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対物 たいぶつ レンズ (たいぶつレンズ)とは顕微鏡 けんびきょう や双眼鏡 そうがんきょう や望遠鏡 ぼうえんきょう において、観察 かんさつ される物体 ぶったい に最 もっと も近 ちか いレンズ である。物体 ぶったい からの光 ひかり は、まず対物 たいぶつ レンズを通過 つうか して鏡 かがみ 筒 とう (きょうとう)内 ない に入射 にゅうしゃ する。対物 たいぶつ レンズは、光 ひかり 束 たば を集 しゅう 光 ひから して像 ぞう 面 めん に実像 じつぞう をつくる。
対物 たいぶつ レンズの性能 せいのう で光学 こうがく 機器 きき の性能 せいのう は決 き まるといっても過言 かごん ではなく、良 よ く収差 しゅうさ 補正 ほせい された光学 こうがく 系 けい ではその性能 せいのう は概 おおむ ね開口 かいこう 数 すう や口径 こうけい で決 き まる。
収差 しゅうさ といわれるずれは、ガラスの屈折 くっせつ 率 りつ が光 ひかり の波長 はちょう によって異 こと なるためやレンズが球面 きゅうめん 形状 けいじょう のためなどによって発生 はっせい する。1枚 まい の凸 とつ レンズだけでは綺麗 きれい な像 ぞう が得 え られないため屈折 くっせつ 率 りつ の異 こと なる特殊 とくしゅ ガラスや凹 おう レンズ、非 ひ 球面 きゅうめん レンズ などの組 く み合 あ わせによって収差 しゅうさ を補正 ほせい しているものもある。
顕微鏡 けんびきょう の対物 たいぶつ レンズにはアクロマート、アポクロマート、フルオールなどの種類 しゅるい がある。
アクロマート
色収差 いろしゅうさ のうち2色 しょく の補正 ほせい を行 おこな ったもの。普通 ふつう は、青 あお 〜赤 あか で補正 ほせい されている。多 おお くの顕微鏡 けんびきょう でこのレンズが使 つか われている。
アポクロマート
3色 しょく で色収差 いろしゅうさ 補正 ほせい を行 おこな ったもの。紫 むらさき 〜赤 あか と可視 かし 光線 こうせん の広 ひろ い範囲 はんい で像 ぞう の周辺 しゅうへん まで、ほぼ理想 りそう の光学 こうがく 系 けい になるように設計 せっけい されているものが多 おお い。研究 けんきゅう 用途 ようと に用 もち いられることが多 おお い。
フルオール(Fluor )
蛍光 けいこう 顕微鏡 けんびきょう で用 もち いられ、波長 はちょう がおよそ340nmまでの紫外線 しがいせん の透過 とうか 率 りつ を確保 かくほ しているものである(ただし各社 かくしゃ によって名前 なまえ の付 つ け方 かた と内容 ないよう が異 こと なる場合 ばあい があるので注意 ちゅうい が必要 ひつよう )。
像 ぞう 面 めん 湾曲 わんきょく を補正 ほせい したものはレンズの名前 なまえ にPlan(プラン)と付 つ いていてPlanApo、PlanFluorなどと表記 ひょうき されている。像 ぞう の平坦 へいたん 性 せい が良 よ い。開口 かいこう 数 すう は乾燥 かんそう 系 けい 対物 たいぶつ レンズでは1未満 みまん であるが油 あぶら 浸 ひた や水 みず 浸 ひた 対物 たいぶつ レンズでは1を超 こ えたものがあり、分解能 ぶんかいのう や集 しゅう 光 こう 力 りょく が高 たか い。
JIS では鏡 かがみ 筒 とう の長 なが さ[注釈 ちゅうしゃく 1] を生物 せいぶつ 顕微鏡 けんびきょう で160mm、工業 こうぎょう 顕微鏡 けんびきょう で210mmと決 き めていたが、現在 げんざい は2009年 ねん 制定 せいてい のJIS B 7132-1で有限 ゆうげん 遠 とお 光学 こうがく 系 けい の機械 きかい 的 てき 鏡 かがみ 筒 とう 長 ちょう (対物 たいぶつ レンズのマウント(多 おお くがRMSマウント)の取付 とりつけ 基準 きじゅん 面 めん から接眼 せつがん レンズのマウント(Cマウント等 とう )の取付 とりつけ 基準 きじゅん 面 めん までの距離 きょり )が160mm、光学 こうがく 的 てき 鏡 かがみ 筒 とう 長 ちょう (対物 たいぶつ レンズの像 ぞう 距離 きょり )が150mmとなっている。
