(Translated by https://www.hiragana.jp/)
共有 - Wikipedia コンテンツにスキップ

共有きょうゆう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
共同きょうどう所有しょゆうから転送てんそう

共有きょうゆう(きょうゆう)とは、所有しょゆうけんなどある一定いってい権利けんり複数ふくすう主体しゅたいによって支配しはい利用りようされている状態じょうたいのこと。共有きょうゆう関係かんけいにあるもののことを共有きょうゆうしゃ(きょうゆうしゃ)という。

共有きょうゆう形態けいたい

[編集へんしゅう]

広義こうぎ共有きょうゆう狭義きょうぎ共有きょうゆう区別くべつするため共同きょうどう所有しょゆうともばれる。多数たすうじん共同きょうどうしてひとつのもの所有しょゆうする関係かんけい共同きょうどう所有しょゆう関係かんけいという[1]ドイツほうでの議論ぎろん影響えいきょうけた日本にっぽんでは共同きょうどう所有しょゆう関係かんけい総有そうゆうごうゆう共有きょうゆう狭義きょうぎ共有きょうゆう)のさん類型るいけい分類ぶんるいされてきた[2]。ローマほう由来ゆらいする共有きょうゆうたいしてゲルマンてき共同きょうどう所有しょゆう総有そうゆうごうゆうける見解けんかいオットー・フォン・ギールケによってとなえられ、日本にっぽんではこれが参考さんこうにされたが、ドイツでは有力ゆうりょく学説がくせつではあったが一般いっぱんてき支持しじされていたわけではなかった[2]結局けっきょくドイツでは民法みんぽうてん制定せいていさいに「総有そうゆう」は規定きていされず教科書きょうかしょなどこうがくじょう姿すがたしている[2]

  • 総有そうゆう(Gesamteigentum)
もっとも団体だんたい主義しゅぎてき色彩しきさいつよ類型るいけい[3]ゲルマン村落そんらく共同きょうどうたい所有しょゆう形態けいたい由来ゆらいしている[3]。ゲルマンの村落そんらく団体だんたい所有しょゆうぶつは、管理かんり権能けんのう村落そんらく帰属きぞくして村落そんらく共同きょうどうたい規律きりつしたが一方いっぽう収益しゅうえき権能けんのうはその村落そんらく住民じゅうみんぶんぞくする形態けいたいをとった[3]。この収益しゅうえき権能けんのう近代きんだいほうにおける所有しょゆうけんとは性質せいしつことなり、村落そんらく住民じゅうみん資格しかくはなすことはできず、かく共同きょうどう所有しょゆうしゃ共有きょうゆうにおける持分もちぶんけん観念かんねんすることもできないとされた[3]各人かくじん持分もちぶんけんおおきさを観念かんねんしえないため、単独たんどく構成こうせいいんによる持分もちぶん処分しょぶん売却ばいきゃくなど)や分割ぶんかつ請求せいきゅう不可能ふかのうである。
総有そうゆう共有きょうゆう狭義きょうぎ)とのなかあいだてき類型るいけい[3]そうてき共有きょうゆうともいい、やや共有きょうゆう狭義きょうぎ)にちか[3]共同きょうどう所有しょゆうしゃには管理かんり権能けんのう収益しゅうえき権能けんのうもあるが、事業じぎょうなどの共同きょうどう目的もくてき観点かんてんから制約せいやくける形態けいたいである[3]。そのため持分もちぶん処分しょぶん分割ぶんかつ請求せいきゅう共同きょうどう目的もくてき存続そんぞくするかぎみとめられない[3]
  • 共有きょうゆう狭義きょうぎ共有きょうゆうMiteigentum
もっとも個人こじん主義しゅぎてき色彩しきさいつよ類型るいけい。ローマほう共同きょうどう所有しょゆう関係かんけい由来ゆらいしており、共同きょうどう所有しょゆうしゃあいだ主体しゅたいあいだ団体だんたいてき結合けつごう微弱びじゃく共同きょうどう所有しょゆう形態けいたいである[3]かく共同きょうどう所有しょゆうしゃには管理かんり権能けんのう収益しゅうえき権能けんのう結合けつごうした持分もちぶんけんがあり、持分もちぶん処分しょぶん自由じゆう分割ぶんかつ請求せいきゅう自由じゆうがある[3]

各国かっこく共有きょうゆう制度せいど

[編集へんしゅう]

ドイツほう

[編集へんしゅう]

現行げんこうのドイツ民法みんぽうてんでは共同きょうどう所有しょゆう形態けいたい共有きょうゆう規定きてい債務さいむへんにあり、ごうゆう規定きてい個別こべつかつ限定げんていてきに4つほど存在そんざいする[2]組合くみあい財産ざいさん(718じょう以下いか)、夫婦ふうふ共有きょうゆう財産ざいさん(1437じょう以下いか)、共同きょうどう相続そうぞく財産ざいさん(2032じょう以下いか)などである[3]

日本にっぽんほう

[編集へんしゅう]

民法みんぽうだいへんだいさんしょうだいさんせつにおいて「共有きょうゆう」にかんする規定きていかれているが、これは狭義きょうぎ共有きょうゆうかんする規定きていである[1]。しかし、民法みんぽう共同きょうどう所有しょゆう関係かんけいをすべて「共有きょうゆう」とんでいるため実際じっさいには総有そうゆうまたはごうゆう意味いみする場合ばあいがある[1]組合くみあい夫婦ふうふあいだ財産ざいさん関係かんけい264じょう参照さんしょう)については狭義きょうぎ共有きょうゆうごうゆうかであらそいがある[3]。また日本にっぽんでは入会にゅうかいけん総有そうゆう性質せいしつをもつとされている[3]。なお、信託しんたくほう受託じゅたくしゃ2人ふたり以上いじょう場合ばあいを「総有そうゆう」とんでいる[1]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c d 我妻あづまさかえ有泉ありいずみとおる清水しみずまこと田山たやま輝明てるあき我妻あづま有泉ありいずみコンメンタール民法みんぽう 総則そうそく物権ぶっけん債権さいけん だい3はん日本にっぽん評論ひょうろんしゃ、2013ねん、458ぺーじ 
  2. ^ a b c d 岡田おかだ康夫やすおドイツと日本にっぽんにおける共同きょうどう所有しょゆうろん」『早稲田わせだほう学会がっかいだい45かん早稲田大学わせだだいがくほう学会がっかい、1995ねん、47-100ぺーじISSN 05111951NAID 1200007923342021ねん8がつ16にち閲覧えつらん 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 安岡やすおか重明しげあき. “同族どうぞく企業きぎょうにおける所有しょゆう経営けいえい”. 日本にっぽん貿易ぼうえき振興しんこう機構きこうアジア経済けいざい研究所けんきゅうじょ. 2023ねん4がつ5にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]