堆肥たいひ化か

堆肥たいひ化か（たいひか）とは、人ひとの手てによって堆肥たいひ化か生物せいぶつにとって有意ゆういな環境かんきょうを整ととのえ、堆肥たいひ化か生物せいぶつが有機物ゆうきぶつ（主おもに動物どうぶつの排泄はいせつ物ぶつ、生なまゴミ、汚泥おでい）を分解ぶんかいし、堆肥たいひを作つくることである。分解ぶんかいは主おもに微生物びせいぶつによって行おこなわれる。コンポスト化か (composting) とも呼よばれる。

定義ていぎによれば「生物せいぶつ系けい廃棄はいき物ぶつをあるコントロールされた条件下じょうけんかで、取とり扱あつかい易やすく、貯蔵ちょぞう性せい良よくそして環境かんきょうに害がいを及およぼすことなく安全あんぜんに土壌どじょう還元かんげん可能かのうな状態じょうたいまで微生物びせいぶつ分解ぶんかいすること」である (Goluke, 1977)。あるコントロールされた条件下じょうけんかとは、堆肥たいひ化かを行おこなう微生物びせいぶつにとって有意ゆういな環境かんきょうを作つくることを意味いみしている。また、有機物ゆうきぶつ分解ぶんかいが不完全ふかんぜんな状態じょうたいでは肥料ひりょうとして様々さまざまな問題もんだいを持もつ。この問題もんだいが解消かいしょうされるまで分解ぶんかいを進すすめることが堆肥たいひ化かである。

目的もくてきと意義いぎ

土壌どじょうへの資源しげん循環じゅんかん

植物しょくぶつは窒素ちっそ、リン、カリウムなどを土壌どじょう中ちゅうから吸収きゅうしゅうし、取とり出だしてしまう。これを土壌どじょう中ちゅうに還元かんげんするため堆肥たいひ化かは有効ゆうこうである。

不安定ふあんてい有機物ゆうきぶつの安定あんてい化か

反応はんのうを起おこしやすい物質ぶっしつを不安定ふあんてい物質ぶっしつという。有機ゆうき廃棄はいき物ぶつは大量たいりょうの酸素さんそを消費しょうひして分解ぶんかいをおこす不安定ふあんてい物質ぶっしつである。もしも、有機物ゆうきぶつの分解ぶんかいが不十分ふじゅうぶんなまま土壌どじょう中ちゅうに施肥せひされた場合ばあい、土壌どじょう中ちゅうで有機物ゆうきぶつの分解ぶんかいが起おこり土壌どじょう酸素さんそが消費しょうひされる。それによって土壌どじょうは酸素さんそ欠乏けつぼうを起おこし、作物さくもつや土壌どじょう生態せいたい系けいに大おおきな打撃だげきを与あたえる。これを防ふせぐため、有機ゆうき廃棄はいき物ぶつを安全あんぜんに土壌どじょう還元かんげん可能かのうなレベルまで分解ぶんかいをすることが堆肥たいひ化かの目的もくてきの一ひとつである。

細菌さいきん､害虫がいちゅう､雑草ざっそう種子しゅしの不ふ活性かっせい化か

条件じょうけんさえ整ととのえば、堆肥たいひ化かの過程かていで温度おんどは70°C前後ぜんごまで上昇じょうしょうする。この温度おんど上昇じょうしょうによって、病原びょうげん細菌さいきん、病やまい虫ちゅう卵たまご、ウイルス、雑草ざっそう種子しゅしなどの大だい部分ぶぶんが不ふ活性かっせい化かされ、衛生えいせい的てきな堆肥たいひができる。

原料げんりょうの汚物おぶつ感かんの解消かいしょう

動物どうぶつの排泄はいせつ物ぶつ、残飯ざんぱん、汚泥おでいは独特どくとくの汚物おぶつ感かんや臭気しゅうきを持もつ。これは堆肥たいひ化かによって著いちじるしく減少げんしょうする。

