獺うそ祭さい魚ぎょ

獺うそ祭さい魚ぎょ（だっさいぎょ）、獺うそ魚ぎょを祭まつる（たつうおをまつる）とは、カワウソ（獺うそ）が、捕とらえた魚さかなを供物くもつに並ならべ先祖せんぞを祭まつる様ようを指さす。カワウソは捕とらえた魚さかなを川岸かわぎしに並ならべる習性しゅうせいがあり、これを祭儀さいぎになぞらえた。転てんじて多おおくの書物しょもつを調しらべ、引用いんようする人ひとの様ようを指さす。

また、七なな十じゅう二に候こうの一ひとつ（雨水あまみず初はつ候こう）で、立春りっしゅん末まつ候こうの魚さかな上うえ氷ごおりの後のち、雨水あまみず次じ候こうの鴻おおとり雁来かりきの前まえにあたる。

出典しゅってんは、礼れい記き月つき令れい孟春もうしゅんの条じょうの「東風こち凍こおを解とき、蟄虫は始はじめて振ふく。魚さかな冰に上のぼり、獺うそ魚ぎょを祭まつり、鴻おおとり雁かり来くる」。春はるになってカワウソが漁りょうをはじめ魚さかなを捕とらえることを言いった。日本にっぽんにおいては、俳句はいくの季語きごになっている。

晩ばん唐とうの政治せいじ家か、詩人しじんである李り商しょう隠かくれは作中さくちゅうに豊富ほうふな典故てんこを引ひいたが、その詩作しさくの際さいに多おおくの参考さんこう書しょを周囲しゅういに並ならべるように置おいた。上記じょうきの比喩ひゆから、自みずから獺うそ祭さい魚ぎょ・獺うそ祭さいと号ごうした。またそれ以降いこう、その様ようを指さして用もちいられるようになった。

正岡子規まさおかしきは自みずからを獺うそ祭さい書屋しょおく主人しゅじんと称しょうした。子規しきの命日めいにちである9月19日にちを獺うそ祭さい忌きと呼よぶこともある。