なまごみ処理しょり

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なまごみ処理しょり(なまごみしょりき)とは、なまごみなどの有機物ゆうきぶつ処理しょりする家電かでん製品せいひんのこと。バイオしきせいごみ処理しょり乾燥かんそうしきせいごみ処理しょりがある。

普及ふきゅう背景はいけい[編集へんしゅう]

普及ふきゅう背景はいけいには、ごみ問題もんだいがある。かく自治体じちたい収集しゅうしゅうするごみの総量そうりょう年々ねんねん増加ぞうかしている。それにわせ処理しょり能力のうりょく拡大かくだいしているが、依然いぜんとしてゴミはおおきな社会しゃかい問題もんだいでありつづけている。とくなまごみは、水分すいぶんりょうおおきいため輸送ゆそう焼却しょうきゃくにかかるコストがおおきい。そのため、一部いちぶ自治体じちたいではなまゴミ処理しょり購入こうにゅう補助ほじょきんすなどの普及ふきゅう活動かつどうおこなっている。また、近年きんねんエコロジーへの意識いしきたかまりも普及ふきゅういちやくっている。このような背景はいけいもとに、排出はいしゅつげんであるかく家庭かていでのなまごみ処理しょりほうとしてなまごみ処理しょり注目ちゅうもく推進すいしんされている。

バイオしき乾燥かんそうしき[編集へんしゅう]

なまごみ処理しょり大別たいべつして、バイオしき乾燥かんそうしきふたつがある。バイオしきは、微生物びせいぶつてきした環境かんきょうつくり、微生物びせいぶつ有機物ゆうきぶつ酸化さんか分解ぶんかい堆肥たいひつくる。たいして、乾燥かんそうしき温風おんぷうとうによる加熱かねつによって、なまごみちゅう水分すいぶん蒸発じょうはつさせ、なまゴミの減量げんりょう微生物びせいぶつ活性かっせいによる衛生えいせいおこなう。

ハイブリッドしきというタイプも販売はんばいされているが、これは最終さいしゅうてき微生物びせいぶつによって有機物ゆうきぶつ酸化さんか分解ぶんかいおこなわれているためバイオしき分類ぶんるいされる。通常つうじょうのバイオしきとのは、投入とうにゅう直後ちょくごおくによる乾燥かんそうおこなてんで、利用りようしゃにとっての使つか勝手がってはバイオしきのそれにちかい。

バイオしきせいごみ処理しょり[編集へんしゅう]

