株主かぶぬし名簿めいぼ

株主かぶぬし名簿めいぼ（かぶぬしめいぼ）とは、発行はっこう会社かいしゃが株主かぶぬしを把握はあくするために作成さくせいされる名簿めいぼのこと。日本にっぽん法ほうでは会社かいしゃ法ほう121条じょう（商法しょうほう旧きゅう223条じょう）以下いかに規定きていがある。

会社かいしゃ法ほうは、以下いかで条じょう数すうのみ記載きさいする。

株主かぶぬし名簿めいぼの機能きのう

株式かぶしきの取得しゅとく（譲受じょうじゅ）を株式かぶしき発行はっこう会社かいしゃに認知にんちさせ、株主かぶぬし権利けんりを確定かくていさせるためには、株主かぶぬし名簿めいぼに自己じこの氏名しめい又または名称めいしょうを記載きさい（又または記録きろく）してもらう（名義めいぎ書しょ換かわ請求せいきゅう）必要ひつようがある（130条じょう）。仮かりに名義めいぎ書しょ換かわを失念しつねんした場合ばあい（失念しつねん株かぶ）は株主かぶぬしとしての権利けんりが制約せいやくされる。また、会社かいしゃが株主かぶぬしに対たいしてする通知つうち等とうは、株主かぶぬし名簿めいぼに記載きさい等とうがある株主かぶぬしの住所じゅうしょに宛あてて発はっすれば足たりる（126条じょう）。

株主かぶぬし名簿めいぼ記載きさい（記録きろく）事項じこう

日本にっぽん法ほうにおいては121条じょうに規定きていが有あり、以下いかの事項じこうが株式かぶしき名簿めいぼ記載きさい事項じこうと定さだめられている。

株主かぶぬしの氏名しめい及および住所じゅうしょ
株主かぶぬしの有ゆうする株式かぶしきの種類しゅるい及および数かず（種類しゅるい株式かぶしき発行はっこう会社かいしゃにあっては、株式かぶしきの種類しゅるい及および種類しゅるいごとの数かず）
各かく株式かぶしきの取得しゅとく年月日ねんがっぴ
株券かぶけんを発行はっこうしている場合ばあいにはその番号ばんごう

株主かぶぬし名簿めいぼの公示こうじ

書面しょめん等とうの交付こうふ（122条じょう）
店頭てんとうでの備置及および閲覧えつらん（125条じょう2項こう）
本店ほんてん又または、株主かぶぬし名簿めいぼ管理人かんりにんがある場合ばあいにあっては、その営業えいぎょう所しょに備そなえ置おかなければならない。

株主かぶぬし及および債権さいけん者しゃは、株式会社かぶしきがいしゃの営業えいぎょう時間じかん内ないは、いつでも、閲覧えつらん又または謄写とうしゃの請求せいきゅうをすることができる。

株主かぶぬし名簿めいぼの閉鎖へいさ

かつて商法しょうほう旧きゅう会社かいしゃ編へんに存在そんざいしていた制度せいど。一定いっていの期間きかん、株主かぶぬし名簿めいぼの名義めいぎ書しょ換かわを拒否きょひできるというもの。株主かぶぬし総会そうかいにおいて議決ぎけつ権けんを行使こうしする株主かぶぬしを確定かくていする手段しゅだんの一ひとつとして存在そんざいしたが、その閉鎖へいさ期間きかんにおいては株式かぶしきの権利けんりが大おおきく制約せいやくを受うけるため、株式かぶしきの譲渡じょうとの利益りえきをより損そこなわない制度せいどである基準きじゅん日び制度せいどに一本いっぽん化かされた。

基準きじゅん日び

その日ひに株主かぶぬし名簿めいぼに記載きさい・記録きろくされている基準きじゅん日び株主かぶぬしを定さだめ権利けんり者しゃとする日ひのこと（124条じょう1項こう）。基準きじゅん日びから三さん箇月かげつ以内いないに行使こうしすることができる権利けんりの内容ないようを定さだめなければならない（124条じょう2項こう）。

