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補助ほじょ参加さんか

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

補助ほじょ参加さんか(ほじょさんか)とは、民事みんじ訴訟そしょうにおいて他人たにんあいだ係属けいぞくちゅう訴訟そしょう結果けっかについて利害りがい関係かんけいゆうする第三者だいさんしゃが、当事とうじしゃ一方いっぽう勝訴しょうそさせることにより自己じこ利益りえきまもるために、訴訟そしょう参加さんかする形態けいたいをいう(民事みんじ訴訟そしょうほう42じょう)。

補助ほじょ参加さんかのうち、当事とうじしゃ適格てきかくはないが判決はんけつ既判力きはんりょくおよ第三者だいさんしゃおこな補助ほじょ参加さんかを、共同きょうどう訴訟そしょうてき補助ほじょ参加さんかという。

補助ほじょ参加さんかれいとしては、保証人ほしょうにん債権さいけんしゃから保証ほしょう債務さいむ履行りこうもとめられてうったえを提起ていきされている場合ばあいに、保証人ほしょうにん敗訴はいそした場合ばあい求償きゅうしょうないし法定ほうてい代位だいいによる請求せいきゅうけるしゅ債務さいむしゃ保証人ほしょうにん勝訴しょうそさせる目的もくてきで、保証人ほしょうにんがわ参加さんかするような場合ばあいがあげられる。

  • 民事みんじ訴訟そしょうほうについて以下いかでは、じょうすうのみ記載きさいする。

趣旨しゅし

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補助ほじょ参加さんかという形態けいたいみとめられるのは、以下いか理由りゆうによる。

判決はんけつ既判力きはんりょく原則げんそくとして当事とうじしゃにしかおよばない。それゆえ、ある訴訟そしょう結果けっかだれかにとって不利ふり結果けっかだったとしても、その結果けっかはそのだれかにとってなん法的ほうてき効力こうりょくおよぼさない。

しかし、裁判所さいばんしょ過去かこおこなわれた訴訟そしょう結果けっか一定いってい程度ていど重視じゅうしすることがある。これは事実じじつじょう効力こうりょくぎないが、訴訟そしょうおこなものにとっては無視むしできないことである。このような事実じじつじょう効力こうりょくは「判決はんけつ証明しょうめいこう」とばれることがあるが、補助ほじょ参加さんかみとめられるのは、この「判決はんけつ証明しょうめいこう」という事実じじつじょう影響えいきょうりょくがあるためである(通説つうせつ)。

また、参加さんかじん証明しょうめいこうのために訴訟そしょう参加さんかするのであるが、参加さんかじんにとっても参加さんかじんくわわることで自己じこにより有利ゆうり訴訟そしょうおいぎょう期待きたいできるというメリットがある。

さらに、参加さんかじん参加さんかじんとのあいだでは判決はんけつ拘束こうそくりょくしょうじるために(後述こうじゅつ判決はんけつ効力こうりょく参照さんしょう)、両者りょうしゃあいだしょうじる可能かのうせいのある訴訟そしょう補助ほじょ参加さんかのあった訴訟そしょうとは統一とういつてき解決かいけつはかることができる。

要件ようけん

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  1. 訴訟そしょう係属けいぞくちゅうであること。
  2. 他人たにんあいだ訴訟そしょうであること
  3. 訴訟そしょう結果けっかについて利害りがい関係かんけいゆうする第三者だいさんしゃであること(ただし、後述こうじゅつ#補助ほじょ参加さんか利益りえき参照さんしょう)(以上いじょう42じょう)。

補助ほじょ参加さんか申出もうしで

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補助ほじょ参加さんかさるは、参加さんか趣旨しゅしおよ理由りゆうあきらかにして、補助ほじょ参加さんかにより訴訟そしょう行為こういをすべき裁判所さいばんしょにしなければならない(43じょう1こう)。

