教育きょういく楽器がっき

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教育きょういく楽器がっき(きょういくがっき、教育きょういくよう楽器がっき)は、楽器がっき慣用かんようてき分類ぶんるいひとつで、日本にっぽん幼稚園ようちえん小中学校しょうちゅうがっこうにおける正課せいか音楽おんがく教育きょういくで、児童じどう生徒せいと演奏えんそう学習がくしゅうのために使つかわれる楽器がっきす。

概要がいよう[編集へんしゅう]

語義ごぎ[編集へんしゅう]

教育きょういくよう楽器がっき(教育きょういく楽器がっき)とは、学校がっこう教育きょういくほうさだめる学校がっこう音楽おんがく教育きょういく使用しようする楽器がっきをいう[1]

歴史れきし[編集へんしゅう]

むかし日本にっぽん初等しょとう教育きょういくにおける音楽おんがく教育きょういくは、昭和しょうわ16ねん(1941)まで教科きょうかめいを「唱歌しょうか」としょうしたとおり歌唱かしょう中心ちゅうしん主義しゅぎすすめられ、教育きょういく楽器がっきといえばほとんど教師きょうししめせはん伴奏ばんそう使用しようするオルガンやピアノであった[2]昭和しょうわ33ねん(1958)のだい2学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう改訂かいていにより、生徒せいとたいする器楽きがく教育きょういく法的ほうてき拘束こうそくりょくをもっておこなわれるようになり、また楽器がっき業界ぎょうかいはたらきかけもあって教育きょういく楽器がっき普及ふきゅうするようになった[3]

昭和しょうわ30年代ねんだいから、学童がくどうの「個人こじんちの楽器がっき」としての教育きょういく楽器がっき普及ふきゅうした一因いちいんは、当時とうじ児童じどうすう年々ねんねん急増きゅうぞうし、小学校しょうがっこう備品びひん音楽おんがくしついつかず、音楽おんがく授業じゅぎょう一部いちぶ音楽おんがくしつ以外いがいおこな必要ひつようがあったからである[4]

教育きょういく楽器がっき条件じょうけん種類しゅるい[編集へんしゅう]

教育きょういく楽器がっき種類しゅるい時代じだいごとにうつわりがある。2018ねん現在げんざいでは、一般いっぱん鍵盤けんばんハーモニカリコーダーハーモニカカスタネットタンバリンオカリナ木琴もっきんてつきん電子でんし楽器がっき合奏がっそうようアコーディオン、などが教育きょういく楽器がっきとして認知にんちされている。[5][6]

教育きょういく楽器がっきは、正課せいか教育きょういく一斉いっせい授業じゅぎょう使つかわれる。音楽おんがく得意とくいではない児童じどう演奏えんそうする機会きかいおお楽器がっきである。たとえばプラスチックせいのリコーダーは、音楽おんがく興味きょうみ関心かんしんのない小学生しょうがくせい購入こうにゅうして所持しょじすることがおおい。楽器がっきメーカーや楽器がっきしょうにとっては、教育きょういく楽器がっきは、まい年度ねんど安定あんていした需用じゅよう見込みこめる商品しょうひんとなっている。

教育きょういく楽器がっき条件じょうけんとしては、小学校しょうがっこうてい学年がくねん児童じどうちいさなうででもまわしがらく安全あんぜんあつかえること、教科書きょうかしょっている簡単かんたんきょく演奏えんそうできること、合奏がっそう可能かのうであること、価格かかくたかすぎず調達ちょうたつ容易よういであること、こわれにくくメンテナンス(湿気しっけ対策たいさくなど)も簡単かんたんであること、などがある。

教育きょういく楽器がっき生産せいさん販売はんばいをしているおも楽器がっきメーカー[編集へんしゅう]