株主かぶぬし名簿めいぼ管理人かんりにん

株主かぶぬし名簿めいぼの作成さくせい及および備置きその他た株主かぶぬし名簿めいぼに関かんする事務じむに携たずさわる人ひと（法人ほうじん）のことを平成へいせい17年ねん改正かいせい前ぜん商法しょうほうにおいては名義めいぎ書しょ換かわ代理人だいりにんと呼称こしょうしていたが、業務ぎょうむ内容ないようは名義めいぎ書しょ換かわに留とまるものではないため、会社かいしゃ法ほうでは、123条じょうにおいて、株主かぶぬし名簿めいぼ管理人かんりにんと名称めいしょうが改あらためられた。株主かぶぬし名簿めいぼ管理人かんりにんを設置せっちする場合ばあいは定款ていかんにその旨むね規定きていされる。具体ぐたい的てきな株主かぶぬし名簿めいぼ管理人かんりにんは株式かぶしき取扱とりあつかい規程きていに規定きていされ、登記とうきにより公示こうじされる。

主おもな株主かぶぬし名簿めいぼ管理人かんりにん

（代行だいこう専業せんぎょう3社しゃ）

（大手おおて信託しんたく銀行ぎんこう3行ぎょう）

実務じつむでの運用うんよう

公開こうかい企業きぎょうの株主かぶぬし名簿めいぼ

株式かぶしき公開こうかい企業きぎょうでは、証券しょうけん取引とりひき所しょの規定きていにより証券しょうけん代行だいこう専門せんもん会社かいしゃあるいは信託しんたく銀行ぎんこうを株主かぶぬし名簿めいぼ管理人かんりにんに選任せんにんし、株主かぶぬし名簿めいぼの作成さくせいと株主かぶぬしの管理かんりを委託いたくすることが義務ぎむづけられている。

株券かぶけん電子でんし化か

上場じょうじょう会社かいしゃは社債しゃさい、株式かぶしき等とうの振替ふりかえに関かんする法律ほうりつの施行しこうにより平成へいせい21年ねん1月がつ5日にちより株式かぶしき等とう振替ふりかえ制度せいど（いわゆる株券かぶけんの電子でんし化か）に一斉いっせい移行いこうしたため、上場じょうじょう会社かいしゃの株券かぶけんは全すべて無効むこうとなっている。振替ふりかえ制度せいどへの移行いこうに伴ともない、株式かぶしきの権利けんり移転いてん方法ほうほうが従来じゅうらいの(1)株券かぶけんの譲渡じょうとおよび（2）口座こうざ振替ふりかえ（保管ほかん振替ふりかえ制度せいどを利用りようした場合ばあいのみ）から、口座こうざ振替ふりかえによる権利けんり移転いてんに一本いっぽん化かされた。

振替ふりかえ制度せいどでは、株主かぶぬしの権利けんりは証券しょうけん会社かいしゃ等とうの口座こうざ管理かんり機関きかんの振替ふりかえ口座こうざ簿ぼに記載きさいされる電磁でんじ記録きろくにより生しょうじる。

振替ふりかえ制度せいどへの移行いこう

株券かぶけん電子でんし化かまでに証券しょうけん会社かいしゃ等とうを通つうじて証券しょうけん保管ほかん振替ふりかえ機構きこうに株券かぶけんを預託よたくしていた株式かぶしきについては、特段とくだんの手続てつづきを経へることなく新しん制度せいどへ移行いこうした。