補助ほじょ参加さんかさるは、補助ほじょ参加さんかじんとしてすることができる訴訟そしょう行為こうい後述こうじゅつ#補助ほじょ参加さんかじん地位ちい参照さんしょう)とともにすることができる(どうじょう2こう)。この訴訟そしょう行為こういには、上訴じょうそ再審さいしん提起ていきふくまれるとほぐされている。

補助ほじょ参加さんかについての異議いぎ

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参加さんかじん参加さんかしようとする訴訟そしょう当事とうじしゃ補助ほじょ参加さんかについて異議いぎべたときは、裁判所さいばんしょは、補助ほじょ参加さんか許否きょひについて、決定けっていで、裁判さいばんをする。この場合ばあいにおいては、補助ほじょ参加さんかじんは、参加さんか理由りゆううとあきらしなければならない(44じょう1こう)。

当事とうじしゃ異議いぎべられない場合ばあいは、裁判所さいばんしょ決定けっていつまでもなく補助ほじょ参加さんか可能かのうである。この場合ばあい訴訟そしょう結果けっかについて利害りがい関係かんけいゆうする第三者だいさんしゃであるという要件ようけんわれないことになる。したがって、この要件ようけん意味いみゆうするのは、当事とうじしゃ異議いぎべたときになお補助ほじょ参加さんか可能かのうであるかというてんにおいてである。

なお、当事とうじしゃ異議いぎは、これをべないで弁論べんろんをし、また弁論べんろん準備じゅんび手続てつづきにおいて申述もうしのべをしたのちは、べることができない(44じょう2こう)。一種いっしゅせめといけんである。

裁判所さいばんしょ補助ほじょ参加さんか許否きょひめる決定けっていについては、即時そくじ抗告こうこくをすることができる(44じょう3こう)。

補助ほじょ参加さんか利益りえき

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ほうは「訴訟そしょう結果けっかについて利害りがい関係かんけいゆうする第三者だいさんしゃ」とのみ規定きていする。一般いっぱんろんとしてはつぎのようなことがわれる。

だいいちに、当該とうがい利害りがい関係かんけい法律ほうりつじょうのものである必要ひつようがあり、事実じじつじょうのものではりないということである。したがってたんなる感情かんじょうてきなものではりないが、財産ざいさんじょうのものでなく身分みぶんほうじょうのものもよいとされる。だいに、利害りがい関係かんけい訴訟そしょうの「結果けっか」についてなければならないということである。通説つうせつ判決はんけつ主文しゅぶんとらえている。

補助ほじょ参加さんか利益りえき問題もんだいとなる場合ばあいは、3つの類型るいけいけることができる。

だいいちは、参加さんかじん敗訴はいそすると、補助ほじょ参加さんかじん一定いっていうったえをこされるという関係かんけいにある場合ばあいである。たとえば、債権さいけんしゃ保証人ほしょうにんうったえた場合ばあいしゅ債務さいむしゃである。伝統でんとうてきにはこの類型るいけい補助ほじょ参加さんかみとめられてきた。だいは、当事とうじしゃ一方いっぽう同様どうよう立場たちばにある第三者だいさんしゃが、補助ほじょ参加さんかしようとする類型るいけいである。下記かき判例はんれいぐん参照さんしょうされたい。だいさんは、転用てんようてき事例じれいである。


おも判例はんれい

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だいけつ昭和しょうわ8ねん9がつ9にち

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みんしゅう12かん2294p。むら出納すいとういん村民そんみん1人ひとりこした寄付きふきん請求せいきゅう訴訟そしょうで、村民そんみん補助ほじょ参加さんか大審院だいしんいんみとめた。請求せいきゅうは、むら住民じゅうみん大会たいかい寄付きふきん負担ふたんするもうわせがあった、との主張しゅちょうもとづくものであった。

