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結紮けっさつ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

結紮けっさつ(けっさつ、えい: ligation)は、医療いりょうにおいては、外科げかてき処置しょちさいもちいられる身体しんたい一部いちぶ医療いりょう機器ききしばって固定こていする技術ぎじゅつのこと。意味いみは「むすび、からげる」ことであるが、医療いりょうにおいては特定とくてい技術ぎじゅつしめす。

ただ外科げかてき処置しょちといえど、たとえば挿入そうにゅうしたドレーンや中心ちゅうしん静脈じょうみゃくカテーテルの固定こていには確実かくじつ結紮けっさつ技術ぎじゅつ必要ひつようであり、内科ないかけいふくすべての医師いしにとって基本きほんてき手技しゅぎひとつとえる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

結紮けっさつ手術しゅじゅつちゅう縫合ほうごう止血しけつ、そのベッドサイドでの処置しょちふくめた種々しゅじゅ医療いりょう行為こういにおいて必要ひつようとされる手技しゅぎである。身体しんたい一部いちぶ血管けっかんやその尿にょうかんなどかん構造こうぞうゆうする臓器ぞうきおおい)、もしくはドレーンなどの医療いりょう機器きき縫合ほうごういとしばって固定こていするためにもちいられる。たとえば手術しゅじゅつちゅう血管けっかんはなれだんする場合ばあいは、ペアンなどの鉗子で血管けっかんじく垂直すいちょく把持はじしてりゅう遮断しゃだんしたうえで鉗子からかずミリメートルはなして結紮けっさつし、鉗子と結紮けっさついとあいだはなれだんすることによって、出血しゅっけつさせることなく安全あんぜん血管けっかんはなれだんすることが可能かのうである。(ターニケット混同こんどうしないように注意ちゅうい。ターニケットはむす固定こていされないため、じゅつしゃ意思いしでいつでもめたりゆるめたりすることが可能かのうである。)

結紮けっさつ目的もくてき[編集へんしゅう]

結紮けっさつ方法ほうほう[編集へんしゅう]

むすによる分類ぶんるい[編集へんしゅう]

はんむすえい: Simple knot[1]
Overhand knotを1かいほどこした状態じょうたいで、2種類しゅるいきのむすかたがある。これだけでは結紮けっさつゆるむので不完全ふかんぜんだが、以下いか説明せつめいするすべての結紮けっさつはこのはんむすびのわせで構成こうせいされるため、すべての結紮けっさつ基本きほん単位たんいとなる。
男結おとこむす[2]えい: Square knot / Reef knot[3]
だいいち結紮けっさつだい結紮けっさつ反対はんたい方向ほうこうおこなう。むすがほどけにくく、止血しけつ重要じゅうよう部位ぶい結紮けっさつもちいられる。もっと頻繁ひんぱんもちいられる結紮けっさつほう
女結おんなむす[2]えい: Granny knot[3]
だいいち結紮けっさつだい結紮けっさつおな方向ほうこうおこなう。素早すばやむすべるがほどけやすい欠点けってんがある。ただむすんだのちにさらにけることができるため、状況じょうきょうによってはやく結紮けっさつほう。この場合ばあい3度目どめ結紮けっさつくわえる必要ひつようがある。
外科げかむす[2]えい: Surgeon's knot / Friction knot[4]
男結おとこむすびのだいいち結紮けっさつときいとを2かいからませる。だいいち結紮けっさつまりにくいことがあり注意ちゅういようするが、だいいち結紮けっさついと摩擦まさつ抵抗ていこうおおきいため、だい結紮けっさつおこなときだいいち結紮けっさつがゆるまない利点りてんがある(いとをロックする必要ひつようがない)。むすおおきくなるてん通常つうじょう男結おとこむすびより不利ふりである。つよ緊張きんちょうのかかる組織そしき縫合ほうごうなどにもちいる。

種々しゅじゅ結紮けっさつ技法ぎほう[編集へんしゅう]

