交換こうかん機き

交換こうかん機き（こうかんき、英えい: Switch Board, Exchange）は、多た対たい多たの電気でんき通信つうしんにおいて、発信はっしん者しゃの要求ようきゅうに従したがって伝送でんそう路ろ間あいだの接続せつぞくを切きり替かえ通信つうしん回線かいせんを構成こうせいする通信つうしん機器ききである。

交換こうかん機きの役割やくわり

交換こうかん設備せつびを用もちいず相互そうご間あいだの専用せんよう線せんのみで多た対たい多たの通信つうしんシステムを構築こうちくした場合ばあい、N個この端末たんまつを接続せつぞくするためにN×(N-1)/2本ほんの伝送でんそう路ろが必要ひつようである。例たとえば6台だいの電話機でんわきで交換こうかん機きなしに各かく電話機でんわき間あいだでの通話つうわを可能かのうにするには15本ほんの伝送でんそう路ろが必要ひつようである^[1]。端末たんまつ間あいだの伝送でんそう路ろを共用きょうようし効率こうりつを高たかめるために交換こうかん機きが使用しようされる。

最初さいしょ期きの交換こうかん機きは、電話機でんわきからダイヤルすると、そのダイヤル信号しんごうを直接ちょくせつ交換こうかん機きが受うけ、順次じゅんじ接続せつぞくしていった。この方式ほうしきは、電話でんわ番号ばんごうと発信はっしん-着信ちゃくしん間あいだの経路けいろが一対一いちたいいちとなる。そのため、途中とちゅうの経路けいろが多おおくなり、また、冗長じょうちょう性せいにも欠かけるという難点なんてんがあった。

その後ご、番号ばんごうを一旦いったん交換こうかん機きに格納かくのうし、空あきの回線かいせんを選えらぶクロスバ方式ほうしきの交換こうかん機きが利用りようされるようになった。

現在げんざいでは、交換こうかん機き間あいだは共通きょうつう線せん信号しんごう方式ほうしきという、通話つうわと制御せいぎょ信号しんごうを分離ぶんりした方式ほうしきが利用りようされている。

交換こうかん機きの種類しゅるい

非同期ひどうき伝送でんそう(ATM：Asynchronous Transfer Mode)交換こうかん機き
同期どうきデジタルヒエラルキー（SONET/SDH：Synchronous Optical Network/Synchronous Digital Hierarchy）交換こうかん機き
フレームリレー交換こうかん機き
パケット交換こうかん機き
電話でんわ交換こうかん機き

交換こうかん機きの機能きのう

次つぎのような機能きのうがある。

加入かにゅう者しゃ回線かいせん接続せつぞく機能きのう

加入かにゅう者しゃ回線かいせん接続せつぞく機能きのうは、頭文字かしらもじから「BORSCHT」^[2]と呼よばれる。

Battery feed: -48 Vで通話つうわのための電流でんりゅう供給きょうきゅうを行おこなう。
Over voltage protection: 過電圧かでんあつから加入かにゅう者しゃ回路かいろの端末たんまつを保護ほごする
Ringing: 75 V・16 Hzの呼出よびだし信号しんごうを送出そうしゅつする。
Supervision: 加入かにゅう者しゃ線せんループの開閉かいへいを監視かんしし、発はつ呼よび・ダイヤル信号しんごう受信じゅしん・終おわり話ばなしを行おこなう。
Codec (Coder / Decoder): アナログ - デジタルの相互そうご変換へんかん
Hybrid: 2線せん - 4線せんの相互そうご変換へんかん（加入かにゅう者しゃ回路かいろは導線どうせんの節約せつやくから、送話そうわ・受話じゅわを共用きょうようする2線せん式しきを採用さいようしている）
Test: 加入かにゅう者しゃ回線かいせん・通話つうわ路ろの試験しけん装置そうちへの引ひき込こみ機能きのうの提供ていきょう。

中継ちゅうけい回線かいせん制御せいぎょ機能きのう

経路けいろ選択せんたく: 伝送でんそう路ろの効率こうりつ的てきな運用うんようのために経路けいろ選択せんたくを行おこなう。
輻輳ふくそう処理しょり: 通信つうしん集中しゅうちゅう時じに優先ゆうせん通信つうしん用ようの帯域たいいきの確保かくほ、優先ゆうせん順位じゅんいの低ひくい通信つうしんの制限せいげんを行おこなう。

管理かんり機能きのう

故障こしょう検出けんしゅつ: 故障こしょうを検出けんしゅつし、代替だいたい機きへの切換きりかえ・縮退しゅくたい運転うんてん・警報けいほうを発はっするなどの動作どうさを行おこなう。
料金りょうきん計算けいさん: サービス種別しゅべつ・通信つうしん時間じかん・通信つうしん距離きょりなどを積算せきさんし料金りょうきん計算けいさんを行おこなう。

回線かいせん交換こうかんの動作どうさ

回線かいせん交換こうかんの場合ばあい次じのような動作どうさが行おこなわれる。

発はつ呼よび検出けんしゅつ
選択せんたく信号しんごう受信じゅしん
翻訳ほんやく
出で線せん選択せんたく
呼出よびだし信号しんごう送出そうしゅつ
応答おうとう検出けんしゅつ
通話つうわ路ろ形成けいせい
終おわり話ばなし検出けんしゅつ
通話つうわ路ろ開放かいほう

通話つうわ路ろ網もうの構成こうせい

通話つうわ路ろ網もうは、通信つうしん回線かいせんを相互そうご接続せつぞくし伝送でんそう情報じょうほうを通過つうかさせる回路かいろ網もうである。回路かいろの構成こうせいにより次つぎの二ふたつに分わけられる。

非ひ閉塞へいそくスイッチ回路かいろ網もう

非ひ閉塞へいそくスイッチ回路かいろ網もうは、出で線せんに空あきがあれば必かならず接続せつぞくが可能かのうな回路かいろ網もう。M個この入線にゅうせんとN個この出だし線せんを相互そうご接続せつぞくする場合ばあいにM×N個この接点せってんが必要ひつようである。

極ごく小規模しょうきぼな回路かいろ網もうに用もちいられる。

閉塞へいそくスイッチ回路かいろ網もう

閉塞へいそくスイッチ回路かいろ網もうは、出で線せんに空あきがあっても、内部ないぶ接続せつぞくに空そらがない内部ないぶ閉塞へいそくでも接続せつぞくが不可能ふかのうになる場合ばあいがある回路かいろ網もう。非ひ閉塞へいそくスイッチ回路かいろ網もうをリンクにより多段ただん接続せつぞくした構成こうせいが一般いっぱん的てきである。

接点せってん数すうを節約せつやくするために、大だい規模きぼな回路かいろ網もうで用もちいられる。

脚注きゃくちゅう

^ “電話機でんわき・交換こうかん機きの歴史れきし”. 日立製作所ひたちせいさくしょ. 2019年ねん10月がつ26日にち閲覧えつらん。
^ "加入かにゅう者しゃ回路かいろ" (PDF). NTT技術ぎじゅつ史料しりょう館かん. 2023年ねん9月がつ15日にち閲覧えつらん。