推量すいりょう

推量すいりょう（すいりょう）とは言語げんご学がく・文法ぶんぽうの用語ようごの1つである。物事ものごとの状態じょうたいや相手あいての心中しんちゅうのを推おし量はかる表現ひょうげん法ほう。特とくに日本語にほんごの"助動詞じょどうし"「う・（よ）う」「（だ）ろう」を用もちいた形式けいしきについて言いうことが多おおい。

日本語にほんごにおける推量すいりょう表現ひょうげん

日本語にほんごにおいては、動詞どうしまたは形容詞けいようし（未然みぜん形がた）に「-（よ）う」「-（だ）ろう」をつけて表現ひょうげんする。否定ひてい推量ずいりょうの場合ばあいは、「-まい」をつけて表現ひょうげんする。ただし、最近さいきんでは意志いしや勧誘かんゆうと区別くべつするために、「-だろう」「-ないだろう」を使用しようすることが多おおくなっている。

• • 肯定こうてい推量ずいりょう
• 彼かれは家いえに帰かえろう（彼かれは家いえに帰かえるだろう）
• 日ひが暮くれよう（日ひが暮くれるだろう）
• この林檎りんごは甘あまかろう（この林檎りんごは甘あまいだろう）

• • 否定ひてい推量ずいりょう
• 私わたしは海うみへ行いくまい（私わたしは海うみへ行いかないだろう）
• 私わたしはまだ寝ねまい（私わたしはまだ寝ねないだろう）

古語こごでは、肯定こうてい推量ずいりょうとして「む」のほか、「むず」（「むとす」に由来ゆらい、現代げんだいも「-ず」が一部いちぶ方言ほうげんに残のこる）、現在げんざいの状況じょうきょうを推量すいりょうする「らむ」（東海とうかい東山ひがしやま方言ほうげん「ら」の起源きげん）、過去かこ推量すいりょう「けむ」、「べし」（元もとは当然とうぜんを表現ひょうげんし、東日本ひがしにっぽん方言ほうげんの「べ」として残のこる）、否定ひてい推量ずいりょうとして「じ」、「まじ」（上代じょうだいには「ましじ」、「-まい」の起源きげん）などが用もちいられた。「む」は中古ちゅうこ以降いこう、「ん」または「う」と表記ひょうきされる曖昧あいまいな発音はつおんに変化へんかし、室町むろまち時代じだい以降いこうは「う」となった。