望遠鏡ぼうえんきょう

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望遠鏡ぼうえんきょうをのぞく米国べいこくふね乗組のりくみいん。(1899ねん
Charles Reginald Fordが、ロバート・スコット1901-1904の南極なんきょく遠征えんせい(「ディスカバリー遠征えんせい」)使用しようした金属きんぞくせい望遠鏡ぼうえんきょう木製もくせいスタンドがべつ付属ふぞく
望遠鏡ぼうえんきょう一種いっしゅで、つつふたつにした双眼鏡そうがんきょう現代げんだいのアメリカ海軍かいぐんのもの。
天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょう屈折くっせつしき望遠鏡ぼうえんきょうれい口径こうけい50cm。ニース天文台てんもんだい
シュミットしき望遠鏡ぼうえんきょう口径こうけい2m。ドイツ

望遠鏡ぼうえんきょう(ぼうえんきょう、えい: telescope)とは、光学こうがく機器きき一種いっしゅで、とおくにある対象たいしょうぶつをよりちかくにあるかのようにせるために設計せっけいされたもの[1]複数ふくすうレンズ配置はいち、または曲面きょくめんきょうとレンズの配置はいち機器きき内部ないぶふくんでおり、これによって、光線こうせんがまとめられ、焦点しょうてんあつめられることで、拡大かくだいされたぞうimage)がられる[1]ふるくは「遠眼鏡とおめがね(とおめがね)」ともばれた。

てんじて、電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょうえい: radio telescope)の略語りゃくごとしてももちいられる[2]

概説がいせつ[編集へんしゅう]

とおくにある対象たいしょうぶつぞう拡大かくだいして観察かんさつしやすくするための装置そうちである。もともと17世紀せいき初頭しょとう発明はつめいされた段階だんかいでは、複数ふくすうのレンズをわせてつつおさめた素朴そぼく装置そうちで、そのすうひゃく年間ねんかん望遠鏡ぼうえんきょうといえばそうしたタイプが主流しゅりゅうだったが、並行へいこうてき曲面きょくめんきょうもちいるものも登場とうじょうし、複数ふくすうのレンズと曲面きょくめんきょう複雑ふくざつわせたものもつくられるようになった。

望遠鏡ぼうえんきょうには、のぞんだときせい立像りつぞうえい: erect imageただしいきのぞう)がえるタイプのものと、倒立とうりつぞうえい: inverted image上下じょうげ左右さゆう反対はんたいになったぞう)がえるタイプのものがある。地上ちじょう対象たいしょうぶつるための望遠鏡ぼうえんきょうはもっぱらせい立像りつぞうられるように設計せっけいされたものがもちいられる。天体てんたい観察かんさつするための望遠鏡ぼうえんきょう天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうは、(せい立像りつぞうられるものもあるが)光学こうがくてき性能せいのう極限きょくげんまでたかめるためにあえて倒立とうりつぞうられるようになっているタイプもある。

20世紀せいきには可視かし光線こうせん以外いがい電磁波でんじはかんする理解りかいすすみ、さらに電磁波でんじはだけでなく地球ちきゅうがいから飛来ひらいする様々さまざまなみ粒子りゅうしをとらえる装置そうちつくられるようになり、そうした装置そうち光学こうがく望遠鏡ぼうえんきょうなぞらえた使つかかたもされるようになった。→#現代げんだい宇宙うちゅう観測かんそくよう特殊とくしゅ望遠鏡ぼうえんきょう

歴史れきし

1608ねんオランダハンス・リッペルハイという眼鏡めがね製作せいさくしゃ望遠鏡ぼうえんきょうかんする特許とっきょ取得しゅとくしようとした。だが同年どうねん、アドリアンスゾーン・メチウスも特許とっきょ申請しんせいをし、結局けっきょくにんのどちらにも特許とっきょなかった。→#歴史れきし

分類ぶんるい種類しゅるい

さまざまな分類ぶんるいほうがある。おも対象たいしょう天体てんたいなのか地上ちじょうぶつかで分類ぶんるいする方法ほうほうや、使用しようするレンズのタイプで分類ぶんるいする方法ほうほうつつかずひとのぞあなかず)で分類ぶんるいする方法ほうほう 等々とうとうがある。→#分類ぶんるい種類しゅるい

