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保証ほしょう

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保証ほしょう(ほしょう)とは、しゅたる債務さいむしゃがその債務さいむ履行りこうしないときに、その履行りこうをする責任せきにん債務さいむ(446じょう1じょう)。

  • 民法みんぽうについて、以下いかではじょうすうのみ記載きさいする。

概説がいせつ

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保証ほしょうとは、しゅたる債務さいむしゃ債務さいむ履行りこうしない場合ばあいに、その債務さいむしゅたる債務さいむしゃわって履行りこうする義務ぎむうことをいう(446じょう)。

この債務さいむ保証ほしょう債務さいむ(ほしょうさいむ)とよび、義務ぎむもの保証人ほしょうにん(ほしょうにん)とぶ。保証ほしょう債務さいむは、保証人ほしょうにん債権さいけんしゃとのあいだ締結ていけつされる契約けいやく保証ほしょう契約けいやく)によってしょうじる。

抵当ていとうけんのようにもの交換こうかん価値かちによって債務さいむ弁済べんさい担保たんぽする物的ぶってき担保たんぽたいし、保証ほしょうは、保証人ほしょうにん資力しりょく財力ざいりょく)を弁済べんさい担保たんぽとするため、連帯れんたい債務さいむなどとともに人的じんてき担保たんぽといわれる。保証人ほしょうにん自然しぜんじんである場合ばあい個人こじん保証ほしょう法人ほうじんである場合ばあい法人ほうじん保証ほしょうという。とくに、信用しんよう保証ほしょう協会きょうかいのように保証ほしょう業務ぎょうむとする法人ほうじんによってなされる保証ほしょう機関きかん保証ほしょうという。

保証ほしょう債務さいむ性質せいしつ

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保証ほしょう債務さいむは、しゅたる債務さいむとの関係かんけい以下いかのような性質せいしつゆうする。

独立どくりつせい
保証ほしょう債務さいむは、それによって担保たんぽされているしゅたる債務さいむとは別個べっこ独立どくりつ債務さいむである。
どういち内容ないようせい
保証ほしょう債務さいむとそれによって担保たんぽされたしゅたる債務さいむ内容ないようは、原則げんそくとして同一どういつである。もっとも、保証ほしょう内容ないよう保証ほしょう契約けいやくさだまるのであり、しゅたる債務さいむ内容ないようから一義的いちぎてきさだまるものではないから、どういち内容ないようせい原則げんそくはしばしばはいされているといえる(たとえば、サーカス公演こうえん契約けいやく保証ほしょうしたものみずからサーカスをおこなうのではなく、ちがうサーカスだんさがしてきたり、損害そんがい賠償ばいしょうをしたりといった内容ないよう保証ほしょう債務さいむっているとかんがえられる)。
づけしたがえせいしたがえせい
保証ほしょう債務さいむ成立せいりつ変更へんこう消滅しょうめつは、しゅたる債務さいむ成立せいりつ変更へんこう消滅しょうめつしたがう。つまり、保証ほしょう債務さいむは、しゅたる債務さいむがなければ成立せいりつせず、しゅたる債務さいむよりおも債務さいむとなることはなく、またしゅたる債務さいむ消滅しょうめつすればともに消滅しょうめつする。保証ほしょう債務さいむづけしたがえせいは、成立せいりつ、(内容ないようの)変更へんこう消滅しょうめつかく局面きょくめんにおいて、それぞれ、成立せいりつにおけるづけしたがえせい内容ないようにおけるづけしたがえせい消滅しょうめつにおけるづけしたがえせいとして問題もんだいとなる。のち詳述しょうじゅつする。
随伴ずいはんせい
しゅたる債権さいけんについて債権さいけん譲渡じょうとがされた場合ばあい保証ほしょう債務さいむ履行りこう請求せいきゅうけんしゅたる債権さいけん同時どうじ債権さいけん譲受人ゆずりうけにんへと移転いてんする。
補充ほじゅうせい
保証ほしょう債務さいむは、しゅたる債務さいむしゃ債務さいむ不履行ふりこうおちいってはじめてその補充ほじゅうのため履行りこうする義務ぎむしょうじるてき債務さいむであること(446じょう)。
そのため、保証人ほしょうにんは、原則げんそくとして、債権さいけんしゃから履行りこう請求せいきゅうされた場合ばあい催告さいこく抗弁こうべんけん検索けんさく抗弁こうべんけんつことになる。のち詳述しょうじゅつする。

保証ほしょう債務さいむ成立せいりつ

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保証ほしょう契約けいやく

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保証ほしょう債務さいむは、保証人ほしょうにん債権さいけんしゃとのあいだ保証ほしょう契約けいやくによって成立せいりつする。

要式ようしき契約けいやく

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保証ほしょう契約けいやくは、書面しょめんでしなければ、その効力こうりょくしょうじない(446じょう2こう)。保証ほしょう契約けいやくがその内容ないよう記録きろくした電磁でんじてき記録きろくによってされたときは、その保証ほしょう契約けいやくは、書面しょめんによってされたものとみなされる(446じょう3こう

2004ねん平成へいせい16ねん)の民法みんぽう改正かいせいにより、保証ほしょう契約けいやくには書面しょめんまたは電磁でんじてき記録きろく必要ひつよう要式ようしき契約けいやくとなった。これは、従来じゅうらいからかる気持きもちで保証ほしょうけておも負債ふさいってしまうことがあるので、そのようなことをふせ目的もくてきである。

さらに2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)により、事業じぎょうかか債務さいむについての保証ほしょう契約けいやくは、原則げんそくとして、その契約けいやく締結ていけつ先立さきだち、その締結ていけつまえ1箇月かげつ以内いない作成さくせいされた公正こうせい証書しょうしょ保証人ほしょうにんになろうとするもの保証ほしょう債務さいむ履行りこうする意思いし表示ひょうじしていなければ無効むこうとされることになった(465じょうの6)[1][2]#事業じぎょうかか債務さいむについての保証ほしょう契約けいやくとくそく参照さんしょう

