有害ゆうがい物ぶつばく露ろ作業さぎょう報告ほうこく

有害ゆうがい物ぶつばく露ろ作業さぎょう報告ほうこく（ゆうがいぶつばくろさぎょうほうこく）とは、労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほう等ひとしの法令ほうれいにより、事業じぎょう者しゃに課かせられる報告ほうこくの一ひとつである。2006年ねん（平成へいせい18年ねん）4月がつの改正かいせい法ほう施行しこうにより新あらたに設もうけられたものである。

厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじん等ひとしは、労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほうを施行しこうするため必要ひつようがあると認みとめるときは、事業じぎょう者しゃ等とうに対たいし、必要ひつような事項じこうを報告ほうこくさせること等とうができるとされていて（労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほう第だい100条じょう）、この報告ほうこくは、報告ほうこく対象たいしょう物ぶつごとに、一定いってい期間きかんにおけるばく露ろ報告ほうこく対象たいしょう物ぶつの製造せいぞう又または消費しょうひ量りょうが一定いってい以上いじょうの事業じぎょう場じょうごとに行おこなうこととされ、これらの範囲はんい、報告ほうこくを行おこなう時期じき等とうについて厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんが告示こくじによって定さだめることとされている（平成へいせい18年ねん2月がつ24日にち基もと発はつ第だい0224003号ごう）。

概説がいせつ[編集へんしゅう]

労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい規則きそく第だい95条じょうの6（有害ゆうがい物ぶつばく露ろ作業さぎょう報告ほうこく）

事業じぎょう者しゃは、労働ろうどう者しゃに健康けんこう障害しょうがいを生しょうずるおそれのある物もので厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんが定さだめるものを製造せいぞうし、又または取とり扱あつかう作業場さぎょうばにおいて、労働ろうどう者しゃを当該とうがい物ぶつのガス、蒸気じょうき又または粉ふんじんにばく露つゆするおそれのある作業さぎょうに従事じゅうじさせたときは、厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんの定さだめるところにより、当該とうがい物ぶつのばく露ろの防止ぼうしに関かんし必要ひつような事項じこうについて、様式ようしき第だい21号ごうの7による報告ほうこく書しょを所轄しょかつ労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく署しょ長ちょうに提出ていしゅつしなければならない。

労働ろうどう現場げんばで使用しようされている化学かがく物質ぶっしつは極きわめて多数たすうであり、さらに毎年まいとし多数たすうの化学かがく物質ぶっしつが新あらたに導入どうにゅうされているが、そのうち具体ぐたい的てきな法ほう規制きせいがなされているものはごくわずかである。事業じぎょう場じょうにおける化学かがく物質ぶっしつの管理かんりは事業じぎょう者しゃ自みずからが危険きけん・有害ゆうがい性せい等とうの調査ちょうさを行おこない、その結果けっかについて労働ろうどう者しゃの危険きけんまたは健康けんこう障害しょうがいを防止ぼうしするための必要ひつような措置そちを講こうずるよう努つとめるものとされているが（労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほう第だい28条じょうの2）、未み規制きせいの化学かがく物質ぶっしつについては、その危険きけん・有害ゆうがい性せいの情報じょうほうが不足ふそくしていることなどにより、適切てきせつな管理かんりがなされずに労働ろうどう災害さいがいの発生はっせいに至いたる場合ばあいが見みられている^[1]。規則きそく第だい95条じょうの6はこれら未み規制きせい物質ぶっしつを念頭ねんとうに置おいて設もうけられたものである。政府せいふがばく露ろ状じょう況きょうを把握はあくすることで労働ろうどう者しゃに重おもい健康けんこう障害しょうがいを及およぼすおそれのある化学かがく物質ぶっしつについて、リスク評価ひょうかを行おこなうことを目的もくてきとしている。

報告ほうこくを受うけ、ばく露ろレベルが高たかいと推定すいていされる事業じぎょう場じょう、対象たいしょう化学かがく物質ぶっしつを特殊とくしゅな用途ようとや作業さぎょうに用もちいている事業じぎょう場じょうなどについて、政府せいふはその作業さぎょう実態じったい・作業さぎょう環境かんきょうに関かかわる調査ちょうさを行おこなう。調査ちょうさにより問題もんだいとなるリスクが確認かくにんされた場合ばあいには、その化学かがく物質ぶっしつについて、健康けんこう障害しょうがい防止ぼうし措置そちなどの導入どうにゅうを検討けんとうする。

報告ほうこく対象たいしょう物ぶつ[編集へんしゅう]

