横須賀水道よこすかすいどう

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横須賀水道よこすかすいどう（よこすかすいどう）は、横須賀よこすか市しの上水道じょうすいどう施設しせつである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

水源すいげん系統けいとう
  • 給水きゅうすい面積めんせき：100.93km2（2009年度ねんど）[1]
  • 供給きょうきゅう世帯せたい数すう：165,808世帯せたい（2009年度ねんど）[1]
  • 給水きゅうすい量りょう：65,987,411m3（2010年度ねんど）[2]
  • 水源すいげん系統けいとう：小雀こがら（横浜よこはま市し水道局すいどうきょくと共同きょうどう）・宮みやヶ瀬せ（企業きぎょう団だんからの受水）・有馬ありま・酒匂川さかわがわ（企業きぎょう団だんからの受水）・走水はしりみず[3]

歴史れきし[編集へんしゅう]

鎌倉かまくら市し材木座ざいもくざ付近ふきんの横須賀水道よこすかすいどうみち。道みち界かいの波なみ型がたの記号きごうおよび「海うみ」の文字もじは海軍かいぐんを表あらわしており、水道すいどう道どうの至いたる所ところで見みかけることができる。

横須賀よこすかにおける水道すいどう施設しせつは、明治めいじ初期しょきに既すでに敷設ふせつされ、国内こくないでも早期そうきの近代きんだい水道すいどう施設しせつである[4]。幕末ばくまつ期き、江戸えど幕府ばくふは黒船くろふね襲来しゅうらいに際さいして鎖国さこくを改あらため、横須賀よこすか製鉄せいてつ所しょを建設けんせつした。これは倒幕とうばく後ごに横須賀造船所よこすかぞうせんじょとなり、施設しせつは明治めいじ政府せいふに引ひき継つがれ、横須賀よこすか海軍かいぐん工廠こうしょうとなった。事業じぎょうの発展はってんによる水不足みずぶそくのため、造船ぞうせん所しょ首長しゅちょうヴェルニーの手てにより、1874年ねん（明治めいじ7年ねん）から1876年ねん（明治めいじ9年ねん）にかけて走水はしりみずから最初さいしょの水道すいどうが完成かんせいした（走水はしりみず水道すいどう）[5][6]。

走水はしりみず水道すいどうはその後ご海軍かいぐん専用せんようの水道すいどうとして軍備ぐんび拡充かくじゅうとともに改良かいりょうされ、1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）、中津川なかつがわを水源すいげんとした軍港ぐんこう水道すいどう半原はばら系統けいとうが通つう水すいし、翌よく1919年ねん（大正たいしょう8年ねん）3月がつには走水はしりみず水道すいどう施設しせつが横須賀よこすか市しに無償むしょう貸与たいよされ、横須賀よこすか市し上水道じょうすいどうの水源すいげんとなった[7]。

軍港ぐんこう水道すいどうの接続せつぞく点てんである逸見いつみ（へみ）配水はいすい池ちの工事こうじが行おこなわれ、軍港ぐんこう水道すいどうの余よ水すい分与ぶんよを受うけ、1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）3月がつ、従来じゅうらいの簡易かんい水道すいどうも含ふくめた市営しえい水道すいどうが完成かんせいした[5][8]。

相模さがみ川がわを渡わたる上郷かみごう水すい管かん橋きょう。1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）完成かんせい[9]。

大正たいしょう時代じだいには芦ノ湖あしのこの水みずで水力すいりょく発電はつでんを行おこない、その水みずを水源すいげんとして利用りようする計画けいかくが神奈川かながわ県けんと横浜よこはま市しの双方そうほうでともに進すすめられたが、芦ノ湖あしのこの水利すいり権けんは静岡しずおか県けんが持もつことや資金しきん難なんなどにより計画けいかく推進すいしんが困難こんなんとなり、立たち消ぎえとなった[10]。三浦半島みうらはんとう、湘南しょうなん地区ちくは水不足みずぶそくに悩なやまされてきたものの、町村ちょうそん単独たんどくでの水道すいどう布設ふせつは財政ざいせい的てきに困難こんなんであった。浦賀うらが町長ちょうちょうと親したしい枢密院すうみついん顧問こもん金子かねこ堅太郎けんたろうが政府せいふ機関きかんに働はたらきかけ、水道すいどう条例じょうれいの原則げんそく[11]を乗のり越こえ、1933年ねん（昭和しょうわ8年ねん）日本にっぽん最初さいしょの県営けんえいによる水道すいどう事業じぎょうが実現じつげんした[12]。

