天王寺てんのうじ川がわ

天王寺てんのうじ川がわ
支流しりゅう足あし洗あらい川がわ源流げんりゅうの一ひとつの大悲だいひ水すい
水系すいけい	二に級きゅう水系すいけい 武庫川むこがわ
種別しゅべつ	二に級きゅう河川かせん
延長えんちょう	5.237 km
水源すいげん	中山なかやま
水源すいげんの標高ひょうこう	220 m
河口かこう・合流ごうりゅう先さき	武庫川むこがわ
流域りゅういき	兵庫ひょうご県けん宝塚たからづか市し、伊丹いたみ市し、(尼崎あまがさき市し)

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	天王寺てんのうじ川がわ 2800140006 武庫川むこがわ水系すいけい 地図ちず 天王寺てんのうじ川がわ
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天王寺てんのうじ川がわ（てんのうじがわ）は、武庫川むこがわ水系すいけいの支流しりゅうで兵庫ひょうご県けん宝塚たからづか市し中部ちゅうぶと伊丹いたみ市し北西ほくせい部ぶ、および尼崎あまがさき市しを流ながれる二に級きゅう河川かせん。

地理ちり

上流じょうりゅうにて大おおきく2流りゅうに分岐ぶんきしていて西にしの支流しりゅうには足あし洗あらい川がわ（あしあらいがわ）、東ひがしの支流しりゅうには勅使ちょくし川がわ（ちょくしがわ）の名なが付ついており、両川りょうかわに挟はさまれた丘陵きゅうりょう地ちに中山寺なかやまじがある。2川がわの源流げんりゅうはいずれも中山なかやまにあり、勅使ちょくし川がわ源流げんりゅう付近ふきんは1970年代ねんだいに宅地たくち開発かいはつされているが、足あし洗あらい川がわは源流げんりゅうから中山寺なかやまでら境内けいだいまでの上うえ流域りゅういきが国有こくゆう林りんで、一部いちぶは宝塚たからづか自然しぜん休養きゅうよう林りんとなっておりかつての里山さとやまの景観けいかんをほぼそのまま保たもっている。なお中山寺なかやまでら奥おくの院いんに湧わく大悲だいひ水すいも、足あし洗あらい川がわ源流げんりゅうの一ひとつである。両川りょうかわとも源流げんりゅうを発はっしてから南みなみ行ぎょうし、中山寺なかやまでら境内けいだいに入はいったところから平野へいやとなる。そのまま阪急はんきゅう宝塚たからづか線せん、国道こくどう176号ごう、JR宝塚たからづか線せんを横切よこぎり、国道こくどう176号ごうを過すぎた辺あたりから天井川てんじょうがわとなる。JR線せん南方なんぽうの宝塚たからづか市し今里いまさと町内ちょうないにてこの2川がわが合流ごうりゅうし、以降いこう同どう地点ちてんから下流かりゅうが天王寺てんのうじ川がわとなる。なお合流ごうりゅう地点ちてんには昭和しょうわ12年ねん8月がつに在ざい小濱おばま村むら旧きゅう帝国ていこく陸軍りくぐん有志ゆうしにより建立こんりゅうされた、「東ひがし久邇くに宮みや殿下でんかお野点のだての地ち」の碑いしぶみがある。