ほん記事きじでは、できるだけ「望遠鏡ぼうえんきょう」という用語ようご意味いみ中心ちゅうしんである光学こうがく機器ききについてくわしく説明せつめいする。比喩ひゆてきに「望遠鏡ぼうえんきょう」とばれることもある現代げんだい宇宙うちゅう観測かんそく装置そうちかんしては、詳細しょうさい説明せつめいべつ記事きじゆずる。

分類ぶんるい種類しゅるい[編集へんしゅう]

さまざまな分類ぶんるいほうがある。

ひとつの分類ぶんるいほうは、用途ようとおも対象たいしょうぶつで「地上ちじょう対象たいしょうぶつる / 天体てんたいる」と分類ぶんるいして、「地上ちじょう望遠鏡ぼうえんきょう / 天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょう」と分類ぶんるいする方法ほうほうである。 また、望遠鏡ぼうえんきょうつつかずのぞあなかず)が「ひとつ / ふたつ」で分類ぶんるいして、「単眼たんがんきょう / 双眼鏡そうがんきょう」に分類ぶんるいする方法ほうほうもある。 また「レンズをもちいる / 反射はんしゃきょうもちいる」で分類ぶんるいして、ざっくりと「屈折くっせつ望遠鏡ぼうえんきょう / 反射はんしゃ望遠鏡ぼうえんきょう」に分類ぶんるいする方法ほうほうもある。それらの両方りょうほうもちいたふくごうがたもある。 また、(レンズばかりをもちいる望遠鏡ぼうえんきょうかんして)どのタイプのレンズをもちいるか、という観点かんてん分類ぶんるいする方法ほうほうもあり、「とつレンズとおうレンズをわせる / とつレンズととつレンズをわせる」のちがいで分類ぶんるいし「ガリレオ望遠鏡ぼうえんきょう / ケプラー望遠鏡ぼうえんきょう」に分類ぶんるいする方法ほうほうもある。

地上ちじょう望遠鏡ぼうえんきょう
地上ちじょうのものを観察かんさつ観測かんそくするために設計せっけい製作せいさくされた望遠鏡ぼうえんきょうふるくは対物たいぶつレンズにとつレンズ、接眼せつがんレンズにおうレンズをわせたタイプ(「ガリレオ望遠鏡ぼうえんきょう」とばれるタイプ)もあったが、そのとつレンズを複数ふくすうせいだてプリズムもちいてぞうせいたたさせているものが主流しゅりゅうである。
天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょう
天体てんたい観察かんさつ観測かんそくするために設計せっけい製作せいさくされた望遠鏡ぼうえんきょう地上ちじょうぶつとはくらべものにならないほど遠方えんぽう対象たいしょう観測かんそくするためのもので、対象たいしょうぶつから地上ちじょうとどひかり極端きょくたんよわいので、分解能ぶんかいのうあつまりこうりょく両方りょうほう性能せいのう重視じゅうしされる。おおまかにけて屈折くっせつしき反射はんしゃしきの2種類しゅるいがあり、それぞれ一長一短いっちょういったんがある。
単眼たんがんきょう
つつがひとつ(のぞあながひとつ)の望遠鏡ぼうえんきょう基本きほんてきみぎひだりか、どちらか一方いっぽうちかづけてる。
双眼鏡そうがんきょう
つつがふたつでのぞあながふたつの望遠鏡ぼうえんきょう英語えいごではbinocularsとい「bi」は「ふたつ」という意味いみ日本語にほんごの「双眼鏡そうがんきょう」の「そう」も同様どうよう意味いみ左右さゆうることで(普段ふだんおな使つかいかたなので対象たいしょうぶつ認識にんしきしやすく、また左右さゆうだとのう視覚しかく処理しょりされてぞうが(日常にちじょうのように)立体りったいてきかんじられる。)地上ちじょうよう双眼鏡そうがんきょうは、光学こうがくてきにはフィールドスコープを2つならべた構造こうぞうになっている。(やや特殊とくしゅだが)天文てんもんよう双眼鏡そうがんきょうというものもあり、これは光学こうがくてきには天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうを2つならべてた構造こうぞうになっている(「双眼そうがん望遠鏡ぼうえんきょう」とぶことがおおい)。
ガリレオ望遠鏡ぼうえんきょう