ゴミの減量げんりょう

排出はいしゅつされる生なまゴミのほとんどは水分すいぶんである。このため、清掃せいそう工場こうじょうで生なまゴミを焼却しょうきゃく処理しょりする場合ばあい、水分すいぶんを蒸発じょうはつさせるために大量たいりょうのエネルギーを要ようし、焼却しょうきゃく温度おんどの低下ていかそれによるダイオキシンの発生はっせい、もしくは焼却しょうきゃく温度おんどを維持いじするため大量たいりょうのエネルギーが浪費ろうひされる。堆肥たいひ化かによってゴミとしての排出はいしゅつが抑おさえられ、あるいは堆肥たいひとして利用りようされずに排出はいしゅつされてもこの問題もんだいは解消かいしょうされる。

生なま分解ぶんかい性せいプラスチックの分解ぶんかい

生なま分解ぶんかい性せいプラスチックは、通常つうじょうの土壌どじょう中ちゅうでは分解ぶんかいが起おこりにくい。なぜなら、土壌どじょう中ちゅうに埋うめるなど通常つうじょうの操作そうさでは微生物びせいぶつ活性かっせいが低ひくいためである。そこで生なま分解ぶんかい性せいプラスチックを堆肥たいひ化かのように微生物びせいぶつ活性かっせいが高たかい状態じょうたい下かにおけば、分解ぶんかいがスムーズに行おこなわれる。

堆肥たいひの生成せいせい

堆肥たいひ化かはその言葉ことばが示しめす通とおり堆肥たいひを作つくることである。堆肥たいひは土壌どじょう状態じょうたいを様々さまざまな面めんで改善かいぜんし、作物さくもつの生育せいいくを助たすける。これに関かんしては堆肥たいひの項目こうもくが詳くわしい。

環境かんきょう因子いんし

有機ゆうき廃棄はいき物ぶつの分解ぶんかいを促進そくしんするためには、堆肥たいひ化か微生物びせいぶつにとって有意ゆういな環境かんきょうを作つくることが肝要かんようである。その主おもな環境かんきょう因子いんしは、酸素さんそ、水みず、温度おんど、原料げんりょうpH、C/N比ひの五いつつであり、どれか一ひとつでも不十分ふじゅうぶんなものがあれば適正てきせいな堆肥たいひ化かは行おこなわれない。また、これらは互たがいに大おおきく影響えいきょうし合あっている。

酸素さんそ

有機物ゆうきぶつの分解ぶんかいは主おもに大量たいりょうに酸素さんそを消費しょうひする好こう気性きしょう微生物びせいぶつによって行おこなわれる。そのため、堆肥たいひ原料げんりょう中ちゅうの酸素さんそは大量たいりょうに消費しょうひされるため、堆肥たいひ原料げんりょうに酸素さんそを供給きょうきゅうすることが重要じゅうようになる。仮かりに原料げんりょうに酸素さんそが供給きょうきゅうされないと、嫌気いやけ性せい微生物びせいぶつが増殖ぞうしょくする。嫌気いやけ性せい微生物びせいぶつは、好こう気性きしょう微生物びせいぶつの呼吸こきゅう代謝たいしゃによる有機物ゆうきぶつ分解ぶんかいとは異ことなり、主おもに発酵はっこう代謝たいしゃで有機物ゆうきぶつを分解ぶんかいする。発酵はっこう代謝たいしゃは、分解ぶんかい速度そくどの低下ていか、温度おんど上昇じょうしょうの抑制よくせい、酢酸さくさんや酪酸などの酸さんの生成せいせいによる原料げんりょうpHの低下ていか、悪臭あくしゅう源げんの生成せいせいなどを行おこなうため、嫌気いやけ性せい微生物びせいぶつは堆肥たいひ化かには不向ふむきである。そこで好こう気性きしょう微生物びせいぶつが増殖ぞうしょくしやすいように、ワラなどを混合こんごうし通気つうき性せいの確保かくほや、送風そうふうによる通気つうき（強つよすぎると温度おんどが下さがってしまうので注意ちゅうい）、切返きりかえしなど原料げんりょう混合こんごうによる酸素さんそ供給きょうきゅうと通気つうき性せいの確保かくほを行おこなう必要ひつようがある。また、堆肥たいひ原料げんりょうの水分すいぶん量りょう（含水率りつ）が多おおくても、原料げんりょうの通気つうき性せいが確保かくほされず酸素さんそが供給きょうきゅうしにくい。堆肥たいひ原料げんりょうの粒つぶ度どが大おおきい場合ばあいも粒つぶの内部ないぶまで酸素さんそが到達とうたつせず、内部ないぶの分解ぶんかいが十分じゅうぶんに行おこなわれない。

