きよし一色いっしょく

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きよし一色いっしょく(チンイーソー)とは、麻雀まーじゃんやくひとつ。まんさくつつのいずれか一種いっしゅぱいだけを使つかってかずりょうしたとき成立せいりつする。門前もんぜんでは6こぼしふくした場合ばあいは5こぼしがるたんに「チンイツ」と場合ばあいふくあらわしてつくったかずりょうのことをし、門前もんぜんかずりょうは「メンチン」とんで区別くべつする[1][2]。メンチンを「タテチン」とうこともある。

概要がいよう[編集へんしゅう]

やくみつるのぞ通常つうじょうやくなかでは最高さいこうこぼしすうやくであり、完成かんせいさせればおおきな得点とくてん見込みこめる。ふくあらわしても確実かくじつ満貫まんがんになり、門前もんぜんなら最低さいていでもとべまんになる。ドラ平和へいわ一気いっきどおりぬきなどがふくあわしてばいまん以上いじょうになることもおおく、ひろちになっていればリーチつことも充分じゅうぶんかんがえられる。その場合ばあいやくうらドラくわわってさんばいみつる、あるいはかぞやくまんまでとど可能かのうせいもある。得点とくてんりょくたかさにくわえ、複雑ふくざつなテンパイがたになりやすいのも特徴とくちょうひとつである。とくにメンゼンの場合ばあいは、パッとただけではなにちかからないようなぱい姿すがたになることもあり、多面ためんちょうわり瞬時しゅんじ把握はあくするちから要求ようきゅうされる。実戦じっせんでは、メンチン一向いっこうになった時点じてんつぎなにけばなにちになるのか、なに有効ゆうこうぱいかなど、ある程度ていど予測よそくしてテンパイにそなえるのがのぞましい。

かくりつてきには、きよし一色いっしょくになるぱいわせは(同種どうしゅぱいべつかぞえて)やく4.5おくとおりで、やくまんよんくらこく(21おくとおり)や国士無双こくしむそう(13おくとおり)と比較ひかくしても、メンチンはやくまんみになんたかいとえる。実際じっさいはいぱいとツモと展開てんかいめぐまれなければ門前もんぜんでのかずりょうむずかしく、スピードを重視じゅうししていてアガリにかうこともおおい。1飜がってしまうものの、状況じょうきょうきをれ、より優秀ゆうしゅう最終さいしゅうがたってくことができれば、かずりょう可能かのうせいはぐっとたかまる。ぱい姿すがたうつくしさ、多面ためんちょう華麗かれいさからメンゼンにこだわるしゅすくなくないが、いても充分じゅうぶんたかなので、きどころのぱい急所きゅうしょぱいまよわずいてしまったほうがい。1つ2つふくあらわしたとしても、ぱい次第しだいでは両面りょうめん以上いじょうかたちになるし、そうなれば多少たしょう警戒けいかいされたとしてもツモかずりょう期待きたいできる。ただし、けるぱいをなんでもかんでもいたり、序盤じょばんからあわててなかぱいをポンしたりすると、中盤ちゅうばん以降いこうくるしいかたちのまま膠着こうちゃくしてしまうこともある。スピードを重視じゅうしすることといそぐことはちがうので、チンイツの仕掛しかけどころには注意ちゅうい必要ひつようである。なお、枚数まいすうりないところから強引ごういん仕掛しかけるチンイツは、無理むりがあることから「ムリチン」とばれる。

いてつくったきよし一色いっしょく性質せいしつじょうやく重複じゅうふくしにくく、また重複じゅうふくさせる難易なんいたかい。ドラやあかぱいからまなければ点数てんすう満貫まんがんとべまんからなやみやすい。タンヤオは一見いっけんするとからめやすいようにえるものの一色いっしょくあたり使つかえるぱいは7しゅ28ぱいである。こちらは順子じゅんこつくることもできるため純粋じゅんすい比較ひかくはできないが、一色いっしょく使つかえるぱい枚数まいすうおなじである。無理むりつくらずこん一色いっしょくにシフトしたり、ぎゃくこん一色いっしょくからきよし一色いっしょくにシフトしやすいのはいたきよし一色いっしょくおおきなメリットであるとえる。

20世紀せいき初頭しょとう麻雀まーじゃん歴史れきし初期しょきからあるやくであり、当初とうしょは3こぼしやくアルシーアル麻雀まーじゃんでは3こぼしやくさらに10というルールであった。

デメリット[編集へんしゅう]

チンイツのデメリットはおもに2つある。まず1つは、極端きょくたんかたよったぱいになるため、きょく進行しんこうともにチンイツねらいであることを見破みやぶられ、警戒けいかいされやすくなること。チンイツをねらうにたっていろぱい不要ふようであり、普通ふつうならば使つか勝手がっていはずのちゅうちょうぱいしげもなくかわならべられることになる。なのに一色いっしょくだけ1まいてられていないとなると、しゅ看破かんぱするのはむずかしいことではない[3]。これとも関連かんれんして2つは、他家たけいろたれたとき防御ぼうぎょきにくいこと。これはホンイツ場合ばあいにもえることだが、しゅ大物おおものしゅ勝負しょうぶしゅであり、他家たけ先手せんてられても多少たしょうぱいはつっぱることがおおい。結果けっか歯止はどめがきかずじゅういたるケースがままある。つまり1つてん他家たけ防御ぼうぎょりょくたかくなり、2つてん自分じぶん防御ぼうぎょりょくひくくなる。得点とくてんてき破壊はかいりょくつチンイツではあるが、このようなじゅうのデメリットもかかえている。

