太田おおた収おさむ

太田おおた 収おさむ（おおた おさむ、1890年ねん（明治めいじ23年ねん）1月がつ12日にち - 1938年ねん（昭和しょうわ13年ねん）5月28日にち）は、日本にっぽんの実業じつぎょう家か。山一証券やまいちしょうけん社長しゃちょう。投機とうきに失敗しっぱいし自殺じさつした。証券しょうけん業界ぎょうかいにおける初はつの東京帝大とうきょうていだい出身しゅっしん者しゃ。

人物じんぶつ

岡山おかやま県けん吉備きび郡ぐん庭瀬にわせ村むら（のち庭瀬にわせ町まち、吉備きび町まち、現げん・岡山おかやま市し）出身しゅっしん。のち家督かとくを相続そうぞくする。1916年ねん、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく法科ほうか大学だいがく独どく法科ほうかを卒業そつぎょう。

同郷どうきょうの先輩せんぱい野崎のさき広太ひろたの勧すすめで、小池こいけ国三くにぞうの小池こいけ合資ごうし会社かいしゃ（のちの山一證券やまいちしょうけん）に入はいる。古こ荘そう四よん郎ろう彦、河合かわい良成よしなりらと、兜かぶと町まちで働はたらく東京帝大とうきょうていだい法科ほうか出での遊ゆう会かい「十じゅう八はち日にち会かい」を作つくり親交しんこうした。1926年ねん、山一証券やまいちしょうけん常務じょうむに昇進しょうしん、鐘紡かねぼう株かぶで巨利きょりを得え、山一證券やまいちしょうけん社長しゃちょう杉野すぎの喜き精せいに「証券しょうけん業ぎょうの天才てんさい」と評価ひょうかされ、1935年ねん、次期じき社長しゃちょうに就任しゅうにん。

自みずから鐘紡かねぼう株かぶの思惑おもわく買かいを進すすめていたが、暴落ぼうらくで失敗しっぱいする。1938年ねん、前ぜん社長しゃちょう杉野すぎの喜き精せいに辞表じひょうを出だし、私財しざいを投なげ打うっても損失そんしつを埋うめられず、遺書いしょを残のこして服毒ふくどく自殺じさつする。

母方ははかたの会津あいづ気質きしつを受うけ、大だいの負まけず嫌ぎらいの性格せいかくで、祖父そふの手代木てしろぎ勝まさる任にんに似にて眼光がんこう鋭するどく、意志いし強固きょうこ、明敏めいびん細緻さいちな性格せいかくであった。渋谷しぶや区く多額たがく納税のうぜい者ものである。宗教しゅうきょうは神道しんとう。趣味しゅみは柔道じゅうどう、将棋しょうぎ。住所じゅうしょは東京とうきょう市し渋谷しぶや区く豊ゆたか分ぶん町まち（現げん・渋谷しぶや区く広尾ひろお）。

同おなじ岡山おかやま出身しゅっしんの犬いぬ養やしなえ毅あつしは太田おおたの帝みかど大時代おおじだいの保証人ほしょうにんである。獅子しし文六ぶんろくの『大番おおばん』に登場とうじょうする木谷きたにのモデルである。同どう作さくの主人公しゅじんこう・赤羽あかはねのモデルである佐藤さとう和三郎わさぶろうは太田おおたの弟子でし。

