(Translated by https://www.hiragana.jp/)
服薬指導 - Wikipedia コンテンツにスキップ

服薬ふくやく指導しどう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

服薬ふくやく指導しどう(ふくやくしどう、えい:Patient Compliance Instruction)は、薬剤師やくざいし患者かんじゃたいして処方しょほうくすり情報じょうほう提供ていきょうおこなうことである。

概要がいよう

[編集へんしゅう]

薬剤師やくざいしほうだい25じょうの2に義務ぎむとしてさだめられている。薬物やくぶつ使用しようたってはその適切てきせつ使用しよう重要じゅうようであり、医師いし意図いとことなる服用ふくよう方法ほうほうおこなった場合ばあいには薬効やっこう過剰かじょうあるいは不十分ふじゅうぶんとなり、病態びょうたい悪化あっかさせる可能かのうせいがある。薬剤師やくざいしはこのようなケースをまえもってふせぐために患者かんじゃ処方しょほうやく薬効やっこう服薬ふくやく方法ほうほう服薬ふくやく意義いぎについてかりやすい言葉ことば説明せつめいし、薬物やくぶつ療法りょうほうたいする理解りかい必要ひつようがあり、この患者かんじゃたいする説明せつめい服薬ふくやく指導しどうぶ。

保険ほけん調剤ちょうざいにおける服薬ふくやく指導しどうとう業務ぎょうむに、「薬剤やくざい服用ふくようれき管理かんり指導しどうりょう」として規定きていされた点数てんすうぶん費用ひよう請求せいきゅうすることが出来でき[1]

2018ねん平成へいせい30ねん)6がつ14 にち国家こっか戦略せんりゃく特別とくべつ区域くいき諮問しもん会議かいぎにおいて、愛知あいちけん兵庫ひょうごけん養父やぶおよ福岡ふくおかでのテレビ電話でんわとうによる、遠隔えんかく服薬ふくやく指導しどう実施じっしかんする計画けいかく認定にんていされた。今後こんごは、全国ぜんこく実施じっしできるようほう整備せいびはか予定よていである[2]

義務ぎむ

[編集へんしゅう]

薬剤師やくざいしほうだい25じょうの2ざいほうには服薬ふくやく指導しどうかんして以下いかとお条文じょうぶんとして明記めいきされている。

薬剤師やくざいしは、販売はんばいまた授与じゅよ目的もくてき調剤ちょうざいしたときは、患者かんじゃまたげんにその看護かんごにあたっているものたいし、調剤ちょうざいした薬剤やくざい適正てきせい使用しようのために、必要ひつよう情報じょうほう提供ていきょうしなければならない。

つまり、服薬ふくやく指導しどう薬剤師やくざいし患者かんじゃ意思いしにより自由じゆうおこなわれるものではなく、販売はんばい授与じゅよ目的もくてき調剤ちょうざいおこなったさいにはかならおこなわれなければならないものであり、もし服薬ふくやく指導しどうおこなわれなかったさいには薬剤師やくざいしたいして責任せきにんきまとうこととなる。

服薬ふくやく指導しどうのポイント

[編集へんしゅう]

上記じょうきべたとおり、服薬ふくやく指導しどうとは患者かんじゃ納得なっとくして処方しょほうやく服薬ふくやくしてもらうための説明せつめいおこなうことであるが、ただ一方いっぽうてき説明せつめいすればよいというものではない。服薬ふくやく指導しどうでは患者かんじゃうったえをくことも大切たいせつであり、薬剤師やくざいしにはコミュニケーション能力のうりょくわれる。患者かんじゃなかには「医者いしゃには本音ほんねはなしにくい」とかんがえていたり、「医者いしゃはなしたときにはいいわすれたけれども、そういえば…」というような具合ぐあいいたいことおもしたりして、薬剤師やくざいしからくすりり、服薬ふくやく指導しどうけるさいになって本音ほんねはなしてくれるれいおおい。患者かんじゃからこのような本音ほんねこえきだすには信頼しんらい関係かんけい構築こうちく必須ひっすであり、服薬ふくやく指導しどうはこのようなこえ情報じょうほうとして医師いしにフィードバックするはたらきもゆうしている。服薬ふくやく指導しどう記録きろくくすりれきとして保存ほぞんし、今後こんごより薬物やくぶつ治療ちりょうおこなうために活用かつようする。

また、一部いちぶ疾患しっかんとくがん)では患者かんじゃへの告知こくち問題もんだいとなり、薬剤師やくざいし抗癌剤こうがんざい機械きかいてきに「これはがんなおくすりです」などと患者かんじゃ説明せつめいすることは厳禁げんきんである。主治医しゅじい方針ほうしんによってはがんであることをまだ告知こくちしていない場合ばあいかんがえられ、スタッフとのみつ連携れんけい必要ひつようである。小児しょうににん高齢こうれいしゃなどの患者かんじゃでも服薬ふくやく指導しどうには注意ちゅういようし、相手あいておうじた指導しどうおこな必要ひつようがある。

問題もんだい志向しこうがたシステム

[編集へんしゅう]

問題もんだい志向しこうがたシステムえい: Problem Oriented System、POS)とは、患者かんじゃっている医療いりょうじょう問題もんだい焦点しょうてんわせ、その問題もんだい患者かんじゃ最高さいこうあつかかた目指めざして努力どりょくする一連いちれん作業さぎょうシステムである。薬剤師やくざいし問題もんだい志向しこうがたシステムにもとづいて服薬ふくやく指導しどうおこなうには、患者かんじゃ問題もんだいひとつずつ解決かいけつほうかんがえ、それを実践じっせん評価ひょうかし、記録きろくするというのが1クールとなる。この記録きろく形式けいしきとしてSOAP形式けいしきられている。

SOAP形式けいしきとはくすりれき作成さくせい主観しゅかんてき事項じこう(S:Subjective)、客観きゃっかんてき事項じこう(O:Objective)、評価ひょうか(A:Assessment)および計画けいかく(P:Plan)のかく項目こうもくけて記述きじゅつする方法ほうほうである。

  • S:患者かんじゃうったえを記述きじゅつ。(れい:「せきるようになったんだ」)
  • O:薬剤師やくざいしから患者かんじゃ状態じょうたいについて記載きさいする。現在げんざい服用ふくようしているくすり、スタッフのはなしなどの情報じょうほうもここに記載きさい。(れい:たんていない様子ようす現在げんざいxxxを服用ふくようちゅう
  • A:SとOからかんがえられることを記述きじゅつ。(れい:副作用ふくさよう空咳からせき可能かのうせいり)
  • P:Aをけて、計画けいかくてる。(れい:経過けいか観察かんさつし、つづくようであれば降圧こうあつやく変更へんこう主治医しゅじいちかける。)

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ 平成へいせい30年度ねんど診療しんりょう報酬ほうしゅう改定かいてい概要がいよう 調剤ちょうざい” (PDF). 厚生こうせい労働省ろうどうしょう (2018ねん3がつ5にち). 2019ねん4がつ12にち閲覧えつらん
  2. ^ 国家こっか戦略せんりゃく特区とっくにおけるいわゆる遠隔えんかく服薬ふくやく指導しどうへの対応たいおうについて - 厚生こうせい労働省ろうどうしょう” (PDF). 厚生こうせい労働省ろうどうしょう (2018ねん7がつ18にち). 2019ねん4がつ12にち閲覧えつらん