エチレングリコール

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
エチレングリコール
{{{画像alt1}}}
{{{画像alt2}}}
{{{画像alt3}}}
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 107-21-1
KEGG D06424
特性とくせい
化学かがくしき C2H6O2
モル質量しつりょう 62.068 g/mol
密度みつど 1.1132 g/cm3
融点ゆうてん

−12.9 °C, 260 K, 9 °F

沸点ふってん

197.3 °C, 470 K, 387 °F

みずへの溶解ようかい 混和こんわせい
ねばたび 16.1 mPa s [1]
危険きけんせい
安全あんぜんデータシート(外部がいぶリンク) External MSDS
EU分類ぶんるい 有害ゆうがい (Xn)
NFPA 704
1
1
0
Rフレーズ R22 R36
Sフレーズ S26 S36 S37 S39 S45 S53
引火いんかてん 111 °C (closed cup)
発火はっかてん 410 °C
関連かんれんする物質ぶっしつ
関連かんれんするグリコール プロピレングリコール, ジエチレングリコール, トリエチレングリコール
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

エチレングリコールえい: ethylene glycol)は、溶媒ようばい不凍液ふとうえき合成ごうせい原料げんりょうなどとしてひろもちいられる 2アルコール一種いっしゅである。分子ぶんししき C2H6O2構造こうぞうしき HO-CH2-CH2-OH分子ぶんしりょう 62.07。IUPAC命名めいめいほうでは エタン-1,2-ジオール、あるいは 1,2-エタンジオールあらわされる。ねば稠な無色むしょく液体えきたいで、みずなどの極性きょくせい溶媒ようばいけやすい。その性質せいしつくわえて融点ゆうてんが −12.6 比較的ひかくてきひくいので水冷すいれいエンジンなどの不凍液ふとうえきとしてもちいられている。引火いんかてん 111℃、発火はっかてん 398℃で、消防しょうぼうほううえだい4るい危険きけんぶつだい3石油せきゆるい)に指定していされている。

合成ごうせい[編集へんしゅう]

エチレングリコールは、エチレンオキシド(エポキシエタン、オキシラン)をさん触媒しょくばい加水かすい分解ぶんかいするとられる。触媒しょくばい条件下じょうけんかでも、高温こうおんこうあつでエチレンオキシドとみず反応はんのうさせてエチレングリコールをることができる。

エチレングリコールの2008年度ねんど日本にっぽん国内こくない生産せいさんりょうは 628,793t、消費しょうひりょうは 12,089t である[2]

反応はんのう用途ようと[編集へんしゅう]

どう触媒しょくばいのもとに空気くうき酸化さんかすると、グリオキサールあたえる。またクロムさんカリウムもちいて酸化さんかすると、シュウさん生成せいせいする。

エチレングリコールは、ポリエチレンテレフタラート (PET) のしゅ原料げんりょうのひとつである。PEN,PTTなどのほかのポリエステル原料げんりょうとしても同様どうようもちいられる。

エチレングリコールのエーテルるいセロソルブ (cellosolve) ともばれ、ブチルセロソルブフェニルセロソルブジメチルセロソルブなどが塗料とりょう溶媒ようばいなどとしてひろもちいられている。

融点ゆうてんひく特性とくせいかし、自動車じどうしゃ不凍液ふとうえきとして利用りようされる。またこのことからアンチフリーズなどともばれている。かつては不凍液ふとうえきによく使つかわれていたグリセリンより不凍液ふとうえきとしての性能せいのうたかいことから普及ふきゅうしたが、自然しぜんかいした場合ばあい環境かんきょうへの悪影響あくえいきょうおおきいことから近年きんねんではふたたびグリセリンが見直みなおされているめんもある。

毒性どくせい[編集へんしゅう]

エチレングリコールは甘味あまみち、生体せいたいない代謝たいしゃけると有毒ゆうどくする。代謝たいしゃぶつシュウさんによるていカルシウムしょうシュウさんカルシウム析出せきしゅつによるじん障害しょうがいこす[3][4]不凍液ふとうえきあやまいんや、ワインなどの食品しょくひん添加てんかぶつ誤用ごよう過去かこ日本にっぽんドイツでは故意こい利用りよう)されて中毒ちゅうどく事件じけん発生はっせい社会しゃかい問題もんだいすることもある。ジエチレングリコール同様どうようである。

あやまのました場合ばあい自殺じさつ目的もくてき飲用いんようした場合ばあいは、代謝たいしゃ拮抗きっこうするためにエタノール投与とうよし、エチレングリコールが代謝たいしゃされずに尿にょうから排泄はいせつされるのをつ。

ほう規制きせい[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Elert, Glenn. “Viscosity”. The Physics Hypertextbook. 2007ねん10がつ2にち閲覧えつらん
  2. ^ 経済けいざい産業さんぎょうしょう生産せいさん動態どうたい統計とうけい生産せいさん出荷しゅっか在庫ざいこ統計とうけい 平成へいせい20ねんねんけいによる
  3. ^ MSDS - エチレングリコール (PDF) (Report). さんきょう化学かがく株式会社かぶしきがいしゃ. 2016-04. {{cite report}}: |date=日付ひづけ不正ふせいです。 (説明せつめい)
  4. ^ http://www.umin.ac.jp/chudoku/chudokuinfo/x/x101.txt
  5. ^ a b c 製品せいひん安全あんぜんデータシート | エチレングリコール”. 職場しょくばのあんぜんサイト. 厚生こうせい労働省ろうどうしょう (2006ねん11月6にち). 2020ねん2がつ11にち閲覧えつらん
  6. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょう都道府県とどうふけん労働ろうどうきょく労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくしょへん、『<平成へいせい27ねん報告ほうこくばん>「有害ゆうがいぶつばく作業さぎょう報告ほうこく」の手引てびき』、2014ねん厚生こうせい労働省ろうどうしょう [1]
  7. ^ 海洋かいよう汚染おせんとうおよ海上かいじょう災害さいがい防止ぼうしかんする法律ほうりつ施行しこうれい昭和しょうわよんじゅうろくねん政令せいれいだいひゃくいちごう別表べっぴょうだい1 海洋かいよう環境かんきょう保全ほぜん見地けんちから有害ゆうがいである物質ぶっしつ(Yるい物質ぶっしつ)”. e-Gov法令ほうれい検索けんさく. 総務そうむしょう行政ぎょうせい管理かんりきょく (2019ねん4がつ26にち). 2019ねん12月17にち閲覧えつらん。 “平成へいせいさんじゅういちねん政令せいれいだいひゃくろくじゅうさんごう改正かいせい、2020ねん1がつ1にち施行しこうぶん閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]