粉末ふんまつ冶金やきん

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粉末ふんまつ冶金やきん(ふんまつやきん、えい: powder metallurgy)とは、金属きんぞく粉末ふんまつ成型せいけいしてしょうゆいし、金属きんぞく製品せいひんつく製法せいほう陶磁器とうじき製法せいほうちかい。鋳造ちゅうぞうでは融点ゆうてん比重ひじゅう組合くみあわせで均一きんいつ組織そしきつくりにくい合金ごうきん製造せいぞうや、鋳造ちゅうぞうよりものち加工かこうすくない素材そざい製造せいぞうなどに利点りてんがある。

つくされた部品ぶひん材質ざいしつ総称そうしょうについてはしょう結合けつごうきんまたは粉末ふんまつ合金ごうきんというかたをする。

冶金やきん」は、金属きんぞくがく分野ぶんやのうち製法せいほう研究けんきゅうする分野ぶんや冶金やきんがくなどにもちいられるややふる用語ようご

金属きんぞく粉末ふんまつ表面ひょうめん酸化さんか皮膜ひまくしょうゆいにはさまたげとなるので、還元かんげん雰囲気ふんいきちゅう活性かっせいガスなか真空しんくうなかおこなわれることもある。 おも成型せいけいほうプレス成形せいけいであり、近年きんねんしん技術ぎじゅつとして金属きんぞく粉末ふんまつ射出しゃしゅつ成形せいけいほう注目ちゅうもくされている。

もとはタングステンのようなこう融点ゆうてん材料ざいりょう含油軸受じくうけのような、加工かこうプロセスでは適用てきよう困難こんなんであるような加工かこうひんもちいられていたが、機械きかい加工かこうをしなくても精度せいど部品ぶひん効率こうりつよく生産せいさんできることが認識にんしきされ、機械きかい部品ぶひん分野ぶんやへの普及ふきゅう拡大かくだいしている[1]

適用てきようれい[編集へんしゅう]

粉末ふんまつ冶金やきんほう応用おうようしたれいとして多孔たこうしつ仕様しようしょうゆいフィルターがある。含油軸受じくうけとして使用しようした場合ばあい洗濯せんたく扇風機せんぷうきハードディスクなどの小型こがたモーター部品ぶひんとして多用たようされている。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

長所ちょうしょ[編集へんしゅう]

  • かねがたもちいて製造せいぞうするため、つぎてんすぐれている。
  • なん加工かこう材料ざいりょうでも適用てきようできる[1]
  • 粉末ふんまつ金属きんぞく調合ちょうごうにより材料ざいりょう調ちょうしつ容易ようい
  • 通常つうじょう製品せいひん内部ないぶおおくのあな気孔きこう)を内包ないほうし、かけ密度みつど密度みつどよりもひくくなるため、部品ぶひん重量じゅうりょう軽量けいりょう可能かのう
  • 気孔きこう利用りようして潤滑油じゅんかつゆふくませることが可能かのうである。あぶら補給ほきゅう不要ふようになる。

短所たんしょ[編集へんしゅう]

  • かけ密度みつど密度みつどよりもひくくなるため、強度きょうどとう機械きかいてき性質せいしつおと[1]
  • 大型おおがた形状けいじょう製造せいぞう困難こんなんである[1]
  • 粉末ふんまつ表面ひょうめん酸化さんか皮膜ひまく問題もんだいになることがある[1]

材料ざいりょう[編集へんしゅう]

粉末ふんまつ冶金やきんもちいられる金属きんぞく粉末ふんまつ材料ざいりょうは、つぎのように分類ぶんるいされる。

金属きんぞく製造せいぞうほうには、以下いかのものがある[1]

  • 噴霧ふんむほう - てつけいにおいて主流しゅりゅう
  • 還元かんげんほう
  • 機械きかいてき粉砕ふんさい
  • 電解でんかい
  • ねつ分解ぶんかい
  • 急冷きゅうれい凝固ぎょうこ

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g 山口やまぐち克彦かつひこ; 沖本おきもと邦郎くにお材料ざいりょう加工かこうプロセス』共立きょうりつ出版しゅっぱん、53-56ぺーじISBN 4-320-08131-5