ガリレオ(しき望遠鏡ぼうえんきょうとは、対物たいぶつレンズにとつレンズ、接眼せつがんレンズにおうレンズを使つかった望遠鏡ぼうえんきょうぞうせいだてだが、視界しかいせまい。倍率ばいりつとつレンズの焦点しょうてん距離きょりおうレンズの焦点しょうてん距離きょりひとしい。(天体てんたい観測かんそくよう屈折くっせつ望遠鏡ぼうえんきょうとしては後述こうじゅつのケプラー望遠鏡ぼうえんきょうもちいられるようになり、ほぼもちいられなくなったが)たとえば倍率ばいりつが3~4ばい程度ていどでもことたりるような観劇かんげきようオペラグラス)などにもちいられる[3]。(もともとオペラなど、観客かんきゃくせき舞台ぶたいがさほどはなれていないで状況じょうきょう観察かんさつ対象たいしょうとの距離きょりがさほどでない状況じょうきょう)で俳優はいゆうなどの姿すがたすこしだけ拡大かくだいして鑑賞かんしょうするためなどに現在げんざいでも(双眼鏡そうがんきょう形式けいしきで)使つかわれている。)

ケプラー望遠鏡ぼうえんきょう

ケプラー(しき望遠鏡ぼうえんきょうとは、対物たいぶつレンズに焦点しょうてん距離きょり(f1)のながとつレンズを、接眼せつがんレンズに焦点しょうてん距離きょり(f2)のみじかとつレンズを使つか望遠鏡ぼうえんきょうぞう倒立とうりつ倍率ばいりつはf1/f2にひとしい。ケプラーが1611ねんにはこのタイプにかんする記述きじゅつのこし、現在げんざいいたるまで天体てんたい観測かんそく屈折くっせつ望遠鏡ぼうえんきょう基本きほんてきにすべてこの方式ほうしき

電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう
宇宙うちゅうからやってくる微弱びじゃく電波でんぱとらえるために設計せっけい製作せいさくされた望遠鏡ぼうえんきょうおおくはパラボラアンテナかたちをしている。
#現代げんだい宇宙うちゅう観測かんそくよう特殊とくしゅ望遠鏡ぼうえんきょう
宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょう
軌道きどううえげられた望遠鏡ぼうえんきょう地球ちきゅう大気たいきによる電磁波でんじは吸収きゅうしゅうぞうらぎがない。
しき望遠鏡ぼうえんきょう

手軽てがるてられる望遠鏡ぼうえんきょうのこと。レンズ・反射はんしゃきょう接眼せつがんレンズ・かがみとうをセットにした天文てんもん教材きょうざい。しばしば天体てんたい観望かんぼうよう解説かいせつしょ星座せいざ早見はやみたまき[注釈ちゅうしゃく 1]なども付属ふぞく天体てんたい観測かんそく天体てんたい観望かんぼう初心者しょしんしゃ使つかえる商品しょうひん[注釈ちゅうしゃく 2]

歴史れきし[編集へんしゅう]

ナポリジャンバッティスタ・デッラ・ポルタの『博学はくがく』(1589ねん、20かん)の17かんの10しょう望遠鏡ぼうえんきょうについての記述きじゅつがある[注釈ちゅうしゃく 3]ネーデルラント連邦れんぽう共和きょうわこくのベックマン(ヤンセンの息子むすこサカリアセンからレンズ研磨けんまならった)の日誌にっしによると、1604ねんミデルブルフ眼鏡めがね職人しょくにんサハリアス・ヤンセンがイタリアじん所有しょゆう1590ねんかれた望遠鏡ぼうえんきょう真似まねつくったという。シルトリによると自分じぶんきゃくからつくかたをならったオランダ、ミッテルブルフの眼鏡めがね職人しょくにんハンス・リッペルハイが「kijker」と命名めいめいした2まいのレンズわせた望遠鏡ぼうえんきょうについて1608ねん10月2にち特許とっきょ申請しんせいオランダ総督そうとくにした。10月14にちにはAlkmaarのJ.アドリアンスゾーン・メチウス(Adriaanszoon Metius1571ねん - 1635ねん 1598ねんからフラネカー大学だいがく教授きょうじゅ)が特許とっきょ申請しんせいおこなった(2年間ねんかん改良かいりょうしていたという)。この同時どうじ申請しんせいのため特許とっきょはどちらにもおりなかった。リッペルハイは双眼そうがん望遠鏡ぼうえんきょうつくり、またマウリッツ総督そうとくいのちにより900フローリン軍用ぐんよう望遠鏡ぼうえんきょうつくった。