また、初級しょきゅうしゃにとっては、ちが複雑ふくざつになりすぎることもデメリットになる。つぎからつぎぱいせた場合ばあいうえからしたまでごちゃごちゃした連続れんぞくがたになるとか、4まい使つかいの見慣みなれないかたちになるとかして、ちがからなくなることはおおいにありうる。複数ふくすうあるちのひとつを見落みおとしてしまうケースや、すでに1ぱい2ぱいあまらせている場合ばあいなどは、本人ほんにん意識いしきすることなくフリテン状態じょうたいになり、チョンボ誘発ゆうはつする危険きけんせいもある。ただし、これは実際じっさいぱいならべてチンイツの練習れんしゅうをするなど、訓練くんれんめば解決かいけつする問題もんだいではある。

ぱい姿すがたれい[編集へんしゅう]

れい多面ためんはりのケース

一萬一萬一萬三萬四萬五萬六萬六萬七萬七萬七萬七萬八萬
ちは二萬五萬八萬 三萬六萬九萬の6しゅぱいおおいため有利ゆうりではあるが、4まい使づかいの七萬のまわりがゴチャゴチャしており、多面ためんちょう苦手にがてしゅちがからず混乱こんらんしてしまう可能かのうせいがある。たとえば、三萬六萬九萬二萬五萬がアタリであることにいていても、八萬ちを見落みおとしていた場合ばあい八萬をツモりしてしまう可能かのうせいすらある。その場合ばあいフリテンになり、そのされた三萬などにロンをかけてフリテンを指摘してきされればチョンボとなる。ばいまんかずりょうっていたはずがぎゃく満貫まんがんばらいとなってしまう。

れいだか安目やすめがあるケース

一萬二萬二萬三萬三萬四萬五萬五萬五萬六萬七萬八萬九萬
ちは 一萬四萬七萬 六萬九萬の5しゅ一萬四萬七萬かずりょうした場合ばあい平和へいわがつき、さらに一萬四萬でのかずりょうでは一気いっきどおりぬきふくごうする。一萬でのかずりょうもっと得点とくてんたかく、平和へいわ一気いっきどおりぬきいちさかずきこうすべてがつく。リーチをかけていなくても、一萬をツモればさんばいまんとなる。ぎゃく六萬九萬でのかずりょうでは平和へいわがつかず、いちつうにもならないため、とべまんどまりである。

れいふくあらわしたケース

二萬三萬四萬四萬五萬五萬五萬   二萬一萬三萬   七萬八萬九萬
ふくあらわすればぱいみじかくなり、ちも比較的ひかくてき簡単かんたんになる。この場合ばあい一萬四萬 三萬六萬ち。なお、このケースでも六萬かずりょうった場合ばあい一気いっきどおりぬきがつく。

れい特殊とくしゅなメンチンのれいその1

一索一索一索二索三索四索六索六索七索八索九索九索九索
このケースでは六索九索 五索の3しゅちだが、五索きゅうはちすたからとうになる。したがって、きゅうはちすたからとうというやくまん特殊とくしゅならかたのメンチンであるとえる。

れい特殊とくしゅなメンチンのれいその2

二筒二筒三筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒
五筒さかずきこうになるのはすぐにわかるが、じつ二筒八筒ちである。いずれの場合ばあいでも平和へいわだん么九いちさかずきこうく。ルールによっては五筒であがったものを大車輪だいしゃりんというやくまんにすることがある。

れい特殊とくしゅなメンチンのれいその3

二索二索三索三索四索四索四索六索六索六索八索八索八索
このケースは一索二索三索四索五索の5めんち。二索三索四索みどり一色いっしょくになる。さらに二索三索をツモかずりょうすればよんくらこくふくごうする[注釈ちゅうしゃく 1]。ちなみにこのぱい姿すがたでは、四索六索八索くらこくのうち四索六索くら槓すると一部いちぶちが消滅しょうめつしてしまうため(四索かずりょうぱいでもある)、立直たちなおのちくら槓できるのは八索のみである。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ ただし、發ふくまれていなければみどり一色いっしょくみとめない場合ばあいは、やくまん成立せいりつしていなければしん一色いっしょくだん么九となる。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 井出いで洋介ようすけ監修かんしゅう東大とうだいしき麻雀まーじゃん 点数てんすう計算けいさん入門にゅうもん池田いけだ書店しょてん、2007ねん、36ぺーじISBN 9784262107325 
  2. ^ 佐々木ささき寿人ひさと『ヒサトりゅう リーチにつよくなる麻雀まーじゃん入門にゅうもん成美せいびどう出版しゅっぱん、2012ねんISBN 9784415312231 p36。
  3. ^ 佐々木ささき寿人ひさと『ヒサトりゅう リーチにつよくなる麻雀まーじゃん入門にゅうもん成美せいびどう出版しゅっぱん、2012ねんISBN 9784415312231 p36、「ホンイツ同様どうよう、どうしてもの2種類しゅるいすうぱいぱいおおくなり、めていることがばれやすくなります」とある。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]