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服薬 ふくやく 指導 しどう (ふくやくしどう、英 えい :Patient Compliance Instruction)は、薬剤師 やくざいし が患者 かんじゃ に対 たい して処方 しょほう 薬 くすり の情報 じょうほう 提供 ていきょう を行 おこな うことである。
薬剤師 やくざいし 法 ほう 第 だい 25条 じょう の2に義務 ぎむ として定 さだ められている。薬物 やくぶつ の使用 しよう に当 あ たってはその適切 てきせつ な使用 しよう が重要 じゅうよう であり、医師 いし の意図 いと と異 こと なる服用 ふくよう 方法 ほうほう を行 おこな った場合 ばあい には薬効 やっこう が過剰 かじょう あるいは不十分 ふじゅうぶん となり、病態 びょうたい を悪化 あっか させる可能 かのう 性 せい がある。薬剤師 やくざいし はこのようなケースを前 まえ もって防 ふせ ぐために患者 かんじゃ に処方 しょほう 薬 やく の薬効 やっこう と服薬 ふくやく 方法 ほうほう 、服薬 ふくやく の意義 いぎ について分 わ かりやすい言葉 ことば で説明 せつめい し、薬物 やくぶつ 療法 りょうほう に対 たい する理解 りかい を得 え る必要 ひつよう があり、この患者 かんじゃ に対 たい する説明 せつめい を服薬 ふくやく 指導 しどう と呼 よ ぶ。
保険 ほけん 調剤 ちょうざい における服薬 ふくやく 指導 しどう 等 とう の業務 ぎょうむ に、「薬剤 やくざい 服用 ふくよう 歴 れき 管理 かんり 指導 しどう 料 りょう 」として規定 きてい された点数 てんすう 分 ぶん の費用 ひよう を請求 せいきゅう することが出来 でき る[1] 。
2018年 ねん (平成 へいせい 30年 ねん )6月 がつ 14 日 にち の国家 こっか 戦略 せんりゃく 特別 とくべつ 区域 くいき 諮問 しもん 会議 かいぎ において、愛知 あいち 県 けん 、兵庫 ひょうご 県 けん 養父 やぶ 市 し 及 およ び福岡 ふくおか 市 し でのテレビ電話 でんわ 等 とう による、遠隔 えんかく 服薬 ふくやく 指導 しどう の実施 じっし に関 かん する計画 けいかく が認定 にんてい された。今後 こんご は、全国 ぜんこく で実施 じっし できるよう法 ほう 整備 せいび を図 はか る予定 よてい である[2] 。
薬剤師 やくざいし 法 ほう 第 だい 25条 じょう の2剤 ざい 師 し 法 ほう には服薬 ふくやく 指導 しどう に関 かん して以下 いか の通 とお り条文 じょうぶん として明記 めいき されている。
薬剤師 やくざいし は、販売 はんばい 又 また は授与 じゅよ の目的 もくてき で調剤 ちょうざい した時 とき は、患者 かんじゃ 又 また は現 げん にその看護 かんご にあたっている者 もの に対 たい し、調剤 ちょうざい した薬剤 やくざい の適正 てきせい な使用 しよう のために、必要 ひつよう な情報 じょうほう を提供 ていきょう しなければならない。
つまり、服薬 ふくやく 指導 しどう は薬剤師 やくざいし や患者 かんじゃ の意思 いし により自由 じゆう に行 おこな われるものではなく、販売 はんばい ・授与 じゅよ の目的 もくてき で調剤 ちょうざい を行 おこな った際 さい には必 かなら ず行 おこな われなければならないものであり、もし服薬 ふくやく 指導 しどう が行 おこな われなかった際 さい には薬剤師 やくざいし に対 たい して責任 せきにん が付 つ きまとうこととなる。
上記 じょうき に述 の べた通 とお り、服薬 ふくやく 指導 しどう とは患者 かんじゃ に納得 なっとく して処方 しょほう 薬 やく を服薬 ふくやく してもらうための説明 せつめい を行 おこな うことであるが、ただ一方 いっぽう 的 てき に説明 せつめい すればよいというものではない。服薬 ふくやく 指導 しどう では患者 かんじゃ の訴 うった えを聞 き くことも大切 たいせつ であり、薬剤師 やくざいし にはコミュニケーション能力 のうりょく が問 と われる。患者 かんじゃ の中 なか には「医者 いしゃ には本音 ほんね を話 はな しにくい」と考 かんが えていたり、「医者 いしゃ と話 はな したときにはいい忘 わす れたけれども、そういえば…」というような具合 ぐあい で言 い いたい事 こと を思 おも い出 だ したりして、薬剤師 やくざいし から薬 くすり を受 う け取 と り、服薬 ふくやく 指導 しどう を受 う ける際 さい になって本音 ほんね を話 はな してくれる例 れい も多 おお い。