L.H.O.O.Q.

『L.H.O.O.Q.』

作者さくしゃ	マルセル・デュシャン
製作せいさく年ねん	1919年ねん
種類しゅるい	紙かみに鉛筆えんぴつ
寸法すんぽう	19.7 cm × 12.4 cm (7.8 in × 4.9 in)

『L.H.O.O.Q.』（フランス語ふらんすご発音はつおん: [el aʃ o o ky]、エラショオキュ）とは、マルセル・デュシャンが1919年ねんに発表はっぴょうした芸術げいじゅつ作品さくひん。レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』を複製ふくせいした安価あんかな絵葉書えはがきに、デュシャン自みずからが鉛筆えんぴつで口くちひげやあごひげを描えがき加くわえ、題名だいめいを付ふしたものである。

これ以前いぜんにも日常にちじょう品ひんを加工かこうすることで芸術げいじゅつ品しなに仕立したてて上あげるか、（『泉いずみ』のように）単たんに名前なまえを変かえた上うえで画廊がろうに飾かざったことでも知しられ、本ほん作さくもこうしたレディ・メイド路線ろせんの延長線えんちょうせん上じょうに位置付いちづけられている。

概要がいよう

レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』

題名だいめいをフランス語ふらんすごで発音はつおんすると「エラ・ショ・オ・キュ（èlacho o ku）」となり、「Elle a chaud au cul（「彼女かのじょはお尻しりが熱あつい」、つまり「性的せいてきに興奮こうふんした女性じょせい」といった意味いみ）という文章ぶんしょうになる。この解釈かいしゃくは後年こうねんのインタビューでデュシャンも支持しじする所ところであり、「下したに火ひが付ついている」位いの解釈かいしゃくで良よいとしている。

ウジェーヌ・バタイユによる『パイプをふかすモナリザ』(1887)

数すう多おおくの既製きせい品ひんの場合ばあいと同様どうよう、デュシャンは生涯しょうがいにわたり本ほん作さくの様々さまざまなサイズの複製ふくせいを様々さまざまなメディアで発表はっぴょう。その1つがカードに『モナリザ』のモノクロ複製ふくせいを貼はっただけの、『ひげを剃すったL.H.O.O.Q.』という作品さくひんである。男性だんせい化かした女性じょせいは「性せいの逆転ぎゃくてん」というテーマを取とり入いれており、女性じょせい風ふうの筆名ひつめい「ローズ・セラヴィ（Rrose Sélavy、フランス語ふらんすごで「エロス、それは人生じんせい」の意い）」を用もちいていたデュシャンにとって馴染なじみ深ふかいものであった。

ロンダ・ローランド・シェーラーによると、完全かんぜんなレディメイドというわけではなく、デュシャン自身じしんの顔かおを一部いちぶモデルにしているという。

バージョン

• 1919年版ねんばん - ポンピドゥー・センター内うちの国立こくりつ現代げんだい美術館びじゅつかんに所蔵しょぞう。
• 1920年ねん版はん - 現在げんざい行方ゆくえ不明ふめい。
• 1930年ねん版はん - 大判おおばんの複製ふくせい。パリの個人こじん所蔵しょぞう。
• 1940年ねん版はん - 現物げんぶつのカラー複製ふくせい。1981年ねん盗難とうなんに遭あい、以後いご行方ゆくえ不明ふめい。
• 1958年ねん版はん - バルセロナのアントニ・タピエスコレクション所蔵しょぞう。
• 1960年ねん版はん - 木き板ばんに油彩ゆさい。ニューヨークのドロテア・タニングのコレクション所蔵しょぞう。
• 1964年ねん版はん - ミラノのアルトゥロ・シュヴァルツのコレクション所蔵しょぞう。
• 1965年ねん版はん - 所謂いわゆる「ひげを剃すったL.H.O.O.Q.」。デュシャンが知人ちじんに配くばったディナーの招待しょうたい状じょうに貼付ちょうふ

関連かんれん項目こうもく

• レディメイド
• 落書らくがき
• パロディ
• ダダイスム
• ステレオ太陽たいよう族ぞく

外部がいぶリンク

• http://www.toutfait.com/unmaking_the_museum/LHOOQ.html
• L.H.O.O.Q.--Internet-Related Derivative Works, http://docs.law.gwu.edu/facweb/claw/lhooq0.htm