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化学 かがく 式 しき 量 りょう (かがくしきりょう、英 えい : chemical formula weight )とは、化学 かがく 式 しき (おもに組成 そせい 式 しき )に基 もと づいて原子 げんし 量 りょう と原子 げんし 数 すう の積 せき の総和 そうわ を求 もと めた値 ね である。場合 ばあい によっては単 たん に式 しき 量 りょう (しきりょう、formula weight)と呼 よ ぶこともある。化学 かがく 式 しき 量 りょう はその構成 こうせい 単位 たんい が分子 ぶんし として明確 めいかく に決 き められない場合 ばあい 、たとえばCa2 SO4 ・1/2H2 O のような無機 むき 化合 かごう 物 ぶつ などに用 もち いられる。イオン ではイオン式 しき 量 りょう が、高分子 こうぶんし では高分子 こうぶんし 式 しき 量 りょう が用 もち いられる[ 1] 。これは分子 ぶんし が存在 そんざい すると否 ひ とにかかわらずどんな物質 ぶっしつ に対 たい しても適用 てきよう できる包括 ほうかつ 的 てき な用語 ようご であり[ 2] 、分子 ぶんし 量 りょう よりも広義 こうぎ に用 もち いられる[ 3] 。そして分子 ぶんし 量 りょう 同様 どうよう 、化学 かがく 式 しき が示 しめ す化学 かがく 量 りょう 論 ろん に基 もと づき反応 はんのう 物 ぶつ あるいは生成 せいせい 物 ぶつ の量的 りょうてき 関係 かんけい を把握 はあく する際 さい に利用 りよう される。
物質 ぶっしつ 量 りょう と原子 げんし 量 りょう との関係 かんけい から自明 じめい なように、成分 せいぶん 1ユニット当 あ たりの原子 げんし 量 りょう の総和 そうわ である化学 かがく 式 しき 量 りょう に、ユニット総数 そうすう を意味 いみ するモル当 とう 量 りょう を乗 じょう じた値 ね は、化学 かがく 式 しき が表現 ひょうげん する消費 しょうひ あるいは生成 せいせい する物質 ぶっしつ の総 そう 質量 しつりょう の値 ね を示 しめ す。分子 ぶんし 量 りょう も原子 げんし 質量 しつりょう 単位 たんい を基準 きじゅん とする相対 そうたい 質量 しつりょう 比 ひ であるから、分子 ぶんし 量 りょう に分子 ぶんし 総数 そうすう を意味 いみ するモル当 とう 量 りょう を乗 じょう じた値 ね は化学 かがく 式 しき が表現 ひょうげん する物質 ぶっしつ の総 そう 質量 しつりょう の値 ね である。
化学 かがく 式 しき 量 りょう とは異 こと なり、分子 ぶんし 量 りょう は原子 げんし 質量 しつりょう 単位 たんい を1とする実在 じつざい する分子 ぶんし の相対 そうたい 質量 しつりょう 意味 いみ し、例 たと えば質量 しつりょう 分析 ぶんせき 法 ほう (MS) などで個々 ここ の分子 ぶんし についても実測 じっそく できる量 りょう である。だが化学 かがく 式 しき 量 りょう はあくまでも均質 きんしつ 試料 しりょう の全体 ぜんたい について化学 かがく 量 りょう 論 ろん に基 もと づいて定義 ていぎ されるものであり、ミクロな個々 ここ の要 よう 素粒子 そりゅうし について定義 ていぎ されるものではない。例 たと えば、高分子 こうぶんし 化合 かごう 物 ぶつ のように個々 ここ の分子 ぶんし の質量 しつりょう が異 こと なる場合 ばあい は分子 ぶんし 量 りょう 分布 ぶんぷ や平均 へいきん 分子 ぶんし 量 りょう が存在 そんざい するが、化学 かがく 式 しき 量 りょう としてはモノマーユニットやオリゴマーユニットの化学 かがく 式 しき による式 しき 量 りょう を使 つか う。これは高分子 こうぶんし の分子 ぶんし 量 りょう とは全 まった く別 べつ の量 りょう であり、例 たと えば化学 かがく 式 しき 量 りょう 分布 ぶんぷ といったものは存在 そんざい しない。
このように、分子 ぶんし 量 りょう は分子 ぶんし のように明確 めいかく に区分 くぶん される構成 こうせい 粒子 りゅうし が存在 そんざい しないと定義 ていぎ できないが、化学 かがく 式 しき 量 りょう の場合 ばあい は、イオン性 せい 物質 ぶっしつ や金属 きんぞく のような明確 めいかく に区分 くぶん される構成 こうせい 粒子 りゅうし が無 な くても構成 こうせい 比 ひ さえ決定 けってい できれば算術 さんじゅつ 的 てき に定義 ていぎ することが可能 かのう である。
例 たと えば、五 ご 酸化 さんか 二 に リン は構造 こうぞう 式 しき 的 まと にはP4 O10 で表現 ひょうげん されるべきであるが、組成 そせい 式 しき としてはP2 O5 となる。そして化学 かがく 量 りょう 論 ろん 的 まと には当 とう 量 りょう を基準 きじゅん とした量的 りょうてき 関係 かんけい が成立 せいりつ する為 ため に、P2 O5 を化学 かがく 式 しき 量 りょう としてもP4 O10 を化学 かがく 式 しき 量 りょう としても反応 はんのう に関係 かんけい する物質 ぶっしつ の重量 じゅうりょう 比 ひ は変 か わらない為 ため 、量的 りょうてき 関係 かんけい を算出 さんしゅつ する上 じょう での問題 もんだい は発生 はっせい しない。
P2 O5 + 3H2 O → 2H3 PO4
P4 O10 + 6H2 O → 4H3 PO4
逆 ぎゃく に、分子 ぶんし が分子 ぶんし 式 しき として表現 ひょうげん されれば分子 ぶんし 式 しき の化学 かがく 式 しき 量 りょう と分子 ぶんし 量 りょう の値 ね は定義 ていぎ により一致 いっち するので、分子 ぶんし 式 しき から分子 ぶんし 量 りょう を算術 さんじゅつ 的 てき に求 もと める際 さい には暗黙 あんもく のうちに化学 かがく 式 しき 量 りょう が利用 りよう されている。なお具体 ぐたい 的 てき 計算 けいさん で数値 すうち を求 もと める時 とき には、「分子 ぶんし 量 りょう 」の記事 きじ に記載 きさい してあるような計算 けいさん ソフト等 とう も使 つか える。
^ 式 しき 量 りょう 、『理化学 りかがく 辞典 じてん 』、第 だい 5版 はん 、岩波書店 いわなみしょてん 。ISBN 4-00-080090-6
^ 化学 かがく 大 だい 辞典 じてん 編集 へんしゅう 委員 いいん 会 かい (編 へん )「化学 かがく 大 だい 辞典 じてん -第 だい 3版 はん 」共立 きょうりつ (2001/09,初版 しょはん 1960/09)
^ 大木 おおき 道則 みちのり ;田中 たなか 元治 もとはる ;大沢 おおさわ 利昭 としあき ;千原 ちはら 秀昭 ひであき (編 へん )「化学 かがく 大 だい 辞典 じてん 」東京 とうきょう 化学 かがく 同人 どうじん (1989/10)