水みず

微生物びせいぶつは水みずの中なかで生息せいそくし増殖ぞうしょくする。そのため、基本きほん的てきには原料げんりょうの水分すいぶん量りょう（含水率りつ）は高たかい方ほうが良よい。しかし、水分すいぶん量りょうが多おおいと通気つうき性せいの確保かくほが難むずかしくなってしまうため、水分すいぶん量りょうを多おおくしすぎると結果けっか的てきに分解ぶんかい速度そくどが低下ていかしてしまう。一般いっぱん的てきには含水率りつ50 - 60%w.b.が良よいと言いわれている。適正てきせいな含水率りつに保たもつため、水分すいぶんが少すくない場合ばあいは加水かすいを行おこない、水分すいぶんが多おおい場合ばあいはワラなどの副ふく資材しざいの混合こんごうや加熱かねつによって含水率りつの調整ちょうせいを行おこなう。特とくに牛糞ぎゅうふんなど高こう含水率りつの原料げんりょうは機械きかい的てきに圧力あつりょくを加くわえて搾しぼり、固かた液えき分離ぶんりを行おこなう場合ばあいもある。

温度おんど

堆肥たいひ化かが活発かっぱつに行おこなわれる温度おんど帯たいは二ふたつあり、これには2種類しゅるいの微生物びせいぶつ群ぐんが関係かんけいしている。一ひとつは中温ちゅうおん域いき (30 - 50°C) で活性かっせいが持もつ中温ちゅうおん菌きん群ぐん。活性かっせいのピークは40℃前後ぜんこうにある。もう一ひとつは高温こうおん域いき (50 - 65°C) で活性かっせいを持もつ高温こうおん菌きん群ぐん。活性かっせいのピークは60°C前後ぜんごにある。分解ぶんかいの速度そくどは高温こうおん域いきの方ほうが高たかく、衛生えいせい面めんからも高温こうおん域いきまで温度おんどを上昇じょうしょうさせ病原びょうげん細菌さいきん、病やまい虫ちゅう卵たまご、ウイルス、雑草ざっそう種子しゅしを不ふ活性かっせい化かを行おこなう。アメリカ環境かんきょう保護ほご庁ちょうでは55℃以上いじょうの温度おんどに3日間にちかん以上いじょうさらすことを求もとめている。コンポスターや堆肥たいひ化か施設しせつで堆肥たいひ化かを行おこなう時とき、加熱かねつを行おこない強制きょうせい的てきに温度おんどを上あげる場合ばあいがある。加熱かねつを行おこなわない場合ばあいは、堆肥たいひを堆積たいせきさせ堆肥たいひによる断熱だんねつを行おこなうと高温こうおん域いきまで温度おんどが上昇じょうしょうしやすい。また、温度おんどが順調じゅんちょうに上昇じょうしょうを行おこなわない場合ばあいは、他たの環境かんきょう因子いんしが適切てきせつでない可能かのう性せいがある。ここから、温度おんどは堆肥たいひ化かが適切てきせつに行おこなわれているかを調査ちょうさする指標しひょうの一ひとつになっている。