日本にっぽん

日本にっぽんにおいては近藤こんどうただしひとしの『そとはんどおりしょ』によれば1613ねん慶長けいちょう18ねん8がつ4にち)に「慶長けいちょうじゅうはちねんはちがつよんにち、インカラティラ国王こくおう使者ししゃ於駿じょう御礼おれいさるあがル…ちょう一間程之遠眼鏡六里見之トユ」とあり、イギリスのジェームズ1せい使つかジョン・セーリス徳川とくがわ家康いえやす献上けんじょうのもの(げん徳川とくがわ美術館びじゅつかん所蔵しょぞう)が最古さいことされる。[4]

光学こうがくてきなしくみ、構造こうぞう[編集へんしゅう]

望遠鏡ぼうえんきょうとは、カメラのレンズとおなじようなものであるとおもえばかりやすい。ただし口径こうけいおおきな対物たいぶつレンズ反射はんしゃしきにおいては反射はんしゃきょう)と口径こうけいちいさい接眼せつがんレンズかれる。対物たいぶつレンズはとつレンズであり、接眼せつがんレンズがおうレンズであればせい立像りつぞうられる(ガリレオしき望遠鏡ぼうえんきょう)。接眼せつがんレンズをとつレンズにすれば倒立とうりつぞうとなる(ケプラーしき望遠鏡ぼうえんきょう)が、さらにおおきな倍率ばいりつ容易よういられる。これをそのまま天体てんたいければ天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうとなる。

望遠鏡ぼうえんきょう望遠鏡ぼうえんきょうたらしめているのはその光学こうがくけいである。姿勢しせい変化へんか温度おんど変化へんか風向ふうこう風速ふうそく変化へんかなどがこってもレンズや反射はんしゃきょうなど光学こうがくけい個々ここのパーツに振動しんどう変形へんけいなどの影響えいきょうあたえないことがもとめられる。望遠鏡ぼうえんきょう光学こうがくけいをその支持しじ機構きこうごとささえ、天球てんきゅうじょう任意にんい位置いちける装置そうちを「架台かだい」とぶ。架台かだいはスムーズに駆動くどうし、長時間ちょうじかんにわたってこう精度せいど天体てんたい追尾ついびできなければならない。天体てんたいはっするひかりは、一般いっぱん非常ひじょうよわく、くわしい分析ぶんせきえるほどの光量ひかりりょうあつめようとすれば、だい望遠鏡ぼうえんきょうをもってしてもなんあいだ露出ろしゅつ必要ひつようとなることがめずらしくないからである。近年きんねん、よりふか宇宙うちゅう探査たんさするために、ますます大型おおがた望遠鏡ぼうえんきょう観測かんそく装置そうち必要ひつようとされるようになってきている。

だい望遠鏡ぼうえんきょうにおいては、巨大きょだい光学こうがく素子そしをいかにコンパクトで軽量けいりょうかつ堅牢けんろう架台かだいささえるかが重要じゅうようとなってくる。架台かだいがコンパクトで軽量けいりょうになるほど、その駆動くどう機構きこうへの負担ふたん軽減けいげんされ、望遠鏡ぼうえんきょう全体ぜんたいおおうドームや建物たてものなどの建設けんせつコストもげられる。また、架台かだい堅牢けんろうせい向上こうじょうにもつながり、指向しこう追尾ついび性能せいのう向上こうじょうさせることにもなる。架台かだいのコンパクトはかるためには、反射はんしゃ望遠鏡ぼうえんきょうにおいては、そのおもきょう焦点しょうてん口径こうけい(F)をちいさくし、あかるい光学こうがくけいとすることが肝要かんようである。近年きんねんだい望遠鏡ぼうえんきょうは、Fちいさいおもきょう製作せいさくする技術ぎじゅつ進歩しんぽしたことによって、建設けんせつ可能かのうとなったともえる。