保証人ほしょうにん要件ようけん

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保証人ほしょうにんは、債務さいむしゃてる義務ぎむ場合ばあいには、行為こうい能力のうりょくものであり、弁済べんさいをする資力しりょくゆうすることが必要ひつようである(450じょう1こう)。保証人ほしょうにん弁済べんさい資力しりょくうしなったときは、債権さいけんしゃわりとなる保証人ほしょうにんてるよう請求せいきゅうすることができる(450じょう2こう)。債務さいむしゃは450じょう1こうさだめられる要件ようけん具備ぐびする保証人ほしょうにんてることができないときは、担保たんぽきょうすることで保証人ほしょうにんえることができる(451じょう)。 なお、保証人ほしょうにん要件ようけんについてさだめた450じょう1こう・2こう規定きていは、債権さいけんしゃ保証人ほしょうにん指名しめいした場合ばあいには適用てきようされない(450じょう3こう)。

成立せいりつにおけるづけしたがえせい

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成立せいりつにおけるづけしたがえせいとは、保証ほしょう債務さいむしゅたる債務さいむ担保たんぽするものであるから、保証ほしょう債務さいむ存在そんざいするためには、しゅたる債務さいむ有効ゆうこう成立せいりつしていなければならないという原則げんそくである。しゅたる債務さいむ無効むこうであったりけしされたりすれば、保証ほしょう債務さいむ無効むこうまた消滅しょうめつする。ただし、保証ほしょう契約けいやく行為こうい能力のうりょく制限せいげんによってすことができる債務さいむであることをりながら保証ほしょうしたものは、しゅたる債務さいむ不履行ふりこう場合ばあいまたしゅたる債務さいむされた場合ばあいにおいて、しゅたる債務さいむ同一どういつ内容ないよう独立どくりつした債務さいむ負担ふたんしたものと推定すいていされる(449じょう)。

保証ほしょう委託いたく契約けいやく

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保証人ほしょうにん債権さいけんしゃとのあいだ保証ほしょう契約けいやく前提ぜんていとして、しゅたる債務さいむしゃ保証人ほしょうにん保証ほしょう委託いたくする保証ほしょう委託いたく契約けいやく締結ていけつされることがおおい。ただし、保証ほしょう委託いたく契約けいやく有無うむ保証ほしょう契約けいやく効力こうりょくなん影響えいきょうおよぼさない。

2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)により、事業じぎょうのために負担ふたんする債務さいむについて個人こじん保証ほしょうする場合ばあい保証ほしょうもとめられた個人こじんみずからが債務さいむ履行りこうする可能かのうせい判断はんだんできるよう、しゅたる債務さいむしゃたいして契約けいやく締結ていけつ保証人ほしょうにんへの情報じょうほう提供ていきょう義務ぎむせられた[2]#事業じぎょうかか債務さいむについての保証ほしょう契約けいやくとくそく参照さんしょう

保証ほしょう債務さいむ効力こうりょく

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保証ほしょう債務さいむ範囲はんい

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保証ほしょう債務さいむは、しゅたる債務さいむかんする利息りそく違約いやくきん損害そんがい賠償ばいしょうのほか、債務さいむしたがえたるすべてのものを包含ほうがんする(447じょう1こう)。保証人ほしょうにんは、その保証ほしょう債務さいむについてのみ、違約いやくきん損害そんがい賠償ばいしょうがく約定やくじょうすることができる(447じょう2こう)。

内容ないようにおけるづけしたがえせい

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保証ほしょう債務さいむしゅたる債務さいむよりも過大かだいになることはない。これを内容ないようにおけるづけしたがえせいという。

  • 保証人ほしょうにん負担ふたん債務さいむ目的もくてきまた態様たいようにおいてしゅたる債務さいむよりおもいときは、これをしゅたる債務さいむ限度げんどげんちぢみする(448じょう1こう)。
  • しゅたる債務さいむ目的もくてきまた態様たいよう保証ほしょう契約けいやく締結ていけつ加重かじゅうされたときであっても、保証人ほしょうにん負担ふたん加重かじゅうされない(448じょう2こう)。

448じょう2こう保証ほしょう契約けいやく締結ていけつしゅたる債務さいむ加重かじゅうされても保証人ほしょうにん負担ふたん加重かじゅうされないとの従来じゅうらいからの一般いっぱんてき理解りかい明文化めいぶんかするもので、2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)で新設しんせつされた[1][3]

催告さいこく抗弁こうべんけん検索けんさく抗弁こうべんけん

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保証ほしょう債務さいむには補充ほじゅうせいから催告さいこく抗弁こうべんけん検索けんさく抗弁こうべんけんみとめられる(446じょう)。

催告さいこく抗弁こうべんけん
保証人ほしょうにんは、債権さいけんしゃから履行りこう請求せいきゅうをされた場合ばあいに、まずしゅたる債務さいむしゃ催告さいこくをするよう請求せいきゅうでき、しゅたる債務さいむについて一時いちじてき責任せきにんわされることを回避かいひすることができる。ただし、しゅたる債務さいむしゃ破産はさん手続てつづき開始かいし決定けっていけたとき、またはその行方ゆくえれないときは、このかぎりでない(452じょう)。
検索けんさく抗弁こうべんけん
保証人ほしょうにんしゅたる債務さいむしゃ債務さいむ履行りこうできるだけの資力しりょくゆうしており、かつ執行しっこう容易よういであることを証明しょうめいすれば、債権さいけんしゃからの請求せいきゅうこばむことができる。この場合ばあい債権さいけんしゃはまずしゅたる債務さいむしゃ財産ざいさんについて執行しっこうしなければならなくなる(453じょう)。

