機能きのう的てきリーダーシップモデル

機能きのう的てきリーダーシップモデル（きのうてきリーダーシップモデル）とは、集団しゅうだんや組織そしきが機能きのうするために有効ゆうこうとなるリーダーの行為こうい行動こうどうを具体ぐたい的てきに特定とくていしたものである。このモデルの主張しゅちょうは、集団しゅうだんが何なにを求もとめているかということに注意ちゅういすることがリーダーの果はたすべき責務せきむであるとする。い換いかえると組織そしきが結束けっそくし効果こうか的てきに成果せいかを上あげている状態じょうたいをつくることがリーダーの成果せいかであるとする。^[1]^[2]

概説がいせつ

成なり立たち

機能きのう的てきリーダーシップモデルが生うまれた背景はいけいは、リーダーの成功せいこう事例じれいを数多かずおおく分析ぶんせきしたものである。成功せいこうしているリーダーの事例じれいを数多かずおおく研究けんきゅうする中なかで、彼かれらの成功せいこう要因よういんと彼かれらの特定とくていの行動こうどう様式ようしきが相関そうかん関係かんけいにあることがわかった。そして彼かれらの原則げんそく的てき行動こうどう様式ようしきの特定とくていによって理論りろん立だてされたものである。^[3]^[4]

誰だれがリーダーシップを発揮はっきするか

機能きのう的てきリーダーシップ論ろんにおいては、リーダーシップは一個人いっこじんが発揮はっきするものではなく、物事ものごとを成就じょうじゅするグループ全体ぜんたいによって発揮はっきされるものとする。どのメンバーでも特定とくていの機能きのうを果はたすことで、リーダーシップを発揮はっきすることができるというものである。この理論りろんは、形式けいしき的てきな役割やくわりとして誰だれがリーダーを担になってリーダーシップを発揮はっきするかという観点かんてんではなく、どのようにして組織そしきや仕事しごとをリードしていくかということに主眼しゅがんが置おかれる。つまり「リーダーシップとは何なにか？」ではなく、「何なにをすることが集団しゅうだんを成功せいこうへと導みちびくか？」という観点かんてんから構築こうちくされたモデルである。^[5]

実例じつれい

このモデルの中なかでも初期しょきに登場とうじょうし影響えいきょう力りょくのあるものはジョン・アデアによる行動こうどうを基軸きじくとするリーダーシップモデルである。アデアはリーダーの行動こうどうに重点じゅうてんを置おき、この理論りろんを確立かくりつし、リーダーシップは学まなぶことができるものであり、特定とくていの個人こじんが持もつ特性とくせいによるものではないということを証明しょうめいした。リーダーシップ開発かいはつの起源きげんとなる彼かれのモデルは、リーダーシップ開発かいはつや育成いくせいの場ばにおいて使つかわれている。 ^[6] ^[7]

行動こうどうを基軸きじくとするリーダーシップ

アデアの提唱ていしょうするモデルは、タスク、チーム、個人こじんの3つが重かさなりあった円えんで表現ひょうげんされる。その3つが重かさなりあっている理由りゆうは以下いかの通とおりである。

タスクはひとりで遂行すいこうするだけではなく、チームによっても遂行すいこうするもの
単たんにチームの結束けっそくが高たかければ、高たかい成果せいかを上あげることができるというわけではなく、個々ここのメンバーに対たいして育成いくせいや開発かいはつができていることが必要ひつようである
個々人ここじんには、高たかい目標もくひょうのタスクや動機どうき付づけが必要ひつようである

8つの核かくとなるリーダーシップの機能きのう的てき行動こうどう

アデアはチームリーダーが責任せきにんを果はたすためには次つぎの8つの核かくとなる機能きのうが重要じゅうようであると言及げんきゅうする。^[8]

タスクを定義ていぎする ： SMARTゴール^{[解説かいせつ 1]}に基もとづいて、明確めいかくな目標もくひょうを設定せっていすること
計画けいかくする ：不測ふそくの事態じたいに備そなえた代替だいたい案あんを含ふくめ、タスク達成たっせいのための選択肢せんたくしと解決かいけつ策さくを熟視じゅくしする
チームに状況じょうきょう説明せつめいをする ：ブリーフィングを行おこない、良よいチームの雰囲気ふんいきをつくり、協きょう働はたらけを促進そくしんし、メンバーの知恵ちえを活用かつようする
統制とうせいする ：最小さいしょうの資源しげんから最大さいだいの成果せいかが出でるように効率こうりつ化かする
結果けっかを見定みさだめる ：結果けっかを評価ひょうかし、成果せいかに対たいしての改善かいぜん策さくを特定とくていする
個々人ここじんを動機付どうきずけする ：報酬ほうしゅうや奨励しょうれいといった外在がいざい的てきなモチベーションを高たかめ、同おなじく内在ないざい的てきなモチベーションをメンバー間あいだで引ひき出だす
集団しゅうだんを組織そしき化かする ：良よき管理かんり、人材じんざい育成いくせい、権限けんげん委譲いじょうによって集団しゅうだんを組織そしき化かする
模範もはんとなる ：リーダーはメンバーから観察かんさつされ、模倣もほうされることを認識にんしきする

批判ひはん的てき意見いけん

批判ひはん的てきな意見いけんとして、3つの円えんで表あらわされるのは単純たんじゅんすぎること、1970年代ねんだいに確立かくりつされモデルが時代遅じだいおくれであることが指摘してきされる。^[9]

解説かいせつ

^ 目標もくひょうを設定せっていにおいて重要じゅうようとなる以下いかの要素ようその頭文字かしらもじを取とったもの　Specific:具体ぐたい的てき、Measurable：計測けいそく可能かのう、Achievable：達成たっせい可能かのうな、Realistic：実現じつげん可能かのう、Timely：期限きげんが明確めいかく

出典しゅってん

^ Hackman, J. R., & Walton, R. E. (1986). Leading groups in organizations. In P. S. Goodman, & Associates (Eds.), Designing effective work groups
^ McGrath, J. E. (1962). Leadership behavior: Requirements for leadership training. Prepared for U.S. Civil Service Commission Office of Career Development, Washington, D.C..
^ Bass, B. (1985) Leadership and Performance Beyond Expectations. New York: Free Press.
^ Blackler, F. and Kennedy, A. (2003) The Design of a Development Programme for Experienced Top Managers from the Public Sector. Working Paper, Lancaster University.
^ Bergmann, H., Hurson, K. and Russ-Eft, D. (1999) everyone a Leader: A grassroots model for the new workplace. New York: John Wiley and Sons.
^ http://www.johnadair.co.uk/profiles.html
^ Adair, J. (1973) Action-Centred Leadership. New York, : McGraw-Hill.
^ J.Adair(2003)Develop your leadership skills.
^ Department for Education and Skills (2003) Management and Leadership Attributes Framework. DfES Leadership and Personnel Division, April 2003.

AstraZeneca (1999) Leadership in AstaZeneca. AstraZeneca HR, Dec 1999.
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Deutsche Lufthansa AG (1998) Leading With Goals: Lufthansa Leadership Compass. FRA PU/D, July 1998.
Katzenbach, J. and Smith, D. (1994) the Wisdom of Teams. New York: Harper business.
Lewin, K. (1935) A Dynamic Theory of Personality. New York, McGraw Hill.
Tichy, N. and Devanna, M. (1986) Transformational Leadership. New York: Wiley.