地上ちじょう観察かんさつ観測かんそく[編集へんしゅう]

望遠鏡ぼうえんきょうふるくから地上ちじょう海上かいじょう観察かんさつ観測かんそくもちいられている。

望遠鏡ぼうえんきょう発明はつめいされてしばらくするうちに軍事ぐんじ利用りよう開始かいしされている。てきぐん状況じょうきょうとおくから偵察ていさつできるというメリットがある。18世紀せいき後半こうはん気球ききゅう有人ゆうじん飛行ひこう成功せいこうすると、気球ききゅうのバスケット(ゴンドラ)からてき偵察ていさつするためにももちいられるようになった。

船乗ふなのり(船長せんちょう船員せんいん水夫すいふ漁師りょうしなど)は海上かいじょうふね安全あんぜん運航うんこうするため、海上かいじょう交通こうつう安全あんぜん確保かくほするため、たとえば周辺しゅうへんふね有無うむうごき、ふねかかげる国際こくさい信号しんごうはたふねめい表記ひょうき確認かくにんふね船員せんいんうごき、岩礁がんしょう有無うむなみ様子ようす海面かいめんごとのふうつよさや風向ふうこうみなとうちでの船舶せんぱくぐんうごき、等々とうとう観察かんさつ判断はんだん材料ざいりょうるために望遠鏡ぼうえんきょう使つかっている。

天体てんたい観測かんそく[編集へんしゅう]

ガリレオ・ガリレイはハンス・リッペルハイの発明はつめいったのち1609ねん5月に1にちつくった望遠鏡ぼうえんきょうはじめて天体てんたいけた[5]。そのころの接眼せつがんレンズはおうレンズでせい立像りつぞうだが、倍率ばいりつひくいものであった。


現代げんだい宇宙うちゅう観測かんそくよう特殊とくしゅ望遠鏡ぼうえんきょう[編集へんしゅう]

19世紀せいきまつや20世紀せいき初頭しょとうまでは、人間にんげん網膜もうまくぞうむす人間にんげん知覚ちかくできる可視かし光線こうせんかんして、拡大かくだいしたぞうをもたらすことを目的もくてきとした望遠鏡ぼうえんきょうばかりだったが、20世紀せいきになって、宇宙うちゅう観測かんそく使つかうための、可視かし光線こうせん以外いがいあつか様々さまざま特殊とくしゅ観測かんそく装置そうち検出けんしゅつ装置そうち開発かいはつされるようになった。それらの観測かんそく装置そうちのことも光学こうがく望遠鏡ぼうえんきょうとのアナロジー比喩ひゆで、「望遠鏡ぼうえんきょう」ともばれることがある。それらは初期しょき段階だんかいでは素朴そぼく装置そうちで「ぞう」といったものを提供ていきょうするレベルではなく、どちらかとえば(素朴そぼくな)「検出けんしゅつ」とぶのがふさわしいものもおおく、のちになってようやく「ぞう」らしい「ぞう」を提供ていきょうできるようになったものもおおいが、一応いちおうこのふしでそれらの観測かんそく装置そうち登場とうじょう歴史れきしについてもかるれるが、あくまでかるれるにとどめる。詳細しょうさい個別こべつ記事きじ参照さんしょうのこと。

電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう

人類じんるい電磁波でんじはかんする理解りかいや、それに関連かんれんする電子でんし技術ぎじゅつ向上こうじょうしたのは、さほどとおむかしのことではなく19世紀せいきまつや20世紀せいき前半ぜんはんのことであるが、それによってようやく、従来じゅうらい望遠鏡ぼうえんきょうくわえて、電磁波でんじはをとらえて観測かんそくするための電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう設計せっけい製作せいさくすることが可能かのうになったわけである。1932ねんに、宇宙うちゅう空間くうかんから飛来ひらいする電波でんぱとらえる目的もくてきつくられた最初さいしょ電波でんぱアンテナ(最初さいしょ素朴そぼく電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう)がen:Karl Guthe Jansky(ベル研究所けんきゅうじょのエンジニア)によって使用しようされた。これ以降いこう 電波でんぱ天文学てんもんがく発展はってんしてゆくことになった。

