家いえ礼れい

家いえ礼れい（けれい）とは、公家くげ社会しゃかいにおいて公家くげ同士どうしの間あいだで結むすばれた一種いっしゅの主従しゅうじゅう関係かんけいのこと。特とくに近世きんせいの摂関せっかん家かとその他た堂上どうじょう家かとの間あいだの家いえ礼れい関係かんけいを門流もんりゅう（もんりゅう）とも称しょうした。また、武家ぶけにおける家来けらい（けらい）という語かたりの由来ゆらいとも言いわれている。

概要がいよう

室町むろまち時代ときよ以後いご、有職故実ゆうそくこじつや学芸がくげいに関かんする師弟してい関係かんけいとしての公家くげ間あいだのつながりが次第しだいに主従しゅうじゅう関係かんけいの意味いみを持もった関係かんけいに転化てんかするようになり、江戸えど時代じだいに入はいると摂関せっかん家かを「主あるじ」、清華せいか家か以下いかの堂上どうじょう公家くげを「従したがえ」とする家いえ礼れい関係かんけいが固定こてい化かされ、これを一族いちぞくの意味いみを持もつ「門流もんりゅう」という言葉ことばに擬なぞらえて門流もんりゅうとも称しょうするようになった。江戸えど時代じだい末期まっきには主家しゅかである摂関せっかん家か5、近衛このえ家か門流もんりゅう48・九きゅう条じょう家か門流もんりゅう20・二に条じょう家か門流もんりゅう4・一条いちじょう家か門流もんりゅう37・鷹司たかつかさ家か門流もんりゅう8、どこにも属ぞくさない家いえも15あった。

門流もんりゅうとなった公家くげは主家しゅかである摂関せっかん家かにおける公私こうしの行事ぎょうじに参加さんか・随従ずいじゅうする義務ぎむ、主家しゅかが行おこなっている有職故実ゆうそくこじつなどの礼法れいほう遵守じゅんしゅの義務ぎむ、元服げんぷく・婚姻こんいん・養子ようし縁組えんぐみの際さいにも主家しゅかの許可きょかを要ようし、原則げんそくとして主家しゅかの意向いこうに反はんする行動こうどうや門流もんりゅう関係かんけいの解消かいしょうは認みとめられていなかった。その代かわり、主家しゅかは門流もんりゅうの公家くげの昇進しょうしんや主家しゅか所蔵しょぞうの記録きろく類るいの利用りよう許可きょか（先例せんれいを重視じゅうしする公家くげ社会しゃかいにおいては重要じゅうような意味いみを持もちえた）などの便宜べんぎを図はかった他ほか、主家しゅかより政治せいじ的てきな重要じゅうような情報じょうほうが与あたえられる場合ばあいもあった。また、こうした家いえ礼れい関係かんけいは堂上どうじょう家か（摂関せっかん家かとは限かぎらない）と地下ちか家かの間あいだでも存在そんざいしていた（ただし、地下ちか家かのうち一定いっていの家々いえいえは局きょく務つとむ・官かん務つとむ・出納すいとうの統轄とうかつ下か（官かん方かた・外そと記き方かた・蔵人くろうど方かた）に置おかれており、家いえ礼れい関係かんけいを結むすぶことが出来できたのはそこに属ぞくさない地下ちか家かのみであった）。

参考さんこう文献ぶんけん

• 李元りげん雨う『幕末ばくまつの公家くげ社会しゃかい』第だい四よん章しょう第だい四よん節せつ「摂家せっけと門流もんりゅう」（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2005年ねん（平成へいせい17年ねん））ISBN 978-4-642-03402-9
• 西村にしむら慎太郎しんたろう『近世きんせい朝廷ちょうてい社会しゃかいと地下ちか官かん人じん』第だい三さん部ぶ第だい二に章しょう「近世きんせい堂上どうじょう公家くげと地下ちか官かん人じんの家いえ礼れい関係かんけい」（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2008年ねん（平成へいせい20年ねん））ISBN 978-4-642-03433-3（初出しょしゅつ『日本にっぽん歴史れきし』第だい661号ごう（2003年ねん（平成へいせい15年ねん）6月がつ））