少すこし南みなみ行ぎょうした後のちに東進とうしんし、宝塚たからづか市しの上うえの池いけ北東ほくとう付近ふきんで伊丹いたみ市しに入はいると同市どうし荒牧あらまきの天日てんじつ神社じんじゃ西方せいほうで再ふたたび南みなみに流ながれを変かえる。やがて中国自動車道ちゅうごくじどうしゃどう、国道こくどう176号ごうバイパスと交差こうさし、宝塚たからづか市立しりつ安倉中あくらなか学校がっこう、兵庫ひょうご県立けんりつ伊丹いたみ北きた高等こうとう学校がっこうが現あらわれた付近ふきんから右岸うがんが宝塚たからづか市し、左岸さがんが伊丹いたみ市しの市し境さかいを流ながれる(川かわ自体じたいは伊丹いたみ市しに属ぞくする)。都市とし計画けいかく道路どうろ市道しどう宝塚たからづか池田いけだ線せんと交差こうさしてから下流かりゅうは両りょう岸きしとも伊丹いたみ市しとなり、伊丹いたみ市立しりつ天王寺てんのうじ川がわ中学校ちゅうがっこうを過すぎた地点ちてんでいったん西にしに向むくもすぐに南みなみへ向むきを変かえ、介護かいご老人ろうじん施設しせつケアハイツいたみの西にしで天神川てんじんかわを取とり込こみ、そこから西進せいしん。すぐに兵庫ひょうご県けん道どう42号ごう尼崎あまがさき宝塚たからづか線せんをくぐり、関西電力かんさいでんりょく西野にしの変電へんでん所しょの南西なんせいで再ふたたび南みなみへ向むきを変かえて尼崎あまがさき市しに入はいり、500mほど流ながれて尼崎あまがさき市し西昆陽にしこやで武庫川むこがわに注そそぐ。

支流しりゅう

• 足あし洗あらい川がわ
• 天神川てんじんかわ
• 勅使ちょくし川がわ

流域りゅういきの自治体じちたい

兵庫ひょうご県けん

宝塚たからづか市し

伊丹いたみ市し

尼崎あまがさき市し‐ただし尼崎あまがさき市内しないを流ながれるのは武庫川むこがわに注そそぐ河口かこうの約やく500mのみ。

流域りゅういきの観光かんこう地ち・施設しせつ

• 中山なかやま
• 中山寺なかやまじ
• 伊丹いたみ市立しりつ天王寺てんのうじ川がわ中学校ちゅうがっこう‐校こう名めいがこの川かわに由来ゆらいする。
• イオンモール伊丹いたみ昆陽こんよう

歴史れきし

足あし洗あらい川がわ源流げんりゅうの一ひとつである大悲だいひ水すいには以下いかの伝説でんせつがある。仲哀ちゅうせつ天皇てんのうと大中おおなか姫ひめとの間あいだに生うまれた忍にん熊ぐま皇子おうじは、神宮じんぐう皇后こうごうの子こ誉田ほんだ別べつ尊みこと(後ごの応神天皇おうじんてんのう)との皇位こうい争あらそいに敗やぶれ、神宮じんぐう皇后こうごう元年がんねん(201年ねん)に宇治川うじがわで自害じがいした。やがて皇子おうじの遺体いたいは難波なんば浦うら(現在げんざいの尼崎あまがさき市し難波なんば)に流ながれ着つき、そこで祟たたりをなすようになったことが天皇てんのうの耳みみに入はいったので、天皇てんのうは勅使ちょくしを遣つかわして、皇子おうじの遺体いたいを母ははの大だい中姫なかひめの墓はかにおさめさるよう指示しじした。ところが勅使ちょくしが皇子おうじの遺体いたいがおさめられた石棺せっかんの蓋ぶたを開あけたところ、中ちゅうから白鳥はくちょうが飛とび出だし、中山寺なかやまでら奥おくの院いん西にし隣となりにある大岩おおいわにとまった後姿うしろすがたを消けし、同時どうじにその岩いわの下したから水みずが湧わき出だした。その後ご大岩おおいわには白鳥しらとり岩いわの名なが付つけられ、湧わき出だした水みずは大悲だいひ水すいと名なづけられた。また勅使ちょくし川がわの名なも勅使ちょくしが遣つかわされたところから来きている。

