時短じたん (労働ろうどう)

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時短じたん(じたん)は、「時間じかん短縮たんしゅく」のりゃくで、一般いっぱんには労働ろうどう時間じかん短縮たんしゅく、および政府せいふによる年間ねんかんそう労働ろうどう時間じかん短縮たんしゅく政策せいさくす。

日本にっぽんにおける時短じたん政策せいさく[編集へんしゅう]

1980年代ねんだい日本にっぽん対外たいがい貿易ぼうえき黒字くろじおおきくするにつれ貿易ぼうえき摩擦まさつ発生はっせいし、欧米おうべい諸国しょこくからの批判ひはん相次あいついだが、そのなかのひとつに「日本人にっぽんじんはたらきすぎ」がげられた。国内こくないにおいても過労かろう社会しゃかい問題もんだいし、うつびょうなどの精神せいしん疾患しっかんこす労働ろうどうしゃ増加ぞうかしていった。またゆたかさの指標しひょうにおいてGDPだけでなく「ゆとり」にけられるようになるなかで、労働ろうどう時間じかん短縮たんしゅくさけばれるようになった。

こうした背景はいけいで、政府せいふ1988ねん経済けいざい計画けいかく閣議かくぎ決定けってい世界せかいとともにきる日本にっぽん経済けいざい運営うんえいヶ年かねん計画けいかく」)のなか一人ひとりたりの年間ねんかん労働ろうどう時間じかんを1800あいだ程度ていどとする目標もくひょうさだめた。これを推進すいしんするために、1992ねんには企業きぎょうへの指導しどう助成じょせいきんなどの支援しえん措置そちんだ「労働ろうどう時間じかん短縮たんしゅく促進そくしんかんする臨時りんじ措置そちほう」(時短じたん促進そくしんほう)が5年間ねんかん時限じげん立法りっぽうとして施行しこう。さらに1994ねんには労働ろうどう基準きじゅんほう改正かいせいされ、法定ほうてい労働ろうどう時間じかん原則げんそくしゅう40あいだ短縮たんしゅくされた。

しかし、その不況ふきょう長引ながびなか1990年代ねんだい後半こうはんにはおおくの企業きぎょうリストラ断行だんこうし、正社員せいしゃいんかず急減きゅうげんした。そのためいちにんたりの仕事しごとりょう増加ぞうかし、過労かろう問題もんだいはむしろ深刻しんこくした。またサービス残業ざんぎょうひろおこなわれるようにもなった。

時短じたん促進そくしんほうは2改正かいせいされて期限きげん延長えんちょうされ、年間ねんかんそうじつ労働ろうどう時間じかん平均へいきんは1992年度ねんどには1958あいだだったものが2003年度ねんどには1853あいだまで減少げんしょうした。しかしながら、この数字すうじ背景はいけいにはうえげたサービス残業ざんぎょうや、パートアルバイト人員じんいん増加ぞうかによるものとするせつ有力ゆうりょくであり、正社員せいしゃいんかぎれば労働ろうどう時間じかんはむしろびていったともわれている。

結果けっか政府せいふ年間ねんかん労働ろうどう時間じかん一律いちりつ1800あいだとする目標もくひょう廃止はいしし、職場しょくばごとに労働ろうどう時間じかん設定せってい各自かくじおこなうとする方針ほうしん決定けっていした。これをけ、2006ねん4がつ労働ろうどう時間じかんとう設定せってい改善かいぜんかんする特別とくべつ措置そちほう施行しこうされた。しかし、この方針ほうしん転換てんかんたいしては、サービス残業ざんぎょうがますます横行おうこうするのをはじめとして労働ろうどう事情じじょう悪化あっかするのではという批判ひはん相次あいついでいる。

経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこう(OECD)の報告ほうこくによる各国かっこく年間ねんかん平均へいきん労働ろうどう時間じかん推移すいい(1970ねん以降いこう)[1]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ OECD (2022). Hours worked (indicator) (Report). OECD. doi:10.1787/47be1c78-en

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]