処理しょり原理げんり
バイオしきせいごみ処理しょりは、微生物びせいぶつとくこう気性きしょう微生物びせいぶつによってなまごみとう有機物ゆうきぶつ酸化さんか分解ぶんかいし、最終さいしゅうてきには二酸化炭素にさんかたんそみずまでに分解ぶんかいし、これによって、なまごみの減量げんりょう汚物おぶつかん汚臭おしゅう解消かいしょうおこなコンポスターである。そのため、バイオしきせいごみ処理しょり機能きのうは、こう気性きしょう微生物びせいぶつてきした環境かんきょうつくることである。堆肥たいひのメカニズムは堆肥たいひくわしい。
要求ようきゅうされる機能きのう
  • 保温ほおん加熱かねつ ‐ 40℃前後ぜんこうまたは60℃前後ぜんこうこう気性きしょう微生物びせいぶつ活性かっせいがり、分解ぶんかい促進そくしんされる。そのため、保温ほおん加熱かねつによってなまごみの温度おんど上昇じょうしょうさせると効率こうりつよく分解ぶんかいすすむ。また、寒冷かんれい冬季とうき温度おんど維持いじするためのヒーターに電力でんりょくおお必要ひつようになる。
  • 攪拌とおくこう気性きしょう微生物びせいぶつ酸素さんそをk必要ひつようとするため、攪拌やおくによって酸素さんそ供給きょうきゅうする必要ひつようせいがある。大半たいはんのバイオしきせいごみ処理しょりには攪拌機能きのうがある。これによってなまごみを攪拌し、酸素さんそ供給きょうきゅうおこないやすくする目的もくてきがある。
  • 脱臭だっしゅう装置そうち ‐ バイオしきからは悪臭あくしゅうではないが独特どくとく発酵はっこうしゅうがするため、脱臭だっしゅう装置そうち必要ひつようとなる。脱臭だっしゅう方法ほうほうおもに、なまごみと一緒いっしょ活性炭かっせいたんゼオライトなどのチップをぜる方法ほうほう排気はいきこう白金はっきん触媒しょくばいによる脱臭だっしゅうする方法ほうほうがある。それでも完璧かんぺきには脱臭だっしゅうされないため、基本きほんてきには屋外おくがい設置せっちするタイプがおおい。
  • 水分すいぶん調節ちょうせつ水分すいぶんおおすぎると通気つうきせい阻害そがいされ酸素さんそ供給きょうきゅうとどこおってしまい、ぎゃく水分すいぶんりょうすくなすぎても微生物びせいぶつ活発かっぱつ活動かつどうできない。そのため、適正てきせい水分すいぶんりょう調節ちょうせつするため、水分すいぶんセンサーがそなわっている機械きかいおおい。なまごみのほとんどは水分すいぶんであるため、なまごみを過剰かじょう投入とうにゅうすると水分すいぶん過多かたになってしまうことがままある。それをやわらげるため、定期ていきてき木屑きくずなどのチップをれて、水分すいぶんたいする緩衝かんしょうのうたかめる必要ひつようがある。また、ハイブリッドしき温風おんぷうおくすることによりなまごみを乾燥かんそうさせ、適正てきせいな含水りつたもつため追加ついかチップをようさないのをりにしている。
メリット
  • 堆肥たいひができる ‐ バイオしき最大さいだい利点りてん使用しようまえ発酵はっこう必要ひつようとするが、いち発酵はっこうわった状態じょうたい堆肥たいひができる。
  • ランニングコストがやすい - 微生物びせいぶつちからりて、分解ぶんかいおこなうため乾燥かんそうしきせいゴミ処理しょり比較ひかくすると電気でんきだいがかからない。
デメリット
  • 投入とうにゅうできるなまごみをえらぶ ‐ 微生物びせいぶつ分解ぶんかいできないかたなまごみや、微生物びせいぶつ悪影響あくえいきょうあたえる刺激しげきぶつなどは投入とうにゅうできない。

乾燥かんそうしきせいごみ処理しょり[編集へんしゅう]

処理しょり原理げんり
ヒーターなどの熱源ねつげん温風おんぷうで、なまごみの水分すいぶん蒸発じょうはつさせて乾燥かんそう、攪拌、破砕はさいして減量げんりょう衛生えいせいおこなう。
要求ようきゅうされる機能きのう
  • 乾燥かんそう機能きのう乾燥かんそうしきおも機能きのう温風おんぷうおくによる乾燥かんそう機能きのうである。この乾燥かんそう機能きのうによって、なまごみを減量げんりょうあつかいやすくする。処理しょりちゅうけることができない。
  • 攪拌・破砕はさい機能きのう ‐ 攪拌しつう気性きしょうをあげ、温風おんぷう効率こうりつよく乾燥かんそうおこなう。また、乾燥かんそうなまごみを破砕はさいしてげんようする。
  • 脱臭だっしゅう機能きのう乾燥かんそうがたおも屋内おくないがたおおいため、とく脱臭だっしゅう機能きのう要求ようきゅうされる。おも白金はっきん触媒しょくばいによる脱臭だっしゅう方法ほうほうおおい。
メリット
  • 室内しつない設置せっちできる ‐ チップなどをようしないため比較的ひかくてきコンパクトであり、においもすくないので、室内しつない設置せっちができる。
  • 手間てますくない ‐ 機械きかいてき蒸発じょうはつおこなうため、バイオしきのように微生物びせいぶつ生育せいいく環境かんきょうととのえなくてもよい。
  • 短時間たんじかんでできる ‐ バイオしきのように時間じかんをかけなくともよい。
  • 使つかえない地域ちいきがない ‐ 寒冷かんれいでも使用しようできる。バイオしき屋外おくがい設置せっちおおく、また温度おんど要求ようきゅうするため設置せっちできない地域ちいきがある。
デメリット
  • 電気でんきだいたかくつく(現実げんじつには、メーカーが宣伝せんでんしている時間じかん乾燥かんそうわることは、まずない)
  • 依然いぜんとしてごみでありつづける - 乾燥かんそう処理しょりなまごみは原則げんそくとしてえるゴミにすことになる。堆肥たいひ原料げんりょうにできるとうたうものもあるが、バイオしきコンポスターわるものではないため堆肥たいひするにはいち発酵はっこうからおこな必要ひつようがある。