原料げんりょうpH

pHが約やく5以下いかになると分解ぶんかいがほとんど止とまり、pHの上昇じょうしょうと共ともに大おおきくなりpH約やく9で最大さいだいとなる。pHを変化へんかさせる要因よういんは、酸性さんせいの場合ばあい、嫌気いやけ状態じょうたいによって嫌気いやけ性せい微生物びせいぶつが乳酸にゅうさんや酢酸さくさんの酸さんを作つくることである。アルカリ性あるかりせいに傾かたむく場合ばあいは、良好りょうこうな堆肥たいひ化かが起おきている時ときである。乳酸にゅうさんや酢酸さくさんは分解ぶんかいされ、またタンパク質たんぱくしつはアルカリ性あるかりせいであるアンモニアに分解ぶんかいされるためアルカリ性あるかりせいになる。大だい規模きぼな堆肥たいひ化か処理しょり施設しせつでは、原料げんりょうに消石灰しょうせっかいを混合こんごうしたり、完全かんぜんに堆肥たいひ化かされアルカリ性あるかりせいになった堆肥たいひを混合こんごうしたりして、強制きょうせい的てきにアルカリ性あるかりせいにする場所ばしょもある。

C/N比ひ

C/N比ひとは、原料げんりょう中ちゅうの炭素たんそ量りょう（化学かがく記号きごう C）を窒素ちっそ量りょう（化学かがく記号きごう N）で割わったものである。微生物びせいぶつ活性かっせいは体からだ構成こうせい物質ぶっしつに必要ひつような養分ようぶんに左右さゆうされる。その養分ようぶんの中なかで、炭素たんそと窒素ちっその割合わりあいが最もっとも微生物びせいぶつ活性かっせいに影響えいきょうを与あたえる。一般いっぱん的てきにはC/N比ひ10 - 30で分解ぶんかいが速すみやかに行おこなわれる。都市としゴミなどの有機ゆうき廃棄はいき物ぶつはC/N比ひが高たかいに傾向けいこうにあるため、塩化えんかアンモニウムや窒素ちっそ分ぶんの多おおい副ふく資材しざいを混合こんごうし窒素ちっそ量りょうを増ふやしC/N比ひを適正てきせいにすることがある。また、原料げんりょうのC/N比ひが高たかいと、C/N比ひの高たかい堆肥たいひが作つくられる。これを畑はたけにそのまま施肥せひをしてしまうと窒素ちっそ飢餓きがを起おこす恐おそれがある。

化学かがく的てき反応はんのう

原料げんりょう中ちゅうの有機物ゆうきぶつは、大おおきく分わけると、炭水化物たんすいかぶつ、脂肪しぼう、および蛋白質たんぱくしつになる。これらが好こう気性きしょう微生物びせいぶつに分解ぶんかいされると最終さいしゅう的てきには以下いかの化学かがく式しきで表あらわせる。

炭水化物たんすいかぶつ

炭水化物たんすいかぶつは C_m(H₂O)_n と表あらわせる。そして、酸化さんか分解ぶんかいされ最終さいしゅう的てきには二酸化炭素にさんかたんそと水みずになる。

C_m(H₂O)_n + m O₂ → m CO₂ + n H₂O
脂肪しぼうとタンパク質たんぱくしつ

脂肪しぼうやタンパク質たんぱくしつは次つぎ式しきのように酸化さんか分解ぶんかいし、二酸化炭素にさんかたんそ、水みず、アンモニアを放出ほうしゅつしながら徐々じょじょに分子ぶんし量りょうの小ちいさな物質ぶっしつになる。

C_xH_yN_zO_p + a O₂　→　C_uH_vN_wO_q + b CO₂ + d H₂O + e NH₃

脂肪しぼうとタンパク質たんぱくしつの分解ぶんかいで生しょうじたアンモニアが水みずと反応はんのうして水酸化物すいさんかぶつイオンが生しょうじ、堆肥たいひ原料げんりょうをアルカリ性あるかりせいにする。

NH₃ + H₂O → NH₄⁺ + OH⁻
硝化しょうか

アンモニアは好こう気性きしょう微生物びせいぶつの硝化しょうか菌きんによって硝酸塩しょうさんえんに酸化さんかされる。硝酸塩しょうさんえんは植物しょくぶつの養分ようぶんであり、最もっとも使つかいやすい窒素ちっそ源げんである。

