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日本にっぽん文典ぶんてん (コリャード)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』

『日本にっぽん文典ぶんてん』（にほんぶんてん[1]/にっぽんぶんてん[2]、ラテン語らてんご: Ars grammaticae Iaponicae lingvae[3] あるいは Ars grammaticae Iaponicae linguae[1]）は、スペイン人じんのドミニコ会かい宣教師せんきょうしディエゴ・コリャードが著あらわした日本語にほんごの文法ぶんぽう書しょ。1632年ねん、ローマにて刊行かんこう[1]。日本語にほんごをラテン語らてんご文法ぶんぽうに当あてはめたもので、ラテン語らてんごで記しるされている。

出版しゅっぱん経緯けいい[編集へんしゅう]

この書籍しょせきは、日本にっぽんでキリスト教きりすときょうの布教ふきょうに従事じゅうじする宣教師せんきょうしに日本語にほんごの基礎きそを学まなばせるために、ローマ教皇きょうこう庁ちょうの布教ふきょう聖ひじり省しょうの援助えんじょのもと刊行かんこうされたものである[3]。

著者ちょしゃのコリャード（1589年ねん?-1641年ねん）は、1619年ねんに禁教きんきょう下したの日本にっぽんに潜入せんにゅうし、2年余ねんよにわたって長崎ながさき周辺しゅうへんで布教ふきょう活動かつどうに携たずさわった人物じんぶつである[3][4][5]。彼かれは1622年ねん、報告ほうこくのために日本にっぽんを離はなれており[5]、この書籍しょせきもヨーロッパに戻もどっている時期じきに執筆しっぴつされた[3]。コリャードにはほかに『懺悔ざんげ録ろく』『羅ら西日にしび辞書じしょ』があり、日本語にほんご三さん部ぶ作さくと呼よばれる[5]。

本書ほんしょの序文じょぶんでコリャードは日本語にほんごの文法ぶんぽうと語彙ごいばかりでなく、発音はつおんとアクセントをも重視じゅうしする姿勢しせいを示しめしている[3]。

内容ないようと評価ひょうか[編集へんしゅう]

コリャードの日本語にほんごに関かんする著作ちょさくは「文典ぶんてん、辞書じしょともにイエズス会かいのもの〔引用いんよう者しゃ注ちゅう：ロドリゲスの『日本にっぽん大だい文典ぶんてん』〕には学問がくもん的てき価値かちにおいて劣おとる」（大塚おおつか光信みつのぶ）[5]と評価ひょうかされ、「僅わずか3年ねんの、しかもキリスト教きりすときょう迫害はくがい下かの日本にっぽんにあって、どれほどの日本語にほんごに精通せいつうし得えたかには疑問ぎもんとされている」（大阪おおさか府立ふりつ中央ちゅうおう図書館としょかん市河いちかわ文庫ぶんこの資料しりょう紹介しょうかい文ぶん）[4]が、本書ほんしょは「稀書きしょとされるべきもの」（市河いちかわ文庫ぶんこ）とされる[4]。

1738年ねんにメキシコで刊行かんこうされたオヤングレン (Melchor Oyanguren de Santa Inés) の『日本語にほんご文典ぶんてん』は、先行せんこうするロドリゲスやコリャードの文典ぶんてんを参考さんこうに執筆しっぴつされた[6]。

収蔵しゅうぞう[編集へんしゅう]

初はつ版本はんぽんは、日本にっぽん国内こくないでは国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん（古典こてん籍せき室しつ）[7]や大阪おおさか府立ふりつ中央ちゅうおう図書館としょかん（市河いちかわ文庫ぶんこ）[4]、筑波大学つくばだいがく附属ふぞく図書館としょかん（ベッソン・コレクション）[8]、大分おおいた市し歴史れきし資料しりょう館かん[2]などに収蔵しゅうぞうされている。

刊本かんぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは以下いかの刊本かんぽんが出版しゅっぱんされている。

  • Ars grammaticae Iaponicae lingvae : in gratiam et adivtorivm eorum, qui prædicandi euangelij causa ad Iaponiæ Regnum se voluerint conferre（ 天理大学てんりだいがく出版しゅっぱん部ぶ・雄松おまつ堂どう書店しょてん、1972年ねん）
  • コイヤード著ちょ（大塚おおつか高信たかのぶ訳わけ）『日本語にほんご文典ぶんてん』（坂口さかぐち書店しょてん、1934年ねん）
    • 改訳かいやく：コリャード著ちょ（大塚おおつか高信たかのぶ訳やく）『日本にっぽん文典ぶんてん』（風間かざま書房しょぼう、1957年ねん） - 『コリャード日本にっぽん文典ぶんてん』とも表記ひょうきされる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c “日本にっぽん文典ぶんてん”. 大辞林だいじりん 第だい三さん版はん（コトバンク所収しょしゅう）. 2019年ねん11月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  2. ^ a b “日本にっぽん文典ぶんてん”. 文化ぶんか遺産いさんオンライン. 文化庁ぶんかちょう. 2019年ねん11月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  3. ^ a b c d e “コリャード『日本にっぽん文典ぶんてん』”. 京都外国語大学きょうとがいこくごだいがく付属ふぞく図書館としょかん. 2019年ねん11月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  4. ^ a b c d “市河いちかわ文庫ぶんこ”. 大阪おおさか府立ふりつ中央ちゅうおう図書館としょかん. 2019年ねん11月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  5. ^ a b c d 大塚おおつか光信みつのぶ. “コリャード”. 朝ちょう日にち日本にっぽん歴史れきし人物じんぶつ事典じてん（コトバンク所収しょしゅう）. 2019年ねん11月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  6. ^ “第だい２章しょう　西洋せいよう人じんの日本にっぽん発見はっけん”. ディジタル貴重きちょう書展しょてん. 国立こくりつ国会こっかい図書館としょかん. 2019年ねん11月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  7. ^ “Ars grammaticae Iaponicae linguae...”. 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんサーチ. 国立こくりつ国会こっかい図書館としょかん. 2019年ねん11月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  8. ^ “ベッソン・コレクション”. 筑波大学つくばだいがく附属ふぞく図書館としょかん. 2019年ねん11月がつ10日とおか閲覧えつらん。

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