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対物たいぶつレンズ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

対物たいぶつレンズ(たいぶつレンズ)とは顕微鏡けんびきょう双眼鏡そうがんきょう望遠鏡ぼうえんきょうにおいて、観察かんさつされる物体ぶったいもっとちかレンズである。物体ぶったいからのひかりは、まず対物たいぶつレンズを通過つうかしてかがみとう(きょうとう)ない入射にゅうしゃする。対物たいぶつレンズは、ひかりたばしゅうひからしてぞうめん実像じつぞうをつくる。

対物たいぶつレンズの性能せいのう光学こうがく機器きき性能せいのうまるといっても過言かごんではなく、収差しゅうさ補正ほせいされた光学こうがくけいではその性能せいのうおおむ開口かいこうすう口径こうけいまる。

収差しゅうさといわれるずれは、ガラスの屈折くっせつりつひかり波長はちょうによってことなるためやレンズが球面きゅうめん形状けいじょうのためなどによって発生はっせいする。1まいとつレンズだけでは綺麗きれいぞうられないため屈折くっせつりつことなる特殊とくしゅガラスやおうレンズ、球面きゅうめんレンズなどのわせによって収差しゅうさ補正ほせいしているものもある。

顕微鏡けんびきょう対物たいぶつレンズ

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顕微鏡けんびきょう対物たいぶつレンズにはアクロマート、アポクロマート、フルオールなどの種類しゅるいがある。

アクロマート
色収差いろしゅうさのうち2しょく補正ほせいおこなったもの。普通ふつうは、あおあか補正ほせいされている。おおくの顕微鏡けんびきょうでこのレンズが使つかわれている。
アポクロマート
3しょく色収差いろしゅうさ補正ほせいおこなったもの。むらさきあか可視かし光線こうせんひろ範囲はんいぞう周辺しゅうへんまで、ほぼ理想りそう光学こうがくけいになるように設計せっけいされているものがおおい。研究けんきゅう用途ようともちいられることがおおい。
フルオール(Fluor
蛍光けいこう顕微鏡けんびきょうもちいられ、波長はちょうがおよそ340nmまでの紫外線しがいせん透過とうかりつ確保かくほしているものである(ただし各社かくしゃによって名前なまえかた内容ないようことなる場合ばあいがあるので注意ちゅうい必要ひつよう)。

ぞうめん湾曲わんきょく補正ほせいしたものはレンズの名前なまえにPlan(プラン)といていてPlanApo、PlanFluorなどと表記ひょうきされている。ぞう平坦へいたんせいい。開口かいこうすう乾燥かんそうけい対物たいぶつレンズでは1未満みまんであるがあぶらひたみずひた対物たいぶつレンズでは1をえたものがあり、分解能ぶんかいのうしゅうこうりょくたかい。

JISではかがみとうなが[注釈ちゅうしゃく 1]生物せいぶつ顕微鏡けんびきょうで160mm、工業こうぎょう顕微鏡けんびきょうで210mmとめていたが、現在げんざいは2009ねん制定せいていのJIS B 7132-1で有限ゆうげんとお光学こうがくけい機械きかいてきかがみとうちょう(対物たいぶつレンズのマウント(おおくがRMSマウント)の取付とりつけ基準きじゅんめんから接眼せつがんレンズのマウント(Cマウントとう)の取付とりつけ基準きじゅんめんまでの距離きょり)が160mm、光学こうがくてきかがみとうちょう(対物たいぶつレンズのぞう距離きょり)が150mmとなっている。

また、同年どうねん制定せいていのJIS B 7132-2により無限むげんとお光学こうがくけい規格きかくされている。有限ゆうげんとお光学こうがくけい光学こうがくてきかがみとうちょうおなじでも焦点しょうてんまでにフィルタとうがあると屈折くっせつし、機械きかいてきかがみとうちょう伸縮しんしゅくするため、光学こうがくてきかがみとうちょう150mm機械きかいてきかがみとうちょう160mmであるのはひかりなにもない場合ばあいり、フィルタとうがあると機械きかいてきかがみとうちょう160mmではぞうがボケることになる。

それにたいして無限むげんどお光学こうがくけい利点りてんとして対物たいぶつレンズより出射しゅっしゃされたこうぞうむすばない平行へいこうこうであるため、フィルタとう対物たいぶつレンズからゆいぞうレンズのあいだれればぞうがボケることなく拡張かくちょうせいたかくすることが出来できる。ただし被写体ひしゃたいおなかくてんからひかり同士どうし平行へいこうなだけで、べつてんからひかり同士どうし拡散かくさんしていくため、無限むげんとお光学こうがくけい名前なまえだが、対物たいぶつレンズからゆいぞうレンズの距離きょりゆいぞうレンズのおおきさにより実質じっしつてき制限せいげんされる。

望遠鏡ぼうえんきょう対物たいぶつレンズ

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望遠鏡ぼうえんきょう対物たいぶつレンズにも色収差いろしゅうさ補正ほせい度合どあいによりアクロマート、アポクロマートなどの種類しゅるいがある。単純たんじゅん構成こうせいでは、とつレンズとおうレンズをわせたアクロマートレンズがもちいられる。さらに視野しや周辺しゅうへんまでほぼ理想りそう光学こうがくけいになるように、まえぐんレンズとこうぐんレンズをもちいて収差しゅうさ補正ほせいされた対物たいぶつレンズもある。この方式ほうしきではF後述こうじゅつ)がちいさく、あかるい光学こうがくけい構成こうせいできる。

対物たいぶつレンズの有効ゆうこう口径こうけいは、分解能ぶんかいのうしゅうこうりょく左右さゆうする重要じゅうよう要素ようそである。対物たいぶつレンズの焦点しょうてん距離きょり口径こうけいった口径こうけいといい、ぞうあかるさを左右さゆうする。Fともいう。ただし、空中くうちゅうぞう観測かんそくするのであればF大小だいしょうぞうあかるさはほとんど関係かんけいない。一般いっぱんにFおおきな対物たいぶつレンズのほうが、しょ収差しゅうさ補正ほせいおこないやすい。望遠鏡ぼうえんきょう倍率ばいりつは、対物たいぶつレンズの焦点しょうてん距離きょり接眼せつがんレンズ焦点しょうてん距離きょりったしょうもとめられる。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ここでいうかがみとうながさとは光学こうがくてきかがみとうちょうであって、実際じっさいながさではない。大昔おおむかし実寸じっすんほうであった。

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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