(Translated by https://www.hiragana.jp/)
二十年後 (オー・ヘンリーの小説) - Wikipedia コンテンツにスキップ

じゅうねん (オー・ヘンリーの小説しょうせつ)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
"じゅうねん"
著者ちょしゃ オー・ヘンリー
原題げんだい "After Twenty Years"
くに アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
言語げんご 英語えいご
ジャンル 短編たんぺん小説しょうせつ
収録しゅうろく The Four Million
出版しゅっぱん形態けいたい アンソロジー
出版しゅっぱん 1906ねん4がつ10日とおか
テンプレートを表示ひょうじ

じゅうねん(にじゅうねんご、英語えいご: After Twenty Years)は、オー・ヘンリー短編たんぺん小説しょうせつ[1]初出しょしゅつ1906ねん刊行かんこう短編たんぺん小説しょうせつしゅうよんひゃくまん英語えいごばん [1]

あらすじ[編集へんしゅう]

ボブとジミー・ウェルズはある場所ばしょで20ねん再会さいかいする約束やくそくをした[2][3]。ボブがっていると夜中よなか巡回じゅんかいなか警察官けいさつかんがやってきて、ボブはジミーとの約束やくそく西部せいぶでの成功せいこう体験たいけんかた[3][4]警察官けいさつかんったのち、 ジミーとおぼしきたかおとこあらわれ、2人ふたりともあるはじめるが、あかるい場所ばしょたところでボブはたかおとこがジミーではないことに気付きづ[3][4]たかおとこ正体しょうたい警察官けいさつかんであり、指名しめい手配てはいされていたボブを逮捕たいほしにたのであった[3][4]警察官けいさつかんがボブに手渡てわたした手紙てがみから、最初さいしょあらわれた警察官けいさつかんがジミーであり、ボブが指名しめい手配てはいはんであることに気付きづいたが自身じしん旧友きゅうゆう逮捕たいほしたくなかったため、べつ私服しふく警官けいかん派遣はけんしたことがかされる[3][4]

作品さくひん解釈かいしゃく[編集へんしゅう]

作中さくちゅうでは、堅実けんじつ人生じんせいあゆんだジミーにたいしては批判ひはんであるのにたいして、犯罪はんざいはしったボブにたいしては鉄槌てっついくだしている[5]。これはボブ個人こじん批判ひはんしたというよりはボブのような人間にんげん全体ぜんたい、すなわちほうおかしてまでアメリカン・ドリームもとめるような人間にんげん批判ひはんしたものと解釈かいしゃくできる[6]具体ぐたいてきにはどう時代じだいきたダイアモンド・ジム・ブレイディ英語えいごばん批判ひはんしたとみることができる[7]。ブレイディがボブのようにほうれたという証拠しょうこはないが、ニューヨークまれ、一代いちだいざいし、ダイヤモンド美食びしょくあいしたことが共通きょうつうしており、20ねんまえにボブとジミーが食事しょくじしたレストランが「ビッグ・ジョー・ブレイディズ」とブレイディのふくんでいること、ジムの愛称あいしょうがたの1つ「ジミー」が登場とうじょう人物じんぶつ使つかわれていることから、オー・ヘンリーがブレイディを意識いしきしていたことはうたが余地よちがない[7]当時とうじ読者どくしゃもブレイディとボブの類似るいじせい気付きづきながらんでいたとおもわれるが、この小説しょうせつ執筆しっぴつされた当時とうじブレイディは存命ぞんめいちゅうであったため、オー・ヘンリーはボブの逮捕たいほという衝撃しょうげき瞬間しゅんかんふでき、ボブないしブレイディにたいする批判ひはん一切いっさい読者どくしゃゆだねたのであった[8]。こうした拝金はいきん主義しゅぎ悪徳あくとく人物じんぶつ対極たいきょく人物じんぶつとして、地味じみながら勇気ゆうき誠実せいじつなどと表現ひょうげんすべきジミーを登場とうじょうさせ、両者りょうしゃをぶつけている[9]

意外いがい結末けつまつ(サプライズ・エンディング)は、いち間違まちがえば馬鹿馬鹿ばかばかしい読者どくしゃだましとして批判ひはんびやすいものであり、用意ようい周到しゅうとうかつ隙間すきまなく伏線ふくせんり、トリックをげ、スリルとサスペンスをてて一気いっき意外いがい事実じじつきつけ、その瞬間しゅんかん作者さくしゃ意図いと作品さくひん全体ぜんたい構成こうせい意味いみ明示めいじしなければ成立せいりつしない[10]ようするに、そのおどろきが読者どくしゃ感情かんじょううったえかけてくるだけの「情緒じょうちょてきふかみ」をもふくまなければならない[11]。こうした意味いみ金子かねこ光茂みつしげは、オー・ヘンリーは意外いがい結末けつまつ多用たようしてきたが、短編たんぺんとして世界せかいてき名声めいせい作品さくひんは『じゅうねん』のほかにないとべている[12]