家族かぞく・親族しんぞく

太田おおた家か

• 父ちち・始はじめ四郎しろう、あるいは始はじめ三郎さぶろう（1928年ねん没ぼつ） - 太田おおた始はじめ四郎しろうは庭瀬にわせ村むら村長そんちょう。豪農ごうのう。始はじめ四郎しろう（元もと四よん郎ろうとも、旧姓きゅうせい・日枝ひえ）は、賀陽かよう郡ぐん平野ひらの村むら（のちの庭瀬にわせ村むら、現げん・岡山おかやま市し）戸長こちょう・太田おおた伝四郎でんしろうの娘むすめ婿むこで、一子いっしを儲もうけたが妻子さいしとも死別しべつ。
• 母はは・元枝もとえ - 岡山おかやま区長くちょう手代木てしろぎ勝かつ任つとむの長女ちょうじょ。佐々木ささき只三郎たださぶろうの姪めい。太田おおた始はじめ四郎しろうの後妻ごさい。前夫ぜんふとの間あいだに二に児じあり。
• 兄あに・稔みのる（1880年生ねんせい） - 清水しみず組ぐみ土木どぼく部ぶ工事こうじ長ちょう（のち清水建設しみずけんせつ監査かんさ役やく）。東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく工科こうか土木どぼく科か卒そつ。1918年ねんより1年間ねんかん米国べいこく視察しさつ。妻つまは安田やすだ武雄たけおの妹いもうと。
• 前妻ぜんさい・弘ひろし（1898-1920） - 日本にっぽん赤十字せきじゅうじ病院びょういん長ちょう・難波なんば一はじめの長女ちょうじょ。結婚けっこん1年ねんで死別しべつ。
• 後妻ごさい・利子りし（1904年ねん - ?、東京とうきょう、藤島ふじしま太ふとし麻あさ夫おっとの長女ちょうじょ、あるいは藤嶋ふじしま太ふとし麻あさの二女じじょ）1923年ねんに結婚けっこん、1932年ねんに死別しべつ。父ちちの藤島ふじしま太ふとし麻あさ夫おっと（たまお）は山口やまぐち県けん出身しゅっしんの歯科しか医いで、高山たかやま歯科しか医学いがく院いん講師こうしを経へて東京とうきょう麹こうじ町まち区く内幸町うちさいわいちょうで藤島ふじしま歯科しか医院いいんを開業かいぎょう、軽井沢かるいざわ避暑ひしょ団だんの理事りじなどを務つとめた。
• 長女ちょうじょ
• 養子ようし（神奈川かながわ、岡田おかだ三次みつじ郎ろうの孫まご）

親戚しんせき

• 母方ははかたの大叔父おおおじ・佐々木ささき只三郎たださぶろう（京都きょうと見廻組みまわりぐみ与あずか頭あたま）
• 妹いもうとの夫おっと・坂井さかい豊ゆたか（陸軍りくぐん大佐たいさ）、渡邊わたなべ彦士（判事はんじ）、稲葉いなば章道しょうどう（医師いし）

関連かんれん書しょ

• 『滅ほろびの遺伝子いでんし　山一證券やまいちしょうけん興亡こうぼう百ひゃく年ねん史し』 （鈴木すずき隆たかし 著ちょ）

参考さんこう文献ぶんけん

• 東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく編へん『東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく一覧いちらん 從したがえ大正たいしょう5年ねん 至いたり大正たいしょう6年ねん』東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく、1913 - 1924年ねん。
• 人事じんじ興信所こうしんじょ編へん『人事じんじ興信録こうしんろく 第だい9版はん』人事じんじ興信所こうしんじょ、1931年ねん。
• 校外こうがい調査ちょうさ会かい編へん『帝国ていこく大学だいがく出身しゅっしん名鑑めいかん』校外こうがい調査ちょうさ会かい、1932年ねん。
• 豊ゆたか多摩たま時事じじ新聞しんぶん社しゃ編へん『渋谷しぶや区く多額たがく納税のうぜい者しゃ名鑑めいかん』豊ゆたか多摩たま時事じじ新聞しんぶん社しゃ、1933年ねん。
• 人事じんじ興信所こうしんじょ編へん『人事じんじ興信録こうしんろく 第だい10版はん 上じょう』人事じんじ興信所こうしんじょ、1934年ねん。
• 人事じんじ興信所こうしんじょ編へん『人事じんじ興信録こうしんろく 第だい11版はん 上じょう』人事じんじ興信所こうしんじょ、1937 - 1939年ねん。

関連かんれん項目こうもく

• 自殺じさつ・自決じけつ・自害じがいした日本にっぽんの著名ちょめい人物じんぶつ一覧いちらん

先代せんだい 杉野すぎの喜き精せい

山一證券やまいちしょうけん社長しゃちょう 1935年ねん - 1938年ねん

次代じだい 平岡ひらおか傳でん章あきら