛くつう

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注射ちゅうしゃは、はり皮膚ひふ行為こういなのでいたみがある実際じっさいいた以上いじょうに、はりさるのが視覚しかくてきいたいとかんじてしまう。とく子供こどもはこれをおおいにきらい、医者いしゃにかかるときに注射ちゅうしゃするかどうかは最大さいだいきゅう懸案けんあんである。ただ健康けんこうあんじているおやがわにしてみれば、注射ちゅうしゃ経験けいけんじょう劇的げきてき効果こうかやすいとみなされ、注射ちゅうしゃしてくれることを希望きぼうする場合ばあいもある。またやくされるなどの投薬とうやくよりも、より直接的ちょくせつてき医師いし治療ちりょう参加さんかしている行為こういともめられ、注射ちゅうしゃによる治療ちりょう期待きたいする場合ばあいられる。これはされるがわにとっては苦痛くつうでありストレスあたえうるため、血液けつえき検査けんさのち血圧けつあつはかると、心理しんりてき影響えいきょうから普段ふだんよりたかてしまう場合ばあいもある。

注射ちゅうしゃ種類しゅるい使用しようする薬剤やくざい様式ようしき後述こうじゅつ)によってもまちまちであるが、技能ぎのう患者かんじゃあつかいがうまいなどのうでのよいもの注射ちゅうしゃすると、注射ちゅうしゃさいにそれほどのいたみはしょうじない。反面はんめん注射ちゅうしゃするがわ技能ぎのうてき未熟みじゅくであったり、注射ちゅうしゃされるがわ身構みがまえたりあばれたりすると、余計よけいいた場合ばあいめずらしくはない。こと技能ぎのうてき未熟みじゅくで、なんはりなおしされたりすると、いたいどころのさわぎではない。したがって患者かんじゃ医者いしゃ看護かんごへの評価ひょうかする場合ばあい基準きじゅんに、注射ちゅうしゃ上手じょうず下手へたおおきな地位ちいめることもある。また歯茎はぐきへの注射ちゅうしゃのように、はり部位ぶいにあらかじめ麻酔ますいする場合ばあいもある。

なお穿刺せんしいたみは、注射ちゅうしゃもちいられるはりおおきさや形状けいじょうによってもおおきくことなり、予防よぼう接種せっしゅのような集団しゅうだんへの注射ちゅうしゃでは、圧力あつりょく注射ちゅうしゃともばれる皮膚ひふたか圧力あつりょく薬剤やくざい浸透しんとうさせるはり使つかわない注射ちゅうしゃ利用りようされる場合ばあいもある。ほかにも、用途ようとかぎられるがきわめて微細びさいなためしてもいたくない注射ちゅうしゃはりナノパス33」というものも登場とうじょうし、糖尿とうにょうびょう患者かんじゃインスリン投与とうよ使用しようするインジェクターとう使用しようされている。

投与とうよ経路けいろによる分類ぶんるい

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薬液やくえき投与とうよする部位ぶいによってかた薬物やくぶつ動態どうたい)がことなる。以下いかのように分類ぶんるいされる。

かわない注射ちゅうしゃ

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表皮ひょうひ真皮しんぴあいだ薬液やくえき投与とうよする。ツベルクリン反応はんのうプリックテストなど検査けんさもちいられる。投与とうよりょうは0.1 - 0.2 mLと少量しょうりょう

皮下ひか注射ちゅうしゃ

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皮下ひか組織そしき薬液やくえき投与とうよする。はり皮膚ひふたいしてななめにす。かず mLまで投与とうよできる。有効ゆうこう成分せいぶん比較的ひかくてき緩徐かんじょ吸収きゅうしゅうされる。吸収きゅうしゅう毛細血管もうさいけっかんりゅう影響えいきょうされるため、血管けっかん収縮しゅうしゅくやく併用へいようすると吸収きゅうしゅう遅延ちえんする。

筋肉きんにくない注射ちゅうしゃ

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筋肉きんにくなか薬液やくえき投与とうよする。すじちゅうえい: intramuscular: IM)とりゃくされる。はり皮膚ひふたい垂直すいちょくちか角度かくどす。かず mLまで投与とうよできる。一般いっぱん皮下ひか注射ちゅうしゃより有効ゆうこう成分せいぶん吸収きゅうしゅうはやい。筋肉きんにく発達はったつ小児しょうにへの筋肉きんにく注射ちゅうしゃ大腿だいたい四頭筋拘縮症原因げんいんひとつといわれている。また、筋肉きんにくないには神経しんけい動脈どうみゃくはしっているので投与とうよさい損傷そんしょうける必要ひつようがある。

