ヴァレ・ド・メ自然しぜん保護ほご区く

フタゴヤシの木きとその実み

ヴァレ・ド・メ自然しぜん保護ほご区く （セーシェル）
ヴァレ・ド・メ（メ渓谷けいこく）
英名えいめい	Vallée de Mai Nature Reserve
仏ふつ名めい	Réserve naturelle de la vallée de Mai
面積めんせき	0.18 km2
登録とうろく区分くぶん	自然しぜん遺産いさん
IUCN分類ぶんるい	種たねと生息せいそく地ち管理かんり地域ちいき (IV)
登録とうろく基準きじゅん	(7), (8), (9), (10)
登録とうろく年ねん	1983年ねん
公式こうしきサイト	世界せかい遺産いさんセンター（英語えいご）
地図ちず
使用しよう方法ほうほう・表示ひょうじ

フタゴヤシからのぞく木洩こもれ日び

ヴァレ・ド・メ渓谷けいこく自然しぜん保護ほご区くは、セーシェルの島々しまじまの中なかで2番目ばんめの大おおきさを持もつプララン島とう（Praslin, プラスリン島とう）にある自然しぜん保護ほご区く。世界せかい最大さいだいのヤシの実みをつける、30mの高たかさに成長せいちょうするココ・デ・メール（フタゴヤシ、オオミヤシともいう）が群生ぐんせいする原生げんせいヤシ林りんが残のこっており、珍めずらしい動植物どうしょくぶつが息いきづいている。1983年ねんにユネスコの世界せかい遺産いさんに登録とうろくされた。なお、ヴァレ・ド・メは「5月がつの谷たに」の意味いみであり、「メ渓谷けいこく」「メイ渓谷けいこく」とも表記ひょうきされる（後者こうしゃはフランス語ふらんすご読よみとしては不適切ふてきせつである）。

ヴァレ・ド・メには、フタゴヤシが4000 - 5000本ほん自生じせいしており、これは全ぜん世界せかいの生育せいいく数すうのおよそ四よん分ぶんの一いちにあたっている。フタゴヤシの実じつは直径ちょっけい55cm、重おもさ20kgにまで成長せいちょうするが、女性じょせいの下腹かふく部ぶに似にたその独特どくとくの形状けいじょうから、古来こらい様々さまざまな俗説ぞくせつを生うみ出だしてきた。現在げんざい、この保護ほご区内くないでこれを採取さいしゅすることは禁止きんしされているが、不正ふせいな採取さいしゅがあとを絶たたない。

このほかDeckenia nobilis、キリンヤシ、タケウマキリンヤシ、Nephrosperma vanhoutteanum、Roscheria melanochaetesなど5種類しゅるいのヤシと28種しゅの植物しょくぶつが固有こゆう種しゅである。鳥類ちょうるいではセーシェルインコ、セーシェルルリバト、セーシェルヒヨドリ、セーシェルタイヨウチョウ、セーシェルアナツバメ、ショクヨウアナツバメが生息せいそくする。また、カメレオンのタイガーカメレオンやヤモリのブロンズヤモリ属ぞく（セーシェルブロンズヤモリ、コガタブロンズヤモリ、オオブロンズヤモリの3種しゅ）、セーシェルマブヤトカゲ、Janetaescincus braueri、Pamelaescincus gardineri、ヒルヤモリ属ぞく（Phelsuma astriata、サンドバーグヒルヤモリ）などの爬虫類はちゅうるい、樹き上生わぶのカエル（セーシェルコオイガエルなど）やアシナシイモリ（セーシェルアシナシイモリ属ぞく）などの両生類りょうせいるい、淡水魚たんすいぎょ（Pachypanchax playfairiiなど）および多おおくの無む脊椎動物せきついどうぶつも生息せいそくしている。

この島しま特有とくゆうの美うつくしさは、イギリスの詩人しじんアトール・トーマスが、『忘わすれられた楽園らくえん』のなかで賞賛しょうさんしている。

登録とうろく基準きじゅん

この世界せかい遺産いさんは世界せかい遺産いさん登録とうろく基準きじゅんのうち、以下いかの条件じょうけんを満みたし、登録とうろくされた（以下いかの基準きじゅんは世界せかい遺産いさんセンター公表こうひょうの登録とうろく基準きじゅんからの翻訳ほんやく、引用いんようである）。

• (7) ひときわすぐれた自然しぜん美び及および美的びてきな重要じゅうよう性せいをもつ最高さいこうの自然しぜん現象げんしょうまたは地域ちいきを含ふくむもの。
• (8) 地球ちきゅうの歴史れきし上じょうの主要しゅような段階だんかいを示しめす顕著けんちょな見本みほんであるもの。これには生物せいぶつの記録きろく、地形ちけいの発達はったつにおける重要じゅうような地学ちがく的てき進行しんこう過程かてい、重要じゅうような地形ちけい的てき特性とくせい、自然しぜん地理ちり的てき特性とくせいなどが含ふくまれる。
• (9) 陸上りくじょう、淡水たんすい、沿岸えんがんおよび海洋かいよう生態せいたい系けいと動植物どうしょくぶつ群集ぐんしゅうの進化しんかと発達はったつにおいて進行しんこうしつつある重要じゅうような生態せいたい学がく的てき、生物せいぶつ学がく的てきプロセスを示しめす顕著けんちょな見本みほんであるもの。
• (10) 生物せいぶつ多様たよう性せいの本来ほんらい的てき保全ほぜんにとって、もっとも重要じゅうようかつ意義いぎ深ふかい自然しぜん生息せいそく地ちを含ふくんでいるもの。これには科学かがく上じょうまたは保全ほぜん上じょうの観点かんてんから、すぐれて普遍ふへん的てき価値かちを持もつ絶滅ぜつめつの恐おそれのある種しゅの生息せいそく地ちなどが含ふくまれる。

参考さんこう文献ぶんけん

• ユネスコ世界せかい遺産いさんセンター（監修かんしゅう）『ユネスコ世界せかい遺産いさん (12) 中央ちゅうおう・南みなみアフリカ』講談社こうだんしゃ、1997年ねん
• 中川なかがわ武たけし 三宅みやけ理一りいち 山田やまだ幸正ゆきまさ（監修かんしゅう）『世界せかい遺産いさんを旅たびする・第だい12巻かん（エジプト・アフリカ）』近畿日本きんきにっぽんツーリスト、1999年ねん