個人こじん再生さいせい

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個人こじん再生さいせい(こじんさいせい)とは、日本にっぽんこく倒産とうさん処理しょり制度せいどひとつであり、民事みんじ再生さいせいほう13しょう規定きていしたがって個人こじん自然人しぜんじん債務さいむしゃ返済へんさい負担ふたん圧縮あっしゅく返済へんさい計画けいかく立案りつあんとを支援しえんする手続てつづきをいう。その目的もくてきは、個人こじん債務さいむしゃとその債権さいけんしゃとのあいだ民事みんじじょう権利けんり関係かんけい適切てきせつ調整ちょうせいし、もって当該とうがい債務さいむしゃ経済けいざい生活せいかつ再生さいせいはかることにある(どうほう1じょう)。

個人こじん再生さいせいには小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい給与きゅうよ所得しょとくしゃとう再生さいせいとの2種類しゅるいがあるが、どうほう規定きていぶりからいっても実際じっさい申立もうした件数けんすう司法しほう統計とうけいによれば、平成へいせい17(2005)年度ねんど小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせいが21,000けんじゃく給与きゅうよ所得しょとくしゃとう再生さいせいが6,000けんじゃく)からいっても、小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい原則げんそくてき形態けいたいであり、給与きゅうよ所得しょとくしゃとう再生さいせい小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい派生はせいがたといってよい。

小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい[編集へんしゅう]

詳細しょうさい小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい参照さんしょう

小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい意義いぎ[編集へんしゅう]

小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい(しょうきぼこじんさいせい)とは、将来しょうらいにおいて継続けいぞくてきまた反復はんぷくして収入しゅうにゅう見込みこみがあり、かつ、再生さいせい債権さいけん債務さいむしゃかかえる債務さいむのうち、公租こうそ公課こうかのぞいたものとかんがえれば大過たいかない。)の総額そうがくが5000まんえんえない個人こじんである債務さいむしゃおこなう、民事みんじ再生さいせいほう13しょう1せつ規定きていするとくそく適用てきようける民事みんじ再生さいせい手続てつづきをいう(どうほう221じょう1こう)。

小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい手続てつづき[編集へんしゅう]

小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせいは、以下いか手順てじゅん進行しんこうする。なお再生さいせい計画けいかく認可にんか前提ぜんていとして一定いってい金額きんがくてが要求ようきゅうされる場合ばあいがある。

  1. 裁判所さいばんしょ小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい手続てつづき開始かいしして再生さいせい債務さいむしゃ弁済べんさいめる。(民事みんじ再生さいせいほう85じょう1こう再生さいせい債務さいむしゃに「返済へんさいしたいが裁判所さいばんしょ禁止きんしした。」という弁解べんかいみとめるわけである。)
  2. 再生さいせい債務さいむしゃが、再生さいせい債権さいけんの20%(最低さいてい100まんえん。1500まんえんちょう3000まんえん以下いか場合ばあいは300まんえん。3000まんえんちょう5000まんえん以下いか場合ばあい再生さいせい債権さいけんの10%。)を3年間ねんかん特別とくべつ事情じじょうがあるときは5ねん)で分割ぶんかつ弁済べんさいし、その再生さいせい債権さいけんについては免除めんじょける(どうほう229じょう2こう2ごう、231じょう2こう3ごう、4ごう)ことを内容ないようとする再生さいせい計画けいかくあん作成さくせいする。ただし、弁済べんさいがくは、破産はさんした場合ばあい想定そうていされる清算せいさん価値かち上回うわまわっている必要ひつようがある。
  3. 再生さいせい債権さいけんしゃによる決議けつぎどうほう230じょう)をて、裁判所さいばんしょ再生さいせい計画けいかく認可にんかする。(どうほう231じょう1こう
  4. 再生さいせい債務さいむしゃ再生さいせい計画けいかくしたがって再生さいせい債権さいけん弁済べんさいをする、

申立もうしたて費用ひよう郵便ゆうびんみで5まんえん程度ていどであるが、弁護士べんごし申立もうしたて代理人だいりにんである場合ばあい司法しほう書士しょし手続てつづき全体ぜんたい一貫いっかんして関与かんよすることを上申じょうしんした場合ばあいふくめる取扱とりあつかいの場合ばあいは15まんえん予納よのうただ大抵たいてい申立もうしたてじん返還へんかんされる。大阪おおさか地裁ちさいでは、2009ねん平成へいせい21ねん)より弁護士べんごし司法しほう書士しょし申立もうしたてにかかわらず、予納よのう不要ふようあつかいとなった)をのぞいて、個人こじん再生さいせい委員いいんどうほう223じょう)を選任せんにんする事例じれいおおく、その場合ばあいには、再生さいせい委員いいんへの報酬ほうしゅうとして30まんえん(大阪おおさか地裁ちさい東京とうきょう地裁ちさいでの2008ねん平成へいせい20ねん現在げんざい各地かくち裁判所さいばんしょちがうので裁判所さいばんしょあわせる)の予納よのうをあわせてもとめられる。