両手りょうてむすえい: Two-hand technique[5]
結紮けっさつ両手りょうてうごきを使つか方法ほうほういと両手りょうて左右さゆう均等きんとう確実かくじつめることができ、むすがずれにくい。欠点けってんとして、両手りょうてうごかすのにひろ空間くうかん視野しや必要ひつようであり、むす動作どうさおおきいため比較的ひかくてき時間じかんようする。両手りょうて確実かくじつ把持はじするために必要ひつようながさのいと使つかうため、いと消費しょうひおおきい。
片手かたてむすえい: One-hand technique[6]
片手かたてじくいと把持はじし、もう一方いっぽう動作どうさだけで結紮けっさつおこな方法ほうほう片手かたてうごかせない状況じょうきょうでもむすぶことが出来できる。またうごかす空間くうかんすくなくてむ。習熟しゅうじゅくすれば両手りょうてむすびよりも素早すばやむすぶことが出来できるが、むすがずれないように注意ちゅういようする。いと消費しょうひ両手りょうてむすびよりすくない。
ループに中指なかゆびとお方法ほうほうと、しめせゆびでループをつくってそのしめせゆびでそのままいととお方法ほうほうとおりがあり、両者りょうしゃ交互こうごおこなうことで男結おとこむすびになる。後者こうしゃはやや難易なんいたかいが、いとえることが出来できない状況じょうきょうでも片手かたて男結おとこむすびをおこなうためには必須ひっす技術ぎじゅつである。
片手かたてむすびの応用おうようとして、両手りょうて使つかえる状況じょうきょう上記じょうき中指なかゆびとお方法ほうほうしめせゆびとお方法ほうほう左右さゆうわせることにより、ワンアクションで外科げかむすびをおこなうことが出来できる。
器械きかいむすえい: Instrument tie[7][8]
のかわりに鉗子(ペアンなど)やもちはりもちいて結紮けっさつおこな方法ほうほう利点りてんとして、せま場所ばしょでも結紮けっさつ可能かのうであり、いと把持はじするための動作どうさすくなくてむ。いと消費しょうひもっとすくない。欠点けってんとして、いとを鉗子などで把持はじすることでいと損傷そんしょうして脆弱ぜいじゃくになることがある。まためるとき微妙びみょうゆび感触かんしょくつたわらないため、重要じゅうよう部位ぶい結紮けっさつには不向ふむきである。
深部しんぶ結紮けっさつえい: Deep tie[9]
手元てもとむすつくったのち結紮けっさつてんむすゆびおくるか、または深部しんぶ結紮けっさつ(ノットプッシャー)を使つかう。やや難易なんいたか結紮けっさつほうであるが、ふか場所ばしょ支点してんうごかさずにむすぶのに必要ひつようとなる技術ぎじゅつである。
かがみ結紮けっさつえい: Endoscopic tie
かがみおこな結紮けっさつほう内視鏡ないしきょうよう鉗子をもちいる。

結紮けっさつ回数かいすう[編集へんしゅう]

たん結紮けっさつ
組織そしきを1かいだけむすぶ。おおくの場合ばあいたん結紮けっさつ十分じゅうぶんである。
多重たじゅう結紮けっさつ
ふと動脈どうみゃくかた組織そしきなど、たん結紮けっさつではすべってむすはずれる可能かのうせいがある場合ばあいは、じゅう結紮けっさつ三重みえ結紮けっさつなど同一どういつ組織そしき複数ふくすう部位ぶい結紮けっさつする。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ “Ethicon Knot Tying Manual” p. 5
  2. ^ a b c 寺島てらしま裕夫ひろお基本きほん臨床りんしょう手技しゅぎだい7かい結紮けっさついとむすび)」『レジデント』2009ねん, 2かん, 10ごう, p. 131
  3. ^ a b “Surgical Knot Tying Manual” p. 22
  4. ^ “Surgical Knot Tying Manual” p. 23
  5. ^ “Surgical Knot Tying Manual” p. 44
  6. ^ “Surgical Knot Tying Manual” p. 70
  7. ^ “Ethicon Knot Tying Manual” p. 31
  8. ^ “Surgical Knot Tying Manual” p. 80
  9. ^ “Ethicon Knot Tying Manual” p. 23

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]