常食じょうしょく

常食じょうしょく（じょうしょく）は、健康けんこうな人ひと（健常けんじょう人じん）が普段ふだん日常にちじょう生活せいかつで食たべているような食事しょくじのこと。通常つうじょう食しょく、普通ふつう食しょくとも呼よぶ。常つね日頃ひごろ、食たべ慣なれている食事しょくじや料理りょうり、お気きに入いりのメニューのこともいう。ただし、常食じょうしょくの定義ていぎは、この言葉ことばが使つかわれる場面ばめんに応おうじて、異同いどうがあり、一定いっていではない。

概要がいよう

前述ぜんじゅつの通とおり、常食じょうしょくはその人ひとが普段ふだん食たべている食事しょくじや料理りょうりであり、故ゆえにその概念がいねんは揺ゆらぎを含ふくんでいる。一般いっぱんの家庭かていで広ひろく食たべられている料理りょうりという意味いみなら家庭かてい料理りょうり、所定しょていの地域ちいきで伝統でんとう的てきに食たべられているという意味いみなら郷土きょうど料理りょうり、あるいは食材しょくざいとして食事しょくじの主軸しゅじくに据すえられているという意味いみなら主食しゅしょくという概念がいねんと重かさなる部分ぶぶんがあるが、常食じょうしょくはあくまでもそれらを食たべている側がわが普段ふだん食たべているものに過すぎない。

一方いっぽう、文脈ぶんみゃくによっては、病人びょうにん食しょく（病院びょういんで提供ていきょうされるものは病院びょういん食しょく）や非ひ常食じょうしょくといった、特別とくべつの事情じじょうのあるとき食たべられるものの対義語たいぎごとして常食じょうしょくというい方いかたが用もちいられることも多おおい。その意味いみでは祭まつりなどの行事ぎょうじや慶事けいじ・弔事とむらいことの際さいに食たべられるなど、ハレとかケガレと呼よばれる時ときに食たべられる料理りょうり（行事ぎょうじ食しょく）も常食じょうしょくの範疇はんちゅう外がいではあるが、この対比たいひはあまり意識いしきされない。

一方いっぽうで、動物どうぶつが活動かつどうの主要しゅようなエネルギー源げんとしてや体からだを構成こうせいするために食たべているものは常食じょうしょくと呼よばれる。例たとえばジャイアントパンダが食たべる竹たけは常食じょうしょくと呼よびうる。

医療いりょう・福祉ふくしでの用法ようほう

医療いりょう介護かいごの領域りょういきでは、病人びょうにん食しょくに対たいして、健康けんこう回復かいふく期きの人ひとの食事しょくじを指さして言いうこともある。この場合ばあいは、消化しょうかしにくいもの、繊維せんい質しつ、脂肪しぼう分ぶんの多おおいものなどは避さけることになる。また、病人びょうにん食しょくから、常食じょうしょくまでの食事しょくじを噛かんだり、咀嚼そしゃくすることの易やさしさ、消化しょうかのし易やすさなどを基準きじゅんとして、お粥かゆなど流動りゅうどう食しょくからふつうのご飯はん食しょくまで、常食じょうしょく、軟菜食さいしょく、キザミ食しょく、ミキサー食しょく、流動りゅうどう食しょくのように段階だんかいに分わけるやりかたもされている。これは、高齢こうれい者しゃの介護かいご施設しせつなどの食事しょくじについても同様どうようである。

災害さいがい時じの食事しょくじ

災害さいがい時ときには、非ひ常食じょうしょくが配布はいふされたりするが、これは常食じょうしょくに対たいして、非常時ひじょうじの簡易かんい的てきな食事しょくじということである。普通ふつうのお弁当べんとうが配くばられたら常食じょうしょくといえる。