検索けんさく抗弁こうべん行使こうしするためには、しゅたる債務さいむしゃ容易ようい執行しっこうできる若干じゃっかん財産ざいさんゆうしていることの証明しょうめいがあればり、これによってられる弁済べんさい債権さいけん全額ぜんがくおよぶことを証明しょうめいする必要ひつようはない(大判おおばんあきら8.6.13)。

債権さいけんしゃ催告さいこく執行しっこうおこなってもしゅたる債務さいむしゃから全額ぜんがくについて弁済べんさいけられなかった場合ばあいふたた保証人ほしょうにん債務さいむ残部ざんぶ履行りこう請求せいきゅうすることになる。しかし、これらの抗弁こうべんけん行使こうしされた場合ばあい債権さいけんしゃただちに催告さいこく執行しっこうをしなかったがために弁済べんさいがく減少げんしょうしたのであれば、そのぶんまでを保証人ほしょうにん負担ふたんさせることはできない(455じょう)。たとえば、しゅたる債務さいむが100まんえんだったとして、検索けんさく抗弁こうべんけたのちすぐに執行しっこうをしたなら70まんえん回収かいしゅうできたところ、それをおこたったがために50まんえんしか弁済べんさいけられなかったとする。通常つうじょうならのこる50まんえん保証人ほしょうにん負担ふたんとなるが、抗弁こうべんのちすぐに執行しっこうすれば70まんえん回収かいしゅうできたのであるから、債権さいけんしゃ保証人ほしょうにんたいして30まんえんしか請求せいきゅうすることはできないのである。

これらの抗弁こうべんけん債権さいけんしゃにとって厄介やっかい負担ふたんであることから、特約とくやくによって排除はいじょされることがおおい。このように、債権さいけんしゃが、しゅたる債務さいむしゃ催告さいこく執行しっこうをしなくても、いきなり保証人ほしょうにん債務さいむ履行りこう請求せいきゅうすることができる保証ほしょうのことを連帯れんたい保証ほしょうという。#連帯れんたい保証ほしょう参照さんしょう

保証ほしょう債務さいむ対内たいないてき効力こうりょく

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しゅたる債務さいむしゃしょうじた事由じゆう効力こうりょく

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づけしたがえせいにより、しゅたる債務さいむについてしょうじた事由じゆう原則げんそくとして保証ほしょう債務さいむにも効力こうりょくおよぶ。

  • しゅたる債務さいむしゃたいする履行りこう請求せいきゅうその事由じゆうによる時効じこう完成かんせい猶予ゆうよおよ更新こうしんは、保証人ほしょうにんたいしても、その効力こうりょくしょうずる(457じょう1こう)。
  • 保証人ほしょうにんは、しゅたる債務さいむしゃ主張しゅちょうすることができる抗弁こうべんをもって債権さいけんしゃ対抗たいこうすることができる(457じょう2こう)。
    • 2017ねん改正かいせいまえきゅう457じょう2こうは「保証人ほしょうにんは、しゅたる債務さいむしゃ債権さいけんによる相殺そうさいをもって債権さいけんしゃ対抗たいこうすることができる。」と規定きていしていたが、2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)で相殺そうさい抗弁こうべんかぎらずしゅ債務さいむしゃゆうする抗弁こうべん事由じゆう一般いっぱんについて保証人ほしょうにん主張しゅちょうすることができるとする従来じゅうらいからの法理ほうり明文化めいぶんかされた[1]
  • しゅたる債務さいむしゃ債権さいけんしゃたいして相殺そうさいけん取消とりけしけんまた解除かいじょけんゆうするときは、これらの権利けんり行使こうしによってしゅたる債務さいむしゃがその債務さいむまぬかれるべき限度げんどにおいて、保証人ほしょうにんは、債権さいけんしゃたいして債務さいむ履行りこうこばむことができる(457じょう3こう)。
    • 2017ねん改正かいせいまえきゅう457じょう2こうは「保証人ほしょうにんは、しゅたる債務さいむしゃ債権さいけんによる相殺そうさいをもって債権さいけんしゃ対抗たいこうすることができる。」と規定きていしていたが、きゅう457じょう2こうの「対抗たいこうすることができる」は、保証人ほしょうにんしゅ債務さいむしゃ相殺そうさいけん行使こうししゅ債務さいむしゃ権利けんり処分しょぶんすること)までみとめる趣旨しゅし規定きていではなく、しゅ債務さいむ相殺そうさいによって債務さいむ消滅しょうめつする限度げんど保証人ほしょうにん履行りこう拒絶きょぜつすることができるにとどまるとほぐされていた[1][2]
    • 2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)では保証人ほしょうにんしゅたる債務さいむしゃ相殺そうさいとうでその債務さいむまぬかれるべき限度げんどにおいて債権さいけんしゃたいして債務さいむ履行りこうこばむことができるという履行りこう拒絶きょぜつけんであることが明文化めいぶんかされ取消とりけしけん解除かいじょけんあわせて規定きていされた(457じょう3こう[1][2]

ただし、以下いか事由じゆう保証ほしょう債務さいむ影響えいきょうしない。

  • しゅたる債務さいむ加重かじゅうされても保証ほしょう債務さいむ加重かじゅうされない(448じょう)。
  • しゅたる債務さいむ消滅しょうめつ時効じこう完成かんせいしている場合ばあいしゅたる債務さいむしゃ時効じこう利益りえき放棄ほうきしても時効じこう利益りえき放棄ほうき相対そうたいこうであるから、保証人ほしょうにん債務さいむ消滅しょうめつ主張しゅちょうできる(保証人ほしょうにんとのあいだ保証ほしょう債務さいむ消滅しょうめつ[4]