静脈じょうみゃくない注射ちゅうしゃ

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薬液やくえき直接ちょくせつ静脈じょうみゃくうち投与とうよする。せいちゅうえい: intravenous: IV)とりゃくされる。皮下ひか注射ちゅうしゃ筋肉きんにくない注射ちゅうしゃのような容量ようりょう制限せいげんがなく、効果こうか発現はつげんはやい。100 mL 以上いじょう水分すいぶん栄養素えいようそ投与とうよなどを目的もくてきとするものは一般いっぱんに『輸液』とばれている。少量しょうりょういち投与とうよする場合ばあいには注射ちゅうしゃもちいるが、50 mLをえる場合ばあいには点滴てんてき投与とうよする。輸液ポンプを使つかって長時間ちょうじかん一定いってい速度そくど投与とうよする方法ほうほうもある。一般いっぱんてきには末梢まっしょう静脈じょうみゃく投与とうよするが、こうカロリー輸液中心ちゅうしん静脈じょうみゃく投与とうよする。

その

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抗癌剤こうがんざいなどを直接ちょくせつ病巣びょうそう到達とうたつさせる動脈どうみゃくうち注射ちゅうしゃや、脊椎せきつい麻酔ますいさいおこなわれる脊髄せきずい腔内注射ちゅうしゃ若齢じゃくれい動物どうぶつしょう動物どうぶつたいしておこなわれる腹腔ふくこうない注射ちゅうしゃなどがある。

注射ちゅうしゃによる健康けんこう被害ひがい

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注射ちゅうしゃ注射ちゅうしゃざいそのものの副作用ふくさようほかに、つぎのような健康けんこう被害ひがいこすことがられている。

感染かんせんしょう
日本にっぽんでは予防よぼう接種せっしゅさいに、注射ちゅうしゃ注射ちゅうしゃはり交換こうかんしないで連続れんぞくもちいたことにより、肝炎かんえんウイルスによる集団しゅうだん感染かんせんこした[3]日本にっぽんでは1988ねん昭和しょうわ63ねん以降いこう集団しゅうだん予防よぼう接種せっしゅ注射ちゅうしゃ交換こうかんするようになったが、世界せかいでは21世紀せいきになっても、安全あんぜん注射ちゅうしゃ使用しようされないことで、注射ちゅうしゃ原因げんいんとする感染かんせんしょう拡大かくだいられている[4]
また医療いりょう関係かんけいしゃが、使用しよう注射ちゅうしゃはりあつかいをあやまり、自分じぶんして肝炎かんえんウイルスに感染かんせんする『針刺はりさ事故じこ』も報告ほうこくされている。薬物やくぶつ乱用らんようもの注射ちゅうしゃ使つかまわしすることによる、ヒト免疫めんえき不全ふぜんウイルス(HIV)などの感染かんせんしょう拡大かくだい危惧きぐされている。
大腿だいたい四頭筋拘縮症
乳児にゅうじたいし、大腿だいたいへの筋肉きんにく注射ちゅうしゃしきかいおこなうことにより、細胞さいぼう壊死えしきる。

派生はせいした俗語ぞくご

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  • 大相撲おおずもうにおける八百長やおちょうを「注射ちゅうしゃ」という隠語いんご表現ひょうげんする。てば(たのめば)すぐく(てる)ということから。元来がんらいこの隠語いんご確実かくじつ賭博とばくつように便宜べんぎはか目的もくてきけの対象たいしょうとなる競技きょうぎとう結果けっか八百長やおちょう操作そうさすることをしていたが、いつしか相撲すもう用語ようごになった。
  • パチスロ3号機ごうき時代じだいには、内部ないぶ基盤きばんのうちの特定とくていRAM部品ぶひんうえにさらにかさねるかたちでのアダプターをけ、本来ほんらいならどおりきょう認可にんかされていないプログラム無断むだんむ(上書うわがきする)行為こういを、パチンコ業界ぎょうかい・およびファンなどは注射ちゅうしゃんでいた。注射ちゅうしゃおこなうとおおくの場合ばあいだいれんチャンだいハマリといったあらっぽい内容ないようのゲームせいになる。もちろん、違法いほう行為こういである。

脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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