官かん祭さい

官かん祭さい（かんさい）は、公おおやけ祭さい（こうさい）とも呼よばれ、国家こっか行事ぎょうじとしての位置いちづけがなされた神社じんじゃの祭礼さいれいのこと。

概要がいよう

元もとは神祇官じんぎかんの神かみ名めい帳ちょうに記載きさいされ、祈年祭としごいのまつりの班はん幣ぬさに預あずかる資格しかくを有ゆうした官かん社しゃが行おこなう祈年祭としごいのまつりのことを指さした。また、官かん社しゃのうち「大社たいしゃ」に分類ぶんるいされた神社じんじゃについては、新嘗祭にいなめさい・相あい嘗祭・名神めいしん祭さいに対たいしても班はん幣ぬさが捧ささげられ、それらも官かん祭さいと位置いちづけられていた。班はん幣ぬさを捧ささげるのは神祇官じんぎかんあるいはその旨むねを受うけた諸国しょこくの国司こくしの役目やくめであったが、平安へいあん時代じだい中期ちゅうき以後いごに衰退すいたいし、二に十じゅう二に社しゃなどの例外れいがいを除のぞいては行おこなわれなくなった。

明治維新めいじいしん後のちに官かん祭さい再興さいこうの動うごきがあり、明治めいじ4年ねん5月14日にち（1871年ねん7月がつ1日にち）の太政官だじょうかん布告ふこくによって近代きんだい社格しゃかく制度せいどの基礎きそが作つくられるとともに四よん時じ祭さいの時ときには神祇官じんぎかんから官かん幣ぬさが出だされることになった。2年ねん後ごに定さだめられた官かん幣ぬさ諸しょ社しゃ官かん祭式さいしきによって具体ぐたい的てきな内容ないようが整備せいびされた。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんで日本にっぽんが敗北はいぼくすると、日本にっぽんを占領せんりょうした連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれい部ぶは昭和しょうわ20年ねん（1945年ねん）12月15日にちに「神道しんとう指令しれい」を出だして神道しんとうと国家こっかの分離ぶんりを図はかった。これを受うけて翌よく昭和しょうわ21年ねん（1946年ねん）1月がつ16日にちに官かん社しゃ・官かん祭さいを廃止はいしする勅みことのり令れいと内務省ないむしょう令れい（内務省ないむしょうの省令しょうれい）が出だされ、官かん祭さいとしての形式けいしきは廃止はいしされた（祭礼さいれい自体じたいの廃止はいしではない）。

参考さんこう文献ぶんけん

• 岡田おかだ米夫よねお「官かん祭さい」（『国史こくし大だい辞典じてん 3』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1983年ねん） ISBN 978-4-642-00503-6）