不ふ均ひとし化か

不ふ均ひとし化か（ふきんか、英語えいご：disproportionation reaction）とは、同どう一いち種類しゅるいの化学かがく種しゅ（多おおくの場合ばあいは分子ぶんし）が2個こ以上いじょう互たがいに反応はんのうして2種類しゅるい以上いじょうの異ことなる種類しゅるいの生成せいせい物ぶつを与あたえる化学かがく反応はんのうのこと。不ふ均ひとし化かの逆ぎゃく反応はんのうは均等きんとう化かである。

化学かがく反応はんのう式しきで記述きじゅつするとnを2以上いじょうとして

{\rm {nA\longrightarrow B+C+\cdots }}

で表あらわされる反応はんのうのことである。場合ばあいによっては他たの物質ぶっしつが関与かんよすることもある。

まず、A のうちある分子ぶんしが酸化さんか剤ざい、別べつの分子ぶんしが還元かんげん剤ざいとして反応はんのうし、酸化さんかされた B と還元かんげんされた C を与あたえるタイプの反応はんのうがある。例たとえば塩素えんそ酸さんカリウムは 400 ℃ 以上いじょうで過か塩素えんそ酸さんカリウムと塩化えんかカリウムに不ふ均ひとし化かする。

{\rm {4KClO_{3}\longrightarrow 3KClO_{4}+KCl}}

この反応はんのうでは 3分子ぶんしの塩素えんそ酸さんイオンが還元かんげん剤ざいとして働はたらいて+V価あたいから+VII価かへ酸化さんかされ、1分子ぶんしの塩素えんそ酸さんイオンは酸化さんか剤ざいとして働はたらいて+V価あたいから−I価あたいへ還元かんげんされている。

カニッツァロ反応はんのうでは2分子ぶんしのアルデヒドから酸化さんかされたカルボン酸さん塩しおと還元かんげんされたアルコールそれぞれ1分子ぶんしが生成せいせいする。

{\rm {2RCHO+NaOH\longrightarrow RCH_{2}OH+RCOONa}}

アルコキシドを触媒しょくばいとすると、エステル化かまで進すすむ。これをティシチェンコ反応はんのうと呼よび、酢酸さくさんエチルや安息香あんそくこう酸さんベンジルの製法せいほうとなっている。

{\rm {2RCHO+RONa\longrightarrow RCOOCH_{2}R+RONa}}

ラジカル連鎖れんさ反応はんのうの終止しゅうし反応はんのうとして1分子ぶんしのラジカルがもう1分子ぶんしのラジカルから原子げんし団だん(通常つうじょうは水素すいそ原子げんし)を引ひき抜ぬいてそれぞれ飽和ほうわ化合かごう物ぶつと不ふ飽和ほうわ化合かごう物ぶつとなりラジカルが消滅しょうめつする反応はんのうがある。

{\rm {2RCH_{2}CH_{2}\cdot \longrightarrow RCH_{2}CH_{3}+RCH=CH_{2}}}

一方いっぽうのラジカルは水素すいそを失うしなって、もう一方いっぽうのラジカルは水素すいそを得えているので、この反応はんのうも酸化さんか還元かんげん反応はんのうである。

スーパーオキシドジスムターゼは生体せいたい内ないで発生はっせいする活性かっせい酸素さんその一ひとつであるスーパーオキシドアニオンラジカルを不ふ均ひとし化かさせて過酸化水素かさんかすいそと酸素さんそに変換へんかんしている。

{\rm {2O_{2}^{-}+2H^{+}\longrightarrow H_{2}O_{2}+O_{2}}}

また、同どう一いち種類しゅるいの2分子ぶんしの間あいだで原子げんし団だんを交換こうかんした結果けっか、異ことなる2つの生成せいせい物ぶつとなり不ふ均ひとし化かすることもある。例たとえば非対称ひたいしょうなジスルフィドは塩基えんき触媒しょくばいにより対称たいしょうなジスルフィドへと不ふ均ひとし化かする。

{\rm {2R^{1}SSR^{2}\longrightarrow R^{1}SSR^{1}+R^{2}SSR^{2}}}

生体せいたい内ないにはトランスフェラーゼと呼よばれるある原子げんし団だんをある基質きしつから別べつの基質きしつに転移てんいさせる酵素こうそが存在そんざいするが、転移てんい元もとと転移てんい先さきが同一どういつの物質ぶっしつであるならこの反応はんのうは不ふ均ひとし化か反応はんのうとなる。このような反応はんのうを行おこなう酵素こうそとしては、デキストリン間あいだで糖とう鎖くさりの転移てんいを行おこなうデキストリングリコシルトランスフェラーゼが知しられている。

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