旧道きゅうどう

旧道きゅうどう（きゅうどう）とは、古ふるくからの幹線かんせん道路どうろが都市とし発達はったつと共ともに交通こうつうのボトルネックとして問題もんだい視しされ、バイパス道路どうろなど他たに新規しんき開発かいはつされたものに置おき換かわる形かたちで主要しゅよう道どうから外はずれた道路どうろの総称そうしょう・俗称ぞくしょう。

概要がいよう

道みちの発達はったつは古ふるく人ひとや馬うま・馬車ばしゃなどが行いき交かうことで自然しぜん発生はっせいした街道かいどうなどが相互そうご連結れんけつの形かたちで今日きょうの道路どうろ網もうへと変化へんかしていったが、その過程かていで道みちの両りょう脇わきには各種かくしゅ施設しせつや民家みんかなどが集中しゅうちゅう、さらにスプロール現象げんしょうで郊外こうがいに都市とし圏けんが成長せいちょうすると、逆ぎゃくに道路どうろとしての拡張かくちょう性せいが損そこなわれ、また他たの生活せいかつ道どうと連結れんけつされることで交通こうつうは煩雑はんざつ化か、渋滞じゅうたいが常態じょうたい化かするなど甚はなはだ利便りべん性せいが損そこなわれる。ことモータリゼーションの進行しんこうで自動車じどうしゃが普及ふきゅう（→大衆たいしゅう車しゃ）するとこういった渋滞じゅうたいは都市とし機能きのうの麻痺まひにまで悪化あっかすることも珍めずらしいことではない。

こういった事情じじょうにより、機能きのう性せいが著いちじるしく低下ていかした道みちから自動車じどうしゃ交通こうつうの機能きのうだけを分離ぶんりさせたバイパス道どうや新道しんどうが設置せっちされ、都市としを迂回うかいしたり郊外こうがいから整備せいびされた幅はばの広ひろい道みちを使つかって一気いっきに都市とし中心ちゅうしん部ぶに乗のり入いれられるようになった結果けっかとして、従来じゅうらいよりあった道みちが旧道きゅうどうになる。

その一方いっぽう、野山のやまを走はしる道路どうろも例外れいがいではなく、トンネルや橋梁きょうりょうの工法こうほうなど建設けんせつ・土木どぼく技術ぎじゅつの発達はったつに伴ともない、従来じゅうらい建設けんせつが不可能ふかのうであった「より安全あんぜんで快適かいてきに通行つうこうできる道みち」が建設けんせつされた結果けっかとして、旧来きゅうらいの道みちが旧道きゅうどうとなる場合ばあいもある。その一方いっぽうで、旧道きゅうどうを利用りようする利便りべん性せいが余あまりに乏とぼしい場合ばあいは完全かんぜんに利用りようされなくなって放棄ほうきされることもあり、これらは廃はい道どうと呼よばれ、「道みち」という形態けいたいの廃墟はいきょになる。

この旧道きゅうどうに共通きょうつうする問題もんだいとしては「狭せまくて歩道ほどうなどを設置せっちする余裕よゆうがない」や「民家みんかや各種かくしゅ施設しせつと隣接りんせつしており拡張かくちょう工事こうじができない」や「曲まがりくねっていたり、道みちの幅はばも一定いっていでなく見通みとおしが悪わるい」など自動車じどうしゃ交通こうつうに向むかない要素ようそが見出みだせる。特とくに古ふるくからの住宅じゅうたく街がいでは住民じゅうみんの利害りがい関係かんけいが複雑ふくざつに絡からみ合あい、道路どうろの拡張かくちょう工事こうじも限界げんかいに達たっしている場合ばあいもまま見みられ、また山野さんやでは旧来きゅうらいの建設けんせつ技術ぎじゅつの限界げんかいから小しょう半径はんけいのカーブが多おおく対面たいめん一いち車線しゃせんで橋はしやトンネルも狭せまい傾向けいこうが見みられる。

これら旧道きゅうどうは新道しんどうやバイパス道どうに交通こうつうを振ふり分わける形かたちで交通こうつう量りょうが低下ていかする訳わけだが、これも一過いっか性せいである場合ばあいも多おおく、例たとえば新道しんどうやバイパス道どうがさらに逼迫ひっぱくし、事故じこや渋滞じゅうたいが増ふえるようになると、抜ぬけ道みちとして再ふたたび旧道きゅうどうの存在そんざいが注目ちゅうもくを集あつめてしまい、再ふたたび交通こうつう量りょうが飽和ほうわ状態じょうたいに陥おちいることもある。

そのほかの側面そくめん

こういった旧道きゅうどうだが、中なかには近代きんだい以前いぜんから存在そんざいしていた道みちが存続そんぞくしていることもあり、石畳いしだたみであったり、周囲しゅういに古ふるい家屋かおくが軒のきを連つらねていたりと、風情ふぜいある時代じだいの面影おもかげを残のこしている場合ばあいもある。またかつての主要しゅよう道どうとして、その道みちすがらには地域ちいきの文化財ぶんかざい・文化ぶんか遺産いさんなどが軒のきを連つらねていることも珍めずらしいことではない。

こういった地域ちいきを文化財ぶんかざいや観光かんこう資源しげんにするべく歴史れきし保存ほぞん地区ちくにしようという取とり組くみも見みられ、旧道きゅうどうを完全かんぜんな歩道ほどうとして車両しゃりょうの乗のり入いれを禁止きんしにして観光かんこう開発かいはつするところもある。遊歩ゆうほ百ひゃく選せんに選えらばれた地域ちいきの中なかにも、こういった歩道ほどうとして再さい開発かいはつされた道みちが見みられる。

また完全かんぜんに歩道ほどうにしてしまうのではなく、祭まつりなどの近隣きんりん施設しせつの行事ぎょうじに併あわせ一いち時じ的てきに旧道きゅうどうを封鎖ふうさして歩行ほこう者しゃ天国てんごくとしてイベントに用もちいる場合ばあいもある。（神奈川かながわ県けん平塚ひらつか市しの七夕たなばた祭まつりなど）

関連かんれん項目こうもく

• バイパス道路どうろ / 新道しんどう
• 都道府県とどうふけん道どう / 市町村しちょうそん道どう（特とくに降格こうかく道路どうろ）
• 渋滞じゅうたい - 抜ぬけ道みち
• 古道ふるみち（徒歩とほで山野さんやを横断おうだんしていた時代じだいの史跡しせき的てきな道みち）
• 廃はい道どう（利用りようされなくなって遺棄いきされた道みち）