吉川よしかわ平ひら介かい

吉川よしかわ 平ひら介かい（きっかわ へいすけ、生年せいねん不ふ詳しょう - 天正てんしょう16年ねん12月5日にち〈1589年ねん1月がつ21日にち〉）は安土あづち桃山ももやま時代じだいの豊臣とよとみ政権せいけんの官僚かんりょう。豊臣とよとみ秀長ひでながの配下はいかとして、紀伊きい国こくの統治とうちにあたった。

もとは織田おだ信長のぶながの下したで伊勢いせ大湊おおみなとの船ふね奉行ぶぎょうを務つとめていた。羽柴はしば秀吉ひでよしの紀州きしゅう攻ぜめの後のち、羽柴はしば秀長ひでながの配下はいかとして紀伊きい湊みなとに入はいり、七なな千せん石せきを与あたえられて雑賀さいかに築城ちくじょうした。天正てんしょう14年ねん（1586年ねん）に北山きたやま一揆いっきが勃発ぼっぱつすると、秀長ひでながに従したがって出陣しゅつじんし、一揆いっきを鎮圧ちんあつした。

紀伊きい湊みなとは紀伊きいの特産とくさんである木材もくざいの集散しゅうさん地ちであり、同地どうちを支配しはいする平ひら介かいは「山やま奉行ぶぎょう」として材木ざいもくの管理かんり・調達ちょうたつの任にんに当あたった。当時とうじ畿内きないでは方広寺ほうこうじ大仏殿だいぶつでん（京きょうの大仏だいぶつ）の建立こんりゅうなどのため、熊野くまの木材もくざいの商品しょうひん価値かちが高たかかった。

天正てんしょう16年ねんに秀長ひでながの命令めいれいで熊野くまのの木材もくざい2万まん余よ本ほんを伐採ばっさいして大坂おおさかで販売はんばいしたが、その売買ばいばいの代金だいきんを着服ちゃくふくして私腹しふくを肥こやしたことが秀吉ひでよしに報告ほうこくされ、同年どうねん12月がつ5日にちに大和やまと西大寺さいだいじで処刑しょけい、首くびは洛中らくちゅうにさらされた。この事件じけんでは秀長ひでながも部下ぶかの監督かんとく責任せきにんを問とわれ、「天下てんかの面目めんぼくを失うしなった」（『多聞たもん院いん日記にっき』）上じょうに、翌年よくねん正月しょうがつの礼れいで秀吉ひでよしへの拝謁はいえつを許ゆるされなかった。

参考さんこう文献ぶんけん

• 新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ 編へん『豊臣とよとみ秀長ひでながのすべて』新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ、1996年ねん。ISBN 4-404-02334-0。 
• 小山こやま靖やすし憲けん; 笠原かさはら正夫まさお 編へん『南紀なんきと熊野くまの古道ふるみち』吉川弘文館よしかわこうぶんかん〈街道かいどうの日本にっぽん史し36〉、2003年ねん。ISBN 464206236X。 
• 小山こやま靖やすし憲けん; 武内たけうち雅人まさと; 栄原さかえはら永遠えいえん男おとこ ほか 編へん『和歌山わかやま県けんの歴史れきし』山川やまかわ出版しゅっぱん社しゃ、2004年ねん。ISBN 4634323001。