保証人ほしょうにんしょうじた事由じゆう効力こうりょく

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保証人ほしょうにんについてしょうじた事由じゆうのうち、しゅたる債務さいむ消滅しょうめつさせる弁済べんさい代物しろもの弁済べんさい供託きょうたくふくむ)は、しゅたる債務さいむしゃたいしても効力こうりょくおよぶ。このほか連帯れんたい保証ほしょう場合ばあいには連帯れんたい債務さいむ規定きてい準用じゅんようされる(458じょう)。#連帯れんたい保証ほしょう参照さんしょう

情報じょうほう提供ていきょう義務ぎむ

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しゅたる債務さいむ履行りこうじょうきょうかんする情報じょうほう提供ていきょう義務ぎむ

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保証人ほしょうにんしゅたる債務さいむしゃ委託いたくけて保証ほしょうをした場合ばあいにおいて、保証人ほしょうにん請求せいきゅうがあったときは、債権さいけんしゃは、保証人ほしょうにんたいし、遅滞ちたいなく、しゅたる債務さいむ元本がんぽんおよしゅたる債務さいむかんする利息りそく違約いやくきん損害そんがい賠償ばいしょうそのその債務さいむしたがえたるすべてのものについての不履行ふりこう有無うむならびにこれらの残額ざんがくおよびそのうち弁済べんさい到来とうらいしているもののがくかんする情報じょうほう提供ていきょうしなければならない(458じょうの2)。

保証人ほしょうにんらないうちにしゅたる債務さいむしゃ債務さいむ不履行ふりこうとなり遅延ちえん損害そんがいきん増大ぞうだいしてから保証人ほしょうにん履行りこう請求せいきゅうけるのはこくであるが、金融きんゆう機関きかんとう債権さいけんしゃには守秘しゅひ義務ぎむがあり、保証人ほしょうにんからしゅたる債務さいむ履行りこうじょうきょうとう照会しょうかい回答かいとうしてよいか問題もんだいがあった[2]。2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)では委託いたくけた保証人ほしょうにん請求せいきゅうによるしゅたる債務さいむ履行りこうじょうきょうかんする情報じょうほう提供ていきょう義務ぎむさだめた(458じょうの2)[1][2]

しゅたる債務さいむ履行りこうじょうきょうかんする情報じょうほう提供ていきょうは、貸金かしきんとう債務さいむかか保証ほしょうかぎらずすべての保証ほしょう契約けいやく対象たいしょうとなる[1]。ただし、債務さいむ履行りこうじょうきょうとうしゅたる債務さいむしゃ信用しんよう情報じょうほうにかかわるため、請求せいきゅうけんしゃ受託じゅたく保証人ほしょうにんかぎられる[2]しゅたる債務さいむ履行りこうじょうきょうかんする情報じょうほう提供ていきょう義務ぎむ保証人ほしょうにん個人こじん法人ほうじんいずれかをわない[1])。

しゅたる債務さいむしゃ期限きげん利益りえき喪失そうしつした場合ばあいにおける情報じょうほう提供ていきょう義務ぎむ

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しゅたる債務さいむしゃ期限きげん利益りえきゆうする場合ばあいにおいて、その利益りえき喪失そうしつしたときは、債権さいけんしゃは、保証人ほしょうにんたいし、その利益りえき喪失そうしつったときから箇月かげつ以内いないに、そのむね通知つうちしなければならない(458じょうの3だい1こう)。

保証人ほしょうにんらないうちにしゅたる債務さいむしゃ期限きげん利益りえき喪失そうしつした場合ばあい保証人ほしょうにん突然とつぜんざん債務さいむ一括いっかつ返済へんさい増大ぞうだいした遅延ちえん損害そんがいきん支払しはらいをもとめられるのはこくである[2]。2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)ではしゅたる債務さいむしゃ期限きげん利益りえき喪失そうしつした場合ばあいにおける情報じょうほう提供ていきょう義務ぎむさだめた(458じょうの3)[1][2]期間きかんない通知つうちおこたった場合ばあい債権さいけんしゃは、保証人ほしょうにんたいし、しゅたる債務さいむしゃ期限きげん利益りえき喪失そうしつしたときからどうこう通知つうちげんにするまでにしょうじた遅延ちえん損害そんがいきん期限きげん利益りえき喪失そうしつしなかったとしてもしょうずべきものをのぞく。)にかか保証ほしょう債務さいむ履行りこう請求せいきゅうすることができない(458じょうの3だい2こう)。

しゅたる債務さいむしゃ期限きげん利益りえき喪失そうしつした場合ばあいにおける情報じょうほう提供ていきょう義務ぎむは、個人こじん保証ほしょうのみを適用てきよう対象たいしょうとしており、保証人ほしょうにん法人ほうじんである場合ばあいには適用てきようされない(458じょうの3だい3こう[1][2]

保証ほしょう債務さいむ消滅しょうめつ

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消滅しょうめつにおけるづけしたがえせい

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弁済べんさい相殺そうさいによってしゅたる債務さいむ消滅しょうめつすれば保証ほしょう債務さいむ消滅しょうめつする(消滅しょうめつにおけるづけしたがえせい)。

ただし、しゅたる債務さいむ債務さいむ不履行ふりこうおちいって契約けいやく解除かいじょされた場合ばあいしゅたる債務さいむ損害そんがい賠償ばいしょう債務さいむ原状げんじょう回復かいふく義務ぎむによる債務さいむへと変化へんかするが、保証ほしょう債務さいむはその債務さいむをも担保たんぽする。