小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい利害りがい得失とくしつ[編集へんしゅう]

小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせいは、破産はさんとはことなり、下記かきげる理由りゆう債務さいむしゃ自尊心じそんしんへの精神せいしんてき被害ひがいちいさいことといった利点りてんがある。

  1. 住宅じゅうたく資金しきん貸付かしつけ債権さいけんかんするとくそく民事みんじ再生さいせいほう10しょう)の適用てきようがあること。(つまり、住宅じゅうたくローンのこっている自宅じたく競売きょうばいにかけられなくてむ。)
  2. 再生さいせい計画けいかく全部ぜんぶまた相当そうとう程度ていど完遂かんすいすればかなり確実かくじつ債務さいむ免除めんじょまた免責めんせきられる(どうほう232じょう1こう、235じょう)こと。
  3. 再生さいせい債権さいけん一部いちぶなりとも弁済べんさいをすること。

ぎゃくに、小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせいは、個人こじん倒産とうさん処理しょり手続てつづきなかでは手続てつづき比較的ひかくてき複雑ふくざつであるうえ債務さいむしゃ手続てつづき進行しんこうあやまると強制きょうせいてき破産はさん移行いこうすることがおおどうほう191じょう、202じょう2こう2ごう、3ごう、231じょう2こう、250じょう1こう)、法的ほうてき知識ちしきとぼしい債務さいむしゃ独力どくりょくもうてることは破産はさん以上いじょう困難こんなんである。また、前述ぜんじゅつのとおり、費用ひよう比較的ひかくてき高額こうがくである。

給与きゅうよ所得しょとくしゃとう再生さいせい[編集へんしゅう]

詳細しょうさい給与きゅうよ所得しょとくしゃとう再生さいせい参照さんしょう

給与きゅうよ所得しょとくしゃとう再生さいせい(きゅうよしょとくしゃとうさいせい)とは、小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせいもうてることができるもののうち、給与きゅうよまたはこれにるいする定期ていきてき収入しゅうにゅう見込みこみがおおきく、かつ、その変動へんどうはばちいさいと見込みこまれるものがおこなう、民事みんじ再生さいせいほう13しょう2せつ適用てきようける民事みんじ再生さいせい手続てつづきをいう(どうほう239じょう1こう)。

給与きゅうよ所得しょとくしゃとう再生さいせいは、以下いかげる事柄ことがらのぞくという条件じょうけんで、基本きほんてき小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい同様どうよう手順てじゅん進行しんこうする(どうほう244じょう参照さんしょう)。また、その利害りがい得失とくしつ同様どうようである。

  1. 再生さいせい計画けいかくあんによる弁済べんさいがく最低限さいていげん若干じゃっかんげられる場合ばあいがあること(どうほう241じょう2こう7ごう
  2. 再生さいせい債権さいけんしゃによる再生さいせい計画けいかくあん決議けつぎ不要ふようであり、再生さいせい債権さいけんしゃ意見いけんべることができるにまること(どうほう240じょう

清算せいさん価値かち保証ほしょう原則げんそく[編集へんしゅう]

小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせい給与きゅうよ所得しょとくしゃとう再生さいせいとも、再生さいせい手続てつづきにおいては、債務さいむしゃ破産はさんした場合ばあい債権さいけんしゃけることができる予想よそう配当はいとうがく清算せいさん価値かち)を試算しさんし、これを下回したまわらないがく弁済べんさいする必要ひつようがあるという原則げんそく債務さいむしゃ資産しさん場合ばあい機能きのうしない。

小規模しょうきぼ再生さいせいは①「清算せいさん価値かち」②債務さいむ総額そうがくの5ぶんの1(最低さいてい100まんえん) でおおほうがく弁済べんさいする。

給与きゅうよ所得しょとくしゃ再生さいせいは①「清算せいさん価値かち」②債務さいむ総額そうがくの5ぶんの1(最低さいてい100まんえん)③「処分しょぶん所得しょとく」2ねんぶん でもっとおおがく弁済べんさいする。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

民事みんじ再生さいせいほう平成へいせいじゅういちねん法律ほうりつだいひゃくじゅうごうだいじゅうさんしょう:小規模しょうきぼ個人こじん再生さいせいおよ給与きゅうよ所得しょとくしゃとう再生さいせいかんするとくそく.e-Gov法令ほうれい検索けんさく. 総務そうむしょう行政ぎょうせい管理かんりきょく