漫符

漫符（まんぷ）は漫画まんがなどに特有とくゆうな記号きごう表現ひょうげんのことである。

漫符は主しゅとして、漫画まんがなどのキャラクターの内面ないめんを表現ひょうげんするための、独特どくとくの視覚しかく言語げんごやアイコノグラフィーに属ぞくするシンボル（アイコン）である。

現代げんだいでは主おもに日本にっぽんにおいて漫画まんがや、漫画まんがの影響えいきょうを受うけたアニメ作品さくひんにおいて漫符的てきな表現ひょうげんが見みられる。また、欧米おうべいなどの漫画まんが（アメリカン・コミックス、バンド・デシネなど）においても漫符に相当そうとうする表現ひょうげん技法ぎほうが見みられる場合ばあいがあるが、概がいしてその種類しゅるいは少すくない。

なお、本ほん項目こうもくでは実体じったいの記号きごうとして描写びょうしゃされるものについて扱あつかう。その他たの日本にっぽんの漫画まんがについて特有とくゆうの表現ひょうげん技法ぎほうについては、同どう項目こうもくを参照さんしょうのこと。

概要がいよう

漫符の起源きげんや変遷へんせんは漫画まんがの起源きげんと同様どうように古ふるいと考かんがえられるが、ここでは昭和しょうわ初期しょき以降いこうに日本にっぽんにおいて普及ふきゅうした漫画まんが、いわゆる現代げんだい漫画まんがにおける漫符について主おもに取とり扱あつかう。

用語ようご

古ふるくから見みられるが、具体ぐたい例れいを示しめして「漫符」という呼称こしょうを使用しようした初出しょしゅつは『サルでも描えがけるまんが教室きょうしつ』の第だい3回かいである。同どう作品さくひんでは漫符を「感情かんじょうや感覚かんかくを視覚しかく化かした、まんがならではの符号ふごう（記号きごう）」と定義ていぎしている。

夏目なつめ房ぼう之の介かいは独立どくりつに形かたち喩たとえ（けいゆ）という用語ようごを造語ぞうごしている。

具体ぐたい例れい

分類ぶんるい名めいはあくまでも便宜べんぎ的てきなものであるか、一般いっぱん的てきに多用たようされている呼称こしょうであり、用語ようごとして定義ていぎされている訳わけではない。

感情かんじょうの表現ひょうげん

汗あせマーク

汗あせ・涙なみだ（汗あせマーク）

汗あせの水滴すいてきを戯画ぎが化かしている。焦あせりや悲かなしみを表現ひょうげんする。

主しゅとして顔かおの側面そくめんに描えがかれるが、キャラクターを背後はいごから見みた後頭部こうとうぶ、更さらにキャラクターの外側そとがわに離はなれて四方しほうに飛散ひさんするように描えがかれる場合ばあいもある。

青筋あおすじ（怒いかりマーク）

3 - 4本ほんの曲線きょくせんによって額がくなどに浮うき出でる血管けっかんを戯画ぎが化かしている。怒いかりを表現ひょうげんする。

照てれ線せん・赤面せきめん

斜線しゃせんを多数たすう密集みっしゅうさせた表現ひょうげんで、主しゅとして頬ほお付近ふきんや耳みみなど顔面がんめんが紅潮こうちょうしやすい部分ぶぶんに描えがかれ、照てれや赤面せきめん、恥はずかしさなどを象徴しょうちょうする表現ひょうげんである。ハッチング由来ゆらいであり、クロスハッチング線せん（Xのように交差こうさする斜線しゃせん）で描えがかれる場合ばあいもある。

これは両りょう頬ほおの頬骨ほおぼね付近ふきんに常つねに描えがかれるいわゆる「コテ線せん」とは異ことなる。

湯気ゆげ

頭部とうぶなどから噴出ふんしゅつする湯気ゆげを戯画ぎが化かしている。激怒げきどを表現ひょうげんする。

全体ぜんたい的てきにはブロッコリーを縦たてに切きった断面だんめんを簡素かんそ化かし線画せんが化かしたものに類似るいじする。

垂だれ線せん・青あおざめ

縦たて線せんを多数たすう密集みっしゅうさせた表現ひょうげんで、主しゅとして顔面がんめんの額がくや、目めの周囲しゅうい、または目めの周囲しゅういから上うえの部分ぶぶんに描えがかれる。青あおざめた顔かおとして、不安ふあん、焦燥しょうそう、沈鬱ちんうつ、心身しんしんの落おち込こみなどを表現ひょうげんする。

コマ全体ぜんたいの背景はいけいとしても描えがかれる

情況じょうきょうや効果こうかの表現ひょうげん

笑えみ線せん・ワイワイ・賑にぎわい

キャラクターの外側そとがわに離はなれて囲かこむように1 - 数個すうこ程度ていど、線せんの組くみ合あわせとして描えがかれる表現ひょうげん。短みじかい円弧えんこに小ちいさい線せんを1 - 数個すうこ程度ていどクロスさせたものが多おおい。

キャラクターが笑わらっている状態じょうたいや、複数ふくすうのキャラクターが談笑だんしょうしているような場面ばめんで、そのような雰囲気ふんいきを表現ひょうげんするために使つかわれる。

気付きづき線せん

3つ程度ていどの小ちいさい線せんを拡ひろがるように並ならべて描えがかれ、何なにかに気付きづいた事ことなどを表現ひょうげんする。なお、驚おどろく程度ていどだった場合ばあいには波線はせんが使つかわれる。

その他た

コテ線せん

「照てれ線せん」とは異ことなり、頬ほおの頂点ちょうてんにアクセントまたは立体りったい感かんを出だすために描えがかれる、原則げんそくとしてキャラクター毎ごとに不変ふへんの記号きごう。「ホホタッチ」、「ヒゲ」などとも呼よばれる。派生はせいとしてN線せん、W線せんなどがある。単たんなる汚よごれの表現ひょうげんや、本物ほんもののヒゲの場合ばあいもある。

関連かんれん項目こうもく

• ふきだし
• 効果こうか線せん