また、契約けいやくがいったんは有効ゆうこう成立せいりつしながらものち合意ごういによって解除かいじょされた場合ばあい、ここでしょうじる損害そんがい賠償ばいしょう原状げんじょう回復かいふく義務ぎむ合意ごうい解除かいじょさい債権さいけんしゃしゅたる債務さいむしゃによるあらたなめによって発生はっせいしたものである。原則げんそくからいえばもとしゅたる債務さいむ消滅しょうめつしているのだから保証ほしょう債務さいむ消滅しょうめつするのだが、この合意ごういによってしょうじた債務さいむについても保証ほしょう効果こうかおよぶとされる。ただし、保証人ほしょうにん関知かんちしないところでなされた合意ごういによって債務さいむしょうじるのだから、保証人ほしょうにん過大かだい責任せきにんけることもかんがえられる。そこで保証人ほしょうにん保護ほごするため、保証ほしょう債務さいむ存続そんぞくするのはその内容ないよう従前じゅうぜんよりもおもいものではないときにかぎられるとされる。

求償きゅうしょうけん問題もんだい

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保証人ほしょうにん債権さいけんしゃたいして債務さいむ弁済べんさいした場合ばあい(つまり肩代かたがわりをした場合ばあい)、保証人ほしょうにん債務さいむについて最終さいしゅうてき責任せきにんうものではないから、しゅたる債務さいむしゃたいして求償きゅうしょうできる。しかし、保証人ほしょうにんとなった経緯けいいおうじて求償きゅうしょうできる範囲はんい方法ほうほうことなる。

委託いたくけた保証人ほしょうにん求償きゅうしょうけん

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保証人ほしょうにんしゅたる債務さいむしゃ委託いたくけて保証ほしょうをした場合ばあいにおいて、しゅたる債務さいむしゃわって弁済べんさいその自己じこ財産ざいさんをもって債務さいむ消滅しょうめつさせる行為こうい以下いか債務さいむ消滅しょうめつ行為こうい」という。)をしたときは、その保証人ほしょうにんは、しゅたる債務さいむしゃたいし、そのために支出ししゅつした財産ざいさんがく(その財産ざいさんがくがその債務さいむ消滅しょうめつ行為こういによって消滅しょうめつしたしゅたる債務さいむがくえる場合ばあいにあっては、その消滅しょうめつしたがく)の求償きゅうしょうけんゆうする(459じょう1こう)。債務さいむ消滅しょうめつ行為こういにあたっては後述こうじゅつしゅたる債務さいむしゃへの事前じぜん通知つうち事後じご通知つうちようする。

2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)で委託いたくけた保証人ほしょうにん弁済べんさいまえ弁済べんさいとうをした場合ばあい求償きゅうしょうけん規定きてい新設しんせつされた(459じょうの2)。しゅたる債務さいむ弁済べんさいまえ保証人ほしょうにん弁済べんさいとうは、委託いたく趣旨しゅしはんするとかんがえられることから、委託いたくけない保証ほしょう場合ばあい同様どうよう範囲はんいにまで求償きゅうしょう制限せいげんする趣旨しゅしである[1]

債務さいむ弁済べんさいにあるときなど以下いか場合ばあいには、委託いたくけた保証人ほしょうにんは、保証ほしょう債務さいむ履行りこうするまえでも、あらかじめしゅたる債務さいむしゃ求償きゅうしょうすることができる(460じょう事前じぜん求償きゅうしょうけん)。

  1. しゅたる債務さいむしゃ破産はさん手続てつづき開始かいし決定けっていけ、かつ、債権さいけんしゃがその破産はさん財団ざいだん配当はいとう加入かにゅうしないとき。
  2. 債務さいむ弁済べんさいにあるとき。ただし、保証ほしょう契約けいやくのち債権さいけんしゃしゅたる債務さいむしゃもとくみした期限きげんは、保証人ほしょうにん対抗たいこうすることができない。
  3. 保証人ほしょうにん過失かしつなく債権さいけんしゃ弁済べんさいをすべきむね裁判さいばん言渡いいわたしをけたとき。
    なお、2017ねん改正かいせいまえの460じょう3ごうは「債務さいむ弁済べんさい確定かくていで、かつ、その長期ちょうきをも確定かくていすることができない場合ばあいにおいて、保証ほしょう契約けいやくのちじゅうねん経過けいかしたとき。」とされていたが、しゅたる債務さいむがくすら確定かくていできない場合ばあいであったため削除さくじょされた[1]

委託いたくけない保証人ほしょうにん求償きゅうしょうけん

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  • しゅたる債務さいむしゃ意思いしはんしない場合ばあい
    • しゅたる債務さいむしゃからの委託いたくけない保証人ほしょうにんは、原則げんそくとして、肩代かたがわりで弁済べんさいした当時とうじしゅたる債務さいむしゃ利益りえきけた限度げんど求償きゅうしょうできる(462じょう1こう・459の2だい1こう)。この場合ばあい求償きゅうしょうけん法的ほうてき性質せいしつは、不当ふとう利得りとく返還へんかん請求せいきゅうけん(703じょう)ないし事務じむ管理かんり費用ひよう償還しょうかん請求せいきゅうけんである。
    • 利益りえき現存げんそんしないことの立証りっしょう責任せきにん求償きゅうしょうけるしゅ債務さいむしゃがわにある[5]
    • 債務さいむ消滅しょうめつ行為こういをしたときは後述こうじゅつしゅたる債務さいむしゃへの事後じご通知つうちようする。
  • しゅたる債務さいむしゃ意思いしはんして保証人ほしょうにんとなった場合ばあい
    • この場合ばあい保証人ほしょうにんは、求償きゅうしょう時点じてんしゅたる債務さいむしゃ利益りえきけている限度げんど求償きゅうしょうできる(462じょう2こう)。