メディア[編集へんしゅう]

英語えいご教材きょうざいとしての利用りよう[編集へんしゅう]

オー・ヘンリーの作品さくひん無駄むだのない状況じょうきょう描写びょうしゃ意外いがい結末けつまつ特徴とくちょうとしており、学習がくしゅうしゃ興味きょうみをひきやすい[13]日本にっぽん中等ちゅうとう教育きょういくでは『じゅうねん』が英語えいご教材きょうざいとして利用りようされ、2015ねんまでに3しゃ教科書きょうかしょ平易へいい英語えいごなおされて掲載けいさいされた[14]。また大学だいがくけの英語えいご学習がくしゅう教材きょうざいにも採用さいよう実績じっせきがあり、ちゅうして原文げんぶんのまま掲載けいさいされている[15]おおくはリーディング教材きょうざい長文ちょうぶん問題もんだい[16])としてのあつかいであるが、開拓かいたくしゃ高校こうこう英語えいご教科書きょうかしょPioneer English Iでは文法ぶんぽう単語たんごなどを総合そうごうてきまな正式せいしきとしてあつかわれた[2]授業じゅぎょう実践じっせんとしては、登場とうじょう人物じんぶつ心情しんじょう場面ばめん想像そうぞうさせるグループ学習がくしゅう事例じれい報告ほうこくされている[17]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c Gale, Cengage Learning. A Study Guide for O. Henry's "After Twenty Years". Gale, Cengage Learning. ISBN 978-1-4103-3939-3. https://books.google.com/books?id=nDq2DAAAQBAJ 
  2. ^ a b 田口たぐち 2015, p. 6.
  3. ^ a b c d e 金子かねこ 2006, pp. 80–81.
  4. ^ a b c d 田口たぐち 2015, pp. 6–10.
  5. ^ 金子かねこ 2006, p. 83.
  6. ^ 金子かねこ 2006, pp. 83–84.
  7. ^ a b 金子かねこ 2006, p. 84.
  8. ^ 金子かねこ 2006, pp. 84–85.
  9. ^ 金子かねこ 2006, p. 85.
  10. ^ 金子かねこ 2006, p. 87.
  11. ^ 金子かねこ 2006, p. 88.
  12. ^ 金子かねこ 2006, p. 80, 88.
  13. ^ 鈴木すずき赤松あかまつ小野おの 2016, p. 77.
  14. ^ 田口たぐち 2015, p. 2, 5.
  15. ^ 田口たぐち 2015, pp. 5–6.
  16. ^ 鈴木すずき赤松あかまつ小野おの 2016, pp. 79–80.
  17. ^ 鈴木すずき赤松あかまつ小野おの 2016, pp. 78–80.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 金子かねこ光茂みつしげ「サプライズ・エンディングの短篇たんぺん小説しょうせつ―O・ヘンリーの『じゅうねんに』を中心ちゅうしんに―」『大分大学おおいただいがく教育きょういく福祉ふくし科学かがく研究けんきゅう紀要きようだい28かんだい2ごう大分大学おおいただいがく教育きょういく福祉ふくし科学かがく、2006ねん10がつ、79-90ぺーじNAID 120001698342 
  • 鈴木すずき悦子えつこ赤松あかまつたけし小野おのあきら英語えいごにおけるきょうはたらけてき学習がくしゅうによる「理解りかいふかまり」について」『中学ちゅうがく教育きょういく:研究けんきゅう紀要きようだい47ごう広島大学ひろしまだいがく附属ふぞく東雲しののめ中学校ちゅうがっこう、2016ねん3がつ18にち、77-81ぺーじNAID 120005829501 
  • 田口たぐち誠一せいいち英語えいご教育きょういくにおける文学ぶんがく教材きょうざい意義いぎについて―O. Henry の"After Twenty Years" をめぐって―」『尚絅大学しょうけいだいがく研究けんきゅう紀要きよう 人文じんぶん社会しゃかい科学かがくへんだい47ごう尚絅大学しょうけいだいがく、2015ねん3がつ31にち、1-14ぺーじNAID 110009902971 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]