まず亜あ硝酸しょうさん菌きんによってアンモニウムイオンが亜あ硝酸塩しょうさんえんに酸化さんかされる。

NH₄⁺ + 3/2 O₂ → NO₂⁻ + H₂O + 2 H⁺

次つぎに硝酸しょうさん菌きんによって、亜あ硝酸塩しょうさんえんは硝酸塩しょうさんえんに酸化さんかされる。

NO₂⁻ + 1/2 O₂ → NO₃⁻

このような過程かていを経へて土壌どじょう中ちゅうに、窒素ちっそが固定こていされる。

嫌気いやけ状態じょうたいでの反応はんのう

ここまでの反応はんのうは、好こう気性きしょう状態じょうたいでの反はん応おうである。嫌気いやけ性せいになると異ことなった反応はんのうが起おこる。例たとえば糖とうの場合ばあいは次つぎ式しきのようになり、酢酸さくさんが生しょうじる。酢酸さくさんは、水素すいそイオンを放出ほうしゅつし堆肥たいひ原料げんりょうを酸性さんせいにしてしまう。

C₆H₁₂O₆ → 3 CH₃COOH

また、脱だつ窒素ちっそ反応はんのうが起おこり、養分ようぶんである硝酸塩しょうさんえんも最終さいしゅう的てきには窒素ちっそガスになってしまう。

堆肥たいひ化かにおける発酵はっこう

本来ほんらい、発酵はっこうとは微生物びせいぶつがエネルギーを得えるためや自己じこ増殖ぞうしょくのために有機物ゆうきぶつを分解ぶんかいし、その過程かていでアルコール類るいや有機ゆうき酸さんを生成せいせいする代謝たいしゃの一種いっしゅである。狭義きょうぎには、嫌気いやけ性せい条件下じょうけんかでの代謝たいしゃを表あらわす。しかし、堆肥たいひ化かにおいては微生物びせいぶつによる好こう気き条件下じょうけんかでの有機物ゆうきぶつ分解ぶんかいも、文献ぶんけんなどで広ひろく発酵はっこうと呼よばれることから、この項目こうもくにおいては特とくに排除はいじょせずに使用しようする。

一いち次じ発酵はっこう

一いち次じ発酵はっこうとは、易えき分解ぶんかい性せいである低てい分子ぶんしの有機物ゆうきぶつ（糖類とうるいやアミノ酸あみのさん）が分解ぶんかいされる段階だんかいである。条件じょうけんさえ整ととのえれば、50 - 70℃まで温度おんどが上昇じょうしょうする。その後ご、低てい分子ぶんしの有機物ゆうきぶつが分解ぶんかいされるとともに、反応はんのう速度そくど、温度おんどともに低下ていかし収束しゅうそくする。この段階だんかいでも、堆肥たいひとして使用しようできる。

二に次じ発酵はっこう

二に次じ発酵はっこうとは、一いち次じ発酵はっこうで分解ぶんかいされなかった難なん分解ぶんかい性せいである高分子こうぶんしの有機物ゆうきぶつ（リグニン、セルロース）が分解ぶんかいされる段階だんかいである。また、アンモニアが硝酸しょうさんへと硝化しょうかされる。一いち次じ発酵はっこうと比較ひかくして、緩ゆるやかに分解ぶんかいが進すすむ。

家庭かていでの堆肥たいひ化か

堆肥たいひ化かを行おこなうには、環境かんきょう因子いんしの項目こうもくにある因子いんしを適正てきせいにすることが望のぞまれる。しかし家庭かていでこれら全すべてを満みたすことは難むずかしいが、以下いかの項目こうもくに注意ちゅういすることで堆肥たいひ化かが可能かのうになる。