Xせん望遠鏡ぼうえんきょう

1963ねんにはBall Brothers CorporationしゃによるはつXせん望遠鏡ぼうえんきょう稼動かどうし、そのXせん天文学てんもんがく発展はってんしてゆくことになった。

ニュートリノ検出けんしゅつ(ニュートリノ望遠鏡ぼうえんきょう

1965ねんころには、独立どくりつした2つのグループがほとんどどう時期じきに、地球ちきゅう飛来ひらいするニュートリノの検出けんしゅつ成功せいこう。ひとつはen:Frederick Reinesひきいてみなみアフリカのかね高山こうざん実験じっけんおこなったグループ。もうひとつは、ボンベイ・大阪おおさか・ダーラムのチームが共同きょうどうおこなった研究けんきゅうで、インドのKolar Gold Field鉱山こうざんおこなったものであった。これ以降いこう、ゆっくりとだがニュートリノ天文学てんもんがく発展はってんすることになった。

紫外線しがいせん望遠鏡ぼうえんきょう

1978ねんから1996ねんにかけては、紫外線しがいせん観測かんそくができる紫外線しがいせん望遠鏡ぼうえんきょうen:ultraviolet telescope)のIUE設計せっけい製造せいぞう運用うんようされ、紫外線しがいせん天文学てんもんがく発展はってんした。

重力じゅうりょく検出けんしゅつ重力じゅうりょく望遠鏡ぼうえんきょう

重力じゅうりょく検出けんしゅつする装置そうち(「検出けんしゅつ」や「天文台てんもんだい」とばれることのほうが一般いっぱんてきで、それらの呼称こしょうのほうが妥当だとうだが、まれに「重力じゅうりょく望遠鏡ぼうえんきょう」ともばれるもの) にかんして説明せつめいすると、2002ねん米国べいこくLIGO(ライゴ)が稼動かどうはじめたがまったなに検出けんしゅつできず、2004ねん拡張かくちょう改良かいりょうおこなったがまともに作動さどうしない時代じだいつづいた。2015ねん9がつに、5ねん年月としつきと2おくドルもの巨額きょがく費用ひようをかけたオーバーホールが完了かんりょうし、(ようやく)科学かがくてき観測かんそく開始かいしされた。 ヨーロッパのVirgo(バーゴ) は2003ねん建造けんぞうされ、2017ねんにはLIGOとVirgoが連携れんけいするかたちでひとつの巨大きょだい重力じゅうりょく検出けんしゅつ装置そうちのように作動さどうさる体勢たいせい構築こうちくされ、2017ねん8がつ17にち、アメリカの2だい重力じゅうりょく検出けんしゅつ「Advanced LIGO」と欧州おうしゅう重力じゅうりょく観測かんそくしょ重力じゅうりょく検出けんしゅつ「Advanced Virgo」が、れんぼし中性子星ちゅうせいしせい合体がったいしたさいしょうじた重力じゅうりょく地球ちきゅうとどいたことを検知けんち、その情報じょうほう即座そくざ世界せかい天文台てんもんだいつたえ、ぜん世界せかい天文台てんもんだいが、重力じゅうりょくにややおくれるようにしてとど可視かし光線こうせん放射線ほうしゃせんなどをけるように観測かんそくして、合体がったいきた場所ばしょ方角ほうがく正確せいかく特定とくていしたり、さまざまなデータをることに貢献こうけんした。日本にっぽん重力じゅうりょく望遠鏡ぼうえんきょうKAGRAもまもなく本格ほんかく運用うんようはい予定よていで、これによって世界せかいに3つ本格ほんかくてき重力じゅうりょく望遠鏡ぼうえんきょう登場とうじょうすることで、重力じゅうりょくみなもと方向ほうこう特定とくていがより一層いっそうすみやかに、また正確せいかくになることが期待きたいされている。

