中川なかがわ運河うんが


ミッドランドスクエアから見下みおろす中川なかがわ運河うんがと名古屋なごや港こう（2015年ねん（平成へいせい27年ねん）11月がつ）		長良ながら橋きょう上じょうより上流じょうりゅう側がわを望のぞむ（2021年ねん（令れい和わ3年ねん）10月がつ）

中川なかがわ運河うんが（なかがわうんが）は、愛知あいち県けん名古屋なごや市し港みなと区くの名古屋なごや港こうから、中川なかがわ区くの旧きゅう国鉄こくてつ笹島ささじま貨物かもつ駅えき（1986年ねん（昭和しょうわ61年ねん）11月1日にち廃止はいし）^[1]の間あいだを結むすぶために掘ほられた運河うんが^[2]。昭和しょうわ時代じだい初頭しょとうから昭和しょうわ30年代ねんだい頃ごろまで、名古屋なごや地域ちいきにおける中心ちゅうしん的てきな水上すいじょう輸送ゆそう路ろとして活用かつようされた。

2017年ねん（平成へいせい29年ねん）10月がつ8日にちから、中川なかがわ運河うんがにおいて名古屋なごやの都心としんと「みなとエリア」とを結むすぶ水上すいじょう交通こうつう「クルーズ名古屋なごや」の定期ていき運航うんこうが開始かいしされた^[3]。名古屋なごや市しは運河うんがとその岸辺きしべの環境かんきょう改善かいぜんと再さい開発かいはつも進すすめている^[4]。

概要がいよう

中川なかがわ運河うんが付近ふきんにはかつて中川なかがわ（笈瀬おいせ川がわ）と呼よばれる川かわが流ながれており^[5]、悪あく水みずの排出はいしゅつがなされていた。名古屋なごや城じょう築城ちくじょうの際さいには石垣いしがきに使つかう石いしの輸送ゆそうを行おこなったともいわれる。

大正たいしょう時代じだいになると名古屋なごや港こうが国際こくさい貿易ぼうえき港こうとなるためには鉄道てつどうで運はこばれた貨物かもつを港みなとまで運はこぶための運河うんがが必要ひつようであると考かんがえられるようになり、既存きそんの水上すいじょう輸送ゆそう路ろである堀川ほりかわによる輸送ゆそうにも輸送ゆそうキャパシティの問題もんだいが生しょうじていたことから、名古屋なごや市し都市とし計画けいかく事業じぎょうの一環いっかんとして中川なかがわ運河うんがの建設けんせつを決定けっていした。1926年ねん（大正たいしょう15年ねん）に起工きこうされ、1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）に竣工しゅんこうする^[6]。名古屋なごや港こうにある3メートル弱じゃくの潮しおの干満かんまん差さによる水位すいい変化へんかの影響えいきょうを避さけるため、中ちゅう川口かわぐち閘門を作つくった。並行へいこうして流ながれる堀川ほりかわは中川なかがわ運河うんがより水位すいいが高たかいが、東ひがし支線しせんに松重まつしげ閘門を設もうけて連結れんけつした（1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）供用きょうよう開始かいし、1968年ねん（昭和しょうわ43年ねん）閉鎖へいさ、1976年ねん（昭和しょうわ51年ねん）廃止はいし）。また、荒子あらこ川がわを運河うんが化かしてそれと接続せつぞくする計画けいかくも立たてられた（1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）事業じぎょう着手ちゃくしゅ、1979年ねん（昭和しょうわ54年ねん）計画けいかく廃止はいし）。

しかし中川なかがわ運河うんがには水源すいげんといえるものが存在そんざいしておらず、1926年ねん（大正たいしょう15年ねん）にし尿にょうを下水げすい管かんに流ながして堀川ほりかわなどへ放流ほうりゅうするようになっていたため、堀川ほりかわと接続せつぞくする中川なかがわ運河うんがも同様どうように水質すいしつが悪化あっか^[7]。これを改善かいぜんすべく1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）3月がつに名古屋なごや港こう（中ちゅう川口かわぐち）から取水しゅすいした海水かいすいを松重まつしげポンプ所しょから導水どうすいする浄化じょうか実験じっけんが行おこなわれて急速きゅうそくに水質すいしつが改善かいぜんした記録きろくが残のこり^[6]、現在げんざいも1日にちあたり7万まん立方りっぽうメートルの導水どうすいが行おこなわれている^[2]。