報告ほうこく対象たいしょう物ぶつは原則げんそくとして毎年まいとし、通知つうち対象たいしょう物ぶつ（労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほう第だい57条じょうの2、労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほう施行しこう令れい第だい18条じょうの2）の中なかから選えらばれる。

2019年ねん（平成へいせい31年ねん/令れい和わ元年がんねん）の1年間ねんかんに以下いかの物質ぶっしつを500kg以上いじょう製造せいぞう、又または取とり扱あつかった場合ばあいに、2020年ねん（令れい和わ2年ねん）1月がつ1日にち~3月31日にちまでの間あいだに報告ほうこくしなければならない^[2]。

アスファルト
エチレングリコールモノ―ノルマル―ブチルエーテル（別名べつめいブチルセロソルブ）
オルト―クレゾール
シクロヘキサノン
一いち・一いち―ジクロロエチレン（別名べつめい塩化えんかビニリデン）
フルフラール
メチル―ターシャリ―ブチルエーテル（別名べつめいMTBE）
- いずれも含有がんゆう率りつが0.1%未満みまんの場合ばあいは報告ほうこく不要ふよう

2020年ねん（令れい和わ2年ねん）の1年間ねんかんに以下いかの物質ぶっしつを500kg以上いじょう製造せいぞう、又または取とり扱あつかった場合ばあいに、2021年ねん（令れい和わ3年ねん）1月がつ1日にち~3月31日にちまでの間あいだに報告ほうこくしなければならない（令れい和わ元年がんねん12月がつ5日にち基もと安やす発はつ1205第だい1号ごう）^[3]。

モリブデン化合かごう物ぶつ（三さん酸化さんかモリブデンに限かぎる。）
- 含有がんゆう率りつが0.1%未満みまんの場合ばあいは報告ほうこく不要ふよう

2021年ねん（令れい和わ3年ねん）の1年間ねんかんは、報告ほうこく対象たいしょう物ぶつが定さだめられなかったので、報告ほうこくは不要ふようである。

報告ほうこく内容ないよう[編集へんしゅう]

様式ようしき第だい21号ごうの7に示しめされた報告ほうこく内容ないようは以下いかの通とおり。

ばく露ろ作業さぎょう報告ほうこく対象たいしょう物ぶつの名称めいしょう
対象たいしょう物ぶつ等とうの用途ようと
ばく露ろ作業さぎょうの種類しゅるい
年間ねんかん製造せいぞう・取扱とりあつかい量りょう
作業さぎょう1回かい当あたりの製造せいぞう・取扱とりあつかい量りょう
- 労働ろうどう者しゃへの化学かがく物質ぶっしつのばく露ろ濃度のうどレベルの推定すいていにおいて、短時間たんじかんばく露つゆを評価ひょうかするため作業さぎょう1回かい当あたりの製造せいぞう量りょう又または取扱とりあつかい量りょうを把握はあくする必要ひつようがあることから、平成へいせい22年ねん1月がつの改正かいせい規則きそく施行しこうにより「作業さぎょう1回かい当あたりの製造せいぞう・取扱とりあつかい量りょう」を報告ほうこく項目こうもくとして追加ついかするものとしたこと。また、ばく露ろ推定すいていモデル「コントロール・バンディング」の区分くぶんを参考さんこうに選択肢せんたくしを設もうけ、当該とうがい選択肢せんたくしから選択せんたくして報告ほうこくするものとしたこと（平成へいせい21年ねん12月24日にち基もと発はつ1224第だい5号ごう）。
対象たいしょう物ぶつ等とうの物理ぶつり的てき性状せいじょう
対象たいしょう物ぶつ等とうの温度おんど
1日にち当あたりの作業さぎょう時間じかん
- 労働ろうどう者しゃへの化学かがく物質ぶっしつのばく露ろ濃度のうどレベルは、通常つうじょう1日にち（8時じ間あいだ）当あたりの個人こじんばく露ろ測定そくていにより求もとめられるため、平成へいせい22年ねん1月がつの改正かいせい規則きそく施行しこうにより「1日にち当あたりの作業さぎょう時間じかん」を報告ほうこく項目こうもくとして追加ついかするものとしたこと。また、ばく露ろ推定すいていモデル「コントロール・バンディング」の区分くぶんを参考さんこうに選択肢せんたくしを設もうけ、当該とうがい選択肢せんたくしから選択せんたくして報告ほうこくするものとしたこと（平成へいせい21年ねん12月24日にち基もと発はつ1224第だい5号ごう）。
ばく露ろ作業さぎょう従事じゅうじ者しゃ数すう
発散はっさん抑制よくせい措置そちの状況じょうきょう