水分すいぶん調整ちょうせい

生なまゴミのほとんどは水分すいぶんであり、水分すいぶん量的りょうてきには堆肥たいひ化かに向むかない。家庭かていでの堆肥たいひ化かがうまくいかない原因げんいんは、水分すいぶん過多かたであることが多おおい。そこで、水分すいぶんを少すくなくするため、出来できる限かぎり水分すいぶんを切きることが望のぞまれる。また、さらに落おち葉ばなど乾燥かんそうした副ふく資材しざいを混合こんごうしても良よい。逆ぎゃくに水分すいぶんが少すくないときは、加水かすいを行おこなうとよい。家庭かてい用よう堆肥たいひ化か容器ようきの一種いっしゅであるダンボールコンポストはこの水分すいぶん調整ちょうせいが容易よういである。水分すいぶんの目安めやすは、堆肥たいひを握にぎって形かたちが崩くずれない程度ていどがよい。

切返きりかえし

堆肥たいひに酸素さんそを供給きょうきゅうするため、できれば毎日まいにち、堆肥たいひを混合こんごう（切返きりかえし）をすると良よい。

破砕はさい

大おおきいものは出来できる限かぎり小ちいさくした方ほうが堆肥たいひ化かが早はやく進すすむ。

生物せいぶつ相しょう

有機物ゆうきぶつを直接ちょくせつ分解ぶんかいする一いち次じ分解ぶんかい者しゃ、これを捕食ほしょくする二に次じ分解ぶんかい者しゃ、さらにその上うえの三さん次じ分解ぶんかい者しゃと複雑ふくざつな生物せいぶつ相しょうを示しめしている。また、間接かんせつ的てきに微少びしょう生物せいぶつの移動いどうを助たすける生物せいぶつや土壌どじょうの物理ぶつり状態じょうたいを改善かいぜんする生物せいぶつもいる。

一いち次じ分解ぶんかい者しゃは主おもにバクテリア、放線ほうせん菌きんである。これらが、直接的ちょくせつてきに有機物ゆうきぶつを分解ぶんかいしている。一いち次じ分解ぶんかい者しゃを捕食ほしょくする二に次じ分解ぶんかい者しゃとして原生げんせい生物せいぶつ、線せん虫ちゅうが発生はっせいし、それを捕食ほしょくするササダニやトビムシが発生はっせいする。また、逆ぎゃくに嫌気いやけ性せいになると酵母こうぼなどの嫌気いやけ性せい微生物びせいぶつが発生はっせいし、それを捕食ほしょくするコナダニが出現しゅつげんする。分解ぶんかいの後期こうきになると、アリ、ムカデなどの昆虫こんちゅうが現あらわれ、二に次じ分解ぶんかい者しゃを捕食ほしょくし、一いち次じ分解ぶんかい者しゃの減少げんしょうを防ふせぐ。直接ちょくせつは関係かんけいしないが、ハエは有機物ゆうきぶつを細こまかく分解ぶんかいするウジを生うむと同時どうじに、微生物びせいぶつの運搬うんぱんにも役やくに立たっており、ミミズは原料げんりょう中ちゅうの物理ぶつり状態じょうたいを改善かいぜんする役割やくわりを持もつ。

堆肥たいひ化かの初期しょきから中期ちゅうきは温度おんどが30 - 60°Cと高温こうおんになることから、高温こうおん菌きんを中心ちゅうしんとした特徴とくちょう的てきな菌きん相しょうが出来上できあがる。また、高温こうおんのおかげで病原菌びょうげんきんなどを不ふ活性かっせい化かできる。

参考さんこう文献ぶんけん

Goluke, G. C. (1977). "Biological reclamation of solid wastes"; Rodale Press: Emmaus, PA, USA, p. 2.
藤田ふじた賢二けんじ『コンポスト化か技術ぎじゅつ』技報堂ぎほうどう出版しゅっぱん、1993年ねん5月がつ。
岩渕いわぶち和則かずのり『廃棄はいき物ぶつ研究けんきゅう財団ざいだんだより』廃棄はいき物ぶつ研究けんきゅう財団ざいだん、2004年ねん1月がつ。

外部がいぶリンク

群馬ぐんま県けん中部ちゅうぶの堆肥たいひ流通りゅうつうデータベース（堆肥たいひ化かから、堆肥たいひに関かんしてまで幅広はばひろい情報じょうほうがある）