通知つうち義務ぎむ

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  • 事前じぜん通知つうち
    • 委託いたくけた保証人ほしょうにん債務さいむ消滅しょうめつ行為こういをするにあたりしゅたる債務さいむしゃ事前じぜん通知つうちようする[1][3]事前じぜん通知つうちがない場合ばあいしゅたる債務さいむしゃは、債権さいけんしゃ対抗たいこうすることができた事由じゆうをもってその保証人ほしょうにん対抗たいこうすることができる(463じょう1こう)。
    • 2017ねん改正かいせいまえ民法みんぽうでは委託いたく有無うむ区別くべつせずに、保証人ほしょうにん事前じぜん通知つうち義務ぎむせられていたが、委託いたくけない保証人ほしょうにん事前じぜん通知つうち有無うむ関係かんけいなく求償きゅうしょう範囲はんい制限せいげんされることから、2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)で事前じぜん通知つうち義務ぎむ委託いたくけた保証人ほしょうにんかぎっている[1][3]
  • 事後じご通知つうち
    • 委託いたくけた保証人ほしょうにんおよ委託いたくけないがしゅたる債務さいむしゃ意思いしにははんしない保証人ほしょうにん場合ばあい債務さいむ消滅しょうめつ行為こういをしたときはしゅたる債務さいむしゃ事後じご通知つうちようする[3]事後じご通知つうちがなく、しゅたる債務さいむしゃ善意ぜんい債務さいむ消滅しょうめつ行為こういをしたときは、しゅたる債務さいむしゃは、その債務さいむ消滅しょうめつ行為こうい有効ゆうこうであったものとみなすことができる(463じょう3こう[3]
    • 委託いたくけずしゅたる債務さいむしゃ意思いしにもはんする保証人ほしょうにん場合ばあい求償きゅうしょうけんしゅたる債務さいむしゃ求償きゅうしょうげん利益りえきけている限度げんどとされているため(462じょう2こう)、保証ほしょう債務さいむ履行りこうされたのちしゅたる債務さいむしゃ債務さいむ消滅しょうめつ行為こういをした場合ばあいには利益りえきはなく求償きゅうしょうできない[3]。そのため2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)では、委託いたくけずしゅたる債務さいむしゃ意思いしにもはんする保証人ほしょうにん場合ばあい事後じご通知つうち有無うむにかかわらず、しゅたる債務さいむしゃ債務さいむ消滅しょうめつ行為こうい有効ゆうこうとみなすとされた(463じょう3こう[3]

特殊とくしゅ保証ほしょう

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連帯れんたい保証ほしょう

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連帯れんたい保証ほしょう意義いぎ

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しゅたる債務さいむ債務さいむしゃ弁済べんさいできない場合ばあいてき履行りこう義務ぎむしょうじるという性質せいしつ補充ほじゅうせい)がみとめられず、保証人ほしょうにんしゅたる債務さいむしゃ連帯れんたいして債務さいむ負担ふたんする保証ほしょう連帯れんたい保証ほしょうという。連帯れんたい保証ほしょうをしたもの連帯れんたい保証人ほしょうにんという。

連帯れんたい保証ほしょう特徴とくちょう

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以下いかてん補充ほじゅうせいみとめられる通常つうじょう保証ほしょう単純たんじゅん保証ほしょう)とはことなる。

  • 単純たんじゅん保証ほしょう保証人ほしょうにんには催告さいこく抗弁こうべんけん検索けんさく抗弁こうべんけんみとめられるが、連帯れんたい保証人ほしょうにんにはこれらはみとめられない(454じょう)。よって債権さいけんしゃしゅ債務さいむしゃ状況じょうきょうにかかわらず、いきなり連帯れんたい保証人ほしょうにん財産ざいさんにかかっていけることになる。
  • 通常つうじょう単純たんじゅん保証ほしょうでは、保証人ほしょうにんすうにんいる場合ばあいにはかく保証人ほしょうにん債権さいけんしゃたいして保証人ほしょうにんかずおうじて分割ぶんかつされた部分ぶぶんについてのみ債務さいむ負担ふたんする(456じょう427じょう)。これを分別ふんべつ利益りえきという。連帯れんたい保証ほしょう場合ばあいには、この分別ふんべつ利益りえきがなく、連帯れんたい保証人ほしょうにんすうにんいる場合ばあいであっても、かく連帯れんたい保証人ほしょうにん債権さいけんしゃたいして債務さいむ全額ぜんがくについて責任せきにんわなければならない。なお、連帯れんたい保証人ほしょうにんあいだ内部ないぶ関係かんけいにおいては、かく連帯れんたい保証人ほしょうにんには負担ふたん部分ぶぶん存在そんざいするので、連帯れんたい保証人ほしょうにん一人ひとり自己じこ負担ふたんがくえて弁済べんさいした場合ばあいには、連帯れんたい保証人ほしょうにん求償きゅうしょうすることができる(465じょう1こう442じょう)。
  • 連帯れんたい保証ほしょう場合ばあいには連帯れんたい保証人ほしょうにんしょうじた事由じゆうについて連帯れんたい債務さいむ履行りこう請求せいきゅうとう規定きてい準用じゅんようされる(458じょう)。
    • 連帯れんたい債務さいむしゃについての規定きていが、原則げんそくとして、連帯れんたい保証人ほしょうにんについてしょうじた事由じゆう準用じゅんようされることは従前じゅうぜんどおりであるが、2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)で請求せいきゅうとう相対そうたいてき効力こうりょくになるなどしゅたる債務さいむしゃたいしても効力こうりょくおよ絶対ぜったいてき効力こうりょく事由じゆう改正かいせいまえくらべてすくなくなっている[1][6]
    • 連帯れんたい保証人ほしょうにんについてしょうじた事由じゆうは、しゅたる債務さいむ消滅しょうめつさせる弁済べんさいとうのほか、458じょうにより更改こうかい(438じょうきゅう435じょう))、相殺そうさい(439じょうきゅう436じょう))、混同こんどう(440じょうきゅう438じょう))は、しゅたる債務さいむしゃたいしても効力こうりょくおよぶ。2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)で連帯れんたい保証人ほしょうにんたいする請求せいきゅう免除めんじょ時効じこう完成かんせい効力こうりょくは、しゅたる債務さいむしゃおよばないこととなった[2]
    • なお、2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)で、債権さいけんしゃおよ連帯れんたい債務さいむしゃ一人ひとり別段べつだん意思いし表示ひょうじしたときは、当該とうがい連帯れんたい債務さいむしゃたいする効力こうりょくは、その意思いししたがうとされた(441じょうただししょ)。458じょうによりこの規定きてい連帯れんたい保証ほしょうにも準用じゅんようされ、連帯れんたい保証人ほしょうにんたいする請求せいきゅうなどしゅたる債務さいむしゃにも効力こうりょくしょうじさせたい事由じゆうについて、債権さいけんしゃしゅたる債務さいむしゃあいだでこれらの事由じゆう絶対ぜったいこうしょうじるむね特約とくやく締結ていけつすることができる[1][6]