だいけつ昭和しょうわ7ねん2がつ12にち

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みんしゅう11かん119p。山林さんりん産物さんぶつ採取さいしゅけん侵害しんがい排除はいじょ請求せいきゅう訴訟そしょうで、隣接りんせつ所有しょゆうけんしゃ補助ほじょ参加さんか大審院だいしんいん否定ひていした。

東京とうきょうだかけつ昭和しょうわ49ねん4がつ17にち

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したみんしゅう25かん1ごう~4ごう309p。ある薬剤やくざいがスモンびょう原因げんいんであるとしてくにたいしてこされた損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう訴訟そしょうに、その薬剤やくざい投与とうよしたことでべつ訴訟そしょう被告ひこくになっている医師いしが、被告ひこくがわって補助ほじょ参加さんか申立もうしたてたが、退しりぞけられた。

補助ほじょ参加さんかじん地位ちい

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補助ほじょ参加さんかじんは、独自どくじ利益りえきはか目的もくてき参加さんかすることから、独自どくじ攻撃こうげき防御ぼうぎょ方法ほうほう提出ていしゅつ異議いぎ申立もうしたて上訴じょうそなどの訴訟そしょう行為こういをすることができるなど、独立どくりつせいゆうする。

その一方いっぽうで、従属じゅうぞくせいつよい。具体ぐたいてきには、以下いかてん指摘してきされる。

  • 参加さんかとき訴訟そしょう状態じょうたい拘束こうそくける。
  • 訴訟そしょう自体じたい処分しょぶん変更へんこうするような行為こういはできない。
  • 参加さんかじん行為こうい抵触ていしょくする行為こういはできない。
  • 参加さんかじん不利ふり行為こういはできない。

判決はんけつ効力こうりょく

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参加さんかじん敗訴はいそした確定かくてい判決はんけつについては、参加さんかじん参加さんかじんきるのち訴訟そしょうにおいて、原則げんそくとしてあらそうことはできなくなる。この効力こうりょくについては、あらそいはあるが判例はんれい通説つうせつは、既判力きはんりょくとはことなる参加さんかてき効力こうりょくかいしている。参加さんかてき効力こうりょくは、主観しゅかんてき範囲はんい客観きゃっかんてき範囲はんい当事とうじしゃ援用えんよう必要ひつようせいなどにおいて、既判力きはんりょくとはことなるとされる。すなわち、参加さんかてき効力こうりょく参加さんかじん参加さんかじんあいだ判決はんけつ主文しゅぶんのみならず理由りゆうちゅう判断はんだんにもしょうずる。

訴訟そしょう告知こくち

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共同きょうどう訴訟そしょうてき補助ほじょ参加さんか

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訴訟そしょうぶつ請求せいきゅう)について当事とうじしゃ適格てきかくくために当事とうじしゃとして共同きょうどう訴訟そしょう参加さんかすることはできないが、訴訟そしょう判決はんけつについて既判力きはんりょくなどがおよ第三者だいさんしゃ補助ほじょ参加さんかする場合ばあいを、とく共同きょうどう訴訟そしょうてき補助ほじょ参加さんかという。

当然とうぜん補助ほじょ参加さんか理論りろん

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最高裁さいこうさい昭和しょうわ43ねん9がつ12にちだいいちしょう法廷ほうてい判決はんけつはこの理論りろん否定ひていした。その理由りゆうとしては、共同きょうどう訴訟そしょうじん独立どくりつ原則げんそくにより本来ほんらい共同きょうどう訴訟そしょうじんのする訴訟そしょう行為こうい共同きょうどう訴訟そしょうじん影響えいきょうしないところ、この理論りろんみとめるとどのような場合ばあい補助ほじょ参加さんかしたのと同様どうよう効果こうか発生はっせいするのか基準きじゅん明確めいかくでなく訴訟そしょう混乱こんらんさせることになるというものである。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 高橋たかはし重点じゅうてん講義こうぎ民事みんじ訴訟そしょうほう した」p301-364