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濾過ろか摂食せっしょく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

濾過ろか摂食せっしょく(ろかせっしょく、filter Feeding)とは、動物どうぶつえさかた類型るいけいひとつで、触手しょくしゅえらなどをもちいてる(濾過ろかする)ようにえさをとるやりかたす。しゅとして水産すいさん動物どうぶつられる。

よく発達はったつしたえら触手しょくしゅなどを濾紙こしがみザルのようにもちいて、それにかるえさべる。この方法ほうほうえさをとる動物どうぶつ濾過ろか摂食せっしょくしゃ (filter feeder) という。

えさ[編集へんしゅう]

通常つうじょう濾過ろか摂食せっしょくしゃは、自分じぶんよりはるかにちいさいえさをとるものであり、えさ典型てんけいてきには1mm前後ぜんこうまでの中型ちゅうがたプランクトンである。ジンベエザメマンタシロナガスクジラなど、大型おおがたうみ棲生ぶつのなかには濾過ろか摂食せっしょくによってとるプランクトンをしゅたるエネルギーげんとしているものがおおい。鳥類ちょうるいではフラミンゴがこうした摂食せっしょくおこなう。とにかくえさのありそうなところをさらって、ふくまれるえさながむ、という形態けいたいである。一方いっぽうザトウクジラ小型こがた魚類ぎょるいなどがふくまれる比較的ひかくてきおおきなえさくちすくい、みずだけをすが、これも濾過ろか摂食せっしょくちか摂食せっしょく形態けいたいである。この場合ばあいには、あらかじめしょうさかなあつめる行動こうどうるようである(ややりに要素ようそがある)。

生活せいかつけん[編集へんしゅう]

濾過ろか摂食せっしょくしゃは、水中すいちゅうせいとく海産かいさんのものにおおい。生息せいそく空間くうかんないかんでいるえさ圧倒的あっとうてきおおいからである。遊泳ゆうえいするものだけでなく、固着こちゃくせいのもの(フジツボなど)もこれにふくまれる。

一方いっぽう地上ちじょうでは、空間くうかんないいているえさ比較的ひかくてきすくなく、それをさらえるあみのような構造こうぞう維持いじするのもむずかしいため、濾過ろか摂食せっしょくしゃといえるものはすくない。いてげれば、クモるいヨタカなどが濾過ろか摂食せっしょく摂食せっしょく形態けいたいである。

濾過ろか装置そうち[編集へんしゅう]

この方法ほうほうえさるためには、みずなどからえさ装置そうち必要ひつようである。

水棲すいせい動物どうぶつえらつものがおおく、ここをみず多量たりょうとおるため、そのさい同時どうじえされいがよくられる。イワシくちえらぶたをおおきくけ、大量たいりょうみずとおるようにして摂食せっしょくおこなう。

えらたないクジラるいでは、口内こうないにすだれのような構造こうぞうくじらひげ)が発達はったつしており、これを使つかって多量たりょうみず濾過ろかできるようになっている。このような特徴とくちょうつグループはヒゲクジラばれる。

触手しょくしゅ発達はったつさせるものもおおい。ケヤリムシカンザシゴカイなどの多毛たもうるいフジツボなどのづるあしるいテヅルモヅルなどがそのれいである。クラゲ触手しょくしゅもそれにちかはたらきをつ。

からだ濾過ろか装置そうち発達はったつさせるのではなく、体外たいがいにそれをつくすものもある。オタマボヤるいはゼラチンしつ分泌ぶんぴつしてつくり、そこにかかるものをべる。がいるいヘビガイは、くちから粘液質ねんえきしつあみ分泌ぶんぴつし、これを回収かいしゅうしてべる。

繊毛せんもう粘液ねんえき摂食せっしょくとの関係かんけい[編集へんしゅう]

繊毛せんもう粘液ねんえき摂食せっしょくというのは、触手しょくしゅなどの表面ひょうめん粘液ねんえき分泌ぶんぴつし、ここに微粒子びりゅうし吸着きゅうちゃくさせて、それを繊毛せんもうくちはこんでべる摂食せっしょく方法ほうほうである。つまり、多量たりょうみずをそこにとおしてそのなかからえさひろうので、濾過ろか摂食せっしょくとはてんおおい。

厳密げんみつには濾過ろか摂食せっしょく濾過ろか装置そうちえさけることでえさあつめるのにたいして、繊毛せんもう粘液ねんえき摂食せっしょくはその表面ひょうめんえさ吸着きゅうちゃくさせるので、区別くべつはできる。対象たいしょうとするえさは、濾過ろか摂食せっしょく濾過ろか装置そうちかるおおきさのもので(小型こがたプランクトン程度ていど)、繊毛せんもう粘液ねんえき摂食せっしょく場合ばあいはさらにちいさなデトリタスである。繊毛せんもう粘液ねんえき摂食せっしょく濾過ろか摂食せっしょくなかふくめることもある。

たとえば二枚貝にまいがいるいみずんでえらとおしてし、同時どうじえらあつめたえさべる。これはかつては濾過ろか摂食せっしょくであるとされた。しかし、実際じっさいにはえらあいだみずけてくわけではなく、えら表面ひょうめんながれるようである。現在げんざいでは、むしろ繊毛せんもう粘液ねんえき摂食せっしょくであるとかんがえられている。触手しょくしゅひろげるものの場合ばあいも、その表面ひょうめん繊毛せんもうおびをもち、粘液ねんえき分泌ぶんぴつしているものもおおい。触手しょくしゅ動物どうぶつはそうてよい。

また、ケンミジンコるいなどは摂食せっしょくようあし多数たすうとげじょうち、これをもちいて濾過ろか摂食せっしょくするものとかんがえられていた。しかし、あまりにちいさいため、濾過ろかかたちえさらえるのは無理むりレイノルズすうおおきすぎる)らしい。くわしく調しらべられているものでは、濾過ろかするのではなく、つまみるようにしてべている[1]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 大塚おおつか(2006)、p.106

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 大塚おおつかおさむ『カイアシるい水平すいへい進化しんかという戦略せんりゃく』、(2006)、日本にっぽん放送ほうそう出版しゅっぱん協会きょうかい(NHKブックス)