商法しょうほうじょうとくそく

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民法みんぽうでは特約とくやくのないかぎ単純たんじゅん保証ほしょう原則げんそくであるが、商法しょうほう民法みんぽうとくそくとして、債務さいむしゅたる債務さいむしゃ商行為しょうこういによってしょうじたものである場合ばあい、もしくは保証ほしょう商行為しょうこういである場合ばあい(これらを商事しょうじ保証ほしょうという)には、しゅたる債務さいむしゃおよ保証人ほしょうにんかくべつ行為こういによって債務さいむ負担ふたんしたときであっても当該とうがい保証ほしょう債務さいむ各自かくじ連帯れんたいして負担ふたんする連帯れんたい保証ほしょうになるとする(商法しょうほうだい511じょう2こう)。

保証ほしょう

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一定いってい範囲はんい継続けいぞくてき発生はっせいする特定とくてい債務さいむ包括ほうかつてき保証ほしょうするという保証ほしょう形態けいたい保証ほしょうという(465じょうの2)。2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)により個人こじん保証人ほしょうにんとなる保証ほしょう契約けいやく個人こじん保証ほしょう契約けいやく全般ぜんぱんについての規律きりつ新設しんせつされた(465じょうの6)[1]

保証ほしょう典型てんけいとして、身元みもと保証ほしょうげられる。身元みもと保証ほしょうにおける保証人ほしょうにん責任せきにんとうについては、「身元みもと保証ほしょうかんする法律ほうりつ」に規定きていされる。

個人こじん保証ほしょう契約けいやく

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保証人ほしょうにん法人ほうじんでない保証ほしょう契約けいやく個人こじん保証ほしょう契約けいやくという(465じょうの2)。

平成へいせい17ねん4がつ1にちより施行しこうされた「民法みんぽう一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつ」では、個人こじんである保証人ほしょうにん保護ほごはかるため、貸金かしきんとう保証ほしょうについてそれまでの取扱とりあつかいをおおきくえる改正かいせいがなされた(貸金かしきんとう保証ほしょう契約けいやくでは、極度きょくどがく約定やくじょうしない場合ばあい無効むこうとなる。また、5ねん以内いない元本がんぽん確定かくていさだめなければならず、さだめなかった場合ばあいは3ねんとなるほか、5ねんえる確定かくていさだめた場合ばあいも3ねんとされていた)。

2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)により、貸金かしきんとう債務さいむ限定げんていする規定きていあらためられ、個人こじん保証人ほしょうにんとなる保証ほしょう契約けいやく個人こじん保証ほしょう契約けいやく全般ぜんぱんについての規律きりつ新設しんせつされた(465じょうの2)[1]ほん改正かいせいにより、従来じゅうらい極度きょくどがく制限せいげんがなかった身元みもと保証ほしょう契約けいやくについても、極度きょくどがくさだ書面しょめんとうわすことが義務ぎむされた。

共同きょうどう保証ほしょう

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  • 共同きょうどう保証ほしょう
    • 保証人ほしょうにん1人ひとり場合ばあい単独たんどく保証ほしょうというのにたいし、保証人ほしょうにん2人ふたり以上いじょういる保証ほしょう形態けいたい共同きょうどう保証ほしょうという。保証人ほしょうにんあいだ連帯れんたいのない通常つうじょう共同きょうどう保証ほしょうでは、かく保証人ほしょうにん債権さいけんしゃたいして均等きんとう分割ぶんかつされた保証ほしょう債務さいむ部分ぶぶんについてのみ債務さいむ負担ふたんするという分別ふんべつ利益りえき456じょう427じょう)がみとめられる。分別ふんべつ利益りえきみとめられる共同きょうどう保証ほしょう場合ばあい保証人ほしょうにん一人ひとり全額ぜんがくまた自己じこ負担ふたん部分ぶぶんえるがく弁済べんさいしたときには民法みんぽう462じょう準用じゅんようされる(465じょう2こう462じょう)。なお、分別ふんべつ利益りえき特約とくやく排除はいじょされる場合ばあいがある(後述こうじゅつ保証ほしょう連帯れんたい)。
  • 保証ほしょう連帯れんたい
    • 共同きょうどう保証ほしょうのうち、分別ふんべつ利益りえき特約とくやくによって排除はいじょし、かく保証人ほしょうにん債権さいけんしゃたいして債務さいむ全額ぜんがくについて責任せきにんうこととするものを保証ほしょう連帯れんたいという。保証ほしょう連帯れんたい分別ふんべつ利益りえきのないてん連帯れんたい保証ほしょうているが、保証ほしょう連帯れんたい場合ばあいには催告さいこく抗弁こうべんけん検索けんさく抗弁こうべんけんみとめられるてん連帯れんたい保証ほしょうとはことなる。保証ほしょう連帯れんたい場合ばあいにも保証人ほしょうにんあいだ内部ないぶ関係かんけいにおいては、かく保証人ほしょうにんには負担ふたん部分ぶぶん存在そんざいするので、保証人ほしょうにん自己じこ負担ふたん部分ぶぶんえて弁済べんさいしたときには、超過ちょうか部分ぶぶんについてほか保証人ほしょうにん求償きゅうしょうすることができる(465じょう1こう442じょう)。