歴史れきしじょう特殊とくしゅ用途ようと[編集へんしゅう]

通信つうしん手段しゅだん

文字もじコード表示ひょうじする信号しんごう遠方えんぽうから望遠鏡ぼうえんきょう腕木うでき通信つうしん代表だいひょうされる欧米おうべいしき通信つうしん方法ほうほう日本にっぽん江戸えど時代じだいはじまり大正たいしょう初期しょきまでもちいられたはた通信つうしんは、望遠鏡ぼうえんきょう発明はつめい普及ふきゅう前提ぜんていとした通信つうしんにおける過去かこ技術ぎじゅつであった。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ かがみとう印刷いんさつされた星図せいずに、時刻じこく日付ひづけわせると、てん子午線しごせんじょうにある天体てんたいつけやすくするための、簡易かんい星座せいざ早見はやみばん
  2. ^ 国内こくないでのおも初心者しょしんしゃけの、しき望遠鏡ぼうえんきょう製造せいぞう販売はんばいしている企業きぎょうには以下いかのようなものがある。
    • オルビィス株式会社かぶしきがいしゃ望遠鏡ぼうえんきょう工作こうさくキット「コルキット」。屈折くっせつしき天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょう反射はんしゃしき天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょう以前いぜんキング商会しょうかいとして事業じぎょういとなんでいたころからの製品せいひんで、口径こうけいは5cmの屈折くっせつしきと10cmの反射はんしゃしきのキットからなる。解説かいせつしょ添付てんぷされているので、小学校しょうがっこう高学年こうがくねん以上いじょうひとにはてられるはずということで、1970年代ねんだいには雑誌ざっし子供こども科学かがく』などでも紹介しょうかいされていた。
    • 学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃかん、『大人おとな科学かがくマガジン』:Vol.11およびVol.19が天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょう
    • ほし手帖てちょうしゃ世界せかい天文てんもんねん日本にっぽん委員いいんかい共同きょうどう開発かいはつしたケプラーしき屈折くっせつ天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょう。15ばいと35ばいの2種類しゅるい団体だんたい販売はんばいおも目的もくてきにしている。最大さいだい目的もくてきは、途上とじょうこくなどで理科りか教育きょういく支援しえんなどをおこな青年せいねん海外かいがい協力きょうりょくたい国内こくない科学かがくかんおこな天体てんたい教室きょうしつけの製品せいひんである。
  3. ^ なお、ヨハネス・ケプラーの『屈折くっせつ光学こうがく』(1611ねん)にもデラ・ポルタが20ねんまえ望遠鏡ぼうえんきょう発明はつめいしたと記述きじゅつされている

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b TELESCOPE English Definition and Meaning”. Lexico.com. Oxford English and Spanish Dictionary, Synonyms, and Spanish to English Translator. 2021ねん11月21にち閲覧えつらん。 “An optical instrument designed to make distant objects appear nearer, containing an arrangement of lenses, or of curved mirrors and lenses, by which rays of light are collected and focused and the resulting image magnified.”
  2. ^ TELESCOPE English Definition and Meaning | Lexico.com
  3. ^ 百科ひゃっか事典じてんマイペディア「ガリレオ望遠鏡ぼうえんきょう
  4. ^ 齋藤さいとう隆一りゅういち望遠鏡ぼうえんきょうは1537ねんにあったか」(参考さんこう文献ぶんけん 斉田さいだひろし望遠鏡ぼうえんきょう発明はつめい前後ぜんこう」『ほし手帖てちょう』(1982ねんふゆごう かわしゅ書房しょぼうしんしゃ季刊きかん邪馬台国やまたいこく1993ねんあきごう52ごう あずさ書院しょいん p200-
  5. ^ 齋藤さいとう隆一りゅういち望遠鏡ぼうえんきょうは1537ねんにあったか」(参考さんこう文献ぶんけん 斉田さいだひろし望遠鏡ぼうえんきょう発明はつめい前後ぜんこう」『ほし手帖てちょう』(1982ねんふゆごう かわしゅ書房しょぼうしんしゃ季刊きかん邪馬台国やまたいこく』1993ねんあきごう52ごう あずさ書院しょいん p200-

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]