1175年ねん(安元やすもと元年がんねん)に泉いずみ高だか父ちち宿禰すくねによって記しるされた行基ぎょうき年譜ねんぷに、「昆陽こや上溝うわみぞ長ちょう一いち千せん二に百ひゃく丈たけ，廣こう六ろく尺しゃく、深ふか四よん尺しゃく、　在ざい二に　攝津せっつ國こく河邊かべ郡ぐん山本やまもと里さと一いち　同どう下池しもいけ溝みぞ長ちょう一いち千せん二に百ひゃく丈たけ、廣こう六ろく尺しゃく、深ふか六ろく尺しゃく、 在ざい二に 同所どうしょ一いち 」の記述きじゅつがあり、昆陽こや上溝うわみぞとあるのが現在げんざいの天神川てんじんかわ、同どう下溝しもみぞとあるのが現在げんざいの天王寺てんのうじ川がわと郷土きょうど史家しかなどは推測すいそくしている。昆陽池こやいけが掘削くっさくされた731年ねん(天平てんぴょう3年ねん)、同時どうじにこの2本ほんの溝みぞが開削かいさくされたとすれば、記録きろくに残のこっておりかつ現存げんそんする用水路ようすいろとしては天神川てんじんかわと並ならんで国内こくない最古さいことなる。なお文献ぶんけんに記しるされた昆陽こや上池かみいけが今日きょうの昆陽池こやいけで天神川てんじんかわは上池かみいけへの取水しゅすいのため、天王寺てんのうじ川がわは昆陽こや下池しもいけへの取水しゅすいのため開削かいさくされたと考かんがえられているが、下池しもいけは慶長けいちょう年間ねんかんに埋うめ立たてられ、いまは伊丹いたみ市内しないに池尻いけじりの地名ちめいを残のこすのみとなっている。

1961年ねん6月がつ27日にち、昭和しょうわ36年ねん梅雨つゆ前線ぜんせん豪雨ごううで支流しりゅうの天神川てんじんかわとともに堤防ていぼうが決壊けっかいし、伊丹いたみ市域しいき一帯いったいの約やく 500 戸こが床上ゆかうえ・床下ゆかした浸水しんすいした。

天神川てんじんかわとともに武庫川むこがわと昆陽池こやいけを結むすぶ川かわ沿ぞいの環境かんきょう整備せいび計画けいかく案あんがつくられ、桜さくら並木なみき、多目的たもくてき公園こうえん、散策さんさく道どうの整備せいびなどが予定よていされており、伊丹いたみ市し西野にしの1丁目ちょうめの十じゅう六ろく名めい公園こうえんはそうして整備せいびされた公園こうえんのうちの1つである。

環境かんきょう

天神川てんじんかわ同様どうよう必かならずしも水質すいしつは良よいとは言いえないが、外来がいらい種しゅ主体しゅたいとはいえ魚さかなやカエルも生息せいそくしており藻類そうるいも豊富ほうふである。天神川てんじんかわ同様どうよう、伊丹いたみ市しの天日てんじつ神社じんじゃから上流じょうりゅうでは数かずは少すくないがヘイケボタルも見みられる。カルガモも住すみ着ついており、また昆陽池こやいけには多数たすうのカモ類るいが越冬えっとうのため渡わたってくるものの、同どう池いけがすでに満杯まんぱい状態じょうたいなので、溢あふれたヒドリガモやオナガガモがこれらを目当めあてに近在きんざいのここや天神川てんじんかわでエサを漁あさっている様子ようすが冬ふゆには見みられる。

流域りゅういきの伊丹いたみ台地だいちは水利すいりが悪わるかったので天水てんすいと当とう川がわ、および天神川てんじんかわから灌漑かんがい用水ようすいを引ひいた農業のうぎょう用ようため池いけが数多かずおおく造つくられ、昆陽池こやいけもそのうちの1つである。それらうち当とう川かわから取水しゅすいしていた黒くろ池ちと西池にしいけにはヒシや、特筆とくひつすべきは阪神はんしん間あいだでここだけにオニバスなど貴重きちょうな水生すいせい植物しょくぶつが見みられた。しかしこうしたため池いけは宅地たくち開発かいはつに伴ともない現在げんざいはその多おおくが埋うめ立たてられ、黒くろ池ちと西池にしいけも2002年ねんに一部いちぶが埋うめ立たてられ護岸ごがん整備せいびされた結果けっか、これらの貴重きちょうな植物しょくぶつは消滅しょうめつした。