その

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 文部省もんぶしょう教育きょういくよう楽器がっき基準きじゅん解説かいせつ』(大蔵省おおくらしょう印刷いんさつきょく、1958ねん)p.24およびp.181
  2. ^ 文部省もんぶしょう教育きょういくよう楽器がっき基準きじゅん解説かいせつ』(大蔵省おおくらしょう印刷いんさつきょく、1958ねん)p.23
  3. ^ 塚本つかもと宏子ひろこ芸術げいじゅつ教育きょういくとしての音楽おんがく教育きょういく(1)」(『聖母女学院短期大学せいぼじょがくいんたんきだいがく研究けんきゅう紀要きよう』38しゅう、2009)p.43
  4. ^ 筒井つついはる小学校しょうがっこう教育きょういく鍵盤けんばんハーモニカの普及ふきゅうみちびいた楽器がっき製造せいぞう会社かいしゃ戦略せんりゃく : 1960~70年代ねんだいにおける音楽おんがく教育きょういく雑誌ざっし広告こうこく記事きじ着目ちゃくもくして」、『人間にんげん教育きょういくがく研究けんきゅう』(日本人にっぽんじんあいだ教育きょういく学会がっかい 2016ねん12がつ)pp.135-144
  5. ^ 文部もんぶ科学かがくしょう指導しどう要領ようりょうでは、音楽おんがく授業じゅぎょうあつかうべき楽器がっき種類しゅるい名称めいしょうげている。以下いか文部もんぶ科学かがくしょう小学校しょうがっこう学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう 」「だい2しょう かく教科きょうか だい6せつ 音楽おんがく」「だい3 指導しどう計画けいかく作成さくせい内容ないよう取扱とりあつかい」2.(4) より引用いんよう
    (引用いんよう開始かいし太字ふとじ筆者ひっしゃ)
    2.(4) かく学年がくねんの「A表現ひょうげん」の(2)の楽器がっきについては,つぎのとおりあつかうこと。
    ア かく学年がくねんげる打楽器だがっきは,木琴もっきんてつきん和楽わらくしょ外国がいこくつたわる様々さまざま楽器がっきふくめて,演奏えんそう効果こうか学校がっこう児童じどう実態じったい考慮こうりょして選択せんたくすること。
    イ だい1学年がくねんおよだい2学年がくねんげる身近みぢか楽器がっきは,様々さまざま打楽器だがっきオルガンハーモニカなどのなかから学校がっこう児童じどう実態じったい考慮こうりょして選択せんたくすること。
    ウ だい3学年がくねんおよだい4学年がくねんげる旋律せんりつ楽器がっきは,既習きしゅう楽器がっきふくめて,リコーダーかぎ(けん)ばん楽器がっきなどのなかから学校がっこう児童じどう実態じったい考慮こうりょして選択せんたくすること。
    エ だい5学年がくねんおよだい6学年がくねんげる旋律せんりつ楽器がっきは,既習きしゅう楽器がっきふくめて,電子でんし楽器がっき和楽わらくしょ外国がいこくつたわる楽器がっきなどのなかから学校がっこう児童じどう実態じったい考慮こうりょして選択せんたくすること。
    (引用いんよう終了しゅうりょう)
    出典しゅってん https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/on.htm (2016-2-7閲覧えつらん)
  6. ^  民間みんかん楽器がっき販売はんばい業者ぎょうしゃにおける「教育きょういく楽器がっき」の用例ようれいげると、島村しまむら楽器がっきのホームページの一部いちぶ新入学しんにゅうがく応援おうえん教育きょういく楽器がっきフェア開催かいさいちゅう安心あんしん楽器がっき専門せんもんてん」には「幼稚園ようちえん保育園ほいくえん小学校しょうがっこう中学校ちゅうがっこう使用しようされる…鍵盤けんばんハーモニカ/ハーモニカ/リコーダー/カスタネット/など(以下いかりゃく)」(2015-6-18閲覧えつらん)をげている。SUZUKI(鈴木すずき楽器がっき製作所せいさくしょ鈴木すずき楽器がっき販売はんばいなどの会社かいしゃふく企業きぎょうグループ)の「2015年度ねんど スズキ教育きょういくよう楽器がっき総合そうごうカタログ」(2015-6-18閲覧えつらん)では、メロディオン(鍵盤けんばんハーモニカ)、ハーモニカ、アコーディオン、リコーダーのほか、「オルガン/電子でんし楽器がっき」「木琴もっきん/てつきん」「和楽わらくふくんでいる。