用よう津つ院いん

用よう津つ院いん
（2016年ねん12月11日にち撮影さつえい）
所在地しょざいち	山梨やまなし県けん都留つる市し金井かない294
位置いち	北緯ほくい35度ど33分ふん47.1秒びょう 東経とうけい138度ど53分ふん46.2秒びょう
山号さんごう	向こう富山とやま
宗旨しゅうし	曹洞宗そうとうしゅう
本尊ほんぞん	虚空蔵菩薩こくうぞうぼさつ
創建そうけん年ねん	文明ぶんめい6年ねん（1474年ねん）
開基かいき	小山田おやまだ耕こう雲くも
法人ほうじん番号ばんごう	6090005003488
用よう津つ院いん 用よう津つ院いん (山梨やまなし県けん)

用よう津つ院いん（ゆうしんいん）は、山梨やまなし県けん都留つる市し金井かないに所在しょざいする寺院じいん。曹洞宗そうとうしゅう寺院じいんで山号さんごうは向こう富山とやま、本尊ほんぞんは虚空蔵菩薩こくうぞうぼさつ。

立地りっちと地理ちり的てき・歴史れきし的てき景観けいかん

所在しょざいする都留つる市し金井かないは山梨やまなし県けん東部とうぶの郡ぐん内ない地方ちほうに位置いちし、用よう津つ院いんは桂川かつらがわ支流しりゅうの大だい幡川はたがわ北岸ほくがん山裾やますその平坦へいたん地ちに立地りっちする。近世きんせいには金井かない村むらが成立せいりつし、近在きんざいには郡ぐん内ない領主りょうしゅ小山田おやまだ氏しの居館きょかんである中津森なかつもり館かん跡あとや桂林寺けいりんじなどが分布ぶんぷする。

創建そうけんと歴史れきし

『甲斐かい国こく志こころざし』『甲斐かい国こく社しゃ記き・寺てら記き』によれば、室町むろまち時代ときよの文明ぶんめい6年ねん（1474年ねん）に「小山田おやまだ耕こう雲くも」を開祖かいそ、笛吹ふえふき市し一宮いちのみや町まちの広こう厳げん院いん開山かいさん雲くも岫宗竜りゅうの法嗣ほうし鷹たか岳だけ宗俊むねとしを開山かいさんに創建そうけんされる。

鷹たか岳だけは国くに中ちゅうにおいて甲斐かい市し亀沢かめざわの天てん沢さわ寺てらを創建そうけんしており、用よう津つ院いんの開ひらき創そうは郡ぐん内ないにおける峨山派は法ほう系けい寺院じいんの展開てんかいと評価ひょうかされる。鷹たか岳だけは延徳えんとく4年ねん（1492年ねん）に死去しきょし、当とう寺てらにおいて埋葬まいそうされた。

開祖かいそ「小山田おやまだ耕こう雲くも」は郡ぐん内ない小山田おやまだ氏しの当主とうしゅで、『甲斐かい国こく志こころざし草稿そうこう』では『勝山かつやま記き』に見みられる小山田おやまだ弥太郎やたろう・小山田おやまだ平三へいぞう（弾正だんじょう）を候補こうほとして挙あげているが、小山田おやまだ信長のぶながに比定ひていされることが指摘してきされる。これは、元もと亀かめ2年ねん（1571年ねん）に戦国せんごく期きの小山田おやまだ氏し当主とうしゅの小山田おやまだ信しん茂しげるが都留つる市し下谷しもたにの長生ちょうせい寺てらに寄進きしんした寺領じりょうを記しるした安堵あんど状じょうに拠よるもの。この安堵あんど状じょうでは小山田おやまだ氏し歴代れきだいの法名ほうみょうが記しるされており、この中なかに「義よし山さん」の先代せんだいとして「耕こう雲くも」の名なが記しるされている。信長のぶながの次代じだいの当主とうしゅとして登場とうじょうする弥太郎やたろうの法名ほうみょうは『菊きく隠かくれ録ろく』から「義よし山さん」と確定かくていされるため、「耕こう雲くも」は先代せんだいの信長のぶながと考かんがえられている。

戦国せんごく期きには、永えい正ただし8年ねん（1511年ねん）に小山田おやまだ信しん有ゆう（出羽守でわのかみ）が長生ちょうせい寺てらを創建そうけんする際さいに、当とう寺てら三さん世せいの一道いちどう光こう円えんを開山かいさんに招聘しょうへいしたという。この際さいに一道いちどうは信しんじ有ゆうに鷹たか岳だけを開山かいさんに推薦すいせんし、一道いちどうの師し積せき桂かつらを長生ちょうせい寺てら二に世せいとし、自身じしんは長生ちょうせい寺てら三さん世せいとなったといわれ、用よう津つ院いんは長生ちょうせい寺てらの末寺まつじとなる。

近世きんせいには慶長けいちょう6年ねん（1601年ねん）に郡ぐん内ない領主りょうしゅ鳥居とりい成しげる次じが寺領じりょう2石せき8斗とを寄進きしんした（「長生ちょうせい寺てら文書ぶんしょ」）。江戸えど時代じだいには玉たま泉いずみ院いん、正せい観かん院いん、積善せきぜん院いん、観音寺かんおんじの末寺まつじを有ゆうしていた。当とう寺てらには天保てんぽう7年ねん（1836年ねん）8月がつに甲斐かい国こくで起おこった甲斐かい一いち国こく規模きぼの一揆いっきである天保てんぽう騒動そうどうの際さいに使用しようされたと考かんがえられている竹槍たけやりが伝来でんらいしており、約やく900字じの文章ぶんしょうで騒動そうどうの発端ほったんから判決はんけつに至いたる経緯けいいが記しるされている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『日本にっぽん歴史れきし地名ちめい大系たいけい19 山梨やまなし県けんの地名ちめい』平凡社へいぼんしゃ、1995年ねん
• 丸島まるしま和洋わよう『郡ぐん内ない小山田おやまだ氏し』戎えびす光ひかり祥さち出版しゅっぱん、2013年ねん