事業じぎょうかか債務さいむについての保証ほしょう契約けいやくとくそく

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個人こじん保証ほしょう制限せいげん

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事業じぎょうのための借入かりいれについて保証人ほしょうにんとなった個人こじん想定そうていがい多額たがく負債ふさいかかえる結果けっかとなり生活せいかつ破綻はたんすることが社会しゃかい問題もんだいとなっている[1][2]

2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)により、事業じぎょうのために負担ふたんした貸金かしきんとう債務さいむしゅたる債務さいむとする保証ほしょう契約けいやくまたしゅたる債務さいむ範囲はんい事業じぎょうのために負担ふたんする貸金かしきんとう債務さいむふくまれる保証ほしょう契約けいやくは、原則げんそくとして、その契約けいやく締結ていけつ先立さきだち、その締結ていけつまえ1箇月かげつ以内いない作成さくせいされた公正こうせい証書しょうしょ保証人ほしょうにんになろうとするもの保証ほしょう債務さいむ履行りこうする意思いし表示ひょうじしていなければ無効むこうとされることになった(465じょうの6)[1][2]

ただし、経営けいえいしゃ保証ほしょうによる事業じぎょうしゃ借入かりいれに支障ししょうしょうじるのをけるため、しゅ債務さいむしゃ事業じぎょう実質じっしつてき関与かんよしているもの取締役とりしまりやくとう経営けいえいしゃ議決ぎけつけん過半数かはんすうゆうする主要しゅよう株主かぶぬし当該とうがい主要しゅよう株主かぶぬし議決ぎけつけん過半数かはんすうゆうする主要しゅよう株主かぶぬし主要しゅよう株主かぶぬし親会社おやがいしゃ)とその主要しゅよう株主かぶぬしとの合計ごうけいで、議決ぎけつけん過半数かはんすうゆうする場合ばあい当該とうがい親会社おやがいしゃ主要しゅよう株主かぶぬし共同きょうどう経営けいえいしゃおよ事業じぎょうげん従事じゅうじしているしゅ債務さいむしゃ配偶はいぐうしゃ)がおこな個人こじん保証ほしょうについては方式ほうしき要件ようけん適用てきよう除外じょがいとされている(465じょうの9)[1][2]

契約けいやく締結ていけつ情報じょうほう提供ていきょう義務ぎむ

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しゅたる債務さいむしゃは、事業じぎょうのために負担ふたんする債務さいむしゅたる債務さいむとする保証ほしょうまたしゅたる債務さいむ範囲はんい事業じぎょうのために負担ふたんする債務さいむふくまれる保証ほしょう委託いたくをするときは、委託いたくけるものたいし、つぎかかげる事項じこうかんする情報じょうほう提供ていきょうしなければならない(465じょうの10)。

  1. 財産ざいさんおよ収支しゅうし状況じょうきょう
  2. しゅたる債務さいむ以外いがい負担ふたんしている債務さいむ有無うむならびにそのがくおよ履行りこうじょうきょう
  3. しゅたる債務さいむ担保たんぽとしてほか提供ていきょうし、また提供ていきょうしようとするものがあるときは、そのうまおよびその内容ないよう

2017ねん改正かいせい民法みんぽう(2020ねん4がつ1にち法律ほうりつ施行しこう)により、事業じぎょうのために負担ふたんする債務さいむについての保証ほしょうもとめられた個人こじんが、みずからが債務さいむ履行りこうする可能かのうせい判断はんだんできるよう、しゅたる債務さいむしゃたいしてせられた義務ぎむである[2](458じょうの2や458じょうの3の情報じょうほう提供ていきょう義務ぎむとはことなり、債権さいけんしゃせられた情報じょうほう提供ていきょう義務ぎむではない[1])。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 民法みんぽう債権さいけん関係かんけい改正かいせいがリース契約けいやくとうおよぼす影響えいきょう” (PDF). 公益社こうえきしゃだん法人ほうじんリース事業じぎょう協会きょうかい. 2020ねん3がつ25にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 民法みんぽう債権さいけん関係かんけい)の改正かいせいかんする 要綱ようこうかりあんにおける重要じゅうよう項目こうもく” (PDF). 兵庫ひょうごけん弁護士べんごしかい. 2020ねん3がつ25にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f g 改正かいせい債権さいけんほう要点ようてん解説かいせつ(3)” (PDF). LM法律ほうりつ事務所じむしょ. 2020ねん3がつ25にち閲覧えつらん
  4. ^ 時効じこう利益りえき放棄ほうき”. 三井みつい住友すみともトラスト不動産ふどうさん. 2020ねん3がつ25にち閲覧えつらん
  5. ^ 潮見しおみ佳男よしお『プラクティス民法みんぽう債権さいけん総論そうろんだい3はん)』しんやましゃ、608ぺーじ
  6. ^ a b 荒井あらい俊行としゆき. “民法みんぽう債権さいけん関係かんけい改正かいせいあんかんするノート(IV)多数たすう当事とうじしゃ関係かんけい連帯れんたい債務さいむ中心ちゅうしんに)” (PDF). 土地とち総合そうごう研究けんきゅう 2015ねんなつごう. 2020ねん3がつ25にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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