昭和しょうわ10年代ねんだいには国際こくさい関係かんけいの緊迫きんぱく化かが進すすんだため、軍備ぐんびの増強ぞうきょうにより海軍かいぐんの水みず需要じゅようが増大ぞうだいした。海軍かいぐんは貸与たいよしていた軍港ぐんこう水道すいどう施設しせつの返還へんかんを申もうし入いれた。1939年ねん（昭和しょうわ14年ねん）、「突貫とっかん工事こうじ」により海老名えびな市し社家しゃけの相模さがみ川がわから有馬ありま浄水じょうすい場じょうを経由けいゆして田浦たのうら配水はいすい池ちまで送水そうすいする有馬ありま系統けいとうの工事こうじが着手ちゃくしゅされ、1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）に一部いちぶ通どおり水すい、終戦しゅうせんの年としとなる1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）に完成かんせいを見みた[13]。

終戦しゅうせん時じ、軍港ぐんこう水道すいどうの施設しせつ及および職員しょくいんは横須賀よこすか市しに引ひき継つがれた。施設しせつは連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれい官かん総そう司令しれい部ぶ (GHQ) による接収せっしゅうなどを経へて、1954年ねん（昭和しょうわ29年ねん）正式せいしきに無償むしょう譲渡じょうとされ、名実めいじつともに横須賀よこすか市しの水道すいどう施設しせつとなった[14]。

その間あいだ、第だい4回かい（1952年ねん）、第だい5回かい（1964年ねん）、第だい6回かい（1969年ねん打うち切きり）の拡張かくちょう事業じぎょうののち、1969年ねん（昭和しょうわ44年ねん）の神奈川かながわ県内けんない広域こういき水道すいどう企業きぎょう団だん設立せつりつに合あわせ第だい7回かいの拡張かくちょう事業じぎょうを実施じっし、企業きぎょう団だんによる相模さがみ川がわ（寒川さむかわ取水しゅすい堰せき）および酒匂川さかわがわ水系すいけいの配分はいぶんを受うけることになった（1972年ねん）[15]。

横須賀水道よこすかすいどう道どう[編集へんしゅう]

愛川あいかわ町まちの水道すいどうみちと「水道すいどう坂ざか」。
藤沢ふじさわ市し立石たていし付近ふきん。水道すいどう道どうはこの先さき境川さかいがわを超こえ、国道こくどう1号ごう藤沢ふじさわバイパス(水道すいどう道どう橋きょう)の下したをくぐっている。

日にち露ろ戦争せんそう後ごの軍備ぐんび増強ぞうきょうの結果けっか、走水はしりみず系統けいとうでは供給きょうきゅうが間まに合あわなくなった。海軍かいぐん当局とうきょくは、愛甲あいこう郡ぐん愛川あいかわ町まち半はん原石げんせき小屋こや地区ちくの中津川なかつがわに取水しゅすい口こうを設もうけ、約やく53km離はなれた横須賀よこすかまで20インチの鋳鉄ちゅうてつ管かんを使用しようし、落差らくさ約やく70mの自然しぜん流下りゅうかによる半原はばら系統けいとうの建設けんせつ工事こうじを1912年ねん（明治めいじ45年ねん / 大正たいしょう元年がんねん）に着手ちゃくしゅ、1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）10月がつに通つう水すい開始かいしした[16]。工費こうひは当時とうじの金額きんがくにして総額そうがく384万まん円えんであった[5]。1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）9月1日にちの関東大震災かんとうだいしんさいでは送水そうすい管かんの破損はそんなどにより送水そうすい不能ふのうに陥おちいり、翌よく1924年ねん（大正たいしょう13年ねん）3月がつに復旧ふっきゅうした[17]。

今日きょうこの水道すいどう管かんが埋設まいせつされている土地とちは横須賀よこすか水道すいどう道どう、横須賀水道よこすかすいどう路ろ、横須賀水道よこすかすいどうみち、あるいは単たんに水道すいどうみちと呼よばれ、国土こくど地理ちり院いんの地形ちけい図ずにも「横須賀水道よこすかすいどう」として表示ひょうじされている[18]。ただし水道すいどう専用せんよう橋きょうの上郷かみさと水みず管かん橋きょうを始はじめ、至いたる所ところで通行つうこう不能ふのうな場所ばしょが存在そんざいしている。