患者 かんじゃ からこのような本音 ほんね の声 こえ を聞 き きだすには信頼 しんらい 関係 かんけい の構築 こうちく が必須 ひっす であり、服薬 ふくやく 指導 しどう はこのような声 こえ を情報 じょうほう として医師 いし にフィードバックする働 はたら きも有 ゆう している。服薬 ふくやく 指導 しどう の記録 きろく は薬 くすり 歴 れき として保存 ほぞん し、今後 こんご より良 よ い薬物 やくぶつ 治療 ちりょう を行 おこな うために活用 かつよう する。
また、一部 いちぶ の疾患 しっかん (特 とく に癌 がん )では患者 かんじゃ への告知 こくち が問題 もんだい となり、薬剤師 やくざいし が抗癌剤 こうがんざい を見 み て機械 きかい 的 てき に「これは癌 がん を治 なお す薬 くすり です」などと患者 かんじゃ に説明 せつめい することは厳禁 げんきん である。主治医 しゅじい の方針 ほうしん によっては癌 がん であることをまだ告知 こくち していない場合 ばあい も考 かんが えられ、スタッフとの密 みつ な連携 れんけい が必要 ひつよう である。小児 しょうに や妊 にん 婦 ふ 、高齢 こうれい 者 しゃ などの患者 かんじゃ でも服薬 ふくやく 指導 しどう には注意 ちゅうい を要 よう し、相手 あいて に応 おう じた指導 しどう を行 おこな う必要 ひつよう がある。
問題 もんだい 志向 しこう 型 がた システム (英 えい : Problem Oriented System 、POS)とは、患者 かんじゃ の持 も っている医療 いりょう 上 じょう の問題 もんだい に焦点 しょうてん を合 あ わせ、その問題 もんだい を持 も つ患者 かんじゃ の最高 さいこう の扱 あつか い方 かた を目指 めざ して努力 どりょく する一連 いちれん の作業 さぎょう システムである。薬剤師 やくざいし が問題 もんだい 志向 しこう 型 がた システムに基 もと づいて服薬 ふくやく 指導 しどう を行 おこな うには、患者 かんじゃ が持 も つ問題 もんだい を一 ひと つずつ解決 かいけつ 法 ほう を考 かんが え、それを実践 じっせん ・評価 ひょうか し、記録 きろく するというのが1クールとなる。この記録 きろく 形式 けいしき としてSOAP形式 けいしき が知 し られている。
SOAP形式 けいしき とは薬 くすり 歴 れき の作成 さくせい を主観 しゅかん 的 てき 事項 じこう (S:Subjective)、客観 きゃっかん 的 てき 事項 じこう (O:Objective)、評価 ひょうか (A:Assessment)および計画 けいかく (P:Plan)の各 かく 項目 こうもく に分 わ けて記述 きじゅつ する方法 ほうほう である。
S:患者 かんじゃ の訴 うった えを記述 きじゅつ 。(例 れい :「咳 せき が出 で るようになったんだ」)
O:薬剤師 やくざいし から見 み た患者 かんじゃ の状態 じょうたい について記載 きさい する。現在 げんざい 服用 ふくよう している薬 くすり 、スタッフの話 はなし などの情報 じょうほう もここに記載 きさい 。(例 れい :痰 たん は出 で ていない様子 ようす 、現在 げんざい xxxを服用 ふくよう 中 ちゅう )
A:SとOから考 かんが えられることを記述 きじゅつ 。(例 れい :副作用 ふくさよう の空咳 からせき の可能 かのう 性 せい も有 あ り)
P:Aを受 う けて、計画 けいかく を立 た てる。(例 れい :経過 けいか 観察 かんさつ し、続 つづ くようであれば降圧 こうあつ 薬 やく の変更 へんこう を主治医 しゅじい に持 も ちかける。)
^ “平成 へいせい 30年度 ねんど 診療 しんりょう 報酬 ほうしゅう 改定 かいてい の概要 がいよう 調剤 ちょうざい ” (PDF). 厚生 こうせい 労働省 ろうどうしょう (2018年 ねん 3月 がつ 5日 にち ). 2019年 ねん 4月 がつ 12日 にち 閲覧 えつらん 。
^ “国家 こっか 戦略 せんりゃく 特区 とっく におけるいわゆる遠隔 えんかく 服薬 ふくやく 指導 しどう への対応 たいおう について - 厚生 こうせい 労働省 ろうどうしょう ” (PDF). 厚生 こうせい 労働省 ろうどうしょう (2018年 ねん 7月 がつ 18日 にち ). 2019年 ねん 4月 がつ 12日 にち 閲覧 えつらん 。