また、同年 どうねん 制定 せいてい のJIS B 7132-2により無限 むげん 遠 とお 光学 こうがく 系 けい が規格 きかく 化 か されている。有限 ゆうげん 遠 とお 光学 こうがく 系 けい の光学 こうがく 的 てき 鏡 かがみ 筒 とう 長 ちょう が同 おな じでも焦点 しょうてん までにフィルタ等 とう があると屈折 くっせつ し、機械 きかい 的 てき 鏡 かがみ 筒 とう 長 ちょう が伸縮 しんしゅく するため、光学 こうがく 的 てき 鏡 かがみ 筒 とう 長 ちょう 150mm且 か つ機械 きかい 的 てき 鏡 かがみ 筒 とう 長 ちょう 160mmであるのは光 ひかり 路 ろ に何 なに もない場合 ばあい で有 あ り、フィルタ等 とう があると機械 きかい 的 てき 鏡 かがみ 筒 とう 長 ちょう 160mmでは像 ぞう がボケることになる。
それに対 たい して無限 むげん 遠 どお 光学 こうがく 系 けい の利点 りてん として対物 たいぶつ レンズより出射 しゅっしゃ された光 こう は像 ぞう を結 むす ばない平行 へいこう 光 こう であるため、フィルタ等 とう を対物 たいぶつ レンズから結 ゆい 像 ぞう レンズの間 あいだ に入 い れれば像 ぞう がボケることなく拡張 かくちょう 性 せい を高 たか くすることが出来 でき る。ただし被写体 ひしゃたい の同 おな じ各 かく 点 てん から出 で た光 ひかり 同士 どうし が平行 へいこう なだけで、別 べつ の点 てん から出 で た光 ひかり 同士 どうし は拡散 かくさん していくため、無限 むげん 遠 とお 光学 こうがく 系 けい と言 い う名前 なまえ だが、対物 たいぶつ レンズから結 ゆい 像 ぞう レンズの距離 きょり は結 ゆい 像 ぞう レンズの大 おお きさにより実質 じっしつ 的 てき に制限 せいげん される。
望遠鏡 ぼうえんきょう の対物 たいぶつ レンズにも色収差 いろしゅうさ の補正 ほせい の度合 どあ いによりアクロマート、アポクロマートなどの種類 しゅるい がある。単純 たんじゅん な構成 こうせい では、凸 とつ レンズと凹 おう レンズを組 く み合 あ わせたアクロマートレンズが用 もち いられる。さらに視野 しや の周辺 しゅうへん までほぼ理想 りそう の光学 こうがく 系 けい になるように、前 まえ 群 ぐん レンズと後 こう 群 ぐん レンズを用 もち いて収差 しゅうさ 補正 ほせい された対物 たいぶつ レンズもある。この方式 ほうしき ではF値 ち (後述 こうじゅつ )が小 ちい さく、明 あか るい光学 こうがく 系 けい が構成 こうせい できる。
対物 たいぶつ レンズの有効 ゆうこう 口径 こうけい は、分解能 ぶんかいのう や集 しゅう 光 こう 力 りょく を左右 さゆう する重要 じゅうよう な要素 ようそ である。対物 たいぶつ レンズの焦点 しょうてん 距離 きょり を口径 こうけい で割 わ った比 ひ を口径 こうけい 比 ひ といい、像 ぞう の明 あか るさを左右 さゆう する。F値 ね ともいう。ただし、眼 め 視 し で空中 くうちゅう 像 ぞう を観測 かんそく するのであればF値 ち の大小 だいしょう と像 ぞう の明 あか るさはほとんど関係 かんけい ない。一般 いっぱん にF値 ち の大 おお きな対物 たいぶつ レンズのほうが、諸 しょ 収差 しゅうさ の補正 ほせい を行 おこな いやすい。望遠鏡 ぼうえんきょう の倍率 ばいりつ は、対物 たいぶつ レンズの焦点 しょうてん 距離 きょり を接眼 せつがん レンズ の焦点 しょうてん 距離 きょり で割 わ った商 しょう で求 もと められる。
^ ここでいう鏡 かがみ 筒 とう の長 なが さとは光学 こうがく 的 てき 鏡 かがみ 筒 とう 長 ちょう であって、実際 じっさい の長 なが さではない。大昔 おおむかし は実寸 じっすん 法 ほう であった。