設計せっけい思想しそうことなり[編集へんしゅう]

バイオしき乾燥かんそうしきどちらもなまごみ処理しょりばれるが、設計せっけい思想しそう対極たいきょくにある。バイオしき微生物びせいぶつ環境かんきょうととのえ、有機物ゆうきぶつ分解ぶんかいおこな堆肥たいひをつくるのにたいして、乾燥かんそうしき水分すいぶんばすことによって、微生物びせいぶつ生息せいそくできない環境かんきょうつくることを主眼しゅがんいている。

なまごみ処理しょりによる堆肥たいひ[編集へんしゅう]

堆肥たいひには、大別たいべつしていち発酵はっこう発酵はっこう段階だんかいがある。いち発酵はっこうえき分解ぶんかいせい有機物ゆうきぶつ(糖類とうるいアミノ酸あみのさん)が分解ぶんかいされる。たか発酵はっこう温度おんど要求ようきゅうする段階だんかいである。つぎに、なん分解ぶんかいせい有機物ゆうきぶつ(セルロースリグニン)が分解ぶんかいされる発酵はっこうこる。この発酵はっこう常温じょうおんでゆっくりとすすむ。このふたつの過程かてい完全かんぜん堆肥たいひができあがる。

バイオしきせいごみ処理しょりは、このおもだいいち段階だんかいおこなうものである。そのため、堆肥たいひとして使用しようするためには、いちヶ月かげつほど土中どちゅうなどで発酵はっこうおこなうことによって完全かんぜん堆肥たいひができる。

たいして、乾燥かんそうしきせいごみ処理しょり堆肥たいひはまったくおこなわれていない。単純たんじゅん乾燥かんそうしただけである。もしかり乾燥かんそうしたなまごみを肥料ひりょうとして施肥せひおこなった場合ばあい水分すいぶん吸収きゅうしゅうしてなまごみにもどり、悪臭あくしゅうぐされなどのさまざまながいすことが予想よそうされる。乾燥かんそうしたなまごみを堆肥たいひとして使用しようするには、もう一度いちど加水かすいなどをおこなって微生物びせいぶつ生息せいそくできる環境かんきょうととのえて堆肥たいひおこなわなければならない。堆肥たいひにおいて乾燥かんそうしきせいごみ処理しょり優位ゆういせいは、多大ただいなまごみの水分すいぶんはじめに除去じょきょできるというてんであり、あくまでも堆肥たいひはできない。一部いちぶ家電かでん製品せいひんメーカーはこの乾燥かんそうしたなまごみを堆肥たいひ素材そざいんでいる。

しょうエネ問題もんだい[編集へんしゅう]

しょうエネルギーまたはエコロジー製品せいひんとしてよく宣伝せんでんされるが、ときとして誤解ごかいまね表現ひょうげんをされることもおおい。

温室おんしつ効果こうかガス(二酸化炭素にさんかたんそ)の排出はいしゅつりょうらす」とかれる場合ばあい乾燥かんそうしき減量げんりょうしたゴミをそのまま可燃かねんゴミとして焼却しょうきゃくするとき水分すいぶんることでやすのに必要ひつよう燃料ねんりょうるため、そのぶん二酸化炭素にさんかたんそ排出はいしゅつりょうるが、焼却しょうきゃくにゴミそのものから二酸化炭素にさんかたんそ発生はっせいりょうには変化へんかがない。

乾燥かんそうしきせいごみ処理しょり使つかってゴミを減量げんりょうするおも利点りてんとしては、ゴミぶくろ使つかわれる石油せきゆ資源しげん節約せつやく運搬うんぱんさいのガソリンの節約せつやく焼却しょうきゃくでの焼却しょうきゃく効率こうりつがる、ひとしである。関連かんれん項目こうもく

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]