穆きよし姜きょう

穆きよし姜きょう
魯の公爵こうしゃく夫人ふじん
繆姜『続ぞく列れつ女おんな伝でん』より
別称べっしょう	繆姜
死去しきょ	紀元前きげんぜん564年ねん
配偶はいぐう者しゃ	宣せん公こう
子女しじょ	成なり公こう 伯はく姫ひめ
氏族しぞく	姜きょう姓せい呂りょ氏し
出身しゅっしん諸侯しょこう国こく	斉ひとし

穆きよし姜きょう（ぼくきょう、生年せいねん不ふ詳しょう - 紀元前きげんぜん564年ねん）は、繆姜ともいい、魯の宣せん公こうの夫人ふじんで、成なり公こうの母はは。

斉ひとしの公おおやけ女おんなとして生うまれた。紀元前きげんぜん608年ねん、魯の宣せん公こうにとついで夫人ふじんとなった。のちに成なり公こうと伯はく姫ひめを生うんだ。

宣せん公こうの弟おとうとの叔肸とその妻つまとのあいだに叔嬰斉ひとし（子こ叔声伯はく）が生うまれたが、叔肸とその妻つまが正式せいしきな婚礼こんれいを挙あげていなかったことから、穆きよし姜きょうは「妾わらわを義理ぎりの妹いもうととするわけにいかない」と言いって叔肸の妻つまを追放ついほうした。

紀元前きげんぜん582年ねん、穆きよし姜きょうの娘むすめの伯はく姫ひめが宋そうの共きょう公おおやけにとつぐにあたって、季き孫まご行ぎょう父ちち（季き文子ふみこ）が伯はく姫ひめを宋そうに送おくって帰国きこくした。穆きよし姜きょうは房ぼうから出でて再拝さいはいし、季き孫まご行ぎょう父ちちの忠勤ちゅうきんに感謝かんしゃを述のべ、『詩経しきょう』邶風「緑みどり衣ころも」の終章しゅうしょうを歌うたった。

ときに穆きよし姜きょうは叔孫僑如と私わたし通とおしていた。紀元前きげんぜん575年ねん、叔孫僑如と穆きよし姜きょうは共謀きょうぼうして季き孫まご行ぎょう父ちちと仲なか孫まご蔑（孟はじめ献けんじ子こ）を追放ついほうし、魯国を専断せんだんしようと図はかった。晋すすむと楚すわえが鄢陵で戦たたかうにあたって、成なり公こうは晋すすむの援軍えんぐんとして出陣しゅつじんしようとしていた。出発しゅっぱつにあたって穆きよし姜きょうは季き氏しと孟はじめ氏しを追放ついほうするよう成なり公こうに求もとめたが、成なり公こうは「帰かえってから言いうことを聞きこう」といって断ことわった。叔孫僑如は晋すすむの郤犨に賄賂わいろを贈おくって、晋すすむが季き孫まご行ぎょう父ちちを逮捕たいほし、叔孫僑如が仲なか孫まご蔑を殺ころし、魯は晋すすむに仕つかえる内うち臣しんとなる密約みつやくを結むすんだ。陰謀いんぼうは発覚はっかくして、叔孫僑如は追放ついほうされ、斉ひとしに亡命ぼうめいした。

穆きよし姜きょうは自分じぶんが亡なくなったときのために立派りっぱな檟を選えらんで柩ひつぎを作つくらせていたが、紀元前きげんぜん571年ねんに斉ひとし姜きょうが死去しきょすると、穆きよし姜きょうを憎にくんでいた季き孫まご行ぎょう父ちちにその柩ひつぎを取とりあげられて、斉ひとし姜きょうの葬儀そうぎに使つかわれた。紀元前きげんぜん564年ねん5月辛からし酉とり、穆きよし姜きょうは魯の東宮とうぐうで死去しきょした。