1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）の第だい5回かい国民こくみん体育たいいく大会たいかいでは漕艇そうてい競技きょうぎが行おこなわれるなどしたものの^[6]、高度こうど経済けいざい成長せいちょうに伴ともなう沿線えんせんの人口じんこう増加ぞうかなどもあって昭和しょうわ40年代ねんだいには再ふたたび水質すいしつが悪化あっか^[2]、ヘドロが大量たいりょうに蓄積ちくせきしたドブ川がわとなってしまった。その後ごは下水道げすいどうの整備せいびや排水はいすい規制きせい、ヘドロの除去じょきょを行おこなった結果けっか、少すこしではあるが水質すいしつは改善かいぜんされている。

1982年ねん（昭和しょうわ57年ねん）の映画えいが『泥どろの河かわ』は中川なかがわ運河うんがでロケが行おこなわれた^[8]。

全長ぜんちょう：8.4キロメートル（1930年ねん当時とうじは7.1キロメートル）
幅はば：36メートルから91メートル（随所ずいしょで異ことなる）
水深すいしん：1.2メートルから3.6メートル（随所ずいしょで異ことなる）

「中川なかがわ運河うんが水辺みずべ再生さいせいへの挑戦ちょうせん（魅力みりょくある水辺みずべ空間くうかんの創出そうしゅつ）」で平成へいせい26年ねん度ど国土こくど交通省こうつうしょう手てづくり郷土きょうど賞しょう受賞じゅしょう^[9]。2020年ねん（令れい和わ2年ねん）に土木どぼく学会がっかい選奨せんしょう土木どぼく遺産いさんに選えらばれる^[10]。

環境かんきょうの悪化あっかと改善かいぜんへの取とり組くみ

名古屋なごや市しでは、以前いぜんから中川なかがわ運河うんがの水質すいしつ改善かいぜんなどに取とり組くんでいるが、毎年まいとし、数すう千せんから数すう十じゅう万まん匹ひきの死し魚ぎょの発生はっせいが確認かくにんされている。2006年ねん（平成へいせい18年ねん）の名古屋なごや市し環境かんきょう局きょくの調査ちょうさでは、夏期かきに上層じょうそう水温すいおんが上昇じょうしょうすることで比重ひじゅうや塩分えんぶん濃度のうどの違ちがいが大おおきくなり、上うえ・下層かそうの攪拌が少すくなくなるのに加くわえて、プランクトンの死骸しがいを分解ぶんかいする細菌さいきんの活動かつどうが活発かっぱつ化かして下部かぶの溶存ようぞん酸素さんそ量りょうが減少げんしょうすることなどが原因げんいんと考かんがえられている^[11]。なお、2021年ねん（令れい和わ3年ねん）の死し魚ぎょ発生はっせい数すうは減少げんしょう傾向けいこうにある^[12]。

2004年ねん（平成へいせい16年ねん）から改築かいちく工事こうじによって運転うんてんを停止ていししていた露橋つゆはし水みず処理しょりセンターが2017年ねん（平成へいせい29年ねん）には再さい稼働かどうしたものの、根本こんぽん的てきな水質すいしつ改善かいぜんには至いたっていない^[13]。

橋梁きょうりょう

堀ほり止とめのある愛知あいち県けん名古屋なごや市し中川なかがわ区く運河うんが町まちから河口かこうの名古屋なごや港こうまでの8.4キロメートル間あいだに14本ほんの橋はしが架かかる。また堀川ほりかわへの運河うんがには3つの橋はしと、JR東海とうかいの東海道新幹線とうかいどうしんかんせん・東海道本線とうかいどうほんせん・中央ちゅうおう本線ほんせんと名鉄めいてつの名古屋なごや本線ほんせんの高架こうか橋きょうが架かかっている。