伊庭いば秀しげる賢けん

伊庭いば 秀しげる賢けん（いば ひでかた、寛政かんせい12年ねん（1800年ねん） - 明治めいじ5年ねん6月28日にち（1872年ねん8月がつ2日にち）は、江戸えど時代じだい後期こうきから幕末ばくまつ期きにかけての武士ぶし、国学こくがく者しゃ。初はつ名なは秀しゅう形がた。通称つうしょうは久右衛門きゅうえもん。詞し林りん園えんまたは水みず斎ときと号ごうす。京都きょうと町まち奉行ぶぎょうを務つとめた関せき出雲いずも守まもる行ぎょう篤あつしの弟おとうとにあたる。

略歴りゃくれき

江戸えど幕府ばくふ幕臣ばくしんの築山つきやま氏し（一説いっせつに関せき氏し）の三男さんなんとして江戸えどに生うまれる。伊庭いば家かを継つぎ、徒士かちとなる。40歳さいすぎに職しょくを辞じして村山むらやま素行そこうに学まなぶ。国学こくがくの弟子でしに鈴木すずき重嶺しげね、小俣おまた景けい徳とく、三輪みわ義方よしえらがいる。享年きょうねん73で没ぼっす。江古田えこだの蓮華寺れんげじに葬ほうむられる。夏なつ雲くも院いん奇き誉ほまれ峰ほう容よう居士こじ。

逸話いつわ

• 隣家りんかの人ひとが「親おやの年としが42歳さいの時ときに子こが2歳さいになると、親子おやこのいずれかに祟たたりがある」というい伝いつたえに悩なやみ、秀しゅう賢けんの家いえに仮かりに子こを捨すてるのでそれを拾ひろってくれと頼たのまれた。乞こいのままに捨すてられた子こを親おやに渡わたした時ときに和歌わかを詠よんでいわく「おひたたば親おやのめぐみをおもへかし　捨つるはすてぬ心しんなりせば」。
• 旧きゅう幕臣ばくしんの文人ぶんじん・中根なかね香かおり亭ていの父ちちは秀しゅう賢けんの同輩どうはいで、香こう亭ていは秀しゅう賢けんを「平生ひらお議論ぎろんが甚はなはだ多おおく、且かつ酒量しゅりょうありし人ひと」として記憶きおくしている。また香こう亭ていの父ちちは「安右衛門やすえもん（関せき行こう篤あつし）は才気さいきこそ水みず斎とき（秀しゅう賢けん）に及およばないがあれだけ立身りっしんした。水みず斎ときは安右衛門やすえもんよりも才気さいき優すぐれて学問がくもんもあったのに一生いっしょう沈淪ちんりんした。人ひとの才ざい不才ふさいと運うん不運ふうんはおのずから別べつのことだ。」といつも言いっていたという。

著作ちょさく

• 『霊れい語ご天てん格かく』四よん巻かん
• 『霊れい語ご指ゆび掌てのひら』
• 『武家ぶけ位い署しょ式しき考こう』

参考さんこう文献ぶんけん

• 中根なかね粛治・編へん『慶長けいちょう以来いらい諸家しょか著述ちょじゅつ目録もくろく　和学わがく家か之の部ぶ』（1893年ねん、青山あおやま堂どう支店してん）
• 日本にっぽん文学ぶんがく史料しりょう研究けんきゅう会かい編へん『国学こくがく者しゃ伝記でんき集成しゅうせい 第だい2巻かん 続編ぞくへん』