この半原はばら系統けいとうの経路けいろは詳細しょうさいな市街しがい図ずで以下いかのように容易よういに辿たどることができる[18]。

愛川あいかわ町まちの宮みやヶ瀬せダム近ちかくにある半原はばら浄水じょうすい場じょうから中津川なかつがわ沿ぞいを通とおり、内陸ないりく工業こうぎょう団地だんちのそばを経由けいゆして厚木あつぎ市しに入はいり、国道こくどう129号ごう・国道こくどう246号ごうをほぼ一直線いっちょくせんに横切よこぎり、向むきを変かえて相模さがみ川がわを上郷かみさと水みず管かん橋きょうで渡わたる。

海老名えびな市しに入はいるとアツギの敷地しきちを切きり取とり海老名えびなSAの北側きたがわ(吉久保よしくぼ橋きょう)を通とおり、綾瀬あやせ市しまで起伏きふくの上下じょうげに関かかわらずほぼ一直線いっちょくせんに通とおり、藤沢ふじさわ市しに入はいるといすゞ自動車ずじどうしゃの敷地しきち内ないを通とおり抜ぬけて、国道こくどう1号ごうを越こえるまで藤沢ふじさわ市内しないを再ふたたびほぼ一直線いっちょくせんに通とおる。鎌倉かまくら市しに入はいり由比ヶ浜ゆいがはま駅えきの前まえを通とおり水道すいどう路ろ交差点こうさてんを過すぎたあたりから横須賀よこすか線せんと並なみ走そうして逗子ずし市しを通とおり、横須賀よこすか市しの逸見いつみ浄水じょうすい場じょうに至いたる。

なお、この半原はばら系統けいとうの取水しゅすいは、需要じゅようの減少げんしょう、水質すいしつの悪化あっか、施設しせつの老朽ろうきゅう化かに伴ともない2007年ねん（平成へいせい19年ねん）4月がつより停止ていしされ、2015年ねん（平成へいせい27年ねん）2月がつ28日にちをもって廃止はいしされた[19]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 上下水道じょうげすいどう事業じぎょう統計とうけい年報ねんぽう横須賀よこすか市し水道局すいどうきょく
  2. ^ 給水きゅうすい量りょう対たい前年度ぜんねんど比較ひかく（平成へいせい22年度ねんど）横須賀よこすか水道局すいどうきょく
  3. ^ 水源すいげん系統けいとう横須賀よこすか市し水道局すいどうきょく
  4. ^ 壮大そうだいな土木どぼく遺産いさん ―旧きゅう横須賀よこすか軍港ぐんこう水道すいどう 〜走水はしりみずの水道すいどう〜 神奈川かながわ県けん横須賀よこすか三浦みうら地域ちいき県政けんせい総合そうごうセンター、2011年ねん
  5. ^ a b c 『工業こうぎょう史し』p509
  6. ^ 『60年ねん史し』p34 - 36
  7. ^ 『60年ねん史し』p38 - 40
  8. ^ 『60年ねん史し』p44
  9. ^ 『60年ねん史し』p59
  10. ^ 『60年ねん史し』p47
  11. ^ 水道すいどう事業じぎょうは市町村しちょうそんによる経営けいえいを内容ないようとしている。上水道じょうすいどう#上水道じょうすいどうの歴史れきしも参照さんしょう。
  12. ^ 『60年ねん史し』p48
  13. ^ 『60年ねん史し』p53
  14. ^ 『60年ねん史し』p61
  15. ^ 『60年ねん史し』p62 - p117
  16. ^ 『60年ねん史し』p40、p42、p398
  17. ^ 『60年ねん史し』p45
  18. ^ a b 2万まん5千せん分ふん1地形ちけい図ず「厚木あつぎ」「座間ざま」など 国土こくど地理ちり院いん
  19. ^ 半原はばら系統けいとう 横須賀よこすか市し水道局すいどうきょく

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 「明治めいじ工業こうぎょう史し 土木どぼく編へん」 社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん工業こうぎょう会かい、1970年ねん
  • 「横須賀水道よこすかすいどう60年ねん史し」 横須賀よこすか市し水道局すいどうきょく、1983年ねん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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