一方いっぽう、タンス株かぶや株券かぶけんの発行はっこうされていない単元たんげん未満みまん株式かぶしき等とう、証券しょうけん会社かいしゃの口座こうざにて管理かんりしていなかった株式かぶしきについては、株券かぶけん電子でんし化かの際さいに会社かいしゃが「特別とくべつ口座こうざ」を開設かいせつし、その権利けんりを保護ほごすることになっている。特別とくべつ口座こうざにて管理かんりされている株式かぶしきは、いつでも証券しょうけん会社かいしゃ等とうに開設かいせつした自身じしんの口座こうざへ移うつす（口座こうざ振替ふりかえ）ことが可能かのうであるが、特別とくべつ口座こうざから直接ちょくせつ株式かぶしきを売却ばいきゃくすることはできない。また証券しょうけん会社かいしゃにて管理かんりしている株式かぶしきを特別とくべつ口座こうざに移うつすこともできない。

振替ふりかえ制度せいどにおける株主かぶぬし名簿めいぼの作成さくせい

振替ふりかえ制度せいどでは株券かぶけんが廃止はいしされるため、株券かぶけんの名義めいぎ書しょ換かわ（＝株主かぶぬし名簿めいぼの書しょ換かわ）手続てつづきが無なくなる。

振替ふりかえ制度せいどにおけるの株主かぶぬし名簿めいぼは以下いかの流ながれにより作成さくせいされる。

証券しょうけん会社かいしゃ等とうは、基準きじゅん日び（決算けっさん基準きじゅん日びなど）時点じてんで株式かぶしきを保有ほゆうする株主かぶぬし（加入かにゅう者しゃ）を証券しょうけん保管ほかん振替ふりかえ機構きこうに報告ほうこく（＝総そう株主かぶぬし報告ほうこく）
証券しょうけん保管ほかん振替ふりかえ機構きこうは、受うけ取とった情報じょうほうの中なかから重複じゅうふくする株主かぶぬしをまとめたうえで、発行はっこう会社かいしゃ（株主かぶぬし名簿めいぼ管理人かんりにん）に通知つうち（＝総そう株主かぶぬし通知つうち）

この総そう株主かぶぬし通知つうちにより通知つうちした株主かぶぬしについては、次つぎの決算けっさん基準きじゅん日び（通常つうじょうは半年はんとし後ご）までその株主かぶぬし情報じょうほうに変更へんこうがある都度つどその変更へんこうを発行はっこう会社かいしゃに通知つうちする。これは、基準きじゅん日びとその後ごの諸しょ事務じむが実施じっしされるまでの間あいだの変更へんこうを反映はんえいさせるためである。これにより、例たとえば3月がつ末まつの基準きじゅん日びと6月がつに招集しょうしゅう通知つうちを発はっする際さいの間あいだに住所じゅうしょ変更へんこうがあった場合ばあいでも、（事務じむ的てきに可能かのうな限かぎり）最新さいしんの情報じょうほうを反映はんえいさせることができる。

株式かぶしき等とう振替ふりかえ制度せいどにおける株主かぶぬしの確認かくにん手段しゅだん

上場じょうじょう会社かいしゃの株主かぶぬし名簿めいぼは基準きじゅん日び（通常つうじょうは半年はんとしごと）しか作成さくせいされないため、期き中ちゅうにおいて新あらたに株主かぶぬしとなった者ものを株主かぶぬしであるか確認かくにんする手段しゅだんがなく、また直近ちょっきんの基準きじゅん日びで株主かぶぬしであっても株式かぶしきを売却ばいきゃくする可能かのう性せいがあることから、「知しりたい時とき」に株主かぶぬしであるか把握はあくすることができない。また、株主かぶぬし側がわからも少数しょうすう株主かぶぬし権けんの行使こうしの際さいなどに会社かいしゃに対たいし株主かぶぬしであることを証明しょうめいすることができないという問題もんだいが生しょうじる。このため、以下いかの手続てつづきが用意よういされている。

個別こべつ株主かぶぬし通知つうち：株主かぶぬしが、株主かぶぬしであることを発行はっこう会社かいしゃに通知つうちするもの
情報じょうほう提供ていきょう請求せいきゅう：会社かいしゃが、自社じしゃの株主かぶぬしに該当がいとうする者ものが居いるか、各かく口座こうざ管理かんり機関きかん（証券しょうけん会社かいしゃなど）に通知つうちさせるもの